マルヤ、2012年2月期、中間決算、依然厳しい状況!
食品スーパーマーケット業界、2012年2月期の中間決算の公表がスタートした。9/28、マルヤが中間決算を公表、来週以降、続々と各社の中間決算の公表が予想されており、今後の食品スーパーマーケット業界の動向を占う上で重要な決算となる。特に、2月期決算企業は、2010年3月から、2011年8月度までが中間期間となるため、3/11の東日本大震災の影響、今期から適用となる資産除去債務会計基準の適用に伴う影響が発生するため、決算結果にどのような影響が生じるかが焦点となる。
さて、マルヤの2012年2月期の中間決算の結果であるが、営業収益133.55億円(-1.0%)、営業利益0.24億円(昨年は赤字)、経常利益0.35億円(昨年は赤字)、当期純利益(-2.26億円)と、減収、営業、経常利益はプラスとはなったが、まだわずかであり、当期純利益は赤字と厳しい状況が続いている。マルヤ自身も、その他情報として、「継続企業の前提に関する重要事象等の概要」を公表しており、この中で、「当社は、平成19年2月期(第45期)以降営業損失を、また平成18年2月期(第44期)以降前事業年度まで営業活動によるキャッシュ・フローのマイナスを計上しております。・・」と厳しい経営状況にあり、続けて、「当該状況により当社には、将来にわたって事業活動を継続するとの前提に重要な疑義を生じさせるような状況が存在しております。」とのことである。いかに、厳しい経営状況にあるかがわかる。
これを踏まえ、マルヤでは、重点政策として、①荒利の改善、②コスト構造の改善、③人材の育成に取り組み、「当社は当該状況を確実に解消すべく、引き続き下記の施策に取り組んでおります。」とのことである。特に、①、②はまさに、マーチャンダイジング力の改善といえ、いかに、食品スーパーマーケットにとって、マーチャンダイジング力が経営の根幹を支えているかがわかる。その具体策であるが、①は取扱商品構成の見直し、発注精度の向上、新規商品の開発、在庫の削減等であるという。②はコスト削減に加え、「既存店舗の損益状況を踏まえ、店舗運営を継続するか否かを機動的に判断し、不採算店舗については、早急に改善策を講じる等の対策を迅速に行ってまいります。」とのことで、店舗運営の継続にまで踏み込むとのことで、食品スーパーマーケットにとって、いかに、不採算店舗がコストに重くのしかかっているかがわかる。
そこで、マルヤのマーチャンダイジング力について見てみたい。まずは、原価であるが、77.06%(昨年78.80%)となり、1.74ポイント改善した。結果、売上総利益、いわゆる、粗利は22.94%(昨年21.20%)と上昇した。まさに、①荒利の改善が進んでいるといえる。マルヤ自身も、「生鮮部門の強化を図るとともに、新規商品の発掘、発注精度の向上、在庫の削減に注力した結果、売上総利益率は前年同期比1.7ポイント改善し、・・」とコメントしており、売上総利益の改善が進みつつあるといえよう。
一方、経費の方であるが、29.57%(昨年29.68%)と0.11ポイント改善した。ただ、29%台は食品スーパーマーケット業界の2011年度の決算公開企業約50社の平均が25.18%であるので、食品スーパーマーケットとしては、かなり高めの経費である。マルヤ自身は今期経費削減に取り組む一方、「店舗面におきましては、3月にインパクト佐倉小竹店(千葉県佐倉市)、6月に和戸店(埼玉県南埼玉郡)を開設いたしました。その一方、不採算店舗の1店舗を閉鎖し、第2四半期末店舗数は51店舗となりました。」とのことで、不採算店舗の閉鎖も実施しており、これも、経費削減に寄与したといえよう。
ちなみに、マルヤの出店に関わる資産であるが、前期決算時は、土地、建物、敷金保証金等の合計を店舗数で割った数字は1.82億円と、食品スーパーマーケット業界が約6億円前後であるので、極めて小さな資産の取得で出店ができる構造であり、居抜き出店等含めた家賃等経費をかけた出店構造であるといえ、ここからも、不採算店舗の閉鎖は経費削減に大きく寄与するといえよう。
結果、差し引き、商品売買から得られる利益、マーチャンダイジング力は-6.63%(昨年-8.48%)と、原価、経費ダブルでの改善により、依然として大きくマイナスではあるが、改善した。これに不動産収入、物流収入等のその他営業収入が6.84%(昨年5.31%)加わり、営業利益は0.21%(昨年-3.17%)と赤字から黒字に転じた。今期は、その他営業収入も1.53ポイントと大きく改善しており、結果、営業利益を原価、経費、その他営業収入と、トリプルで引き上げており、これが、営業利益が赤字から黒字に転じた要因といえる。
このようにマルヤは経営が極めて厳しい状況に置かれているが、この中間決算においては、経営改革の柱としているマーチャンダイジング力、すなわち、原価と経費の改善がともに進み、さらに、その他営業収入もプラスになった。結果、営業利益を押し上げており、昨年の赤字から黒字に転換、一息ついた感があるが、まだそのプラスはわずかであり、特に、今期は資産除去債務会計基準の適用に伴う影響1.62億円を計上したため、当期純利益は依然として、赤字が続いている。マルヤとしては、特に、経費比率をいかに下げるか、コスト削減と不採算店舗の閉鎖、そして、既存店の活性化が当面の課題といえよう。今後、後半、さらに、経営改革が必須といえ、マルヤがどのような思いきった政策を打ち出すか、その動向に注目である。
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