消費者物価指数(CPI)、2011年6月度、微増!
総務省統計局から7/29、2011年6月度の消費者物価指数(CPI)が公表された。消費者物価指数には総合指数が3つある。その結果であるが、「(1)総合指数は平成17年を100として99.9となり,前月比は0.1%の下落。前年同月比は0.2%の上昇となった。(2)生鮮食品を除く総合指数は99.7となり,前月比は0.2%の下落。前年同月比は0.4%の上昇となった。(3)食料(酒類を除く)及びエネルギーを除く総合指数は97.3となり,前月比は0.1%の下落。前年同月比は0.1%の上昇となった。」という結果であった。いずれの総合指数も微増となり、4月度以降、安定した数字を維持している。
実際、この結果を過去3年間の推移で見てみると、平成20年度はすべての月が昨対プラスで推移しており、7月から8月にかけてプラスのピーク、昨対2.0%強であった。その後、平成21年度に入ると、一転、昨対でマイナスとなり、9月から10月にかけてマイナスのピーク、昨対-2.0%強となった。ちょうど1年サイクルでプラスとマイナスが逆転する流れを示していた。そして、平成22年度に入ると、この流れでゆけば、プラスに転じると思われていたが、依然としてマイナスが続き、いわゆる、デフレが定着することになる。グラフの推移を見ると、9月までマイナスが続き、その後も、総合指数は10月、11月度と微増となるが、それ以外の総合指数はマイナスのまま推移する。
以上が、この3年間の消費者物価指数の昨対での推移であるが、これが今年、平成23年度に入り、3月までマイナスが継続、そして、ようやく、4月に入り、プラスに転じ、その後、5月、この6月度も微増であるが、プラスで推移している。こう見ると、やや流れが変わったように思われ、約2年に及ぶ、マイナスがプラスに転じはじめたように見える。ただ、まだ3ケ月であり、しかも、その数値は微増であり、今後、数ケ月、その推移を見守る必要があろう。
そこで、この消費者物価指数が、この6月度もプラスを維持した要因を寄与度をもとに見てみたい。まずはプラス要因であるが、何といっても最大の寄与度は0.27ポイントのたばこである。たばこの値上げがそのまま反映された形であり、いまや、たばこが日本の消費構造を大きく動かしているといえよう。実際のたばこの消費者物価指数(CPI)であるが、国産たばこ152.1(昨対39.0%増)、輸入たばこ149.0(昨対37.1%増)であり、異常値である。たばこについで、プラスとなった項目はガソリン0.18、灯油0.13、電気代0.07であり、いずれもエネルギー関連である。ここへ来て、節電に取り組む電気代が値上げとなっており、これも消費者物価を大きく押し上げているといえる。ちなみに、電気代の消費者物価指数であるが、103.0(昨対2.5%増)であり、微増であるが、寄与度は大きい。
一方、寄与度がマイナスとなった項目であるが、生鮮食品-0.17、生鮮食品を除く食料-0.11であり、これにその他-0.18となる。したがって、マイナスの寄与度が大きかった項目は食品関連のみであり、この6月度は食品関連の消費者物価指数が大きく下がった。ただ、それ以上に、たばこをはじめ、エネルギー関連のガソリン、灯油、電気代等の上昇があり、全体の消費者物価指数を押し上げたといえる。
さて、この6月度、消費者物価指数の寄与度がマイナスとなった生鮮食品、及び、生鮮食品を除く食料について、さらに、小項目にまで踏み込み、その要因を見てみたい。まずは、生鮮食品であるが、生鮮魚介-0.5%、肉類0.0%、生鮮野菜-2.4%、果物-9.7%であり、明らかに果物の数字が下がっている。その中身であるが、メロン-16.7%、さくらんぼ-16.5%、りんごB-9.3%、すいか-8.0%、バナナ-4.0%であり、軒並み大きくマイナスであり、プラスとなったのはレモン2.0%、オレンジ0.9%等である。また、生鮮野菜も-2.4%とややマイナスが大きいが、その中身は-31.7%のキャベツから22.4%のさといもまで大きくバラついており、全体としてプラスマイナスが相殺されたため、さほどマイナスにはならなかった。
ついで、生鮮食品を除く食料であるが、穀類-2.9%、油脂・調味料-1.1%、菓子類-0.7%、調理食品(惣菜)0.4%、飲料0.1%、酒類-1.2%であり、極端に下がったものはないが、比較的穀類の下げが大きかった。その中身であるが、米類-6.7%、パン-0.7%、めん類-0.7%、小麦粉-2.1%であり、米類のマイナスが大きかったといえる。したがって、米の消費者物価指数が下がったことが、生鮮食品を除く食料へ影響を与えたといえよう。
このように、2011年6月度の消費者物価指数(CPI)は、この4月以降、微増ではあるが、プラスを維持しており、やや物価は安定したといえよう。3/11の東日本大震災の影響がどのように消費者物価にあらわれるかが懸念されたが、4月度以降プラスで推移していることから比較的影響は少なかったといえよう。ただ、このプラス要因の最大の寄与度がたばこであるので、たばこがいかに消費全体に影響を与えているかがわかる。今後、この安定した微増の消費者物価の状態が続いてゆくのか、次回、7月度の結果が気になるところである。
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