改めて、東日本大震災の影響を統計から見る、その2!
前回は、総務省統計局が公表したサービス産業動向調査から東日本大震災がサービス産業に与えた影響について解説したので、今回は家計調査結果(二人以上の世帯)における震災の影響、小売物価統計調査(全国4月分)の一部品目に係る東日本地域の県庁所在市別小売価格に関する速報値の2つについて見てみる。
さて、家計調査結果であるが、ここでは様々な角度から、東日本大震災の影響を分析しているが、少し角度を変え、寄付金の動向から見てみたい。最新の分析結果としては7/29に公表された「寄付金への支出金額の推移」を見てみると、平成7年(阪神淡路大震災の年)、平成16年、そして、今期、平成23年の3つの時期を比較しているが、東日本大震災の発生した3月度は1世帯当たりの寄付金が2,083円(平成16年177円、平成7年217円)であるので、通常の10倍近い数字となっており、異常値である。ちなみに、阪神淡路大震災が発生した平成7年1月の数字は247円(平成16年142円、平成7年1,841円)であるので、これを上回る数字であり、それだけ、東日本大震災の日本全体の家計へのインパクトが大きかったといえよう。その後、4月1,580円(129円、214円)、5月622円(233円、268円)、6月242円(207円、224円)と推移しており、6月度でほぼ通常の数字にもどったといえよう。
ついで、4/29に公表された「東日本大震災の発生により消費行動に大きな影響がみられた主な品目等」を見てみたい。まずは、全体像であるが、消費支出及び主な費目別内訳の日別支出(名目金額指数)の推移のグラフを見ると、3/11以降、はじめの1週間の状況が特に変化が激しい動きを示している。意外なことに、食料全体はやや上昇気味であるが、ほぼ横ばいで推移している。その後、月末までこのような状況で推移し、大きな変化はないといえる。もちろん、個々の状況は後で見るように激しい変動があったが、全体は意外に落ち着いた推移であるといえる。これに対して、3/11以降、大きく下がった費目であるが、被服及び履物、そして、教養娯楽である。この2つはほぼ同じ動きを示しており、3/11以降、3/18までのほぼ1週間大きく落ち込み、その後、3/19急激に上昇し、3/25頃から横ばいとなっており、激しい変動である。
では、個々品目ではどのような影響があったかであるが、3月度の数字を特に食料で見てみると、米(名目10.8、実質19.5、寄与度0.13)、乾うどん・そば(12.5、13.8、0.00)、スパゲッティ(15.3、22.5、0.01)、カップめん(40.8、43.2、0.04)、即席めん(29.7、31.9、0.02)、もち(37.2、43.7、0.01)、魚介の缶詰(39.8、41.6、0.02)、粉ミルク(39.7、41.7、0.01)、ヨーグルト(-6.4、-4.8、-0.01)、納豆(-6.1、-4.3、0.00)、ミネラルウォーター(148.8、161.3、0.08)、食事代(-14.1、-14.2、-0.47)、飲酒代(-35.6、-35.7、-0.19)となる。
これをさらに日別グラフで見ると、ミネラルウォーターのみがほぼ1ケ月間通して、大きく昨対を上回っており、異常値である。これ以外のプラスとなった品目はほぼ、3/11以降、はじめの1週間で大きな山ができ、その後は、ほぼ昨年並みの数字となっている。また、マイナス品目は大きな山はなく、全体的に昨年を下回っている状況である。日別の状況では品目によって、動きが大きく違い、連続して大きくプラスになるもの、はじめの1週間が大きな山となるもの、連続してマイナスとなるものと分かれ、大部分の品目ははじめの1週間が大きな山となっているといえる。
そして、3つ目、小売物価統計調査であるが、この調査は被災地、東北の主要都市及び全国の主要都市の主要な品目の小売価格の調査であり、3月度と4月度の価格を比較している。その結果であるが、被災地、福島で110%以上物価上昇が見られる品目は、鶏卵1パック・10個、3月度211円、4月度266円、126.1%、生理用ナプキン1袋・20個、3月度298円、4月度351円、117.8%、牛乳(店頭売り, 紙容器入り)1本・1,000mL、3月度191円、4月度221円、115.7%、食パン1kg、3月度390円、4月度444円、113.8%、灯油18L、3月度1,560円、4月度1,728円、110.8%である。ちなみに、東京都区部では鶏卵1パック・10個、3月度232円、4月度265円、114.2%、納豆1パック・50g×3 or 45g×3、3月度107円、4月度119円、111.2%の2日もウォルマートのみであり、福島の方が比較的物価上昇が見られるが、極端な食料品の物価上昇は見られないといえよう。
このように、改めて、3/11の東日本大震災の影響を、総務省が公表したサービス産業、家計調査、そして、小売物価の3つの統計数値から見てみた。サービス産業ではキャンセル、営業時間が大きな影響であり、家計調査では何といっても水の影響が長期的に厳しい結果であったが、それ以外の品目は、はじめの1週間が大きなインパクトであったが、その後は比較的落ち着いた動向を示していた。そして、小売物価では、一部の品目を除き、比較的物価の上昇は見られなかったといえる。こう見ると、震災自身は大規模かつ破壊的な結果を東日本の広範囲にもたらしたが、そのような中で、家計も小売りも比較的落ち着いて対応した様子が伺われる。今後、急ピッチで被災地の復旧が進むと思われるが、まだまだ十部に復旧はなされているとはいえず、1日も早い被災地の復興を望みたいところである。
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