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July 2011

July 31, 2011

消費者物価指数(CPI)、2011年6月度、微増!

   総務省統計局から7/29、2011年6月度の消費者物価指数(CPI)が公表された。消費者物価指数には総合指数が3つある。その結果であるが、「(1)総合指数は平成17年を100として99.9となり,前月比は0.1%の下落。前年同月比は0.2%の上昇となった。(2)生鮮食品を除く総合指数は99.7となり,前月比は0.2%の下落。前年同月比は0.4%の上昇となった。(3)食料(酒類を除く)及びエネルギーを除く総合指数は97.3となり,前月比は0.1%の下落。前年同月比は0.1%の上昇となった。」という結果であった。いずれの総合指数も微増となり、4月度以降、安定した数字を維持している。

   実際、この結果を過去3年間の推移で見てみると、平成20年度はすべての月が昨対プラスで推移しており、7月から8月にかけてプラスのピーク、昨対2.0%強であった。その後、平成21年度に入ると、一転、昨対でマイナスとなり、9月から10月にかけてマイナスのピーク、昨対-2.0%強となった。ちょうど1年サイクルでプラスとマイナスが逆転する流れを示していた。そして、平成22年度に入ると、この流れでゆけば、プラスに転じると思われていたが、依然としてマイナスが続き、いわゆる、デフレが定着することになる。グラフの推移を見ると、9月までマイナスが続き、その後も、総合指数は10月、11月度と微増となるが、それ以外の総合指数はマイナスのまま推移する。

   以上が、この3年間の消費者物価指数の昨対での推移であるが、これが今年、平成23年度に入り、3月までマイナスが継続、そして、ようやく、4月に入り、プラスに転じ、その後、5月、この6月度も微増であるが、プラスで推移している。こう見ると、やや流れが変わったように思われ、約2年に及ぶ、マイナスがプラスに転じはじめたように見える。ただ、まだ3ケ月であり、しかも、その数値は微増であり、今後、数ケ月、その推移を見守る必要があろう。

   そこで、この消費者物価指数が、この6月度もプラスを維持した要因を寄与度をもとに見てみたい。まずはプラス要因であるが、何といっても最大の寄与度は0.27ポイントのたばこである。たばこの値上げがそのまま反映された形であり、いまや、たばこが日本の消費構造を大きく動かしているといえよう。実際のたばこの消費者物価指数(CPI)であるが、国産たばこ152.1(昨対39.0%増)、輸入たばこ149.0(昨対37.1%増)であり、異常値である。たばこについで、プラスとなった項目はガソリン0.18、灯油0.13、電気代0.07であり、いずれもエネルギー関連である。ここへ来て、節電に取り組む電気代が値上げとなっており、これも消費者物価を大きく押し上げているといえる。ちなみに、電気代の消費者物価指数であるが、103.0(昨対2.5%増)であり、微増であるが、寄与度は大きい。

   一方、寄与度がマイナスとなった項目であるが、生鮮食品-0.17、生鮮食品を除く食料-0.11であり、これにその他-0.18となる。したがって、マイナスの寄与度が大きかった項目は食品関連のみであり、この6月度は食品関連の消費者物価指数が大きく下がった。ただ、それ以上に、たばこをはじめ、エネルギー関連のガソリン、灯油、電気代等の上昇があり、全体の消費者物価指数を押し上げたといえる。

   さて、この6月度、消費者物価指数の寄与度がマイナスとなった生鮮食品、及び、生鮮食品を除く食料について、さらに、小項目にまで踏み込み、その要因を見てみたい。まずは、生鮮食品であるが、生鮮魚介-0.5%、肉類0.0%、生鮮野菜-2.4%、果物-9.7%であり、明らかに果物の数字が下がっている。その中身であるが、メロン-16.7%、さくらんぼ-16.5%、りんごB-9.3%、すいか-8.0%、バナナ-4.0%であり、軒並み大きくマイナスであり、プラスとなったのはレモン2.0%、オレンジ0.9%等である。また、生鮮野菜も-2.4%とややマイナスが大きいが、その中身は-31.7%のキャベツから22.4%のさといもまで大きくバラついており、全体としてプラスマイナスが相殺されたため、さほどマイナスにはならなかった。

   ついで、生鮮食品を除く食料であるが、穀類-2.9%、油脂・調味料-1.1%、菓子類-0.7%、調理食品(惣菜)0.4%、飲料0.1%、酒類-1.2%であり、極端に下がったものはないが、比較的穀類の下げが大きかった。その中身であるが、米類-6.7%、パン-0.7%、めん類-0.7%、小麦粉-2.1%であり、米類のマイナスが大きかったといえる。したがって、米の消費者物価指数が下がったことが、生鮮食品を除く食料へ影響を与えたといえよう。

   このように、2011年6月度の消費者物価指数(CPI)は、この4月以降、微増ではあるが、プラスを維持しており、やや物価は安定したといえよう。3/11の東日本大震災の影響がどのように消費者物価にあらわれるかが懸念されたが、4月度以降プラスで推移していることから比較的影響は少なかったといえよう。ただ、このプラス要因の最大の寄与度がたばこであるので、たばこがいかに消費全体に影響を与えているかがわかる。今後、この安定した微増の消費者物価の状態が続いてゆくのか、次回、7月度の結果が気になるところである。

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July 30, 2011

IDには2つの特徴、広さと深さ!

   ID-POS分析はIDに焦点を当てた分析であるため、通常のPOS分析と何が違うのかがよく問題になる。よく議論されるのは、ID-POS分析はIDの属性が把握できることが特徴であり、性別、年齢、住所、職業などの属性に応じたマーチャンダイジングが可能になることがID-POS分析のメリットであるという議論である。ここから女性の支持の高い商品、年齢に応じた支持の高い商品、あるいはその組み合わせ等、その属性に応じた商品を抽出し、その属性へ直接働きかけるマーケティングを行うということになる。これはこれで確かにID-POS分析の特徴といえ、通常のPOS分析と大きく違う点である。

   ただ、ID-POS分析にはID特有の属性とは違うもうひとつの特徴がある。その特徴とは頻度である。これは属性とは焦点の当て方が違い、IDを把握できるがゆえに、通常のPOS分析では不可能な分析が可能になるところに焦点を当てたものである。属性がいわば、ID-POS分析の分析の広さに焦点を当てたものであるのに対し、頻度はID-POS分析の分析の深さに焦点を当てたものであるといえる。この2つがIDがもつID-POS分析ならではの特徴であるといえ、ID-POS分析は常にこの2つの角度から分析を試み、結果、IDを通じたマーチャンダイジングの構築、そして、ID特有のマーケティングを実戦してゆくことが、ID-POS分析の醍醐味といえる。

   そこで、ID-POS分析の属性については、通常、ID-POS分析では一般的に取り組まれているので、ここではID-POS分析のもうひとつの特徴、頻度について、どのようにID-POS分析において取り組んでゆけば良いかを考えてみたい。また、この頻度に取り組むことは必然的にID-POS分析のもうひとつの特徴、属性の分析にも影響を与え、これまで分析できかなった属性の新たな分析が可能となり、属性での分析も深まることになる。

   では、頻度とは何かであるが、頻度とはIDが把握できることによって初めて分析が可能となる分析指標であり、数式では回数/IDとなる。この回数はID-POS分析ではレシート枚数のことである。通常のPOS分析も回数を把握することはできるが、それは、商品ごとの回数であり、IDの回数ではない。商品ごとの回数とは、いわゆるPI値、ここでは客数PI値であり、ある商品の回数/全体の回数、あるいは全体の回数を部門の回数、カテゴリーの回数、単品の回数とに落としてゆくことである。ちなみに、分子に数量を入れれば数量PI値であり、売上高を入れれば、金額PI値となり、ここまでは、通常のPOS分析でやろうと思えばできる一般的に可能なPOS分析である。

   問題はここからである。この回数/IDのIDで割るということであり、このIDがID-POS分析特有の分析であり、これが頻度である。先のPI値の分析はいずれのPI値もすべてIDの回数は全体となっており、ID個々の回数ではない。全体の回数は文字通り、全体の回数であり、部門の回数は部門全体の回数であり、カテゴリーの回数はカテゴリー全体の回数であり、単品の回数は単品の回数であり、ここにはIDが存在しない。したがって、頻度が存在しないといえる。頻度は、この全体がIDの回数になった時にはじめて算出される指標であり、IDが把握できない限り、把握することができない指標である。

   なぜなら、頻度とは、あるIDがある商品を2回買った、3回買ったという情報であり、しかも、ID個々にこの購入回数が把握できてはじめてつかめる情報であるからである。したがって、この頻度はID-POS分析ならではの分析指標であり、通常のPOS分析ではけっして把握することができない分析指標であり、これがID-POS分析のIDのもうひとつの特徴、深さを示す分析であるといえる。

   このID-POS分析ならではの特徴、すなわち、頻度が把握できることにより、ID-POS分析のマーチャンダイジングも従来のマーチャンダイジングと違い、新たな展開がはじまる。その展開とは、まずは、IDを把握し、IDを極限まで増やしてゆくことがスタートである。次に、IDの中身に入り、ここに頻度が登場する。IDが極限まで来たら、次はこの頻度であり、頻度を極限まで高めることになる。そして、頻度が極限まで高まれば、次は、点数にうつる。頻度が回数を表しているので、回数の次は点数となる。次が価格となるが、点数と価格は極限まで上げることが目的とはならない。なぜなら、点数×価格は売上高となるが、この売上高は点数が高い場合もあれば、価格も高い場合もあり、あるいは双方、高い場合もあるので、そのバランスをとることがポイントとなるからである。

   このように、ID-POS分析には2つの特徴があり、属性と頻度である。属性がID-POS分析の広さに対応しているのに対し、頻度はID-POS分析の深さに対応しているといえ、これはID-POS分析の両輪である。どちらか一方だけの分析ではなく、分析の深さが深まれば、それに応じて広さの分析も中身が深まってゆくことになる。一般的にID-POS分析は広さばかりに注目が集まり、深さについてはあまり論じられることが少ないといえるが、本来、この深さこそ、ID-POS分析が追求すべき分析課題といえ、ここをさらに深く掘り下げることが、ID-POS分析を理解し、実戦に活かすことにつながるといえる。ID-POS分析に取り組む際は、この2つの特徴、特に深さを前提に分析を試みたいところだ。

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July 29, 2011

ジョイス、2012年2月期、第1四半期決算、震災の影響?

    ジョイスが7/12、2012年2月期の第1四半期決算を公表した。ジョイスは3/11の東日本大震災の被災地、岩手県を中心に店舗展開しており、その結果が注目されていたが、営業収益95.50億円(-7.4%)、営業利益 5.87億円(399.5%)、経常利益 6.19億円(291.6%)、当期純利益-11.95億円となり、当期純利益は赤字となったが、営業、経常段階では減収大幅増益となった。被災店舗も多かったことから、営業収益、当期純利益に影響が出たが、営業利益、経常利益は昨年度が厳しかったこともあり、大幅な増益となった。ジョイス自身も、「東日本大震災による甚大な被害の発生や今後における被災地復興の遅れ、電力不足の懸念など極めて不透明な状況となっております。」とのことで、震災の影響が依然として続いているとコメントしており、厳しい経営環境であるとのことである。

    そこで、この第1四半期決算において、東日本大震災のジョイスへの影響について見てみたい。まずはジョイスの被災状況であるが、「今回の震災では当社も一部店舗が流失あるいは損壊するなど被害を受けましたが、・・」とのことで、店舗への深刻な影響があったとのことである。具体的には、「被災店舗の復旧状況につきましては、店舗の建物が損壊する被害を受けた「アピア店」(岩手県北上市)は地域のお客様の強い要望を受け、本年10月に建替え、オープンする予定です。同じく建物が損壊した「みたけ店」(岩手県盛岡市)につきましては、関係者と協議をすすめております。」とのことである。

   さらに、「また、店舗が津波により流失した大槌店(岩手県上閉伊郡)及び山田店(岩手県下閉伊郡)につきましては、本格的な復旧は、地域の復興計画が示された後となりますが、それまでの間、移動販売による営業展開を行っている他、宅配による販売についても準備を進めております。」とのことであり、特に、この2店舗は深刻な状況である。結果、売上高に影響が出ただけでなく、災害による損失-14.41億円を計上せざるをえなくなり、当期純利益が-11.95億円の赤字となった。なお、当期純利益については、この特別損失以外にも、今期から適用された資産除去債務会計基準の適用に伴う影響額-3.72億円、減損損失-1.50億円、投資有価証券評価損-0.62億円が加わり、厳しい結果となった。

   一方、営業利益、経常利益、特に営業利益が大幅なプラスになった要因を原価、経費面から見てみたい。まずは、原価であるが、71.46%(昨年74.30%)と、2.84ポイントと大幅に下がった。結果、売上総利益は28.54%(昨年25.70%)となった。これについて、ジョイスは、「食品スーパーマーケット事業へ経営資源の集中や震災の影響によりチラシ特売を一時見合わせたことなどによる荒利益率の改善、・・」と、チラシの一時見合わせにより、相対的に売価が上昇したことが大きかったといえよう。さらに、このコメントにもあるように、「食品スーパーマーケットへの経営資源の集中の一環としてスーパーセンター仙南(秋田県仙北郡美郷町)を転貸し、・・」とのことで、ディスカント業態であるスーパーセンターが転貸されたことも、原価を下げる要因になったといえよう。

   これに対し、経費の方であるが、23.45%(昨年25.97%)と、2.52ポイントと、原価に加え、大幅に下がった。特に、チラシが大きかったとのことで、チラシの削減が原価、経費双方の改善をもたらしたといえる。また、「既存店舗の売上高が前年同期を上回った一方、震災により営業を休止した店舗があったこと、・・」とのことで、既存店が伸びたことも、固定費を相対的に下げた要因といえよう。

   結果、差し引き、商品売買から得られる利益、マーチャンダイジング力は5.09%(昨年-0.27%)となり、マイナスからプラスへ、しかも、原価、経費双方がダブルで大きく改善されたため、大幅な増益となった。そして、これに、不動産収入、物流収入等のその他営業収入が1.14%(昨年1.43%)加わり、営業利益は6.23%(昨年1.16%)と、大きく改善した。原価、経費双方が大幅に改善されたことが、空前の営業利益、経常利益をもたらしたといえる。

   このように、2012年2月期のジョイスの第1四半期決算は、東日本大震災の影響がプラス、マイナス両面に大きく表れた結果となった。プラス面では、既存店が復興需要で伸び、チラシが打てなかったことにより、原価が大きく改善され、同時にチラシ経費が削減され、さらに、その他経費も圧縮されたため経費の大幅改善が進んだ。また、同時に、経営戦略をディスカウント路線から食品スーパーマーケット路線へ転換したことも原価改善に寄与したといえよう。一方、マイナス面では、4店舗が深刻な被災にあったことにより、売上高への影響に加え、特別損失が発生し、当期純利益が赤字となったことである。今後、ジョイスとしては、このプラス、マイナス両面を踏まえ、今後の経営戦略をどう策定していくかが大きな課題となろう。ジョイスが次の中間、そして、通期決算へ向けて、どのような経営戦略を打ち出すか注目である。

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July 28, 2011

ライフコーポレーション、2012年2月期、第1四半期、好調!

   ライフコーポレーションが7/12、2012年2月期の第1四半期決算を公表した。結果は、営業収益1,212.19億円(4.7%)、営業利益33.91億円(63.2%)、経常利益33.19億円(66.5%)、当期純利益12.66億円(16.2%)と、増収増益と好決算となった。特に、営業利益が大きく増加し、「資産除去債務会計基準の適用に伴う影響額や震災による被害額など特別損失として10億48百万円計上いたしましたが、・・」とのことで、特別損失を吸収し、当期純利益も増益となった。

   そこで、ライフコーポレーションの営業利益が大幅増益となった要因を原価、経費面から見てみたい。まずは、原価であるが、73.26%(昨年74.24%)となり、0.98ポイントと大幅に下がった。結果、売上総利益は26.74%(昨年25.76%)となった。それにしても、これだけ原価が下がるのは異常ともいえ、東日本大震災後の3月、4月の商品供給不足による特売等が抑制された影響が大きかったのではないかと思われる。また、この第1四半期は比較的原価の低い生活関連用品が108.2%伸び、売上構成比が9.2%(昨年8.9%)となったことも大きかったといえよう。

   一方、経費の方であるが、26.94%(昨年26.86%)となり、0.08ポイントとわずかであるが上昇した。ライフコーポレーション自身は、「震災に伴う節電等に積極的に取り組むとともに、前期より引き続き販売管理費等の経費削減に努めたことから、・・」とのことであるが、むしろ、経費は上昇している。結果、差し引き、商品売買から得られる利益、マーチャンダイジング力は-0.20%(昨年-1.1%)と、依然としてマイナスではあるが、マイナス幅は大きく改善しており、今後、プラスに転じる可能性も高いといえよう。

   そして、これに、不動産収入、物流収入等のその他営業収入が3.09%(昨年2.95%)加わり、結果、営業利益は2.89%(昨年1.85%)となり、大幅な増益となった。今期は原価の改善効果が絶大であり、それだけ、東日本大震災のプラスの影響が大きかったといえよう。ただ、この影響は今後大きく薄らぎ、ライフコーポレーションも「今秋以降においては、サプライチェーンの復旧による生産の回復や海外需要、更には復興需要による景気回復の期待はありますが、・・」とコメントしているように、商品供給が安定し、再び激しい価格競争に落ちることは必至であり、この高い利益水準が今後とも維持できるかどうかは、予断を許さない状況といえよう。したがって、ライフコーポレーションとしては、経費比率をいかに下げるかが当面の優先的な営業課題といえよう。

   この空前の営業利益の大幅な改善を踏まえ、キャッシュフローの流れであるが、昨年は金融機関の決済日と決算が重なったこともあり、営業活動によるキャッシュフローが95.18億円(昨年-111.01億円)と、約200億円上昇している。これは仕入債務の増減額が39.32億円(-135.65億円)と異常値なっていることからもわかるように、これだけ、決済日が決算とずれるとキャッシュフローに誤差がでるといえる。

   問題は、投資活動によるキャッシュフローであるが、-35.94億円(昨年-32.49億円)と、昨年同様の投資を実施している。特に、有形固定資産の取得による支出が-32.74億円(-30.13億円)と増加しており、積極的な新規出店への投資である。ライフコーポレーションの1店舗当たりの出店にかかわる資産は約4.5億円であるので、単純に割ると約7店舗であり、前期同様、今期も積極的な新規出店への意欲が旺盛である。実際、この第1半期も、「当第1四半期累計期間に新規店舗として、3月に久宝寺駅前店(大阪府)、4月に土佐堀店(大阪府)・奥戸街道店(東京都)、5月に大崎ニューシティ店(東京都)の4店舗を出店いたしました。 」とのことで、積極的に新規出店を果たしている。これが営業収益4.7%増をもたらした要因といえ、当面、この積極策は続くものといえよう。

   そして、財務活動によるキャッシュフローであるが、-56.31億円(昨年93.71億円)と、一転、大きな支出となっており、その中身は有利子負債が-61.31億円(昨年98.72億円)となり、負債の圧縮を積極的に進めているといえる。ただ、それでも自己資本比率は28.4%(昨年28.3%)と依然として厳しい状況にあり、今後ともさらに、負債の圧縮が大きな経営課題となっている状況は変わらないといえよう。結果、トータルキャッシュフローは2.92億円(昨年-49.79億円)と、プラスとなった。

   このように、この2012年度のライフコーポレーションの第1四半期決算は増収大幅増益となる好決算となった。東日本大震災の影響が原価の大幅改善につながったといえ、空前の営業利益増をもたらしたといえよう。そして、この増益によりもたらされた豊富なキャッシュを積極的な新規出店と、有利子負債の圧縮と、2つの相反する方向にバランスよく配分している。本来であれば、自己資本比率が28.4%であり、キャッシュを負債の圧縮により厚く配分したいところであろうが、各社が新規出店を抑制する中、敢えて積極策を決断したといえる。これを踏まえ、次の中間、そして通期に向けて、ライフコーポレーションが、今後とも、この2つの経営課題を同時に追求してゆくのかどうか、その経営決断に注目である。

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July 27, 2011

スーパーマーケット販売統計調査、6月度、101.8%!

   日本スーパーマーケット協会、オール日本スーパーマーケット協会、社団法人新日本スーパーマーケット協会の3団体から、7/21、2011年6月度のスーパーマーケット販売統計調査の結果が公表された。3団体加盟、280社、7,567店舗の売上高を集計したものであり、食品スーパーマーケット業界はもちろん、小売業界でも最大規模であり、信頼度が高い統計数字である。その結果であるが、2011年6月度は101.8%(既存店99.3%)となり、微増となった。ただ、5月度が100.4%(既存店98.0%)であるので、5月度と比べ数字は右上がりとなり、3月度の震災需要をピークに売上高が下がり続けていたが、ここで歯止めがかかり、反転した結果となった。

   そこで、売上高が反転した要因を、地域別、部門別に見てみたい。まずは、地域別であるが、最も数字が伸びた地域は、北海道・東北エリアであり、103.1%(5月度99.8%)、東日本大震災の被災地、東北を含む、このエリアの伸びが顕著であった。ついで、九州・沖縄エリア102.9%(5月度100.35)、関西エリア102.6%(5月度102.0%)、北信越エリアの102.4%(5月度102.1%)と続く。特に、関西エリア、北信越エリアは5月度もほぼ同じ伸びであり、安定した売上高を維持しているエリアである。これ以外では、首都圏エリア101.3%(5月度99.9%)、中国・四国エリア100.3%(5月度99.7%)、東海エリア99.5%(5月度98.1%)であり、やや伸び悩んでいるエリアである。特に、東海エリアは唯一、2ケ月連続100%を割っており、厳しいエリアといえよう。

   一方、売上高を部門別に見てみると、最も売上高が伸びた部門は生鮮食品の畜産であり、104.2%(5月度103.5%)となり、断トツの伸びである。放射能汚染被害があり、厳しい環境の中、数字を伸ばしており、大震災以降、食品スーパーマーケット全体を大きく支える部門である。気になるのは他の生鮮食品であり、水産99.7%(98.1%)、青果99.6%(5月度97.3%)と、いずれも、100%を割っており、畜産とは対照的な結果となったことである。特に青果は相場の影響も大きいと思われるが、昨年の10月以降、売上高が急減しており、厳しい数字で推移している。畜産についで好調な部門は惣菜であり、103.6%(5月度102.3%)となり、5月度よりも、さらに数字を上げた。惣菜はこの1年間ほぼ安定した売上高を維持している唯一の部門であり、食品スーパーマーケット全体を底上げしているといえよう。ついで、一般食品102.6%(5月度100.6%)、日配102.2%(5月度102.6%)、非食品101.6%(5月度98.4%)、その他99.8%(5月度97.1%)となった。

   こう見ると、地域別では北海道・東北エリア、北信越エリア、そして、関西エリアが好調な売上高であり、部門別では、畜産、惣菜が好調な売上高であり、これらの地域、部門がこの6月度の食品スーパーマーケット全体の売上高を押し上げたといえよう。気になるのは、畜産以外の生鮮、青果と水産であり、青果は昨年10月以降急激に売上高を下げ、水産はほぼ1年間に渡り、中長期的に低迷しており、今後とも厳しい状況が予想される。

   なお、この統計調査では同時に、スーパーマーケット景気動向調査も実施しており、この6月度の売上高の結果を踏まえ、各食品スーパーマーケットが今後どのような景気が予想されるかを示したものである。調査内容は、経営動向調査として、「売上」、「収益」、「仕入れ価格」、「販売価格」、「客単価」、「客数」の6つの項目、景況感調査として、「景気状況」、「消費者購買意欲」、「周辺の競合状況」、「周辺地域の景気」の4つの項目を調査し、それぞれ、DI(景気動向指数:Diffusion Index)を算出している。

   その結果であるが、6月度時点での7月度の経営動向は前年度と比べ、売上高-8.2、収益-4.4、仕入れ価格3.8、販売価格-2.9、客単価-4.1、客数-7.2というDIである。売上高の減少要因は、客数が減少し、平均単価がダウンし、客単価が伸び悩むという認識であり、利益は、原価が上昇し厳しいという見方である。一方、景況感は数ケ月前と比べ、景気状況45.1、消費者購買意欲43.2、周辺の競合状況40.0、周辺地域の景気41.5というDIであり、いずれも、50以下と厳しい見方を示している。この各種DIを見る限り、食品スーパーマーケット各社はこの6月度は、経営数値が悪化し、景気も低迷し、経営環境が厳しい局面に入ったとの認識である。ただ、それでも、ここ数ケ月間の数字と比べると、景況感については、その数字が上向いているといえ、この6月度は比較的経営環境は改善しているともとれる。

   このように、この6月度は5月度と比べ、やや売上高が改善傾向を示しているといえる。特に、東日本大震災の被災地、東北を含む、北海道・東北エリアが最大の伸びを示しており、復興需要が売上高を押し上げているのではないかと思われる。また、部門別では、畜産、惣菜が全体を牽引しているといえる。気になるのは、青果、水産の他の生鮮食品であり、特に水産は中長期的に低迷している。また、青果もここ数ケ月、右下がりで売上高が下がっている。東日本大震災の影響も、数字の上では落ち着きつつあるといえ、今後、食品スーパーマーケット業界としては、この6月度の数字を踏まえ、重点部門を明確にした販売戦略が課題となるといえ、各社どのようなマーチャンダイジング戦略を打ち出すか注目である。

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July 26, 2011

PLANT、2011年9月期、第3四半期、減収増益!

   PLANTが7/20、2011年9月期の第3四半期決算を公表した。結果は、売上高614.55億円(-0.1%)、営業利益22.95億円(51.6%)、経常利益22.45億円(57.6%)、当期純利益-3.26億円となり、減収、当期純利益はマイナスとなったが、営業、経常段階では減収増益の決算となった。当期純利益がマイナスとなった要因は、原発事故損失-18.10億円、震災損失-0.18億円、資産除去債務会計基準の適用に伴う影響額-7.66億円と3つの特別損失が発生したためである。この3つの中でも、原発事故損失が最も大きく、PLNATは被災地、福島県にも店舗展開していることから、その影響が多大であったといえる。

   そこで、3/11の東日本大震災のPLANTへの影響であるが、「震災および原発事故により、当社の「PLANT-5大玉店」(福島県安達郡大玉村)および「PLANT-4大熊店」(福島県双葉郡大熊町)が被害を受けました。そのうち、「PLANT-5大玉店」は、地震による店舗施設への影響はさほど無かったものの、一部商品の毀損を余儀なくされました。なお同店は翌日には店舗外にて、14日からは店舗内での営業を再開しております。」とのことで、PLNAT-5大玉店はさほど大きな影響ではなかったとのことである。

   ただ、PLANT-4大熊店は、「一方、福島第一原発の事故により警戒区域に立地している「PLANT-4大熊店」につきましては、地震の影響による商品及び店舗設備等への重要な被害は発生しておりませんが、避難指示解除の時期及び営業再開の目処が未だたっておりません。」とのことで、営業再開ができない状況にあるとのことである。したがってPLANT全体の売上高にも影響が及んでおり、この第3四半期は-0.1%の減収となった。

   一方、営業利益の方は51.6%増と増益となったが、その要因を原価、経費面から見てみたい。まずは原価であるが、79.52%(昨年80.12%)と、0.60ポイント削減した。結果、売上総利益は20.48%(昨年19.88%)と上昇した。PLANTも「利益におきましても、従来から取り組んでまいりました「在庫管理」「値入向上とロスの削減」の効果により、利益率の改善が図られました。」とのことで、値入向上とロスの削減が原価改善に寄与したといえよう。

   これに対して、経費の方であるが、16.73%(昨年17.40%)と、0.67ポイント改善した。PLANTも「人時生産性を意識した人事管理が定着したことにより作業効率の向上が実現し、・・」とのこで、作業効率の改善が経費削減に寄与したとのことである。結果、差し引き、商品売買から得られる利益、マーチャンダイジング力は3.75%(昨年2.48%)となり、原価、経費ダブルで大きく改善が図られ、大幅なプラスとなった。PLNATはその他営業収入が計上されていないため、マーチャンダイジング力=営業利益となり、結果、大幅な増益となった。それにしても、経費比率16.73%は極めて低い数字であり、2011年度の食品スーパーマーケットの決算公開企業約50社の中ではベスト3に入る低さであるといえ、この経費比率の低さがPLANTの価格競争力を支えているといえ、強みである。

   こう見ると、営業面では売上高は微減であったが、営業利益が大幅増加となり、大震災の影響を利益改善につなげたといえるが、財務面ではどのような影響があったのかを見てみたい。まずは、自己資本比率であるが、20.4%(昨年21.2%)と若干下がっており、結果、負債が約80%と、依然として厳しい状況にある。実際、キャッシュフローを見ると、営業活動によるキャッシュフローは15.01億円(昨年10.32億円)と増加しているにも関わらず、投資活動におけるキャッシュフローの内、新規出店への投資はなく、財務活動によるキャッシュフローへ全額回し、有利子負債の削減へ-17.21億円(昨年-22.22億円)充てており、負債の圧縮に獲得したキャッシュのほぼすべてを当てているといえる。

   ちなみに、PLANTの出店にかかわる資産は1店舗当たり、約7.5億円であり、財務が安定していれば、約2店舗を出店できる営業活動によるキャッシュフローであるが、投資を控え、有利子負債の返済へキャッシュを配分せざるをえず、厳しい財務状況といえよう。実際、有利子負債は149.57億円(前期決算時166.79億円)と、17.22億円削減しているが、総資産352.11億円に占める割合は、42.47%と、依然として多額に上り、当面、キャッシュフローを投資ではなく、有利子負債の返済へ充てざるをえない状況にあるといえ、厳しい財務状況が続いているといえる。

   このように、PLANTの2011年9月期の第3四半期決算はPLANT-4大熊店が原発災害の影響を受け、営業ができない状況であり、売上高が-0.1%と減益となったが、それを上回る利益の改善が図れた。その要因は原価、経費双方が大きく改善したためであり、特に、経費比率は16.73%と食品スーパーマーケット業界屈指のローコストとなった。ただ、この増益によるキャッシュを新規出店に配分する財務的な余裕がなく、約80%を占める負債の圧縮にキャッシュを配分せざるを得ず、成長への投資ができない状況にある。この財務状況を見る限り、当面、PLANTとしては、成長よりも財務の改善を経営における最優先課題として取り組まざるをえないといえる。本決算まで残り、1ケ月、PLANTがどこまで財務の改善を進めるか、そして、来期を含め、その後、中長期的な経営戦略をどのように打ち出すか注目である。

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July 25, 2011

売上速報、食品スーパーマーケット、102.0%!

   食品スーパーマーケットの2011年6月度の売上速報を独自に集計した。現在、食品スーパーマーケット業界で月次の売上速報を公表しているのは約20社強であるが、その結果は、全体が102.0%(既存店100.2%)となり、堅調な伸びとなった。3/11の東日本大震災後の食品スーパーマーケットの売上速報であるが、3月度110.2%(既存店105.0%)、4月度105.0%(既存店100.8%)、5月度101.9%(既存店99.8%)という結果であるので、ほぼ5月度と同じ伸び率であり、微増で落ち着きつつあるといえよう。

   そこで、まずは、売上げが105.0%以上と、比較的好調な食品スーパーマーケットを見てみると、ヤマザワ114.2%(既存店112.3%)、アークランドサカモト114.0%(既存店107.0%)、ヤオコー111.1%(既存店103.3%)、ハローズ106.8%(既存店100.8%)、スーパーバリュー105.4%(既存店106.3%)、マックスバリュ西日本105.2%(既存店98.0%)の6社である。

   特に、ヤマザワ、アークランドサカモト、そして、ヤオコーは110%以上の伸びであり、この6月度は、好調な伸びであったといえる。ヤマザワ、アークランドサカモトについては、震災後の復興需要が売上げを力強く支えているといえ、115%近い伸びであり、他の食品スーパーマーケットを圧倒している。しかも、新店の貢献よりも、既存店が2桁の伸びを示しており、既存店が売上げの伸びを支えているのが特徴である。また、ヤオコーであるが、客数108.9%(既存店101.3%)、客単価101.3%(既存店101.9%)と客数、特に全体の客数が伸びているのが特徴であり、新店の効果が大きかったといえよう。

   では、この6月度No.1の売上げ伸び率となったヤマザワについて、さらに掘り下げて見てみたい。まず、客数、客単価の状況であるが、客数108.0%(既存店106.0%)、客単価105.2%(既存店105.4%)であり、双方バランスよく伸びているのが特徴である。また、3月度からの推移であるが、3月度、客数101.4%(既存店99.2%)、客単価1116.%(既存店111.3%)、4月度、客数99.1%(既存店98.2%)、客単価106.6%(既存店106.6%)、5月度、客数107.0%(既存店105.0%)、客単価105.3%(既存店105.4%)であり、客単価が震災以降一貫して顕著な伸びを維持しており、これに、5月度、6月度は客数の伸びが加わり、全体の売上げが115%近い伸びとなったことがわかる。したがって、震災後のヤマザワの好調な売上げは、既存店の客単価に大きなプラス要因が働いたといえ、これに、客数の伸びが5月度以降加わったとにあるといえる。

   次に、105%までは売上げの伸びは見られなかったが、昨対100%を超えた食品スーパーマーケットを見てみたい。ユニバース104.7%(既存店104.7%)、マックスバリュ東海102.6%(既存店97.1%)、バロー102.5%(既存店103.6%)、オオゼキ102.2%(既存店99.9%)、ダイイチ102.0%(既存店97.2%)、カスミ102.0%、イズミ(グラフから推測)102.0(既存店101.8%)、 いなげや101.0%(既存店98.6%)、マックスバリュ中部100.9%(既存店101.0%)、マックスバリュ北海道100.7%(既存店100.5%)、マックスバリュ東北100.2%(既存店101.1%)、アークス100.1%(既存店99.0%)であり、12社である。

   注目のアークスとユニバースであるが、ユニバースの方が104.7%と堅調な伸びであるが、既存店も同様な数字であり、新店がなく、今後、新規出店をいかにはかり、成長性を高めてゆくかが課題といえよう。アークスについては、この6月度は昨対ぎりぎりであり、既存店も99.0%と、昨対を割り、やや厳しい状況であり、ユニバース同様、新規出店が今後の課題といえよう。また、MBOにより、上場廃止となったオオゼキであるが、売上速報はその後も公開しており、結果は、102.2%と微増であり、既存店は99.9%と、昨対を下回っている。

   そして、この6月度、昨対を下回った食品スーパーマーケットであるが、PLANT98.2%、マルエツ97.1%(既存店94.0%)、エコス96.6%(既存店97.3%)、Olympic:フード88.5%(既存店88.5%)、トーホー88.0%(既存店93.2%)であり、5社である。この中で、PLANTは被災地に展開しているPLANT-4 大熊店が「福島第一原発事故の影響で営業休止中です。」とのことで、これが響き、全体の売上げが伸び悩んでいるといえる。また、気になるのは首都圏の動きである。ヤオコー、スーパーバリューは好調であるが、それ以外のマルエツ97.1%、エコス96.6%、Olympic88.5%と、いずれも伸び悩んでおり、さらに、オオゼキ102.2%、カスミ102.0%と、微増であり、首都圏は一部の食品スーパーマーケットを除き、売上げが伸び悩んでいることである。

   このように、東日本大震災後4ケ月が過ぎたが、食品スーパーマーケット業界の売上げも落ち着きを取り戻しつつある。ヤマザワ、アークランドサカモト等、震災地に展開している企業は好調であり、復興需要が発生しつつあるといえる。一方、震災地から離れた首都圏の食品スーパーマーケット等はここへ来て、売上げが伸び悩んでいるといえる。ただ、その中でも新規出店が可能なヤオコー等は売上げを伸ばしており、全体として好調な結果である。今後、被災地以外は復興需要も落ち着いたといえ、新規出店が成長の鍵を握ってくるといえよう。その意味で、全体としては、震災後、新規出店を抑制している中、出店余力のある食品スーパーマーケットが新規出店を行い、売上げを伸ばしてゆくのではないかと思われ、ここが食品スーパーマーケット業界の今後の売上げの分かれ目となろう。

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July 24, 2011

食品スーパーマーケット、新店情報、7/1時点、35店舗!

   経済産業省が7/1、平成23年度、大規模小売店舗立地法、法第5条第1項(新設)届出の概要を公表した。この集計データは、5月末時点での最新の大規模小売店舗の新規出店予定をまとめたものである。各自治体へ新規出店の申請があったものを経済産業省がとりまとめたものである。この5月時点では81件の届出があり、この内、食品スーパーマーケット関係は全部で35件であり、低調な新規出店数といえ、各社、新規出店をここへ来て、抑制しているようである。

   まずは、北海道・東北地区であるが、12/21、函館人見ショッピングセンター(北海道ジェイ・アール都市開発、459坪、北海道函館市)、12/29、中園ショッピングセンター(福原、510坪、北海道釧路市)、12/2、コープさっぽろ屯田店(コープさっぽろ、453坪、北海道札幌市)、12/22、(仮称)発寒中央駅前ショッピングタウン(エムジーリース、827坪、北海道札幌市)、2012/1/7、(仮称)カブセンター西バイパス店(紅屋商事、1,046坪、青森県青森市)、12/20、郷野目ストア最上店・丸徳ふるせ(郷野目ストア、569坪、山形県最上郡最上町)、2012/2/1、(仮称)リオン・ドール美里店(小池、726坪、福島県大沼郡会津美里町)の7件である。東北大震災の影響も残っているものといえ、各社、新規出店を抑制しているようである。特に、成長著しい、アークス、ユニバースの新規出店が、来年2月までの期間ではなく、今後、M&Aが落ち着き次第、積極策に転じ、新規出店が申請されるのではないかと思う。

   次に、関東であるが、12/9、タイヨー知手店(タイヨー 、505坪、茨城県神栖市)、2012/2/1(仮称)とりせん吉川美南店(とりせん、767坪、埼玉県吉川市)、2012/3/31、(仮称)イオン新船橋ショッピングセンター(イオンリテール、12,576坪、千葉県船橋市山)、2012/1/18、(仮称)サミットストア鷺宮一丁目店(サミット、356坪、東京都中野区)、12/23、オーケー大和上和田店(オーケー店舗保有、676坪、神奈川県大和市)、11/17、マックスバリュ沼津柳町店(マックスバリュ東海、601坪、静岡県沼津市)、2012/2/1、ヤオコー千葉稲毛海岸店(ヤオコー、618坪、千葉市美浜区)、2012/1/27、オーケー溝口店(オーケー、709坪、川崎市川崎市)の8件である。特に、オーケーが2店舗、いずれも約700坪タイプでの新規出店であり、積極的である。

   ついで、中部、北陸、近畿地区であるが、12/19、(仮称)カネスエ大口店(カネスエ商事、706坪、愛知県丹羽郡大口町)、2012/1/31、(仮称)Yストア蟹江店(ワイストア、500坪、愛知県蟹江町)、12/29、(仮称)マックスバリュ各務原那加店(マックスバリュ中京、739坪、岐阜県各務原市)、10/13、(仮称)バロー清水町店(バロー、521坪、富山県富山市)、12/8、大阪屋ショップ鶴来店(大阪屋ショップ、773坪、石川県白山市)、12/15、金沢イータウンB街区(アルビス、909坪、石川県金沢市)、2012/2/1、コノミヤ枚方店(コノミヤ、390坪、大阪府枚方市)、2012/1/31、(仮称)ミリオンタウン西宮前浜店(万代、1,105坪、兵庫県西宮市)、12/29、卸値市場ハッスル高野口店(スーパーヨシムラ、606坪、和歌山県橋本市)の9件である。これをさらに、地区別にみると、中部、北陸6店舗、近畿3店舗であり、近畿地区の新規出店が意外に少ないといえよう。

   そして、中国、四国、九州地区であるが、12/28、新鮮市場きむら倉敷店(きむら、445坪、 岡山県倉敷市)、11/1、藤三片山店(藤三、498坪、広島県呉市)、11/1、エブリイ呉宮原店(エブリイ、608坪、広島県呉市)、12/1、(仮称)フレスタ廿日市住吉店(橋本企画、418坪、広島県廿日市)、12/28、ゆめタウン徳島(イズミ、12,121坪、徳島県板野郡藍住町)、12/28、マルキョウ船津店(マルキョウ、428坪、福岡県大牟田市)、2012/2/1、(仮称)イオンモール福津(イオンモール、14,079坪、福岡県福津市)、2012/1/12、スーパーモリナガ唐津佐志店(スーパーモリナガ、565坪、佐賀県 唐津市)、12/12、マックスバリュ東郡元店(マックスバリュ九州、471坪、鹿児島県鹿児島市)、12/16、プラッセ食品館吉野店(大和、403坪、鹿児島県鹿児島市)、2012/1/26、(仮称)ハローデイ井堀店(ハローデイ、1,077坪、福岡県北九州市)の11件である。中国、四国で5店舗、九州で6店舗と、この地区はバランスよく新規出店が予定されている。特に、イオンモール、ゆめタウン等、10,000坪を優に超える大型小売業の新規出店もあり、全国では比較的積極的な出店地区であるといえよう。

   このように、この5月時点で明らかになった最新の小売業の新規出店状況であるが、全体的に抑制気味であるといえる。今回、複数店舗での新規出店計画が申請されているのは、オーケー1社であり、その他の企業はすべて1店舗での新規出店である。しかも、北海道のアークス、東北のユニバースをはじめ、各地区の有力な食品スーパーマーケットの新規出店が、この時点で申請されておらず、全体的に新規出店が少ないといえよう。特に、日本で最大の人口を抱える首都圏を含む関東が8件のみという状況であり、全国の各地区と比べても少ないといえる。こう見ると、当面、新規出店は抑制気味で進むものと思われ、食品スーパーマーケット業界としては、今後、内部体制を充実させ、既存店の活性化に力を入れてゆくのではないかと思う。

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July 23, 2011

ID-POS分析は従来のPOS分析を包み込む!

   最近、ID-POS分析に取り組む機会が増えた。この秋にも、ID-POS分析関連のセミナーでの講演も予定しており、いまや、ID-POS分析がメインの業務になりつつある。一般に、ID-POS分析は従来のPOS分析と違い、その仕組みも、理論も複雑で難しいものであると思われている。しかも、システム的にも、新たなID-POS分析の体制を整えないとできないのではないかと思われ、通常のPOS分析に加え、ID-POS分析の新たな分析システムが必要であると思われている。実際、2系統の仕組みをもっている食品スーパーマーケットもあり、ID-POS分析はID-POS分析特有のシステムで分析し、従来のPOS分析は従来のPOS分析システムで分析しているケースもある。

   これは過渡期であるため、システムが併存するのは仕方ない面があるが、理論的にはID-POS分析は従来のPOS分析を100%包み込むものであり、本来2系統もつ意味はない。ID-POS分析のシステムが構築できれば、従来のPOS分析は、その仕組みの中に100%組み込むことができ、その時点で、システムとしては、ID-POS分析のみの1系統で良くなる。将来的には恐らく、この方向でPOS分析システムは進んでゆくことになろう。ただ、ID-POS分析を食品スーパーマーケット側で自ら構築し、そのデータをすべて持つことが良いかどうかは議論の余地がある。

   なぜなら、ID-POS分析の理論は日進月歩、その分析フォーマットは無限といってよく、しかも、そのデータは小売業側だけでなく、メーカーと共有することが必然となるため、ネットワーク型の仕組みが望ましいからである。しかも、最新の研究成果を入れ、最新のフォーマットを次々に導入してゆく必要があるからである。したがって、ID-POS分析は小売業側だけの人材では運営することは難しいといえ、理論、ノウハウ、システムの研究開発体制を前提にすることが望ましいといえる。

   また、ID-POS分析は従来のPOS分析と比べ、比較にならない膨大なデータとの格闘となる。単純に考えても、1日当たり、0データを含め、顧客ID数×SKU数のデータが発生し、顧客1人1人の購入履歴を少なくとも2年は保存してゆくため、365×2=732日分の3次元のデータが必要となり、さらに、これを様々な角度から分析してゆくことになるので、1小売業が簡単にできることではない。

   したがって、ID-POS分析は必然的にクラウドという結論になる。従来のPOS分析までは、小売業側が何とか可能であったといえるが、ID-POS分析は、この2点から小売業側で分析体制をもつことには無理があり、クラウドを活用し、研究開発体制をつくり、メーカーともネットワークをはり、しかも、日々発生する膨大なID-POSデータを蓄積し、分析してゆくことが求められる。


   そこで、その分析の違いであるが、従来のPOS分析と全く違う内容であるかというと、その関係は、ID-POS分析が従来のPOS分析を包み込み、部分集合の関係となる。したがって、これまで取り組んできた従来のPOS分析は、すべて、ID-POS分析に移管され、ID-POS分析の中で、従来のPOS分析が取り組まれることになり、2つのPOS分析を2系統走らせる必要はなく、ID-POS分析1系統のみ作ればよく、この中に、従来のPOS分析を包み込んでしまえば良いといえる。したがって、ID-POS分析をみることによって、従来のPOS分析も見ることができ、さらに、ID-POS分析特有の様々な分析も見ることができるようになり、その違いを比べながら、ID-POS分析に取り組めば良いといえる。実際に分析するのは分かりやすく、使いやすいフォーマットの開発が必要であるが、理論的には、すでに決着した問題である。

   その理論的な根拠であるが、従来のPOS分析とID-POS分析の決定的な違いは、本ブログでもすでに取り上げているが、ID=1かID≧1かの違いであり、ID=1が従来のPOS分析であり、ID≧1がID-POS分析であるからである。したがって、ID-POS分析はID=1の場合も当然分析でき、ID=2、3、・・、無限大まで分析が可能な分析であるだけであり、分析において、本質的な違いがあるわけではない。したがって、ID-POS分析の中に、従来のPOS分析は完全に包み込まれ、従来のPOS分析はID=1の時の特殊なケースを分析していることに過ぎないといえる。

   ただ、ID≧1となったことで、ID=1の時には見えなかった世界が見えてくるので、従来のPOS分析では思いもつかなかった分析、たとえ、思いついていたとしても、検証ができなかった分析ができるので、新たなマーチャンダイジング、そして、新たなマーケティング戦略を作ることができるといえる。特に、マーケティングは顧客一人一人の需要を把握することができるため、従来の全体顧客へのマーケティングから次元の違うマーケティングができるようになる。ID-POS分析を実施することで、食品スーパーマーケットがはじめてマーチャンダイジングだけでなく、マーケティングの世界に踏み込むことが可能となろう。

   このように、ID-POS分析は、従来のPOS分析に加え、2系統のPOS分析システムをもつことではなく、ID-POS分析の中に従来のPOS分析を包み込むべき分析であるといえ、将来的にはPOS分析はID-POS分析に一本化されることになるといえよう。しかも、その仕組みは、従来のように食品スーパーマーケット側が分析、データを保管するのではなく、クラウドを活用し、ネットワーク型になり、最新の研究成果を取り入れ、小売業側だけでなく、メーカーともネットワークされ、さらには、消費者もネットワークされることになるといえよう。

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July 22, 2011

コンビニ、売上速報、2011年6月、絶好調!

   7/20、(社)日本フランチャイズチェーン協会が2011年6月度のコンビニの売上速報を公表した。集計コンビニは、ココストア、サークルKサンクス、スリーエフ、セイコーマート、セブン-イレブン・ジャパン、デイリーヤマザキ、ファミリーマート、ポプラ、ミニストップ、ローソンの10社、合計店舗数は43,541店舗であり、ほぼ日本全体のコンビニの動向を示しているといえよう。その結果であるが、売上高7,335.61億円、11.1%増と2桁の増収となり、絶好調である。5月度が7.5%増、4月度が3.3%増、3月度9.2%増、2月度8.7%増、1月度7.2%増であるので、3//11の東日本大震災後の特需を超え、今年最高の伸び率となった。

   協会のコメントでは、「梅雨前線や暖かく湿った気流の影響により西日本と北日本日本海側で大雨の日があったが、下旬には全国的に平均気温が過去最も高くなり、アイスクリームやソフトドリンクが好調であった。」とのことであり、アイスクリーム、ソフトドリンクが気温が上昇したことで、好調であったことが大きいとのことである。そこで、まずは、各部門ごとに、その伸び率を見てみたい。

   コンビンは大きく4つに部門が分かれる。日配食品、加工食品、非食品、サービスである。その結果と構成比であるが、日配食品5.5%(構成比32.1%)、加工食品0.1%(構成比27.4%)、非食品28.6%(構成比36.3%)、サービス-1.2%(構成比4.2%)である。したがって、非食品が異常値となったことが、最大の要因といえ、ついで、日配食品が堅調な伸びであったことが大きいといえる。しかも、非食品の構成比は36.3%であり、いまやコンビの中核部門となったといえよう。

   この非食品の構成カテゴリーであるが、「雑誌、書籍、新聞、衣料品、袋物類、文房具、ブラシ、玩具、雑貨、たばこ、ペットフード、乾電池、テープ、CD、電球・蛍光灯、電卓、燃料、・・」であり、何といっても、たばこ、乾電池、電球・蛍光灯の貢献度が大きかったと思われる。コメントにあるアイスクリーム、ソフトドリンクであるが、加工食品に属しており、全体が0.1%の微増であることから、このカテゴリーは大きく伸びたと思われるが、全体としては、微増である。また、日配食品であるが、「米飯類(寿司、弁当、おにぎり等)、パン、 調理パン、惣菜、漬物、野菜、青果、水物(豆腐等)、調理麺、卵、加工肉(ハム、ウインナー、ベーコン等)、牛乳、乳飲料、・・」であり、特に、コンビニの主力カテゴリー、ファストフードが堅調であったことが大きいと思われる。

   また、この絶好調な売上を支えた要因を客数、客単価から見てみると、客数は4.1%(既存店2.7%)、客単価6.7%(既存店6.1%)であり、客数よりも、客単価が特に伸びているのが要因である。ちなみに、店舗数であるが、先に見たように43,541店舗であり、その伸び率は1.5%である。したがって、店舗数は伸びておらず、既存店の伸び、それも、客単価の伸びが大きかったのが、好調な売上増の要因である。

   ここからわかることは、この6月度の売上げが好調な要因は非食品が大きく伸びたことであり、特に、既存店の客単価、商品ではたばこ等が異常に伸びたことが大きかったといえよう。こう見ると、いまや、コンビニはファストフードが中核ではなく、しかも、コンビニ全体を牽引しているわけではなく、これに代わって、非食品部門がコンビニの中核部門となり、全体、特に、既存店の客単価を力強く押し上げていることが、売上げが絶好調の最大の要因になったといえよう。

   ここで、その非食品のあゆみを昨年度から、この6月度までの構成比をもとに追ってみたい。まずは、昨年の状況であるが、2010年1月度32.5%(伸び率-2.7%)、2月度32.5%(伸び率-1.9%)、3月度32.3%(伸び率1.2%)、4月度32.2%(伸び率 0.5%)、5月度31.5%(伸び率-0.3%)、6月度31.6%(伸び率 0.2%)、7月度30.4%(伸び率-2.2%)、8月度30.1%(伸び率-0.5%)、9月度40.1%(伸び率43.9%)、10月度27.2%(伸び率-19.3%)、11月度31.0%(伸び率-1.0%)、12月度33.7%(伸び率8.5%)という結果である。この内、9月度、10月度の異常値はたばこの値上げ前後の結果であり、たばこがいかに、コンビニにおいて大きな影響度をもっているかがわかる。

   そして、今年に入ってであるが、2011年1月度34.0%(伸び率13.2%)、2月度34.6%(伸び率16.8%)、3月度36.4%(伸び率23.8%)、4月度31.9%(伸び率6.2%)、5月度35.7%(伸び率22.95)、そして、6月度36.3%(伸び率28.6%)であり、昨年の12月度以降、急激に伸び率が上がり、構成比が高まっていることがわかる。その鍵はたばこであり、これに、3/11の東日本大震災以降、電池、電球等、震災関連のカテゴリーが貢献しているといえよう。

   このように、コンビニの売上は、この6月度も絶好調であり、その最大の要因は非食品、その中でもたばこ、震災関連のカテゴリーが大きく伸び、既存店の客単価を底上げしたことが要因であるといえる。いまやコンビニはファストフードに変わり、非食品が主力部門に躍り出たといえ、今後、どこまで非食品が伸びるか、そして、次回、7月、昨年の猛暑を上回ることができるか、その結果に注目といえよう。

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July 21, 2011

マルミヤストア、2011年5月期本決算、増収増益!

   大分県の食品スーパーマーケット、マルミヤストアが7/7、2011年5月期の本決算を公表した。結果は、売上高328.94億円(8.5%)、営業利益5.73億円(74.6%)、経常利益6.59億円(57.1%)、当期純利益 3.60億円(92.8%)となり、増収増益の好決算となった。2011年度決算も、この5月度の決算公表をもってほぼ終了、残すは9月度決算企業のみであるが、その公表は年末となるため、これで、2011年度決算は実質終了といえる。

   マルミヤストアは九州、大分県が地盤であるため、3/11の東日本大震災の影響は直接受けることはなかったといえるが、「平成23年3月11日に発生した東日本大震災の国内経済に及ぼす影響は甚大であり、今後の企業を取り巻く経営環境は一層不透明な状況となりました。」とのことで、不透明な経営環境が続くとの見通しである。また、昨年3月度決算以降に適用された資産除去債務に関する会計基準の影響であるが、0.08億円であり、売上対比0.02%であり、その影響はわずかである。したがって、この3月度決算以降の食品スーパーマーケットの中では、この2つの影響が比較的小さかったといえ、これも好決算となった要因のひとつといえよう。

   それにしても、資産除去債務に関する会計基準の適用額が0.08億円とは極めて小さい数字である。その理由であるが、マルミヤストアの出店に関する資産、土地、建物の合計は51.08億円であり、これは、総資産102.77億円の49.70%に当たる。また、現在の店舗数が53店舗であるので、1店舗当たりの出店に係る資産は0.96億円である。今期、食品スーパーマーケットの2011年度の決算公開企業約50社の平均が約6億円であるので、極めて低い数字であり、最も低い数字である。したがって、資産除去債務に関する会計基準の適用額も売上高のわずか0.02%という低い数字となったものといえよう。

   マルミヤストアは、この数字が示しているように、極めて少ない資産で新規出店が可能なのが特徴といえ、これが今期の売上高8.5%増という増収をもたらした要因である。実際、今期も「既存店の活性化として、スーパーマーケット事業においては1店舗を移転拡大、1店舗を増床改装し、競争力の強化を図りました。店舗開発面では、ディスカウントストア事業において2店舗を新規出店し、・・」と、既存店の改装、新規出店を積極的に進めている。

   そこで、出店余力であるが、自己資本比率が50.7%(昨年49.0%)であり、出店にかかわる資産が先に見たように総資産の49.70%であるので、差し引き1.00%であり、食品スーパーマーケットの2011年度の決算公開企業約50社の平均が-21.9%であるので、出店余力が高いといえる。ちなみに、負債における有利子負債の割合は15.84億円であるので、総資産102.77億円の14.51%であり、財務的な負担は比較的小さく、新規出店へキャッシュを回す余裕があるといえよう。

   また、今後の出店意欲であるが、投資活動によるキャッシュフローの有形固定資産の取得による支出を見ると、-4.88億円(昨年-3.74億円)であり、昨年よりも増加している。これに、敷金・保証金-0.87億円を加え、先の1店舗当たりの出店にかかわる資産0.96億円で割ると5.98店舗となる。そして、これを総店舗数53店舗で割ると、出店意欲は11.28%であり、高いといえる。実際、来期の新規出店は、「安定的な成長のため、スーパーマーケット事業において、2店舗の新規出店、ディスカウントストア事業において、2店舗の新規出店を予定しております。」とのことで、4店舗の出店予定であり、コメントにもあるように、安定的な成長戦略であり、出店意欲を裏付けているといえよう。

   一方、マルミヤストアの増益となった要因を原価、経費面から見てみたい。まずは原価であるが、80.28%(昨年80.56%)となり、0.28ポイント下がっている。結果、売上総利益は19.72%(昨年19.44%)となった。それにしても、20%を下回る粗利であり、ディスカント性が強いといえよう。これに対して、経費であるが、18.37%(昨年18.79%)と、0.42ポイント下がった。経費比率も極めて低い水準であり、食品スーパーマーケットの2011年度の決算公開企業約50社の平均が25.2%であるので、いかに低いかがわかる。結果、差し引き、商品売買から得られるマーチャンダイジング力は1.35%(昨年0.65%)と、大きく改善した。原価、経費双方が改善したことが大きいといえよう。そして、これに不動産収入、物流収入等のその他営業収入が0.40%(昨年0.44%)加わり、営業利益は1.75%(昨年1.09%)と増益となった。

   このように、マルミヤストアの2011年5月期の決算は増収増益の好決算となった。3/11の東日本大震災の影響、資産除去債務に関する会計基準の適用による影響もわずかであったことに加え、マーチャンダイジング力が原価、経費ともに改善し、営業利益を押し上げたことが大きかったといえよう。マルミヤストアは、食品スーパーマーケット業界の中でも、資産をかけずに新規出店、しかも、ディスカウント戦略での新規出店が特徴であり、出店余力も高く、出店意欲も十分といえ、今期、各社が出店を抑制している中、安定的な成長を果たして行くものといえ、マルミヤストアの今後の成長戦略に注目である。

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July 20, 2011

第1四半期決算後の食品スーパーマーケットの株価動向!

   7/16の日経新聞に第1四半期決算を受けての業績予想とPER(株価収益率)との関係の記事が掲載された。見出しは「3~5月期で好業績・低PER、地方小売業が上位」、「震災後の需要取り込む」というものである。記事の中には「業績好調で低PERの2月度決算企業」のPERの低い順に30社の一覧も掲載されており、興味深い内容である。特に、この30社の中に食品スーパーマーケットが多いのが特徴であり、今後、食品スーパーマーケットの株価動向に注目といえよう。

   一般にPER(株価収益率)は1株当たりの純利益が株価の何倍になっているかを表す指標である。計算式では、株価/(純利益/株数)となり、ここから、(株価×株数)/純利益となるため、時価総額/純利益で計算することもできる。この指標が何を意味しているかであるが、購入した株のリターンがどのくらいかかるかを表しているといえ、PERが10倍であれば、株価に対して1/10の純利益であるので、同じ比率でこの水準が維持されれば、10期で株価に匹敵する純利益を回収すると見なすことができる。したがって、このPERが低ければ低いほど、株価に対する投資採算性が高いと見ることができる。ただ、このPERが低いと、その株を求める投資家が当然増えるので、分子の株価が上昇し、時価総額が上がり、結果PERが高くなる。

   ここから、PERが高い企業は株価が高めと判断でき、その後、さらに株価が上がるかどうかは難しいと予想される。逆に、PERが低い企業は、その後、株価が上がる可能性が高いといえるが、往々にして、このような企業は業績が悪く、PERの分母、すなわち、純利益が低い場合が多いといえ、株価が上昇するかどうかは難しいといえる。ところが、今回の日経の記事のように、PERが低いにも関わらず、純利益、すなわち、業績の良い企業があり、本来であれば、先に見たように、PERが低いのであれば、分母の純利益が小さいといえ、業績が低くなるところが、逆に高いいわけであるから、明らかに違和感があるPERである。したがって、この違和感のあるPERの株価は分母よりも、分子に問題があるのではということで、株価×株数、すなわち、時価総額が増加する方向に動くと見なすことができ、結果、株価が上がるか、株数が増える、すなわち、増資に動くのではと見なせるわけである。

   そこで、この日経の記事であるが、このような観点から改めて、PERと業績の関係を見たところ、明らかに、違和感のある企業が30社抽出されたという内容である。その中でベスト3を見ると、No.1和田興産PER5.4倍(本決算経常利益54.0%増、予想四半期達成率14.9%)、No.2コーナンPER6.3倍(21.7%、35.4%)、No.3ベルクPER6.6倍(22.1%、32.1%)という結果であった。ここで、予想四半期達成率は四半期であるので、25%以上が計画以上の高い利益達成率であると判断できる。このベスト3を見ると、2社、すなわち、コーナン、ベルクが記事の見出しの地方小売業であるといえ、しかも、ベルクは食品スーパーマーケットであり、まさに、記事の見出しを裏付けているといえよう。

   実際、ベルクのここ最近の株価の推移であるが、2011年2月期の本決算公表事の4/11時点ではさほど株価は上昇していないが、2012年2月期の第1四半期決算が公表された7/4には、結果が増収増益とまさに好業績であったこともあり、投資家から異常な注文が入り、大商い、株価が跳ね上がり、それまでの1,000円の壁を一気に突破、7/15現在1,074円である。まさに、この記事を裏付ける動きであるといえよう。

   記事の中にはベルク以外にも食品スーパーマーケット及び食品に重点を置いている小売業が数多く掲載されているので、その実態を見てみたい。No.7アークランドサカモトPER8.4倍(11.6%、35.7%)、No.8サンエーPER8.7倍(1.4%、26.4%)、No.9イオン北海道PER8.7倍(3.9%、45.7%)、No.11マックスバリュ西日本PER9.5倍(3.6%、14.6%)、No.12ハローズPER10.0倍(8.8%、20.9%)、No.13丸久PER10.3倍(2.1%、25.9%)、No.14マックスバリュ東海PER11.2倍(1.5%、28.3%)、No.14アークスPER11.5倍(3.4%、26.9%)、No.16イズミPER11.9倍(2.6%、26.5%)、No.20平和堂PER12.8倍(3.9%、20.2%)、No.26イオンPER15.7倍(0.5%、16.9%)、No.30PER18.6倍(194.8%、49.5%)という状況である。30社中13社であり、しかも、上位に多いといえる。

   記事では、「地方企業は投資家向け広報(IR)が手薄で、投資家の目が届きにくい。(国内証券)ことから、株価が割安に放置されやすい、・・」とのことである。ちなみに、東証1部の平均PERは15.0倍、日経業種別小売業の平均が16.0倍であるとのことであり、これを見ても、上記ランキングの食品スーパーマーケットの株価はPERが10倍以内が多く、しかも業績も良く、株価の割安感があるといえよう。

   このように、株価と業績の関係を示すPERを見ると、この記事が示すように、第1四半期決算の食品スーパーマーケット業界の業績、特に好業績の食品スーパーマーケットと連動していないのは事実であるといえる。今回、この記事に掲載されなかった食品スーパーマーケットにおいても、業績が良く、今期の業績予想が良かったにも関わらず、PERが低く、株価に割安感がある食品スーパーマーケットの今後の株価には注目である。

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July 19, 2011

なでしこジャパン、53%対47%、すごい!

   なでしこジャパンが「FIFA女子ワールドカップドイツ2011」において、決勝でアメリカと対戦、2対2となり、延長戦でも勝負がつかず、PK戦の上、3対1で勝利し、初の優勝を決めた。おめでとう。日本時間、7/18、未明にキックオフの試合であったが、最後までテレビで観戦し、応援した。この試合はすでに、新聞、テレビ等でも洪水のような報道がなされているが、その中で気になった記事があった。中国のネット新聞、網易の情報を翻訳して掲載しているSearchinaである。見出しは、「平均支配率56%! 日本はやはり「女子版バルサ」だった―中国」というものであり、興味深い内容である。

   本ブログのタイトル「なでしこジャパン、53%対47%、すごい!」は、このアメリカ戦での日本対アメリカのボール支配率である。試合を見た全体的な印象では、日本がかなり押されていたように見え、ボール支配率は当然アメリカの方が高いように感じた。実際、シュート数は14本対27本でダブルスコアーでアメリカが圧倒しており、当然、ボール支配率もアメリカが圧倒しているように思えた。そこで、実際の数字をFIFAの公式ホームページで確認してみると、53%対47%で日本の方がボール支配率が高かった。意外な結果であった。まさに、日本が目指したパスサッカーを具現化したといえ、これは、押され続けた決勝戦のアメリカとの戦いでも、日本はパスサッカーを貫いていたということであり、その検証データといえる。その意味で、今回の勝利は、勝敗は時の運であるとはいえるが、日本に一貫した戦略があり、その戦略をなでしこジャパンはかたくなに、どんなに劣勢になろうとも貫いていたといえ、戦略の勝利といえよう。

   そこで、今回の「FIFA女子ワールドカップドイツ2011」における日本の全試合のボール支配率を見てみたい。まずは、なでしこジャパンの予選、6/27、対ニュージーランド、2対1で勝利、ボール支配率61%対39%、7/1対メキシコ、4対0で勝利、ボール支配率56%対44%、7/5対イングランド、0対2で敗戦、ボール支配率55%対45%であり、ここまでが予選の戦いである。いずれも、ボール支配率は日本が圧倒しており、特に、今大会、雄一の黒星、イングランド戦においても、ボール支配率は55%対45%で日本が高く、まさに、パスサッカーを貫いていたといえる。

   ついで、決勝トーナメントであるが、7/9準準決勝対ドイツ、1対0で勝利、ボール支配率54%対46%、この時のシュート数は9本対23本でドイツの猛攻の連続であり、日本は守勢に立たされながらも、ボール支配率は54%対46%でドイツを圧倒した。そして、7/13の準決勝対スウェーデン、3対1で勝利、ボール支配率は60%対40%、圧倒的差である。この時のシュート数は14本対4本であるので、完勝といえよう。そして、7/17、先に見たように、決勝対アメリカ、2対2、その後PKで3対1で勝利、ボール支配率53%対47%、シュート数は14本対27本でアメリカが明らかに押している試合であるが、ボール支配率は日本の方が高かった。

   結果、予選リーグ3試合、決勝トーナメント3試合、合計6試合の単純平均でのボール支配率は日本61%、56%、55%、54%、60%、53%であり、平均は56.5%、対戦相手は39%、44%、45%、46%、40%、47%であり、平均は43.5%であり、今回の全試合で日本はたとえ負けた試合であっても、どんなに猛攻を受けた試合であっても、一度も、ボール支配率においては主導権を渡さず、日本が目指した一貫した戦略、パスサッカーを貫いたといえる。この大会で、ここまでボール支配率に頑なにこだわったのは、唯一、日本だけであったといえ、全くブレのない首尾一貫した戦略、パスサッカーを、なでしこジャパンは貫いたといえる。

   先の記事、網易では、「06-07シーズンのバルサを上回っている、・・」、「「女子サッカー界のバルサというのはちっとも言い過ぎではない」と評価した。そして、決勝トーナメントを勝ち上がった日本の武器は体格やパワー不足を補う「ボールコントロールとパス」にほかならず、積極的に動いて相手にプレッシャーをかけつつ前線で一撃を放って相手を倒すというスタイルは「まさにバルサの成功哲学だ」と論じた」と報じているが、まさに、FIFAの公式記録は、これを裏付けているといえる。

   こう見ると、今回のなでしこジャパンの「FIFA女子ワールドカップドイツ2011」での金メダルは、勝負は時の運という要素ももちろんあったといえるが、その運を呼び込む首尾一貫したぶれない戦略、パスサッカーを貫き、その戦略を支える戦術的な訓練を積み、全メンバーがその戦略を共有し、意識を統一して戦ったことにあるといえよう。数字は通常、結果としてのものであるが、今回のなでしこジャパンのボール支配率、全試合、どの試合、どんな試合においても50%以上となったのは結果ではなく、明らかにプロセス、仕組みとして、完成していたからこその数字であるといえ、全メンバーが意識してはじめて可能になる数字であるといえよう。今後、どのように、この戦略が受けつがれ、磨かれてゆくのか、次のオリンピックでの活躍に期待したい。

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July 18, 2011

2011年度決算、MD力、出店余力、出店意欲ベスト5!

   食品スーパーマーケットの2011年度決算は、5月度決算の食品スーパーマーケットの本決算が先週公表され、ほぼ終了である。残りは9月度決算企業となるが、その公表は年末となるため、この5月度決算で2011年度決算の食品スーパーマーケット業界の大勢が判明したといえる。現在、この5月度決算の食品スーパーマーケットの経営分析にも取り組んでいるが、ここでは、1月度、2月度、3月度、そして、4月度決算の結果をもとに、2011年度の決算を独自の視点で見てみたい。

   食品スーパーマーケットの経営分析には様々な手法が開発されているが、その大半は投資、ないしは融資面から開発されたものが大半である。そこで、ここでは、「食品スーパー2011、財務3表連環分析」をもとに経営戦略に焦点を当てた独自に開発した経営分析指標、マーチャンダイジング力、出店余力、そして、出店意欲の3つの角度から、2011年度の食品スーパーマーケットの経営戦略を見てみたい。なお、これについては、詳細な解説をプレミアム版でも取り上げているので、参照いただければと思う。

   まずは、それぞれのベスト5と全体平均であるが、マーチャンダイジング力、アークランドサカモト6.9%、オーケー5.6%、ベルク3.2%、原信ナルスH3.1%、アークス3.1%、出店余力、ヨークベニマル24.7%、サンエー17.0%、東武ストア12.9%、マックスバリュ東海12.1%、アオキスーパー6.6%、そして、出店意欲、ハローズ23.2%、マックスバリュ西日本21.7%、ヤオコー18.3%、アオキスーパー15.3%、東武ストア13.9%である。残念ながら、3つともベスト5に入った食品スーパーマーケットは0である。特に、マーチャンダイジング力と出店余力のベスト5は全く重なっておらず、出店余力と出店意欲は2社、東武ストアとアオキスーパーが重なっている。

   ここで改めて経営戦略の分析指標、マーチャンダイジング力、出店余力、出店意欲の概要であるが、マーチャンダイジング力は食品スーパーマーケットのキャッシュを生み出す質をP/L(損益計算書)から指標化したものである。数式は原価から売上総利益を算出し、ここから経費を引いたものである。一見、営業利益のように見えるが、営業利益はこれに不動産収入、物流収入等のその他営業収入が加わるので、商品売買以外の利益が加わるため、マーチャンダイジングによる利益を表していない。これがP/L上に計上されていれば、マーチャンダイジング力をわざわざ指標化することはないが、残念ながら、現在のP/Lではこのマーチャンダイジング力は算出されておらず、独自に計算して指標化した。

   ついで、出店余力であるが、これは食品スーパーマーケットがキャッシュを生み出す量、すなわち、新規出店に着目し、その余力をB/S(貸借対照表)から指標化したものである。純資産比率(自己資本比率)と出店関連の資産から算出し、純資産でどのくらい出店にかかわる資産、土地、建物、敷金・保証金等を賄っているかを指標化している。プラスであれば出店をさらに推し進める余裕があり、マイナスであれば、負債の圧縮を優先せざるをえなくなり、新規出店が厳しい状況にあることを示している。

   そして、出店意欲であるが、この指標はごく最近開発した指標であり、従来、経営分析には経営の意思を反映した指標はあまりなかった。その最大の要因はP/L、B/Sの各項目をもとに分析していたためであるといえる。経営の意思は、この2つの財務諸表にも表れるが、それ以上にダイレクトに表れるのがキャッシュの配分を示したCF(キャッシュフロー計算書)である。ここには、マーチャンダイジング力により獲得したキャッシュを何にどのくらい配分したか、すなわち、経営の意思が反映されているといえる。

   そこで、この配分の中で投資活動によるキャッシュフローに着目し、新規出店への投資へどのくらい配分しているかを算出し、さらに、1店舗当たりの新規出店にかかわる資産をB/Sから算出し、現状の店舗数の何%の新規出店を目指しているかを推定するものである。ここから、現在、そして、中長期的に向けての成長戦略へ向けての経営の意思を読み取ることができる。本来、出店余力と出店意欲は重なることが望ましいといえるが、実際は、先に見たように、ベスト5でも2社のみであり、3社は出店余力があるにも関わらず、消極的な経営をしていると見なすこともでき、今後、経営戦略の再検討が必要と思われる。

   このように、食品スーパーマーケットの経営戦略は、この3つの指標、マーチャンダイジング力、出店余力、出店意欲をP/L、B/S、そして、CFから読み取るとことによって、食品スーパーマーケットがどのようにキャッシュを獲得するための質の向上を目指し、量を確保しようとしているか、そして、その意欲は十分かがわかり、まさに、経営戦略の核心をつかむことができるといえる。財務3表は一見すると、数字の羅列であり、無味乾燥なもののように見えるが、工夫次第では、思いもかけない経営戦略を垣間見ることができる。今後も、さらに、食品スーパーマーケットの経営の本質に迫る経営分析指標の開発を進めてゆきたい。

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July 17, 2011

マルエツ、2012年2月期、第1四半期、増収増益!

   マルエツが7/8、2012年2月期、第1四半期決算を公表した。結果は、営業収益828.07億円(2.9%)、営業利益23.77億円(15.1%)、経常利益23.19億円(15.4%)、当期純利益4.86億円(前期は赤字)と、増収増益の好決算となった。食品スーパーマーケットの2月期決算企業は、この第1四半期決算は3/11の東日本大震災の影響、及び、資産除去債務に関する会計基準の適用がなされ、特に当期純利益が減益となる場合が多いが、マルエツは昨年が赤字決算だったこともあるが、増益となり、好決算となった。

   そこで、まず、マルエツが増収となった要因であるが、今期は、「新店は、東京都にマルエツ屋号店舗として板橋駅前店を、マルエツプチ屋号店舗として本所四丁目店、渋谷鶯谷町店、中落合一丁目店、富ヶ谷一丁目店の合計5店舗を新設した結果、当第1四半期末の店舗数は260店舗となりました。」とのことで、5店舗の新規出店が大きかったといえる。ただ、この第1四半期決算時の3月度、4月度、5月度の売上速報を見ると、3月度112.8%(既存店108.2%)、4月度98.7%(既存店94.5%)、5月度97.9%(既存店94.1%)と、3月は大震災の特需が発生し、高い伸び率であったが、その後は厳しい状況が続いている。また、直近の6月度も97.1%(既存店94.0%)であり、特に、既存店の落ち込みが大きく、今後、増収が維持できるかどうかは厳しいといえよう。

   一方、増益となった要因であるが、まずは、当期純利益であるが、昨年は赤字と厳しい決算であり、今期も資産除去債務会計基準の適用に伴う影響額6.78億円、災害による損失1.83億円と特別損失を計上しているが、営業利益15.1%増となったことにより、これをカバーし、黒字転換している。そこで、その営業利益が増益となった要因を原価、経費面から見てみたい。

   まずは、原価であるが、70.50%(昨年70.96%)と、0.46ポイント改善し、結果、売上総利益は29.50%(昨年29.04%)となった。これについて、マルエツは「「お手頃価格なのに、プラスワンの価値がある」PB商品「maruetsu365」の開発を継続して推進し、低価格型のマルエツ限定販売商品と併せてご提供に努めました。」とのことで、PBを積極的に推進したとのことである。一方、経費については28.71%(昨年28.69%)となり、0.02ポイントとわずかではあるが、上昇した。これについて、マルエツは「販売施策面では、「質の高い売上高の拡大」の実現に向け、特売チラシの回数を削減、・・」、「オペレーション改革では、「腰の低い経営体質の実現」を目指し、「MOP(マルエツオペレーションプランニング)」の深耕を進め、店舗オペレーションの標準化と人的生産性の改善に取り組みました。」とのことであるが、昨年の水準までは、一歩届かなかった。

   結果、差し引き、商品売買から得られる利益、マーチャンダイジング力は0.79%(昨年0.35%)と、原価改善が進んだ分、倍増しており、これが増益をもたらした要因といえよう。そして、これに、不動産収入、物流収入等のその他営業収入が2.15%(昨年2.28%)加わり、結果、営業利益は2.94%(昨年2.63%)と、増益となった。今期は、営業利益の3つの要素、原価、経費、その他営業収入の中で、経費、その他営業収入が下がったものの、原価の改善がそれを上回り、大きく下がったため、営業利益が増益となったといえる。

   これを受けて、今後の経営戦略がどのように進んでゆくのかをキャッシュフローをもとに見てみたい。まずは、営業活動によるキャッシュフローであるが、65.44億円(昨年46.95億円)と、増収増益であったことにより、大きく増加した。ついで、今後の成長戦略を決定づける投資活動によるキャッシュフローであるが、-38.61億円(昨年-20.92億円)と大きく増加している。その中身は、有形固定資産の取得による支出が-42.04億円(-18.55億円)と倍増しており、積極的な新規出店への投資である。今期は、「新たな低温・加工センター「三郷複合センター(埼玉県)」の開設準備に取り組みました。」とのことで、物流センターへの投資も加味されると思われるが、それを考慮しても、成長戦略への意欲が感じられる投資といえよう。

   そして、財務活動によるキャッシュフローであるが、-29.95億円(昨年-22.56億円)と、ほぼ昨年と同様の数字である。その中身は昨年同様、有利子負債の返済であり、26.38億円削減している。結果、トータル-3.13億円(昨年3.47億円)である。したがって、今期は増収増益の好決算で生み出されたキャッシュを成長戦略へ大きく配分し、残りをすべて財務改善に回したといえ、成長戦略を重視した経営決断であるといえよう。

   このように、マルエツの 2012年2月期の第1四半期決算は増収増益と好決算となった。特に、原価の改善が進んだことが大きいといえる。そして、その好決算で生まれたキャッシュを積極的に成長戦略に配分しており、成長重視の経営を打ち出しているといえる。ただ、4月以降、特に既存店の売上高が伸び悩んでおり、結果、相対的に固定費が上昇し、経費を圧迫し、増益を維持できるかは厳しい状況が続くものといえよう。次の中間、そして、通期に向け、この第1四半期同様、マツエツが今後とも積極的な経営戦略を維持できるかどうか、その動向に注目である。

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July 16, 2011

セブン&アイH、2012年2月期、第1四半期、震災の影響?

   セブン&アイHが7/7、2012年2月期、第1四半期決算を公表した。結果は営業収益1兆1,223.50億円(-9.9%)、営業利益682.28億円(30.1%)、経常利益682.13億円(29.5%)、当期純利益131.05億円(-46.1%)となり、減収、営業、経常利益は増益となったが、当期純利益は減益となった。当期純利益が減益となった要因は、「特別損失におきまして東日本大震災の発生に伴う災害による損失181 億円と資産除去債務会計基準の適用に伴う影響額225 億円を計上したことなどにより、・・」とのことである。

   そこで、まずは、営業収益が-9.9%と減収となった要因であるが、セブン&アイHの中核事業であるコンビニエンスストア事業による会計処理方法が変わったことが大きい。「米国連結子会社の7-Eleven, Inc.は、従来、フランチャイジーによる売上高、売上原価、販管費を同社の財務諸表に含めて認識しておりましたが、コンビニエンスストア事業における会計処理の整合性を考慮し、当第1四半期連結会計期間より、フランチャイジーからのチャージ収入を営業収入として認識する会計処理に変更しております。」とのことである。結果、「営業収益は118,407 百万円減少しておりますが、営業利益、経常利益および税金等調整前四半期純利益への影響はありません。」とのことで、営業利益、経常利益、当期純利益には影響はないが、営業収入が約1,000億円強減少したことが、全体の営業収入を押し下げた要因といえよう。

   次に、当期純利益が-46.1%となった要因のひとつ、東日本大震災の影響であるが、セブン&アイH全体への影響としては、営業収入-1,440億円、営業利益-380億円の影響と試算している。この内、営業利益を事業部ごとに見ると、コンビニエンスストア事業-40億円、スーパーストア事業-213億円、百貨店事業-93億円、フードサービス事業-5億円、金融関連事業-30億円であり、スーパーストア事業への影響が特に大きかったといえる。さらに、これを主要事業会社別に見ると、セブン-イレブンジャパン-40億円、イトーヨーカ堂-90億円、ヨークベニマル-85億円、そごう・西武-88億円、その他-78億円であり、コンビニエンスストアへの影響が比較的少なかったといえるが、他の主要会社はいずれも、80億円前後とかなり、大きな影響であったといえる。そして、当期純利益が減益となったもうひとつの要因、資産除去債務に関する会計基準の適用であるが、225.00億円となり、売上高の2.00%である。したがって、年間では0.5%前後の影響度と予想される。

   一方、セブン&アイHの営業利益が30.1%と大幅な増益となった要因を原価、経費、そして、GMS特有のその他営業収入の面から見てみたい。まずは原価であるが、76.11%(昨年74.60%)と、原価は1.51ポイントと、大きく上昇している。結果、売上総利益は23.89%(昨年25.40%)と、大きく下がった。主力業態のコンビニエンスストア事業の会計処理の変更の影響もあるかと思われるが、原価の上昇は気になるところである。これに対して、経費の方であるが、35.61%(昨年33.32%)と、経費も2.29ポイントと、大きく上昇した。結果、差し引き、商品売買から得られる利益、マーチャンダイジング力は-11.72%(昨年-7.92%)と、かつてないマイナス幅となり、大きく下がった。原価、経費ともに大幅に上昇したことが大きいといえよう。

   そして、これにGMS特有の不動産収入、物流収入等のその他営業収入が18.96%(昨年12.66%)加わり、営業利益は、7.23%(昨年4.74%)となった。それにしても、その他営業収入の昨年と差6.30ポイントは異常値であるといえ、この第1四半期決算は、経費、原価双方の大幅上昇があったにも関わらず、これをその他営業収入が大きくカバーする形で、営業収入を大きく押し上げたといえる。

   そこで、この営業利益を各事業部別に見てみると、コンビニエンスストア事業42.84億円増(110.6%)、スーパーストア事業99.45億円増(318.8%)、百貨店事業10.92億円増(880.9%)、フードサービス事業部56億円増(昨年も、今年も赤字)、金融関連事業1.63億円減(97.8%)、その他の事業8.76億円増(昨年は赤字)という結果である。したがって、スーパーストア事業の回復が大きいといえ、その中身は、GMSのイトーヨーカ42.88億円増、食品スーパーマーケットのヨークベニマル36.97億円増の急激な利益回復が大きく貢献したことである。

   このように、セブン&アイHの2012年2月期の第1四半期決算は、3月度から5月度の期間であり、3/11の東日本大震災の影響が懸念された。実際に、セブン&アイH自身、営業収入で-1,440億円、営業利益で-380億円の影響と試算しているが、これを加味した決算結果は減収とはなったが、営業、経常段階では大幅な増益となった。その要因は原価、経費はともに大幅な上昇がみられたが、その他営業収入が異常値となり、利益を押し上げたことによる。特に、GMSのイトーヨーカ堂、食品スーパーマーケットのヨークベニマルの貢献が大きかったといえる。したがって、東日本大震災の影響は結果として、売上にはマイナス、営業利益にはプラスの効果があったといえよう。ただ、消費環境は依然として厳しさを増しており、引き続き、東日本大震災の影響は続くものといえ、次の中間、そして、通期決算がどう変化するか、その動向に注目である。

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July 15, 2011

変わる販促、ID-POS分析が販促新サービス開発へ!

   7/14の日経新聞でマクドナナルドの新たな販促手法が取り上げられた。見出しは、「マクドナルド、一人ひとりに異なる値引き」、「新型クーポン、1000万人に配信、購買履歴を分析」、さらに、関連記事の見出しは、「一律の大量販促に限界、リピート客獲得、個人に的」というものである。外食産業最大手のマクドナルドが、いわゆるID-POS分析にもとづいた新たな販促に取り組むとのことで、外食産業のみならず、顧客データを蓄積している小売業全体への販促手法に大きな影響を与えるものといえ、まさに、販促新時代への突入といえよう。

   記事によれば、今回のマクドナドの新型クーポンは携帯電話が基点となった新販促である。現在、マクドナルドでは約1000万人が「おサオフケータイ」の機能がついた携帯電話をもっているとのことで、この1000万人が、今回の新型クーポンの対象者であるという。ちなみに、食品スーパーマーケット業界では会員1000万人を有している企業はなく、小売業ではイオンのWAONが1000万人を超えているが、外食ではせいぜい数百万人であるので、圧倒的な会員数であるといえる。

   その1000万人の携帯会員に対して、購買履歴に応じた一人ひとり内容の違うクーポンを発行するとのことであり、これまでの一律大量クーポンからの決別であり、まさに、販促における新サービスであるといえよう。記事の中では実際の新型クーポンの事例が掲載されているので、そのいくつかを見てみたい。たとえば、土、日曜日に昼にコーヒーを頻繁に購入する顧客に対いては、週末の朝にコーヒーが無料になるクーポンを発行するという。一定期間、来店していない客には、従来良く購入していたハンバーガーなどを割引いたクーポンを発行するという。さらには、来店頻度は高いが、新発売のハンバーガーを購入していない客には、新発売のハンバーガーを大幅に値引いたクーポンを発行するという。

   このようなクーポンを携帯サイドで発行し、店舗に来店した時に、そのクーポンをレジ前のクーポン読み取り機にかざせば、クーポンが使用できるようになるという。したがって、通常小売業が購入時にレジで発行しているレジクーポン、店頭のキオスク端末で来店時に発行するクーポン等とは違い、自宅のパソコンで来店前に発行されるクーポンであり、クーポンの発行タイミングにおいても一歩速いといえる。一般に、クーポンを発行するタイミングは3つあり、商品の購入時、店舗への来店時、自宅等、未来店時とあるが、この順番に商品購入時点から時間が遠ざかることになる。今回のマクドナルドの新型クーポンはまさに、もっとも時間が遠ざかる時点でのクーポンの発行であり、来店動機にダイレクトに結びつき、客数アップ、特に、来店頻度を引き上げる効果が高いといえよう。

   そして、もうひとつの特徴としては、新型クーポンは、購買履歴を分析した上でのクーポンであり、従来の一律大量クーポンとは全く違う仕組みである点である。いわゆる、ID-POS分析を通じてのクーポンであり、極論すれば、1000万通りのクーポンの発行となり、これが、購買履歴が進むに応じて進化してゆくことである。

   それにしても、よく1000万人の購買履歴を分析する決断をしたものである。ざっと計算してみても、1000万人が年間に平均10回購入すれば、述べ1億回の購入履歴が発生する。さらに、商品数が100種類であれば、1億回×100種類、すなわち、100億件のマトリクスが発生することになる。これを自由自在に行列分析し、ここから顧客に応じた来店動機を高めるクーポンを見つけ出すわけである。さらに、これが数年続けば、倍々でデータ量は増えてゆくことになる。記事の中でも、2004年以降、約300億円かけてこれらが可能なITシステムを構築したとのことであるが、誰でもが簡単にできることではない。それだけ、1000万件の購入履歴の分析とは大量のデータとの格闘、それなりの投資がかかるといえ、結果は顧客へのたった1枚のクーポンであるが、それだけ価値の高いクーポンであるといえる。ただ、やや気になるのは、ID-POS分析の醍醐味は購入履歴を分析し、それに応じた販促としては、今回のようなリピート分析もさることながら、リフト値を活用したクロスマーチャンダイジング分析での販促もあるといえ、この点が記事の中では触れられていなかった点である。

   このように、ID-POS分析は日進月歩であり、今回のマクドナルドの新型クーポンのように、1000万人に1000万通りの、いわゆるOne to Oneクーポンを発行することが可能であり、しかも、1000万人という規模で可能となったことは大きな前進であるといえよう。今後、これを機会に、外食はもちろん、小売業界で新型クーポンの開発合戦に発展していくことになるといえよう。特に、急激に普及が進むスマートフォンの動向とも連動し、従来の仕組みでは不可能であった新型クーポンも可能になるといえる。是非、食品スーパーマーケットでもID-POS分析を駆使し、新型クーポンはもちろん、様々な販促開発に取り組んで欲しいところだ。

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July 14, 2011

流通倶楽部セミナー、ご清聴ありがとうございました。

   7/13(水)、(株)ダイヤモンド・フリードマン社、学習院マネジメントスクール共催、(株)プラネット協賛のDAIAMOND流通倶楽部セミナーで講師を務めた。テーマは「震災後の全国POSデータを徹底分析、消費行動の激変を読む!」であり、今年の3月度、4月度の全国のPOSデータの昨対比較をもとに、3/11の東日本大震災後の消費動向を解説した。また、POSデータ分析だけでは消費行動をつかみにくいと思い、これに、家計調査データからの消費動向、さらには、経営面から3月度決算企業の震災の影響度の経営分析を加え、3D、3次元で震災後の消費行動を読み解いた。60分という持ち時間であったため、密度の濃い講演となったが、すべて生データであり、今後、有事の際に役立てていただけるのではないかと思う。

   私の前には(株)Rリンクの鈴木敏仁氏が「巨大小売業が変える西友、そして、日本流通」と題し、講演された。特に、ウォルマートの最新動向、「プロジェクトインパクトの失敗と修正」をメインに、いま、ウォルマートがどのように変革に取り組んでいるかを解説された。特に印象的だったのは、プロジェクトインパクトの失敗の要因が品揃えの極端な絞り込みで客離れを起こしたことに加え、通路での訴求をやめてしまったことであり、さらに、その背景に守旧派と改革派の激しいバトルがあったとのことである。いまは、この失敗により、原点のEDLPに返っているとのことであった。

   また、私の講演後には、(株)マルダの渡辺太郎氏が「必要とされ続けた小売業と、これからの願い」と題し、特に、ヨークベニマルの事例をもとに福島の現状を中心に被災状況、被災後について講演された。見えない放射能との戦いが、いま現在も続いているとのことで、改めて、東日本大震災、特に、原発の影響がいかに甚大であるかを解説された。また、渡辺氏は販促が専門であり、主要食品スーパーマーケットの3月度のちらしについて解説されていたが、3月度はちらしがほとんど打てない状況であったとのことである。食品スーパーマーケットの3月度決算、第1四半期決算には原価率の下降が鮮明であるが、これは原価が下がったというよりも、ちらしでの訴求が十分にできず、売価が下がらなかったことにあると納得した。

   さて、私の講演内容であるが、まずは、被災地、東北で3月度、昨対300%を超えたカテゴリーの解説から入った。今回のPOSデータはTOPNAI-NET提供のRDS(財団法人流通システム開発センター)、全国422店舗のPOSデータを独自に分析したものである。食品約250カテゴリー、雑貨約100カテゴリー、日用雑貨約150カテゴリー、合計約500カテゴリー、単品では約20万件のPOSデータをもとに、まとめたものである。この膨大なPOSデータの分析の結果、得られた東北地区3月度昨対300%以上のカテゴリーは水518.8%(食品)、魚肉ハム347.5%(食品)、包装餅317.2%(食品)、マスク384.9%(雑貨)、ウェットティッシュ310.3%(雑貨)、フラッシュライト396.9%(日用品)、ガス部品396.2%(日用品)の7カテゴリーである。まさに、神7であり、この7つのカテゴリーが被災時における最重点カテゴリーとして、抽出された。

   講演ではこれ以外に、3月度昨対200%以上をAランク、4月昨対150%以上をBランクとして、AA、AB、BA、BBの4つに全カテゴリーを分け、一覧表にして東北だけでなく、全国平均、北海道、東北、京浜、関東、北陸、東海、近畿、中四国、九州を横ざしで比較できるような数表を工夫し、これをもとに、詳細な解説を加えた。したがって、この生データをもとに、今後、有事があった際には、まずは300%以上の神7を、そしてAA、ABを優先し、ついでBA、BBと重点管理してゆけば、消費者のライフラインを守ることができるのではないかと思う。

   さらに、講演の中では、このPOSデータの解説に加え、家計調査データ、特に、仙台市のデータを中心に解説した。残念ながら、現時点でも福島市のデータは0件であり、しかも、仙台市のデータも3月度は0件であり、講演では4月度の仙台市の家計調査データをもとに解説した。この中で最も印象に残ったのは現像焼付代1,573.2%であり、今後、食品スーパーマーケットとしても、被災後、現像焼付は特別に対応できる体制を作るべきであろう。また、この家計調査データに加え、食品スーパーマーケットの3月度決算企業の経営分析結果も解説したが、ポイントは2点、原価の改善が進み、利益が上昇したことと、その利益が内部留保に回り、現金をしっかり確保し、次の有事に備えたことである。

   このように、今回の講演では私が持てる力をフルに発揮し、膨大なPOSデータと格闘し、何とか、今後の食品スーパーマーケットにとって有事の際に役立てていただけるPOS分析結果をご提示できたのではないかと思う。今回、参加された方は約80名とのことであり、食品スーパーマーケットよりも、メーカー、卸の方が多かったとのことである。是非、メーカー、卸の方は関係先の食品スーパーマーケットに、今回のPOS分析結果を参考データとして、ご提示いただき、有事の際に役立てていただければ幸いである。

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July 13, 2011

ファミリーマート、ローソン、2012年2月、第1四半期決算!

   食品スーパーマーケットをはじめ、小売業界全体の2012年2月期の第1四半期決算の公表がラッシュを迎えた。この第1四半期決算は小売業界にとっては、3/11の東日本大震災の影響、および、2月度決算以前の企業には資産除去債務に関する会計基準の適用がなされ、2重の決算への影響が発生している。食品スーパーマーケット業界は東日本大震災の影響は被災地に近いほど大きな影響があるが、今回とりあげるコンビニ業界は大手企業については全国展開しているため、東日本大震災の影響が業界全体に大きな影響を与え、この第1四半期の決算においても、その影響は大きい。

   そこで、ここでは、その代表的なコンビニとして、ファミリーマートとローソンについて、第1四半期決算の結果を見てみたい。まずは、ファミリーマートであるが、営業総収入787.75億円(1.2%)、営業利益91.39億円(5.2%)、経常利益93.43億円(2.7%)、当期純利益-12.23億円となり、営業、経常段階では増収増益となったが、当期純利益は赤字となる厳しい決算となった。ついで、ローソンであるが、営業総収入1,120.20億円(5.1%)、営業利益128.74億円(14.9%)、経常利益128.51億円(16.9%)、当期純利益-19.83億円となり、ファミリーマート同様、営業、経常段階では増収増益となったが、当期純利益は同様に赤字となる厳しい決算となった。なお、当期純利益が双方ともに、赤字となった要因はファミリーマートの資産除去債務会計基準の適用に伴う影響額-74.44億円、災害による損失-37.10億円、ローソン資産除去債務会計基準の適用に伴う影響額-82.92億円、災害による損失-28.41億円が発生したためである。東日本大震災の影響もさることながら、資産除去債務関連がいかに大きいかがわかる。

   さて、この決算結果を見ると、営業総収入はファミリーマート1.2%、ローソン5.1%と、ローソンの方がファミリーマートよりも伸び率が高かったが、双方、堅調な結果といえよう。その要因は、特に、ファミリーマートについては「東北地方及び関東地方の一部に所在する約300店が被災し一時営業を休止、同年5月末現在で37店舗(原発影響による8店舗を含む)が閉鎖しております。」とのことで、東日本大震災の影響がより大きかったといえよう。実際、先に見たように、当期純利益の特別損失に計上した災害による損失を見ると、ファミリーマート37.10億円、ローソン28.41億円であり、約10億円の差がある。

   ただ、営業総収入に対して、営業利益は、ファミリーマート5.2%、ローソン14.9%と、どちらも、営業総収入の伸びを大きく上回っており、好調な結果となった。この結果を見る限り、東日本大震災の影響は営業利益にプラスの効果をもたらしているといえよう。そこで、その要因を原価、経費面、その他営業収入の面から見てみたい。なお、ここで、原価、経費はコンビニの店舗の数字でなく、本部の数字であり、これがフランチャイズシステムの決算の特徴である。また、営業総収入は売上高と営業収入との合計であるが、ここでは、売上高をもとに原価、経費を見る。

   まずは、その売上高であるが、ファミリーマート272.39億円(-1.53%)、ローソン493.99億円(2.85%)と明暗が分かれ、ファミリーマートは減収となった。したがって、営業総収入が1.2%となったのは、加盟店からの収入等の営業収入がプラスになったことによる。また、ローソンも同様な傾向であり、売上高はプラスではあるが、加盟店からの収入等の営業収入の伸びが高かったといえる。これを踏まえて、原価であるが、ファミリーマートは70.19%(昨年70.52%)、0.33ポイントの減少、ローソンは75.05%(昨年74.00%)、1.05ポイントの上昇と、ここでも明暗が分かれた。結果、売上総利益はファミリーマート29.81%(昨年29.48%)、ローソン24.95%(昨年26.00%)となった。

   一方、経費の方であるが、ファミリーマート185.44%(昨年179.31%)と、大きく上昇している。ローソンは125.64%(昨年124.59%)と、若干の上昇で抑えた。したがって、その差、食品スーパーマーケットのマーチャンダイジング力とは違い、あくまで本部での原価、経費差であるが、ファミリーマート-155.63%(昨年-149.83%)、ローソン-100.69%(昨年-98.59%)となり、双方、昨年よりも上昇し、いずれもマイナス幅が拡大している。したがって、原価、経費差が営業利益に貢献しているのではないといえる。

   そこで、コンビニ業界特有の加盟店からの収入をメインとするその他営業収入を見ると、ファミリーマート189.19%(昨年181.25%)、ローソン126.76%(昨年121.93%)と、いずれも大きく上昇しており、結果、営業利益はファミリーマート33.56%(昨年31.42%)、ローソン26.07%(昨年23.34%)と増益となった。それにしても、食品スーパーマーケットとは全くビジネスモデルが違うといえ、経費が原価に比べ異常に高く、これを加盟店収入等のその他営業収入でカバーする構造であり、今期は、特に、この加盟店収入の伸びが営業利益の増益を大きく支えたといえる。

   このように、ファミリーマート、ローソンともに、営業利益は好調な結果となったが、その要因は、原価、経費の改善ではなく、コンビニ業界特有の加盟店からの収入増によるところが大きかったといえる。これは、本部の決算では東日本大震災の災害による損失が多額に上っているが、これを上回るフランチャイズ店舗の復興需要が堅調な結果であるところによると思われる。事実、3月以降のコンビニの売上速報はいずれも売上高が堅調であり、この決算結果を裏付けているといえよう。次の中間、そして、通期、どこまでコンビニ各社の業績、特に、当期純利益のマイナスを相殺してゆくか注目である。

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July 12, 2011

マックスバリュ東海、2012年2月、第1四半期、増収増益!

   マックスバリュ東海が7/5、2012年2月期の第1四半期決算を公表した。結果は、売上高400.42億円(7.4%)、営業利益12.34億円(104.0%)、経常利益12.25 億円(106.4 %)、当期純利益3.77 億円(15.4%)となり、増収増益の好決算となった。この第1四半期は東日本大震災の影響、資産除去債務に関する会計基準の適用があり、各食品スーパーマーケットとも当期純利益は厳しい数字があいついでいるが、マックスバリュ東海は、当期純利益が昨対15.4%増となり、これら2つの影響を吸収するほど好調な決算となった。ちなみに、当期純利益に計上した特別損失であるが、固定資産除却損0.28億円、資産除去債務会計基準の適用に伴う影響額4.67億円(売上対比1.16%)、災害による損失2.54億円、その他0.10億円、合計7.60億円であった。

   そこで、マックスバリュ東海の営業利益が倍増した要因を原価、経費面から見てみたい。まずは原価であるが、75.25%(昨年75.38%)と0.13ポイント改善した。結果、売上総利益は24.75%(昨年24.62%)となった。これについて、マックスバリュ東海は、「販売面におきましては、単品大量販売やバラ販売を強化するとともに、強化カテゴリーとして和菓子コーナー、実用衣料品コーナー、医薬品コーナーの導入店舗を拡大し、お客さま一人当たりの買上点数の向上を図りました。」とのことで、いずれも原価改善に寄与する商品力強化といえる。さらに、「お客さまの低価格志向への対応として、イオンのプライベートブランド「トップバリュ」の売れ筋ベスト100などの拡販にも引き続き取り組みました。」とのことで、原価の低いPBを積極的に強化したことも大きいといえよう。

   一方、経費の方であるが、23.40%(昨年25.01%)となり、1.61ポイントと大幅に改善した。これに対して、マックスバリュ東海は、「経費面におきましては、オペレーション改革に引き続き取り組み、ムダな作業の削減やアウトパック商品を拡大するなどの作業改善により生産性向上を図るとともに、とりわけ、電力不足に対処すべく節電対策を柱とした各経費項目の見直しと削減に取り組みました。」とのことで、東日本大震災の影響による節電対策等が寄与したといえよう。また、「既存店売上高は震災直後の防災関連商品の需要増加なども加わり、対前年同期比101.2%となりました。」とのことで、既存店が伸びたことも相対的に固定費を下げることにつながったといえよう。

   結果、差し引き、商品売買から得られる利益、マーチャンダイジング力は1.35%(昨年-0.39%)となり、マイナスからプラスに転じた。原価、経費ともに改善し、特に、経費の大幅な改善が大きかったといえよう。そして、これに不動産収入、物流収入等のその他営業収入が1.74%(昨年2.01%)加わり、営業利益は3.09%(昨年1.62%)と倍増した。残念ながら、その他営業収入は減少したが、それ以上に原価の減少、経費の大幅削減が、営業利益の大幅増益をもたらしたといえ、結果、今期の特別損失、資産除去債務会計基準の適用に伴う影響額、東日本大震災による損失等を相殺したといえよう。

   その結果、マックスバリュ東海のキャッシュフローは増加、営業活動によるキャッシュフローは21.59億円(昨年17.54億円)となった。そして、この増加したキャッシュをどう配分したかであるが、投資活動によるキャッシュフローは-9.32億円(昨年-7.55億円)と増加したが、新規出店にかかわる資産への投資、有形固定資産の取得による支出は-9.08億円(-10.81億円)、敷金及び保証金の差入による支出-0.16億円(昨年-0.03億円)の合計は-9.24億円(昨年-10.84億円) と削減しており、若干、新規出店を控えたといえる。結果、合計のフリーキャッシュフローは12.27億円(昨年9.99億円)と増加した。

   問題は、このフリーキャッシュフローを財務活動によるキャッシュフローへ配分したか、内部留保に回したかであるが、財務活動によるキャッシュフローは-6.33億円(昨年-6.36億円)と、ほぼ同額であり、結果、内部留保が5.93億円(昨年3.63億円)となり、内部留保を重視したキャッシュの配分といえよう。実際、B/Sの現金を見ると、前期決算時は74.96億円であったが、この第1四半期は96.15億円と大きく増加しており、手持ちキャッシュを充実させたキャッシュの配分といえよう。ちなみに、財務活動によるキャッシュフローの中身であるが、有利子負債関連は-0.08億円(昨年-0.08億円)と、昨年と同額、最大のキャッシュの配分は配当の6.24億円(昨年6.27億円)であった。

   このように、マックスバリュ東海の2012年2月期の第1四半期決算は、食品スーパーマーケット各社が東日本大震災の影響、資産除去債務に関する会計基準の適用等の影響により減益となる中、増収増益、しかも、当期純利益が15.4%増となる好決算となった。原価に加え経費の改善、特に経費が大きく削減できたことが大きかったといえよう。この好調な第1四半期の決算結果を踏まえ、マックスバリュ東海が今後、積極的な新規出店戦略を打ち出すか、それとも、さらに内部体制を充実させるか、その経営判断に注目である。

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July 11, 2011

大黒天物産、2011年5月期決算、増収増益!

   大黒天物産が7/7、2011年5月度の決算を公開した。結果は、売上高893.64億円(11.4%)、営業利益46.12億円(10.6%)、経常利益45.93億円(10.3%)、当期純利益22.40億円(0.9%)と、増収増益の好決算となった。特に、5月度決算企業は3/11の東日本大震災の影響、昨年3月度以降の決算企業に適用された資産除去債務に関する会計基準の適用等があり、当期純利益へ大きな影響が生じるが、大黒天物産は当期純利益もわずかではあるが増益となり、好決算となった。ちなみに、大黒天物産の資産除去債務に関する会計基準の適用額は2.59億円(売上高対比0.28%)であった。

   そこで、大黒天物産が増収増益と好決算となった要因をまずは売上面から見てみたい。大黒天物産の経営の特徴は積極的な新店開発にあるといえる。今期も、「岡山県に3店舗(うち1店舗は移転出店)、広島県に1店舗、鳥取県に1店舗、兵庫県に1店舗、福岡県に1店舗、さらに、新たな出店地域といたしまして山口県に2店舗、奈良県に1店舗の計10店舗を出店いたしました。」とのことで、地元岡山県を中心に西は九州、東は奈良県と広域での積極的な出店を繰り広げ、結果、現在67店舗となった。

   各食品スーパーマーケットの2011年度決算を見ると、今期は新規出店が抑制気味であるが、大黒天物産は敢えて、積極的な新規出店を広域で行い、成長性重視の経営戦略である。これだけ、新規出店が可能な要因は大黒天物産特有の財務構造にあるといえる。大黒天物産の出店にかかわる資産、すなわち、土地、建物、敷金・保証金等の合計であるが、今期は114.07億円であり、総資産279.78億円の40.77%であり、1店舗当たりではわずか1.70億円である。これは、2011年度の決算公開企業約50社の平均が約6億円であるので、いかに少ないかがわかる。特に土地が少ないのが特徴といえる。

   しかも、今期の大黒天物産の純資産比率は53.37%(昨年52.62%)であるので、ここから、出店にかかわる資産40.77%を引いた出店余力は12.60%である。これも2011年度の決算公開企業約50社の平均が-20%前後であるので、極めて高い出店余力であるといえる。したがって、大黒天物産は極めて少ない投資で新規出店が可能なだけでなく、財務的にも自己資本で十分に新規出店ができる余力があるといえ、これが大黒天物産の積極的な新規出店をささえる原動力になっているといえる。ちなみに、今期の投資活動によるキッシュフローの新規出店にかかわる投資であるが、27.48億円(昨年13.61億円)であり、これを1店舗当たりの出店にかかわる資産1.70億円で割ると16.16店舗となる。したがって、全店舗数67店舗で割ると、24.11%となり、出店意欲も旺盛であり、今後も積極的な新規出店を行ってゆく意思が強く表れているといえる。

   一方、もうひとつの大黒天物産の強さ、収益力であるが、その要因を原価、経費面から見てみたい。まずは、原価であるが、77.46%(昨年77.64%)と、0.18ポイント下がった。これについて、大黒天物産は、「当社グループでは平成20年4月より実施しております購買頻度の高い商品約100品目以上を2割から5割値下げした「生活応援宣言セール」を引き続き実施するとともに、・・」等、背極的な価格訴求をかけており、しかも、その主力は原価の低いPBが主体であるため、価格訴求と原価の改善を同時に追求したマーチャンダイジング政策に取り組んでいるとことが大きいといえよう。結果、売上総利益は22.54%(昨年22.36%)となった。一方、経費の方であるが、17.37%(昨年17.15%)となり、0.22ポイント上昇した。ただ、上昇したとはいえ、17.37%は、2011年度の決算公開企業約50社の中ではベスト3に入る低さであり、これが、大黒天物産のもうひとつの強さの源泉といえる。

   結果、差し引き、商品売買から得られる利益、マーチャンダイジング力は5.17%(昨年5.21%)となった。大黒天物産はその他営業収入が計上されていないため、マーチャンダイジング力=営業利益となる。したがって、今期の営業利益は、残念ながら、率で見ると、経費の上昇を原価の改善でカバーできず、若干下がったが、高で見ると、売上高が積極的な新規出店により、11.4%増となったため、それに伴い、10.6%の増益となった。このマーチャンダイジング力を見る限り、経費が極限に近い低さであるため、まだまだ価格訴求が可能な状況にあるといえ、大黒天物産の競争力には余力があるといえよう。

   このように、大黒天物産の2011年5月度の決算が公表されたが、その結果は、増収増益の好決算となった。特に、デフレ環境の中、各社、新規出店が抑制気味であるにも関わらず、大黒天物産は今期10店舗と積極的な新規出店を行っており、しかも、新店への投資も旺盛であり、成長戦略を重視した強気の経営を推し進めたといえる。大黒天物産は出店にかかわる資産も極めて少なく、また、出店余力も十分であり、負債に頼らない新規出店が可能な財務状況にある。さらに、経費比率は極めて低く、価格競争力は強いといえ、今後もこの価格を武器に、積極的な新規出店がなされてゆくものといえよう。したがって、2012年度も大黒天物産の積極的な新規出店が続くといえ、年商1,000億円がいよいよ視野に入ったといえよう。

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July 10, 2011

イオン、2012年2月期、第1四半期、減収営業増益!

   イオンが7/6、2012年2月期の第1四半期決算を公表した。結果は営業収益1兆1,999.61億円(-1.2%)、営業利益283.01億円(29.9%)、経常利益308.77億円(24.9%)、当期純利益57.62億円(-70.1%)となり、減収、営業、経常段階では大幅な増益となったが、当期純利益は、「特別損失として、震災関連損失306 億17 百万円、資産除去債務会計基準の適用に伴う影響額177 億73 百万円を計上し、・・」とのことで、大幅な減益となった。イオンは被災地、東北にも数多くの店舗を展開しているため、震災関連損失が300億円を超え、その影響が響いたといえる。

   それにしても、これだけ特別損失が発生すると、キャッシュフローも厳しい状況となる。今期のイオンの営業活動によるキャッシュフローは、-1,019.59億円(昨年-1,105.20億円)と、昨年も1,000億円を超えるマイナスであったが、今期も同様に1,000億円を超えるマイナスとなった。この時点で、今後の投資、財務改善へのキャッシュの調達が厳しい状況となり、選択肢としては、借入を増やすか、資本金を増強するか、内部留保を取り崩す決断が必要となる。

   ちなみに、営業活動によるキャッシュフローが-1,000億円を超えた要因は法人税等の支払額-424.09億円(昨年-317.83億円)、仕入債務の増減額(-は減少)-388.54億円(昨年-598.04億円)、売上債権の増減額(-は増加)-384.08億円(-586.48億円) に加え、今期は税金等調整前四半期純利益が-148.14億円(昨年425.19億円)となったことが大きい。一方、プラス項目であるが、減価償却費334.20億円(昨年342.43億円)、災害損失引当金の増減額 (-は減少)174.25億円(昨年は0)、資産除去債務会計基準の適用に伴う影響額177.73億円(昨年は0)等である。

   そこで、そのキャッシュの調達であるが、財務活動によるキャッシュフローは231.60億円(昨年23.04億円)と、プラスになっているが、営業活動によるキャッシュフローを賄うまでにはなっておらず、したがって、内部留保を取り崩してキャッシュを埋めたといえる。実際、キャッシュフロー上の現預金は期首には3,068.20億円あったが、期末には1,802.80億円と大きく減少しており、B/S上の現金も 前期決算時には3,202.12億円であったが、この第1四半期では1,971.43億円と1,000億円以上減少している。これまで公開された2012年度の食品スーパーマーケットの第1四半期決算を見ると、現金はむしろ増加している場合が多いが、イオンは対象的なキャッシュの流れであり、それだけ、東日本大震災の影響が大きかったといえよう。

   ちなみに、財務活動によるキャッシュフローが231.60億円とプラスになった要因であるが、長短借入金が241.50億円増加していることに加え、社債が197.67億円となり、有利子負債が増加しており、これも営業活動によるキャッシュフローのマイナスを補ったといえる。結果、B/Sの負債の有利子負債は1兆2,041.98億円(前期決算時1兆1,526.23億円)と増加している。したがって、自己資本比率も22.9%(前期決算時23.5%)と、財務状況は極めて厳しい状況にあり、約80%弱を負債に負う財務構造である。

   さて、このような状況の中での投資活動によるキャッシュフローであるが、-489.37億円(昨年-87.47億円)と、大きく増加しており、多額の投資を実施している。その中身であるが、新規出店関連への投資、有形固定資産の取得による支出-506.79億円(昨年-537.70億円)、差入保証金の差入による支出-23.17億円(-26.58 億円)と、ほぼ、昨年同様の投資である。したがって、極めて厳しいキャッシュフローの中でも、成長戦略への投資については昨年同様キャッシュを厚く配分しているといえる。ちなみに、昨年の投資活動によるキャッシュフローが、今年と比べ少なかったのは貸付金の回収による収入1.55億円(昨年446.53億円)と、この違いによる。したがって、これらの投資活動によるキャッシュフローは内部留保及び新たな有利子負債の調達で賄ったといえ、この第1四半期はかなり苦しいキャッシュフローであったといえよう。

   さて、これに対して、キャッシュを生み出す大本、原価、経費の状況であるが、原価は73.43%(昨年73.14%)となり、上昇、結果、売上総利益は26.57%(昨年26.86%)となった。一方、経費の方は36.09%(昨年36.38%)と減少した。したがって、差し引き、商品売買から得られる利益、マーチャンダイジング力は-9.52%(昨年-9.52%)と、奇しくも同じ数字となった。そして、これに、GMSのキャッシュの源泉ともいうべき不動産収入、物流収入等のその他営業収入が12.17%(昨年11.52%)加わり、結果、営業利益は2.65%(昨年-2.00%)と、大幅な増益となった。こう見ると、増益の要因は、マーチャンダイジング力ではなく、その他営業収入の増加によるところが大きいといえ、東日本大震災の影響は結果として、その他営業収益を押し上げ、増益をもたらしたといえよう。

   このように、イオンの2012年2月期、第1四半期決算は減収営業増益となったが、営業増益の要因はその他営業収入によるところが大きく、原価、経費は原価の上昇が経費の削減で相殺されており、マーチャンダイジング力はプラスマイナス0、キャッシュを生みだせなかったといえる。また、キャッシュフローはかなり厳しい状況にあり、フリーキャッシュフローが大きくマイナスとなったため、有利子負債の調達と内部留保を大きく崩さざるをえなかったといえる。こう見ると、イオンにとっては、東日本大震災の影響は財務に大きな影響を与えたといえ、次の、中間、そして、通期へ向けて、厳しい経営環境が続くといえ、今後、この結果を踏まえ、どのような抜本的な経営戦略を打ち出すか注目である。

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July 09, 2011

マックスバリュ東北、2012年2月、第1四半期、震災影響!

   マックスバリュ東北が6/27、2012年2月期、第1四半期決算を公表した。マックスバリュ東北は3/11の東日本大震災の被災地でも店舗展開しており、その結果が注目されていた。実際、「当社は今回の震災により店舗の建物と施設の一部損壊及び商品破損等の被害を受けましたが、現在では全て復旧し全店通常営業を行っております。」とのことで、店舗、商品等に損害が発生している。また、「震災直後には食糧品や飲料、毛布などの支援物資の提供による被災地支援を行うとともに、店頭募金や福島県産野菜の販売を中心とした「がんばろう福島フェア」、「がんばろう日本!黄色いレシートキャンペーン」などお客さまとともに行う支援活動を実施し、東北エリアの皆さまの暮らしを支えるという社会的使命を果たすべく活動を続けております。」とのことで、震災後も懸命に被災地の復旧に取り組んだとのことである。

   その結果であるが、営業収益216.12億円(-0.1%)、営業利益2.53億円(前期は赤字)、経常利益1.87億円(前期は赤字)、当期純利益-7.55億円(前期は赤字)となり、前期も厳しい状況であったが、今期も営業、経常段階では赤字から脱却したとはいえ、依然として厳しい経営状況が続いている。特に、当期純利益に関しては、今期から資産除去債務に関する会計基準の適用が5.13億円(売上対比2.43%)計上された上に、災害による損失3.86億円等を計上したことにより、大幅な赤字決算となった。原価、経費への影響以上に直接的な店舗等への災害損失が発生しており、厳しい決算となった。

    このように、マックスバリュ東北にとっては、東日本大震災の影響は甚大なものがあったといえ、経営基盤の強化が必須となり、震災後の4/5に、「第三者割当によるA種種類株式の発行に関するお知らせ」を公表し、5/19を払込期日として、親会社イオンからの資金調達を実施した。その理由について、マックスバリュ東北は、「厳しい経営環境の中で、当社の営業基盤エリアにおける競争激化に伴う収益力の低下を主たる要因として、業績不振店舗の固定資産等についての減損損失などにより、2005 年度から2010年度までの累計で4,498 百万円の当期純損失を計上したことで、自己資本比率が低下している状況にあります。」とのことで、ここ数年、厳しい経営環境にあったとのことである。

   そして、「また、直近の予期せぬ東日本大震災の発生による影響で消費環境の先行きの不透明感が一層高まっております。今後当社は、安定した財務基盤を確立・強化するとともに、ますます競争が激化する北東北エリアにおいて競争に打ち勝ち、2013 年度には北東北売上高No.1の座を奪還し、再度成長軌道へ回帰するために、抜本的な経営方針の変更が不可欠と判断し、・・」とのことで、財務基盤の強化を前提とした構造改革に着手したとのことである。

   結果、自己資本比率は、純資産が19.68億円から57.34億円へと増加したため21.0%(昨年7.2%)と大きく改善した。実際、今期の財務活動によるキャッシュフローを見てみると、株式の発行による収入が44.52億円あり、このキャッシュを短期借入金の返済へ31.90億円、長期借入金の返済へ4.56億円、合計36.46億円と大半を回している。ただ、それでも、約80%は負債に依存する財務状況であるといえ、今後、さらに、増資するか、キャッシュを生み出す質の改善、及び量の拡大をはかって行く必要があろう。

   そこで、今期のマックスバリュ東北のキャッシュを生み出す質を原価、経費面から見てみると、原価は76.48億円(昨年77.15%)と0.67ポイント改善している。結果、売上総利益は23.52%(昨年22.85%)となり、粗利が向上した。一方、経費の方であるが、24.91%(昨年25.64%)と、0.73ポイント下がっている。したがって、原価、経費双方が下がっており、結果、商品売買から得られる利益、マーチャンダイジング力は-1.39%(昨年-2.79%)と、依然として、マイナスではあるが、その幅は大きく縮まっており、東日本大震災の影響が結果として、マーチャンダイジング力のプラスに寄与したといえよう。そして、これに、不動産収入、物流収入等が2.60%(昨年2.64%)加わり、営業利益は1.21%(昨年-0.15%)と、昨年の赤字から、黒字転換となった。したがって、キャッシュを生み出す質は、今回の東日本大震災の影響もプラスに寄与したといえ、大きく上昇しているといえる。

   このように、マックスバリュ東北の2012年2月期、第1四半期決算は、東日本大震災の影響を強く受け、当期純利益が大幅なマイナスとなった。また、ここ数年厳しい経営状況が続いていた中での予期せぬ大震災であり、経営基盤の強化が必須となり、親会社のイオンから出資を受けざるをえなくなり、資本増強に着手した。ただ、それでも、依然として約80%を負債に依存する状況であり、今後、さらに、資本の増強を行うか、抜本的な経営の構造改革により、キャッシュを生み出す質、すなわち、マーチャンダイジング力の改善をはかる一方、キャッシュを生み出す量、新規出店も課題といえる。マックスバリュ東北が今後どのような経営戦略を打ち出すか、注目である。

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July 08, 2011

ハローズ、2012年2月、第1四半期、増収営業増益!

   ハローズが6/29、2012年2月期の第1四半期決算を公表した。結果は、売上高185.90億円(7.8%)、営業利益5.52億円(8.3%)、経常利益5.25億円(9.9%)、当期純利益2.04億円(-22.9%)となり、営業段階では増収増益、当期純利益は今期から資産除去債務に関する会計基準が1.41億円(売上対比0.75%)適用されたため、減益となった。この第1四半期は、東日本大震災の影響が売上高、営業利益にどの程度あるのか、また、今期から適用された資産除去債務に関する会計基準の適用が当期純利益にどのような影響を与えるかが注目の決算であったが、後者は1.41億円、結果、当期純利益は減益となった。

   そこで、前者、東日本大震災の影響であるが、原価、経費面から見てみたい。まずは、ハローズのコメントであるが、「当第1四半期会計期間におけるわが国経済は、東日本大震災による甚大な被害とその後の原子力発電所事故の影響が続き、被災地の生産や物流機能の低下のみならず、その影響の範囲や程度が不透明で、先行きが懸念される厳しい状況となりました。」とのことで、不透明さを強調している。

   では、実際の影響であるが、原価は76.08%(昨年77.24%)となり、-1.16ポイントと大幅に下がった。結果、売上総利益は23.92%(昨年22.76%)となり、粗利が上昇している。これについて、ハローズは、「商品面におきましては、「生活防衛企画」である「低価格最善選」を継続して実施し、季節や生活催事に合わせての商品の入れ替えにより、常にお客様に最適な内容になるように努めました。」とのことで、低価格戦略を継続したとのことである。ただ、一方で、「当社プライベート・ブランド商品の「ハローズセレクション」の開発にも注力し、売上高構成比は前事業年度末の8.0%から8.4%に増加いたしました。」とのことで、原価の低いPBを積極的に販売している。さらに、「当事業年度から全面稼働いたしました「早島物流センター」の効果的運用により、商品調達コストの低減に取り組みました。」と、「早島物流センター」の稼働も大きかったといえよう。当然、これらの施策に、東日本大震災により、特売が思うように打てないという売価面での下げ止まりが加わり、予想以上の原価の削減につながったのではないかと思われる。

   一方、経費の方であるが、23.78%(昨年22.79%)と、0.99ポイント上昇しており、原価とは対照的な動きとなった。ハローズ自身は、「経費面では、オペレーション面及び管理面の両面から効果的なコストの管理を目指し、生産性向上やコスト削減などに各種の委員会を設けて取り組みました。」とのことで、幅広く、経費削減に取り組んだとのことであるが、結果は厳しい数字となった。ただ、この23.78%は前期決算の決算公開企業約50社の中では10番前後に入る低さであり、上昇したとはいえ、かなり低い数字である。

   結果、差し引き、商品売買から得られる利益、マーチャンダイジング力は、0.14%(昨年-0.03%)となり、プラス転じた。原価の削減がいかに大きかったかがわかる。ここ最近公開された2012年度2月期の食品スーパーマーケットの第1四半期決算の状況を見ると、原価が大きく下がるケースが多く、ここからも、東日本大震災の影響は、結果として、食品スーパーマーケットの原価改善に寄与しているといえそうである。そして、これに、不動産収入、物流収入等のその他営業収入が2.83%(昨年2.99%)加わり、営業利益は2.97%(昨年2.96%)と、わずかではあるが、増益となった。この第1四半期は売上高が7.8%増と好調であったことも、営業利益を押し上げた要因といえよう。

   これに対して、財務面であるが、自己資本比率が31.3%(昨年31.0%)と、依然として約70%を負債に依存する状況であり、厳しい結果である。ハローズとしては、今期の好調な営業状況をどう財務改善に結びつけ、食品スーパーマーケットの本質であるキャッシュを生み出す量の拡大、すなわち、新規出店に結び付けたいところであるといえよう。その新規出店に関しては、「店舗開発面では、当第1四半期会計期間中の新規出店はなく、店舗数は広島県19店舗、岡山県22店舗、香川県7店舗の合計48店舗で、前事業年度末から変動はありません。」とのことで、新規出店はなかった。実際、投資活動によるキャッシュフローを見ると、新規出店関連への投資は7.38億円(昨年12.72億円)と大きく削減している。一方、財務活動によるキャッシュフローにおける有利子負債については-8.88億円(昨年7.86億円)と、昨年と一転、削減しており、この第1四半期決算時では投資を絞り、財務改善にキャッシュを配分したといえる。

   このように、ハローズの2012年2月期の第1四半期決算は、当期純利益は資産除去債務に関する会計基準の適用により、減益となったが、営業、経常段階では増収増益の好決算となった。特に、東日本大震災の影響が原価の改善につながったようであり、大幅に粗利が改善し、営業利益を押し上げたといえる。一方で、新規出店は控え、キャッシュを財務改善に充てており、内部体制の充実を図ったといえよう。先行き不透明であるがゆえの経営判断といえよう。ハローズがこの結果を踏まえ、次の中間、そして、通期、内部体制の充実を一層強めるのか、それとも一転、積極策に転じ、新規出店の開発に入るのか、今後の経営決断に注目である。

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July 07, 2011

Chain Store Age2011/7/1、震災後の消費動向を投稿!

   Chain Store Age、2011年7月1日号に緊急レポート、「POSデータに見る、東日本大震災後の3月、4月度の消費動向」を投稿した。このレポートは、TOPNAVI-NETのPOSデータをもとに、全国の食品スーパーマーケットの震災後の販売動向を明かにし、今後の食品スーパーマーケットの有事の際に役立てていただくことを意図したものである。特に、全国を9つの地区、北海道、東北、京浜、関東、北陸、東海、近畿、中四国、九州に分けて、分析しているので、被災地東北の消費動向が震災後どのように変化したかが鮮明であり、さらに、東北と比べ、全国ではどのような消費動向であったかがわかる内容である。

   今回分析したPOSデータは膨大な量であり、食品約250カテゴリー、雑貨約100カテゴリー、日用品約150カテゴリー、合計約500カテゴリーを分析対象にした。単品数では、約20万件となり、これを今年の3月度、昨年の3月度、さらに、今年の4月度、昨年の4月度とを比較し、その伸び率から、特に被災地東北において、昨年と決定的に消費構造に変化があったカテゴリーをピックアップした。

   今回のレポートでは、明らかに消費構造に変化をもたらしたものとして、東日本大震災のあった3月度の被災地東北にて、昨対200%を超えるカテゴリーをすべてピックアップし、そこから、東日本大震災が消費行動にどのような変化を与えたかを明らかにした。また、同時に、次の4月度はどのような数字となったか、さらに、東北以外の地区ではどのような消費行動であったかを一目で見られるように一覧表にまとめた。

   結果、図表は3つになった。ひとつめの図表1は食品の3月度東北で200%以上となった全カテゴリー、図表2は雑貨の3月度東北で200%以上となった全カテゴリー、そして、図表3は日用品の3月度東北で200%以上となった全カテゴリーである。120%、130%では誤差がでる可能性があるが、200%以上は明らかに、東日本大震災の影響といえると思われ、実際、POS分析の結果を見ると、食品スーパーマーケットが、今回のような未曽有の有事の際、絶対に抑えておかなければならないカテゴリーが上位に来ているといえる。また、今回は実際のPOSデータであるので、どのくらいの在庫を確保すべきかも明らかになった。食品スーパーマーケットとしては、この結果をもとに、消費者のライフラインを守るために、どのくらい在庫を確保すべきかが推し量れるといえる。

   さて、その結果であるが、レポートの中でも詳しく解説したが、全カテゴリーの中で、圧倒的なNo.1カテゴリーは水であった。東北では3月度518.8%という異常値を記録した。これは3月度の丸1ケ月間の数字であるので、3/11の東日本大震災直後、1週間から2週間はさらに莫大な需要であったと推測される。全国平均も272.2%であるので、日本全国で水の需要が異常な状況であったことがわかる。東北以外では、同じく被災地となった関東も高く、512.0%であった。そして、4月度となっても、水の需要は衰えず、東北で550.1%、全国でも240.9%、関東では552.5%となった。

   いかに、水が有事の際、重要なカテゴリーであるかがわかる。しかも、平均約500%であるので、通常月の5倍の在庫が発生するといえ、それが、2ケ月続くといえるので、食品スーパーマーケットとしては、いかに、日頃から水の確保、少なくとも月間在庫の5倍、2ケ月間を考慮すれば、10倍の確保が消費者のライフラインを守るためには必要といえよう。また、今回の東日本大震災では商品の供給ルートが各地で寸断されただけでなく、工場にも被害が及んだことから、日頃から、いざという時のために、複数の商品供給ルートを確保しておくことが必要といえよう。特に、水に関しては、このPOSデータが示す通り、最優先で日ごろから、その対策について取り組んでおく必要があるといえる。

   水以外では、POSデータを見ると、300%以上のカテゴリーとして、食品では魚肉ハム347.5%(4月度221.0%)、包装餅317.2%(4月度227.4%)、雑貨ではマスク384.9%(4月度274.0%)、日用品ではフラッシュライト(懐中電灯等)369.9%(4月度1,016.4%)、ガス部品396.2%(4月度379.2%)がピックアップされた。水を含め、一旦、有事の際は、消費者は、このカテゴリーを期待して、店舗に来店するといえるので、こられのカテゴリーは日ごろから、食品スーパーマーケットの売場で有事コーナーとして、マーチャンダイジング戦略に組み込んで置くべきであろう。そして、一旦有事の際は、これらを主体にしたレイアウト構成にし、商品部は全力でこれらの商品を確保すると同時に、いつ有事があっても良いように、在庫を確保しておくべきであろう。

   このように、東日本大震災がもたらした被害は甚大なものであったが、食品スーパーマーケットとしては、再度、大震災のあった3月度、そして、翌月4月度のPOSデータを分析し、有事に際しての対応マニュアル、有事に備えての在庫マニュアルを作っておくべきであろう。今回の、この緊急レポートを、是非、食品スーパーマーケットの有事の際の「備えあれば憂いなし」の経営体制づくりに役立てていただければと思う。

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July 06, 2011

家計調査データ2011年5月度、食品97.9%!

   総務省統計局から7/1、家計調査データ、2011年5月度が公表された。結果は全体の消費額が1日当たり8,908.35円、昨対は98.4%と微減、消費環境の厳しさが反映された結果となった。また、外食を除く食品は、1日当たり2,341.03円、昨対は96.8%、さらに厳しい結果となった。3/11の東日本大震災後の初めての大型連休、ゴールデンウィークの消費動向が含まれるだけに、その結果が気になるところであったが、厳しい結果といえよう。なお、先月、4月度から復活した被災地、仙台は集計世帯数が、前回の4世帯から54世帯へと大きく増加し、通常の集計世帯数にもどりつつあるが、同じく被災地、福島市は依然として0世帯であり、原発事故の影響が家計調査にまで及んでいるといえる。

   ちなみに、仙台市のこの5月度の消費動向であるが、全国平均に対し、全体の消費額は81.5%、食品は97.7%と、双方厳しい状況といえるが、全体の方が、より消費は厳しい状況にあるといえよう。そこで、全体の大分類を見てみると、外食77.6%、住居60.3%、光熱・水道81.8%、家具・家事用品134.8%、被服及び履物58.3%、保健医療63.3%、交通・通信77.0%、教育26.0%、教養娯楽66.1%、その他の消費支出94.0%である。こう見ると、家具・家事用品のみ134.8%と突出しており、異常値である。ホームセンター業界の第1四半期決算が好調であるが、これを裏付ける結果といえよう。また、さらに、その中身を掘り下げてみると、家庭用耐久財211.9%、冷暖房用器具308.5%、一般家具261.3%と、これらが家具・家事用品全体を押し上げているといえる。

   さて、全国の5月度の消費動向であるが、仙台市と反対に食品の方が厳しい結果であった。そこで、全国の食品の消費動向について詳しく見てみたい。まずは、食品の大分類であるが、穀類201.97円(94.9%)、魚介類201.13円(93.5%)、肉類206.35円(101.2%)、乳卵類109.23円(100.3%)、野菜・海藻274.29円(94.4%)、果物83.81円(101.5%)、油脂・調味料107.06円(100.2%)、菓子類211.94円(97.7%)、主食的調理食品112.71円(101.1%)、飲料136.32円(99.8%)、酒類107.94円(97.2%)という結果である。プラスとなった項目は、肉類、乳卵類、果物、油脂・調味料、主食的調理食品(惣菜)であり、これ以外はマイナスであった。特に、穀類、魚介類、野菜・海藻が大きく消費が厳しい項目である。

   そこで、この3つの大分類について、さらに、その要因を掘り下げてみたい。まず、穀類であるが、米62.68円(85.1%)、もち1.42円(81.5%)が80%台と大きく下がり、ついで、食パン24.42円(96.8%)、中華めん12.97円(98.8%)、スパゲッティ 3.58円(99.1%)等が昨対を割った。今後、小麦粉の値上げもあり、穀類は当面、厳しい状況が続きそうである。次に、魚介類であるが、かに1.03円(46.4%)、しじみ1.16円(73.5%)、ほたて貝2.84円(71.5%)、いわし1.35円(84.0%)、たい3.58円(88.1%)、さんま1.10円(89.5%)が大きく下がった項目である。全体的に鮮魚107.19円(92.2%)、貝類が10.06円(85.0%)と落ち込みが大きく、塩干魚介38.52円(98.0%)、魚肉練製品20.84円(97.9%)は比較的堅調な消費であったといえる。

   そして、もうひとつ、野菜・海藻であるが、多分に相場の影響を強く受けているといえるが、キャベツ6.52円(71.6%)、ほうれんそう 4.71円(77.2%)、はくさい1.58円(77.8%)、レタス5.13円(78.3%)、だいこん3.55円(78.0%)等が70%台と厳しい状況であった。ついで、ねぎ6.10円(87.1%)、もやし3.03円(88.7%)、ピーマン5.35円(87.8%)が80%台である。逆に、100%を超えた野菜は、じゃがいも12.52円(115.1%)、にんじん7.13円(106.3%)、ごぼう2.71円(109.1%)、れんこん1.55円(114.3%)、たけのこ3.32円(117.0%)、さやまめ 8.10円(105.5%)の6項目のみであり、残りはすべて昨対を割り、野菜全体が厳しい消費であったといえる。ちなみに、外食であるが、ハンバーガー11.87円(104.0%)以外、すべてマイナスであり、特に、中華食12.90円(83.3%)、飲酒代34.87円(86.2%)、すし(外食)37.13円(89.2%)等が厳しかった項目である。

   一方、消費が比較的堅調であったのは、対照的に果物であり、すいか5.10円(122.5%)、メロン6.87円(142.0%)、もも0.10円(150.0%)、りんご8.42円(108.3%)、キウイフルーツ5.35円(108.5%)等が果物全体の消費を押し上げたといえる。また主食的調理品も比較的堅調であり、カツレツ4.74円(115.7%)、やきとり5.87円(110.3%)、サラダ8.35円(105.7%)、天ぷら・フライ24.58円(105.1%)、しゅうまい2.81円(104.8%)、冷凍調理食品15.32円(103.5%)等が消費を押し上げたといえる。また、これ以外では、油脂・調味料の乾燥スープ5.90円(115.1%)、菓子類のチョコレート8.48円(112.9%)、飲料のミネラルウォーター7.77円(131.0%)等が110%以上となった項目である。

   このように、2011年5月度の家計調査データを見ると、東日本大震災の影響が続いているといえ、ゴールデンウィークの中、自粛ムードが消費動向に影響を与えたのではないかと思われる。特に、生鮮食品の青果、鮮魚が伸び悩み、これに加え、穀類が厳しかったことが大きいといえる。ただ、このような厳しい消費環境の中でも比較的堅調であったのが、果物、主食的調理食品(惣菜)であり、調理なしですぐに食べられる点が評価されたようである。次回、6月、そして、その後、本格的な夏場に入るが、今回の結果を受け、今後、消費がどのような方向に動くか気になるところである。
   
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July 05, 2011

アオキスーパー、2012年2月期、第1四半期、増収増益!

   アオキスーパーが7/1、2012年2月期の第1四半期決算を公表した。今後、食品スーパーマーケット業界2月度決算の第1四半期決算が続々と公開される予定であり、現時点ではまだ数社の公表に留まっている。特に、2月度決算企業の第1四半期決算には、3/11の東日本大震災の影響が反映されており、経営にどのような結果が生じたかが推し量れる。また、今期から資産除去債務に関する会計基準が適用され、その影響が当期純利益に反映されるため、その影響度もつかめる。これらを踏まえ、アオキスーパーの結果であるが、営業収益217.23億円(2.6%)、営業利益5.04億円(143.9%)、経常利益5.28億円(123.2%)、当期純利益2.22億円(162.8%)と、増収、大幅増益となり、好決算となった。

   それにしても、上記2つの影響がありながら、営業利益、経常利益、そして、当期純利益とも2桁の増益であり、好調な決算である。そこで、まずは、東日本大震災の影響を原価、経費面から見てみたい。この四半期の原価であるが、82.75%(昨年84.54%)となり、1.79ポイントと大幅に下がった。アオキスーパーの、前期本決算時が84.39%であるので、明らかに、この第1四半期は異変が起きているといえよう。結果、売上総利益は17.25%(昨年15.46%)となり、粗利が大きく改善した。それにしても、この売上総利益17.25%は食品スーパーマーケット前期決算公開企業約50社の中ではトライアルカンパニーの17.21%につぐ低さであり、改善したとはいえ、それでもかなり低い数字である。

   アオキスーパー自身は、「当流通業界におきましては、業種・業態を超えた値下げ等による店舗間競争がさらに激化しており、また、震災の影響により、一時的に商品の確保が困難な状況となるなど、厳しい経営環境が続いております。」とコメントしている。依然として、価格競争は激化とのことであるが、一方で、震災の影響により、「一時的に商品の確保が困難な状況となるなど・・」とのことであり、これまでのように商品確保ができず、特売が十分にできなかった面もあったといえよう。

   これに対し、経費の方であるが、18.38%(昨年17.74%)と0.64ポイント上昇した。原価の大幅な下落とは一転、経費の上昇が見られる。ただ、原価の下落ほど経費の上昇は見られず、結果、差し引き、商品売買から得られるマーチャンダイジング力は、-1.13%(昨年-2.28%)となり、依然としてマイナスではあるが、大きく改善した。ちなみに、前期決算時は-1.75%であるので、前期決算時よりも改善しており、原価の大幅な下落がマーチャンダイジング力を押し上げたといえよう。

   そして、これに、不動産収入、物流収入等のその他営業収入が3.54%(昨年3.29%)となり、ここでも0.25ポイントの改善が図られ、結果、営業利益は2.41%(昨年1.01%)となり、まさに、利益が倍増した。これも前期決算時は1.50%であるので、明らかに、この第1四半期は営業利益が大きく改善しているといえ、好決算となった。

   したがって、当期純利益に影響を与える今期から適用される特別損失、資産除去債務に関する会計基準の適用が、今期1.40億円(売上対比0.66%)あったが、これを相殺し、結果、当期純利益も2.22億円(162.8%)と大幅な増益となった。通常であれば、資産除去債務に関する会計基準の適用は年間分が第1四半期決算にのるため、当期純利益はかなり厳しい状況になるはずであるが、この決算を見る限り、原価の大幅改善により、これを相殺しており、その影響を結果として受けず、好決算となった。こう見ると、東日本大震災の影響は原価に反映されたといえ、アオキスーパーにとっては、大きくプラスに作用したといえよう。

   一方、財務の方であるが、自己資本比率は62.9%(前期決算時53.1%)となり、何と10%近い改善となった。その要因は、純資産は152.14億円(前期決算時151.26億円)と大きな変化はなかったが、負債が89.69億円(前期決算時133.43億円)と43.74億円減少したためである。ただし、これは、「流動負債は、前連結会計年度に比べ、46億60百万円減少し、65億76百万円となりました。これは、主に前連結会計年度末であります平成23年2月20日が日曜日にあたり、取引先への商品仕入代金や経費の支払い47億44百万円が翌日の21日になったことにより、仕入債務等が減少したことによるものであります。」とのことであり、決済日の違いによるところが大きかったといえる。したがって、大幅な増益がもたらした自己資本比率の上昇ではないが、結果として、この第1四半期決算は、財務的にも安定した状況となったといえる。

   このように、アオキスーパーの第1四半期決算は、東日本大震災により、原価面がプラスの影響を受けたといえ、大幅に原価が下がり、結果、売上総利益が向上し、経費の上昇を相殺し、さらに、マーチャンダイジング力のプラスをもたらした。これにその他営業収入のプラス面も加わり、営業利益は143.9%と大幅な改善となった。その結果、資産除去債務に関する会計基準の影響も相殺し、当期純利益が162.8%と大幅な増益となった。アオキスーパーにとって、原価の改善がいかに、経営全体に大きなインパクトを与えたかが鮮明であり、次の中間、そして、通期決算、どこまで利益改善となるか、その結果に注目である。
   
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July 04, 2011

食品スーパー2011、財務3表連環分析Vol.1リリース!

   恒例の「食品スーパー2011、財務3表連環分析Vol.1」が完成した。今年で丸3年目となり、これで、過去3年間の食品スーパーマーケット決算公開企業約50社の決算結果が揃ったことになる。特に、今年の決算は3/11の東日本大震災の影響、資産除去債務の会計基準の適用の影響を受けた3月度以降の決算企業の結果には注目といえ、今後の食品スーパーマーケットの経営戦略を占う上でも重要な決算結果である。今回は、この3月度決算以降の食品スーパーマーケットの特別レポートも加えたが、これを見ると、利益重視、キャッシュ重視が鮮明であり、食品スーパーマーケットの経営戦略に変化が見られ、今後の2月度決算以前の食品スーパーマーケットの今期の第1四半期、中間、そして、本決算の結果を占うことができよう。

   さて、財務3表連環分析であるが、文字通り、食品スーパーマーケットのP/L(損益計算書)、B/S(貸借対照表)、そして、CF(キャッシュフロー計算書)を一覧表に、特に、キャッシュを基点にその連環度合いをまとめたものである。決算公開企業約50社すべての決算を一覧すると、食品スーパーマーケットの経営とは何かが浮かび上がり、大局的に経営を俯瞰することができ、経営とはまさにキャッシュの流れであることが理解できる。

   食品スーパーマーケットの経営は、まずは、キャッシュを生み出す質が問われるが、その結果はP/Lに反映され、特に、原価、経費の関係を見ると、一目瞭然となる。原価に重きを置く食品スーパーマーケット、経費に重きを置く食品スーパーマーケット、双方のバランスをとる食品スーパーマーケットと、いわゆる、マーチャンダイジング戦略の違いが良くわかる。いずれも、キャッシュの質の向上を目指しているといえ、その質の向上の仕方、すなわち、マーチャンダイジング戦略に大きな違いが見られるのが特徴である。

   また、食品スーパーマーケットの経営は、キャッシュの質を高めるだけでは完結しない。もうひとつ重要なポイントがキャッシュの量を増やすことである。これはまさに、B/Sに表れるといえる。食品スーパーマーケットにとって、キャッシュの量を増やす方法は、唯一、新規出店のみであるといっても過言ではなく、新規出店が安定的、継続的に可能な財務内容であった場合のみキャッシュが増加してゆくことになる。そして、それがまさに、B/Sに反映されるといえる。B/Sの資産、土地、建物、敷金・保証金を見ると、食品スーパーマーケットの出店にかかわる資産がどのくらいであるかがわかり、さらに、純資産を見ると、その資産を自己資本で賄っているのか、それとも負債に依存しているのかがわかる。その差を見ることにより、出店余力が見え、差が大きいほど、今後も安定的に新規出店が可能であるといえる。

   そして、これをCFの新規出店関連への投資と比較することによって、今期、そして、今後、どのくらい、新規出店を検討しているかかがわかり、いわゆる出店意欲がこのB/SとCFの関係から判断できる。ここまで来ると、経営計画まで読み取れるといえ、財務3表連環分析は、単に経営内容がわかるだけでなく、食品スーパーマーケットの経営戦略、経営方針も垣間見ることができるといえる。

   財務3表のCFはその意味で、経営者の経営方針、経営計画を垣間見る財務諸表であるといえ、これをじっくり見ることで、食品スーパーマーケットの経営者の考え方、経営哲学、経営方針等が理解できるといえる。特に、CFの財務活動によるキャッシュフローには、配当、借入、返済、自社株式の売買状況も反映されるため、経営者が株主をどのくらい大切にしているのか、債権者にどのくらい配慮しているのか、さらには、将来的なM&Aを検討しているのかなどがわかり、CFはキャッシュの流れを知るだけでなく、食品スーパーマーケットの経営戦略を推し測る上で重要な財務諸表であるといえる。

   一般的に財務分析は難しいと思われているが、食品スーパーマーケットの財務分析は、財務3表の連環状況をキャッシュをもとに、質、量、そして、その流れを把握することがポイントであり、しかも、キャッシュの質がP/L、キャッシュの量がB/S、キャッシュの流れがCFと対応しており、誰でも、コツさえつかめば、食品スーパーマーケットの財務分析の本質は簡単に理解でき、しかも、実際の食品スーパーマーケットの経営への実戦的な応用が可能であるといえる。

   食品スーパーマーケットの決算公開企業は約50社であり、この50社の中にあらゆる食品スーパーマーケットの経営形態がある。キャッシュの質を重視する食品スーパーマーケット、キャッシュの量を追う食品スーパーマーケット、そして、そのバランスをとり、質と量の双方に配慮する食品スーパーマーケットがある。是非、「食品スーパー2011、財務3表連環分析Vol.1」を通じて、様々なタイプの食品スーパーマーケットの経営内容を把握し、食品スーパーマーケットの財務3表連環分析を行い、その経営の神髄に迫って欲しい。

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July 03, 2011

消費者物価指数(CPI)、2011年5月度、100.3%、微増!

   総務省統計局から、7/1、2011年5月度の消費者物価指数(CPI)が公表された。消費者物価指数は総合指数が3つあるが、その結果は、「(1)総合指数は平成17年を100として100.0となり,前月比は0.1%の上昇。前年同月比は0.3%の上昇となった。(2)生鮮食品を除く総合指数は99.9となり,前月比は0.1%の上昇。前年同月比は0.6%の上昇となった。(3)食料(酒類を除く)及びエネルギーを除く総合指数は97.4となり,前月比は0.2%の上昇。前年同月比は0.1%の上昇となった。」となり、いずれの総合指数も前年同月比が微増ではあるが、プラスとなった。

   総合指数が前年同月比において、3つともプラスになるのは久しぶりであり、約2年半ぶりとなる。この約2年半、前年同月比のグラフを見ると、マイナスが続いており、いわゆるデフレが継続していたといえる。それが、前月、4月度から(1)の総合指数、(2)の生鮮食品を除く総合指数がプラスになり、この5月度は、プラスとなるのか、それとも、また、マイナスに転じるか注目の月であった。結果は、(1)、(2)に続き、(3)の食料(酒類を除く)及びエネルギーを除く総合指数もプラスに転じ、すべての総合指数がプラスになったことから、今後、消費者物価指数はプラス基調が続く可能性が高まったといえよう。

   そこで、この5月度、特に、プラスに貢献した項目について、寄与度をもとに見てみたい。まず、何といっても、4月も同様であるが、たばこが0.27ポイント(4月度0.27ポイント)と、全体を大きく牽引しているのが実態である。たばこは昨年後半の値上げ以降、消費者物価指数を大きく押し上げる方向に動いており、今後とも、たばこが消費者物価を押し上げてゆくことになろう。たばこについで、貢献度の大きかった項目は0.23ポイントのガソリン(4月度0.32ポイント)、0.14ポイントの灯油(4月度0.17ポイント)であり、資源・エネルギー関連である。特に、4月度はたばこよりも、貢献度が高く、No.1の項目であった。この3つの項目が際立った貢献度の高い項目であり、これを見る限り、デフレが脱却されつつあるわけではなく、一部、異常値となった項目が全体を押し上げているという状況といえる。

   一方、この5月度、消費者物価指数を押し下げた項目を寄与度で見ると、何といっても、圧倒的にマイナスとなったのは生鮮食品であり、-0.31ポイント(4月度-0.25ポイント)であった。4月度はこれ以外にも-0.25ポイント、その他があったが、この5月度については、その他はわずか-0.07ポイントであり、生鮮食品のみが全体の物価を押し下げているといえる。したがって、これらの異常な項目を除くと、むしろ、物価は安定しているともいえ、デフレが脱却されつつあるわけでもなく、また、逆に、インフレに動いているわけでもなく、消費者物価は、むしろ全体としては、安定した状況にあるといえよう。

   そこで、ここでは、この5月度、消費者物価全体を押し下げる要因となった生鮮食品の状況を、さらに、掘り下げてみたい。消費者物価指数は、調査項目としては、ほぼ家計調査データの分類に近いといえ、生鮮食品についても、かなり細かい項目も集計されているので、何が原因かがより鮮明である。まず、生鮮食品の大分類であるが、魚介類-1.2%、肉類0.7%、野菜・海藻-8.5%、果物-3.2%であり、明らかに青果、特に野菜であることが明らかである。ちなみに、これ以外の大分類であるが、穀類-2.8%、乳卵類2.3%、油脂・調味料-0.4%、菓子類0.0%、調理食品0.7%、飲料0.1%、酒類-0.9%という結果である。穀類がやや下げ幅が大きいが、それ以外は、ほぼ0.0%に近いといえ、いかに、野菜・海藻の-8.5%が異常値であるかがわかる。

   その野菜・海藻であるが、レタス-37.7%、ピーマン-34.6%、キャベツ-31.8%、はくさい-31.3%と、この4つが-30%以上下がった項目である。ついで、だいこん-27.5%、
ほうれんそう-18.5%、ねぎ-17.9%、なす -17.4%、トマト -17.4%、えのきだけ-15.3%、れんこん-14.8%、さやいんげん-14.8%、しめじ-13.9%、ブロッコリー-13.1%、きゅうり-12.0%と、これらが-10.0%以上下がった項目である。一方、野菜の中でも上がった項目もあり、アスパラガス0.8%、かんしょ6.1%、ばれいしょ9.1%、にんじん13.1%、さといも13.6%、ごぼう17.8%であるが、数は少ないといえ、野菜全体が生鮮食品、ひいては、消費者物価指数全体を押し下げているといえよう。

   このように、2011年5月度の消費者物価指数は約2年半ぶりに3つの総合指数すべてがプラスになったが、その要因を寄与度で見ると、たばこ、ガソリン、灯油の3つであるといえ、この3つが消費者物価指数全体を押し上げたといえる。一方、消費者物価指数を押し下げた項目もあり、野菜である。ただ、先の3つの項目は、これを上回る寄与度であり、野菜が全体を押し下げるまでにはならなかったといえる。したがって、当面、このプラス基調は続く可能性が高いといえるが、消費者物価全体が上昇しているわけではなく、むしろ、全体は上昇が見られないことから、物価全体は安定しているといえよう。東日本大震災の影響も一段落したといえ、復興需要が本格化するまでは、当面、物価は全体としては大きな変動がなく、安定した状況が続くのではないかと思われる。

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July 02, 2011

日経MJで小売業10年度ランキング(第44回)を公表!

   6/29の日経MJで恒例の小売業10年度ランキング、第44回が公表された。このランキングは日経新聞が「小売業を営む店舗を持つ企業及び協同組合の1,451社が対象で、4月中旬に調査票を郵送、6月中旬までに回収した。731社から有効回答を得て、総売上高が上位500位以内にランクインしている企業について集計・分析した。」というものである。注目は、この調査票を送られた時期が3/11の東日本大震災後であり、3月度決算企業については、その影響が反映されていることである。また、この調査票では今後についてもいくつかアンケートをしており、これについては、すべての企業が、大震災の影響を考慮しての回答であり、興味深い内容である。

   さて、まずは、ランキングであるが、ベスト20位までは、大きな変動はなく、あっても順位が1つ上か下であり、ベスト20は不動の順位といえよう。そのベスト3であるが、No.1はセブン&アイHの5兆1,197.39億円(0.2%)、No.2はイオン5兆965.69億円(0.8%)、そして、No.3はヤマダ電機2兆1,532.59億円(6.8%)である。全体的に売上高が伸び悩む中、ヤマダ電機は好調な伸びである。また、このベスト3を除き、1兆円を超える小売業は2社であり、No.4の三越伊勢丹Hが1兆2,207.72億円(-5.5%)、No.5のユニーが1兆1,127.81億円(-1.9%)である。以上がベスト5かつ1兆円を超える小売業である。

   ついで、上記以外の不動のベスト20であるが、No.6:J.フロントリテイリング9,501.02億円(-3.3%)、No.7:ダイエー9,118.01億円(-6.7%)、No.8:エディオン9,010.10億円(9.9%)、No.9:高島屋8,694.75億円(-0.9%)、No.10:フォーストリテイリング8,148.11億円(18.9%)であり、以上がベスト10である。そして、No.11:ケーズホールディングス7,709.47億円(18.9%)、No.12:ヨドバシカメラ7,005.18億円(2.5%)、No.13ビックカメラ6,082.74億円(3.2%)、No.14:イズミ5,023.79億円(2.1%)、No.15:ドン・キホーテ4,875.71億円(1.4%)、No.16:ライフコーポレーション4,808.21億円(2.6%)、No.17:エイチ・ツー・オーリテイリング4,650.33億円(-1.1%)、No.18:コジマ4,494.99億円(2.6%)、No.19:ローソン4,412.77億円(-5.5%)、No.20:しまむら4,410.52億円(2.4%)である。

   このベスト20を見ると、家電の好調さが鮮明である。18.9%のケーズホールディングス、9.9%のエディオン、6.8%のヤマダ電機、3.2%のビックカメラ、2.6%のコジマといれも家電企業はプラスであり、ベスト20の中ではユニクロの14.3%を除き、伸び率ベストを家電業界が独占しているといえる。昨年のエコ需要に加え、この大震災での特需が家電の売上高を押し上げたといえよう。ちなみに、食品スーパーマーケットであるが、No.14のイズミ2.1%、No.16のライフコーポレーション2.6%の2社のみであり、売上高ではまだトップクラスは少ないといえいる。

   さらに、ベスト20以下で全体の構図を見てみると、売上高3,000億円以上がNo.40前後であり、2,000億円以上がNo.60前後であり、1,000億円以上がちょうどNo.100前後である。そして、この中に、食品スーパーマーケットはNo.40以内には先の2社を含め9社、No.41からNo.60までは8社、そして、No.61からNo.100までは16社であり、合計、No.1からNo.100までに33社である。売上高では、食品スーパーマーケット業界は小売業のベスト100の中では1,000億円から2,000億円クラスが最も多いといえる。

   そして、この調査の中で、売上高以外に様々なアンケートを行っているが、その中で、今後の小売業界の動向を占う上で、重要なものとして、価格政策へのアンケートである。見出しは、「値下げ路線からの転換」、「価格政策、維持7割に」である。特に小売業の価格政策というグラフが示され、2009年度から、2010年度の計画を含めた3ケ年の折れ線グラスを示している。これを見ると、2009年度は価格を従来どおり維持が約50%、従来よりも積極的に引き下げが約50%で拮抗していた。これが2010年度になると、前者が70%近くに跳ね上がり、後者が逆に20%強まで激減し、大きくグラフが乖離しはじめた。

   問題は来期、2011年度の計画であるが、前者はさらに増え72.5%と70%を超え、後者もさらに下がり、20%を大きく割り込んでいる。その乖離はさらに広がったといえる。この2011年度は大震災の影響を受けての各小売業の意識を表しているといえ、震災以後の小売業の最大の変化は、価格政策、特に、これまでの激しい価格競争が終息し、価格凍結、ないしは、付加価値の高い商品の強化へと、見出しにあるように、「値下げ路線からの転換」であるといえよう。この価格政策は大震災を機にというよりも、昨年から顕著になった動きであるが、この大震災でその方針が改めて追認されたといえる動きである。

   このように、日経MJ恒例の小売業10年度ランキング(第44回)であるが、ベスト20の動向はこれまで同様、不動といえいるが、20位以下ではかなり激しい入れ替えも見られ、中下位での変動が起こったといえよう。このような状況の中で、食品スーパーマーケット業界はベスト100の中に33社ランクンしており、小売業界の中ではトップは少ないが、中下位では存在感のある結果であった。また、同時に行われたアンケート調査では、特に、価格戦略についての顕著な傾向が出ている。今後、小売業界はこれまでの低価格路線から、価格維持、ないしは付加価値の高い商品強化へと入ってゆくものといえ、今後の各小売業の価格戦略に注目である。


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July 01, 2011

アークス、ユニバース、本決算徹底比較、今後の戦略は?

   前回のアークス、ユニバースの経営統合のブログの補足として、双方の2011年度本決算をもとに、経営統合後、どのような経営戦略が予想されるかについて、P/L、B/S、CFの面から検討してみたい。ただ、今回の経営統合は、アークスという持株会社のもとに、アークスとユニバースがぶら下がる形であり、それぞれの独立性は保たれ、完全に経営そのものが一体化するわけではない。

   もともと、アークスは、「アークスグループは、「八ヶ岳連峰経営」をグループ運営の基本方針として掲げ、様々な企業の集合体として、共通の理念を持ちながらグループの一体運営の徹底を図りつつ、子会社各社に適切な範囲で権限を委譲しながら、グループ全体としての事業の発展に取り組んでまいりました。」との方針で取り組んできた経緯がある。今回のユニバースとの経営統合も、「八ヶ岳連峰経営」の延長と考えられ、ユニバースの独自性が十分活かされることになろう。実際、先のコメントに続け、「本経営統合後においても、アークスはユニバースを含む新アークスグループの事業推進の中核としての機能を担ってまいります。」とのことである。

   したがって、経営指標が一体化するわけではなく、これまでのP/L、B/S、CFに変化は現れると思われるが、ひとつに集約されることはないといえよう。ただ、一般に、経営統合は、経営指標が優位な方向に向かってゆくものといえ、双方の強みに双方が近づいてゆくことになってゆくといえる。また、特に、新店戦略においては、食品スーパーマーケットのここ最近の主力業態であるNSCのノウハウは、アークスの方が先行しているといえ、ユニバースの今後の新規出店戦略については、強い影響があるものといえよう。特に、ユニバースにはない業態、HCに関しては、アークスはカインズとも提携していることから、今後、ユニバースがカインズを併設することもありうる話であり、その延長としてのベイシアとの関係も気になるところである。

   さて、まずは、P/Lであるが、キャッシュを生み出す質、マーチャンダイジング力であるがアークス3.1%、ユニバース3.0%と奇しくも、ほぼ同じ水準である。その中身であるが、原価はアークス77.1%、ユニバース75.1%であり、ユニバースの方が低い。結果、売上総利益はアークス22.9%、ユニバース24.9%となり、アークスがいかにディスカウント戦略に徹しているかがわかる。一方、経費であるが、アークス19.9%、ユニバース21.9%であり、2ポイントの差がある。したがって、マーチャンダイジング力は双方約3.0%であるが、その中身は対象的な内容であり、アークスはディスカウント戦略、ユニバースは、典型的な食品スーパーマーケットといえよう。

   これが経営統合後、どのように変化するかであるが、原価に関しては、ユニバースの方向に、経費に関してはアークスの方向に動くのではないかと予想される。特に、原価は、原価率の低い生鮮食品が強いユニバースのノウハウをアークスが取り入てゆくのではないかと思う。また、経費については、アークスのディスカウント戦略をどうユニバースが取り入れてゆくかが課題となろう。

   次にB/Sであるが、キャッシュを生み出す量、すなわち、出店余力について見てみたい。アークスの出店余力は-14.5%、ユニバースは2.9%と対象的な数字である。その中身であるが、純資産比率はアークス56.7%、ユニバース63.1%であり、ユニバースがやや高い数字であるが、どちらも、安定した数字である。一方、出店にかかわる資産、土地、建物、敷金・保証金等であるが、アークス71.2%、ユニバース60.2%であり、意外な差である。ディスカウント戦略を打ち出すアークスの方が出店にかかわる資産は低いのではないかと思われるが、結果は逆、アークスの方が、総資産に占める割合は高いといえる。ただ、1店舗当たりで見ると、アークス4.15億円、ユニバース5.17億円であり、ユニバースの方が高く、SSMを主体に展開するユニバースの方が高い。結果、差し引き、出店余力はアークス-14.5%、ユニバース2.9%となる。

   そして、キャッシュの流れを決めるCFであるが、特に、投資活動によるキャッシュフローの中の新規出店にかかわる有形固定資産等であるが、アークス-26.99億円(対営業キャッシュフロー比37.2%)、ユニバース-16.93億円(対営業キャッシュフロー33.3%)であり、これを1店舗当たりの資産で割り、総店舗数で除して、出店意欲を算出するとアークス3.2%、ユニバース6.9%となり、ユニバースの方が出店意欲は高いといえる。

   このように、アークスとユニバースのキャッシュを生み出す質、マーチャンダイジング力、量、出店余力、そして、キャッシュの流れを示す、出店意欲を比較すると、マーチャンダイジング力はほぼ同じ、ただ、中身は原価低のユニバース、経費低のアークスと対象的である。出店余力はユニバース、出店意欲もユニバースであり、この2社が経営統合することにより、双方のキャッシュを生み出す質が向上し、キャッシュを生み出す量については、出店余力、出店意欲の高いユニバース主導で特に、東日本での新規出店が加速してゆくのではないかと予想される。

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