日経MJで小売業10年度ランキング(第44回)を公表!
6/29の日経MJで恒例の小売業10年度ランキング、第44回が公表された。このランキングは日経新聞が「小売業を営む店舗を持つ企業及び協同組合の1,451社が対象で、4月中旬に調査票を郵送、6月中旬までに回収した。731社から有効回答を得て、総売上高が上位500位以内にランクインしている企業について集計・分析した。」というものである。注目は、この調査票を送られた時期が3/11の東日本大震災後であり、3月度決算企業については、その影響が反映されていることである。また、この調査票では今後についてもいくつかアンケートをしており、これについては、すべての企業が、大震災の影響を考慮しての回答であり、興味深い内容である。
さて、まずは、ランキングであるが、ベスト20位までは、大きな変動はなく、あっても順位が1つ上か下であり、ベスト20は不動の順位といえよう。そのベスト3であるが、No.1はセブン&アイHの5兆1,197.39億円(0.2%)、No.2はイオン5兆965.69億円(0.8%)、そして、No.3はヤマダ電機2兆1,532.59億円(6.8%)である。全体的に売上高が伸び悩む中、ヤマダ電機は好調な伸びである。また、このベスト3を除き、1兆円を超える小売業は2社であり、No.4の三越伊勢丹Hが1兆2,207.72億円(-5.5%)、No.5のユニーが1兆1,127.81億円(-1.9%)である。以上がベスト5かつ1兆円を超える小売業である。
ついで、上記以外の不動のベスト20であるが、No.6:J.フロントリテイリング9,501.02億円(-3.3%)、No.7:ダイエー9,118.01億円(-6.7%)、No.8:エディオン9,010.10億円(9.9%)、No.9:高島屋8,694.75億円(-0.9%)、No.10:フォーストリテイリング8,148.11億円(18.9%)であり、以上がベスト10である。そして、No.11:ケーズホールディングス7,709.47億円(18.9%)、No.12:ヨドバシカメラ7,005.18億円(2.5%)、No.13ビックカメラ6,082.74億円(3.2%)、No.14:イズミ5,023.79億円(2.1%)、No.15:ドン・キホーテ4,875.71億円(1.4%)、No.16:ライフコーポレーション4,808.21億円(2.6%)、No.17:エイチ・ツー・オーリテイリング4,650.33億円(-1.1%)、No.18:コジマ4,494.99億円(2.6%)、No.19:ローソン4,412.77億円(-5.5%)、No.20:しまむら4,410.52億円(2.4%)である。
このベスト20を見ると、家電の好調さが鮮明である。18.9%のケーズホールディングス、9.9%のエディオン、6.8%のヤマダ電機、3.2%のビックカメラ、2.6%のコジマといれも家電企業はプラスであり、ベスト20の中ではユニクロの14.3%を除き、伸び率ベストを家電業界が独占しているといえる。昨年のエコ需要に加え、この大震災での特需が家電の売上高を押し上げたといえよう。ちなみに、食品スーパーマーケットであるが、No.14のイズミ2.1%、No.16のライフコーポレーション2.6%の2社のみであり、売上高ではまだトップクラスは少ないといえいる。
さらに、ベスト20以下で全体の構図を見てみると、売上高3,000億円以上がNo.40前後であり、2,000億円以上がNo.60前後であり、1,000億円以上がちょうどNo.100前後である。そして、この中に、食品スーパーマーケットはNo.40以内には先の2社を含め9社、No.41からNo.60までは8社、そして、No.61からNo.100までは16社であり、合計、No.1からNo.100までに33社である。売上高では、食品スーパーマーケット業界は小売業のベスト100の中では1,000億円から2,000億円クラスが最も多いといえる。
そして、この調査の中で、売上高以外に様々なアンケートを行っているが、その中で、今後の小売業界の動向を占う上で、重要なものとして、価格政策へのアンケートである。見出しは、「値下げ路線からの転換」、「価格政策、維持7割に」である。特に小売業の価格政策というグラフが示され、2009年度から、2010年度の計画を含めた3ケ年の折れ線グラスを示している。これを見ると、2009年度は価格を従来どおり維持が約50%、従来よりも積極的に引き下げが約50%で拮抗していた。これが2010年度になると、前者が70%近くに跳ね上がり、後者が逆に20%強まで激減し、大きくグラフが乖離しはじめた。
問題は来期、2011年度の計画であるが、前者はさらに増え72.5%と70%を超え、後者もさらに下がり、20%を大きく割り込んでいる。その乖離はさらに広がったといえる。この2011年度は大震災の影響を受けての各小売業の意識を表しているといえ、震災以後の小売業の最大の変化は、価格政策、特に、これまでの激しい価格競争が終息し、価格凍結、ないしは、付加価値の高い商品の強化へと、見出しにあるように、「値下げ路線からの転換」であるといえよう。この価格政策は大震災を機にというよりも、昨年から顕著になった動きであるが、この大震災でその方針が改めて追認されたといえる動きである。
このように、日経MJ恒例の小売業10年度ランキング(第44回)であるが、ベスト20の動向はこれまで同様、不動といえいるが、20位以下ではかなり激しい入れ替えも見られ、中下位での変動が起こったといえよう。このような状況の中で、食品スーパーマーケット業界はベスト100の中に33社ランクンしており、小売業界の中ではトップは少ないが、中下位では存在感のある結果であった。また、同時に行われたアンケート調査では、特に、価格戦略についての顕著な傾向が出ている。今後、小売業界はこれまでの低価格路線から、価格維持、ないしは付加価値の高い商品強化へと入ってゆくものといえ、今後の各小売業の価格戦略に注目である。
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