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July 01, 2011

アークス、ユニバース、本決算徹底比較、今後の戦略は?

   前回のアークス、ユニバースの経営統合のブログの補足として、双方の2011年度本決算をもとに、経営統合後、どのような経営戦略が予想されるかについて、P/L、B/S、CFの面から検討してみたい。ただ、今回の経営統合は、アークスという持株会社のもとに、アークスとユニバースがぶら下がる形であり、それぞれの独立性は保たれ、完全に経営そのものが一体化するわけではない。

   もともと、アークスは、「アークスグループは、「八ヶ岳連峰経営」をグループ運営の基本方針として掲げ、様々な企業の集合体として、共通の理念を持ちながらグループの一体運営の徹底を図りつつ、子会社各社に適切な範囲で権限を委譲しながら、グループ全体としての事業の発展に取り組んでまいりました。」との方針で取り組んできた経緯がある。今回のユニバースとの経営統合も、「八ヶ岳連峰経営」の延長と考えられ、ユニバースの独自性が十分活かされることになろう。実際、先のコメントに続け、「本経営統合後においても、アークスはユニバースを含む新アークスグループの事業推進の中核としての機能を担ってまいります。」とのことである。

   したがって、経営指標が一体化するわけではなく、これまでのP/L、B/S、CFに変化は現れると思われるが、ひとつに集約されることはないといえよう。ただ、一般に、経営統合は、経営指標が優位な方向に向かってゆくものといえ、双方の強みに双方が近づいてゆくことになってゆくといえる。また、特に、新店戦略においては、食品スーパーマーケットのここ最近の主力業態であるNSCのノウハウは、アークスの方が先行しているといえ、ユニバースの今後の新規出店戦略については、強い影響があるものといえよう。特に、ユニバースにはない業態、HCに関しては、アークスはカインズとも提携していることから、今後、ユニバースがカインズを併設することもありうる話であり、その延長としてのベイシアとの関係も気になるところである。

   さて、まずは、P/Lであるが、キャッシュを生み出す質、マーチャンダイジング力であるがアークス3.1%、ユニバース3.0%と奇しくも、ほぼ同じ水準である。その中身であるが、原価はアークス77.1%、ユニバース75.1%であり、ユニバースの方が低い。結果、売上総利益はアークス22.9%、ユニバース24.9%となり、アークスがいかにディスカウント戦略に徹しているかがわかる。一方、経費であるが、アークス19.9%、ユニバース21.9%であり、2ポイントの差がある。したがって、マーチャンダイジング力は双方約3.0%であるが、その中身は対象的な内容であり、アークスはディスカウント戦略、ユニバースは、典型的な食品スーパーマーケットといえよう。

   これが経営統合後、どのように変化するかであるが、原価に関しては、ユニバースの方向に、経費に関してはアークスの方向に動くのではないかと予想される。特に、原価は、原価率の低い生鮮食品が強いユニバースのノウハウをアークスが取り入てゆくのではないかと思う。また、経費については、アークスのディスカウント戦略をどうユニバースが取り入れてゆくかが課題となろう。

   次にB/Sであるが、キャッシュを生み出す量、すなわち、出店余力について見てみたい。アークスの出店余力は-14.5%、ユニバースは2.9%と対象的な数字である。その中身であるが、純資産比率はアークス56.7%、ユニバース63.1%であり、ユニバースがやや高い数字であるが、どちらも、安定した数字である。一方、出店にかかわる資産、土地、建物、敷金・保証金等であるが、アークス71.2%、ユニバース60.2%であり、意外な差である。ディスカウント戦略を打ち出すアークスの方が出店にかかわる資産は低いのではないかと思われるが、結果は逆、アークスの方が、総資産に占める割合は高いといえる。ただ、1店舗当たりで見ると、アークス4.15億円、ユニバース5.17億円であり、ユニバースの方が高く、SSMを主体に展開するユニバースの方が高い。結果、差し引き、出店余力はアークス-14.5%、ユニバース2.9%となる。

   そして、キャッシュの流れを決めるCFであるが、特に、投資活動によるキャッシュフローの中の新規出店にかかわる有形固定資産等であるが、アークス-26.99億円(対営業キャッシュフロー比37.2%)、ユニバース-16.93億円(対営業キャッシュフロー33.3%)であり、これを1店舗当たりの資産で割り、総店舗数で除して、出店意欲を算出するとアークス3.2%、ユニバース6.9%となり、ユニバースの方が出店意欲は高いといえる。

   このように、アークスとユニバースのキャッシュを生み出す質、マーチャンダイジング力、量、出店余力、そして、キャッシュの流れを示す、出店意欲を比較すると、マーチャンダイジング力はほぼ同じ、ただ、中身は原価低のユニバース、経費低のアークスと対象的である。出店余力はユニバース、出店意欲もユニバースであり、この2社が経営統合することにより、双方のキャッシュを生み出す質が向上し、キャッシュを生み出す量については、出店余力、出店意欲の高いユニバース主導で特に、東日本での新規出店が加速してゆくのではないかと予想される。

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July 1, 2011 in 経済・政治・国際 |

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