流通倶楽部セミナー、ご清聴ありがとうございました。
7/13(水)、(株)ダイヤモンド・フリードマン社、学習院マネジメントスクール共催、(株)プラネット協賛のDAIAMOND流通倶楽部セミナーで講師を務めた。テーマは「震災後の全国POSデータを徹底分析、消費行動の激変を読む!」であり、今年の3月度、4月度の全国のPOSデータの昨対比較をもとに、3/11の東日本大震災後の消費動向を解説した。また、POSデータ分析だけでは消費行動をつかみにくいと思い、これに、家計調査データからの消費動向、さらには、経営面から3月度決算企業の震災の影響度の経営分析を加え、3D、3次元で震災後の消費行動を読み解いた。60分という持ち時間であったため、密度の濃い講演となったが、すべて生データであり、今後、有事の際に役立てていただけるのではないかと思う。
私の前には(株)Rリンクの鈴木敏仁氏が「巨大小売業が変える西友、そして、日本流通」と題し、講演された。特に、ウォルマートの最新動向、「プロジェクトインパクトの失敗と修正」をメインに、いま、ウォルマートがどのように変革に取り組んでいるかを解説された。特に印象的だったのは、プロジェクトインパクトの失敗の要因が品揃えの極端な絞り込みで客離れを起こしたことに加え、通路での訴求をやめてしまったことであり、さらに、その背景に守旧派と改革派の激しいバトルがあったとのことである。いまは、この失敗により、原点のEDLPに返っているとのことであった。
また、私の講演後には、(株)マルダの渡辺太郎氏が「必要とされ続けた小売業と、これからの願い」と題し、特に、ヨークベニマルの事例をもとに福島の現状を中心に被災状況、被災後について講演された。見えない放射能との戦いが、いま現在も続いているとのことで、改めて、東日本大震災、特に、原発の影響がいかに甚大であるかを解説された。また、渡辺氏は販促が専門であり、主要食品スーパーマーケットの3月度のちらしについて解説されていたが、3月度はちらしがほとんど打てない状況であったとのことである。食品スーパーマーケットの3月度決算、第1四半期決算には原価率の下降が鮮明であるが、これは原価が下がったというよりも、ちらしでの訴求が十分にできず、売価が下がらなかったことにあると納得した。
さて、私の講演内容であるが、まずは、被災地、東北で3月度、昨対300%を超えたカテゴリーの解説から入った。今回のPOSデータはTOPNAI-NET提供のRDS(財団法人流通システム開発センター)、全国422店舗のPOSデータを独自に分析したものである。食品約250カテゴリー、雑貨約100カテゴリー、日用雑貨約150カテゴリー、合計約500カテゴリー、単品では約20万件のPOSデータをもとに、まとめたものである。この膨大なPOSデータの分析の結果、得られた東北地区3月度昨対300%以上のカテゴリーは水518.8%(食品)、魚肉ハム347.5%(食品)、包装餅317.2%(食品)、マスク384.9%(雑貨)、ウェットティッシュ310.3%(雑貨)、フラッシュライト396.9%(日用品)、ガス部品396.2%(日用品)の7カテゴリーである。まさに、神7であり、この7つのカテゴリーが被災時における最重点カテゴリーとして、抽出された。
講演ではこれ以外に、3月度昨対200%以上をAランク、4月昨対150%以上をBランクとして、AA、AB、BA、BBの4つに全カテゴリーを分け、一覧表にして東北だけでなく、全国平均、北海道、東北、京浜、関東、北陸、東海、近畿、中四国、九州を横ざしで比較できるような数表を工夫し、これをもとに、詳細な解説を加えた。したがって、この生データをもとに、今後、有事があった際には、まずは300%以上の神7を、そしてAA、ABを優先し、ついでBA、BBと重点管理してゆけば、消費者のライフラインを守ることができるのではないかと思う。
さらに、講演の中では、このPOSデータの解説に加え、家計調査データ、特に、仙台市のデータを中心に解説した。残念ながら、現時点でも福島市のデータは0件であり、しかも、仙台市のデータも3月度は0件であり、講演では4月度の仙台市の家計調査データをもとに解説した。この中で最も印象に残ったのは現像焼付代1,573.2%であり、今後、食品スーパーマーケットとしても、被災後、現像焼付は特別に対応できる体制を作るべきであろう。また、この家計調査データに加え、食品スーパーマーケットの3月度決算企業の経営分析結果も解説したが、ポイントは2点、原価の改善が進み、利益が上昇したことと、その利益が内部留保に回り、現金をしっかり確保し、次の有事に備えたことである。
このように、今回の講演では私が持てる力をフルに発揮し、膨大なPOSデータと格闘し、何とか、今後の食品スーパーマーケットにとって有事の際に役立てていただけるPOS分析結果をご提示できたのではないかと思う。今回、参加された方は約80名とのことであり、食品スーパーマーケットよりも、メーカー、卸の方が多かったとのことである。是非、メーカー、卸の方は関係先の食品スーパーマーケットに、今回のPOS分析結果を参考データとして、ご提示いただき、有事の際に役立てていただければ幸いである。
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