マックスバリュ東海、2012年2月期中間、増収増益!
マックスバリュ東海が10/5、2012年2月期の中間決算を公表した。結果は、売上高804.27億円(5.0%)、営業利益24.55億円(32.6%)、経常利益24.41億円(32.6%)、当期純利益7.48億円(54.0%)となり、増収、大幅増益となる好決算となった。特に、今期は、新たに2月度決算企業に適用される資産除去債務会計基準の適用に伴う影響額が加わり、マックスバリュ東海も4.67億円計上している。さらに、これ以外にも、東日本大震災の災害による損失2.54億円、その他の特別損失が発生し、合計15.81億円と多額の損失計上となったが、これを上回る利益の増加となり、当期純利益も大幅な増益となった。
余談だが、マックスバリュ東海は決算短信において、売上高という名目で数字を公表しているが、決算公開企業約50社の大多数、約70%は営業収益という名目で公表している。これは、売上高に、その他営業収入である不動産収入、物流収入等を加えた総収入であり、売上高よりも大きな数字となる。通常売上高からはじまる企業はその他営業収入を計上していない場合が多いが、マックスバリュ東海はその他営業収入も別途計上されており、敢えて売上高を全面に出した決算の公表といえる。それだけ、食品スーパーマーケット本来の商品売買からの収入を重視しての判断であるといえよう。
さて、この中間決算において、マックスバリュ東海が大幅な増益となった要因を、まずは、営業利益の原価、経費面から見てみたい。その原価であるが、75.27%(昨年75.14%)と、若干上昇している。結果、売上総利益は24.73%(昨年24.86%)となった。マックスバリュ東海としては、「イオンのプライベートブランドである「トップバリュ」の3つの基本ブランド(トップバリュ セレクト、トップバリュ、ベストプライス by TOPVALU)の品揃えをより一層充実させることにより、お客さまの生活プランやスタイルに応じた商品提供機会の拡充を図りました。これらの取組みにより当第2四半期累計期間におけるトップバリュの売上構成比は11.7%(前年同期は9.5%)となりました。」とのことであり、PBを強化したが、全体の原価を引き下げるまでにはいかなかったようである。
一般に、PBを通じて原価を引き下げるには、PBの売上構成比をいかに引き上げるかが課題となる。仮に、PBの売上構成比が10%でNBとの原価の差が5%であった場合、相乗積から、0.5%の貢献度となる。したがって、確実に全体に影響を与えるためには、20%のPB比率、原価差5%、相乗積1%は欲しいところであり、さらに、PB比率を30%、40%へと引き上げたいところといえよう。したがって、マックスバリュ東海としても、現状のPBの売上構成比11.7%をさらに引き上げてゆくものと思われる。
一方、経費の方であるが、23.41%(昨年24.42%)と、1.01ポイントと大きく削減した。これについて、マックスバリュ東海は、「経費面におきましては、夏期の電力使用制限の要請に呼応して、省エネ設備の導入や、店内外の照明の一部消灯を徹底し、使用電力の削減に努めました。また、引き続きオペレーション改革に取り組み、投入人時基準に基づく作業の推進とアウトパック商品などの拡大による作業の省力化を図ることにより、生産性の向上に努めました。これらの取組みにより、販売費及び一般管理費は既存店ベースで対前年同期比96.4%となりました。」 とのことで、生産性の向上が大きかったとのことである。
結果、差し引き、商品売買から得られる利益、マーチャンダイジング力は1.32%(昨年0.44%)と、大きく改善した。経費削減効果がマーチャンダイジング力に顕著に表れたといえよう。そして、これに、先に解説した、不動産収入、物流収入等のその他営業収入が1.74%(昨年1.98%)加わり、営業利益は3.06%(昨年2.42%)と、大幅な増益となった。やや気になるのは、営業利益を構成する3つの要素、原価、経費、その他営業収入の内、改善されているのは経費のみである点である。残りの2つ、原価、その他営業収入は、むしろ、厳しい状況であり、今後、後半にかけて課題となろう。
これに対して売上高であるが、5.0%と、利益に加えやや伸び悩んでいるが、その要因は、既存店が99.3%と昨年をわずかに下回り、新店も、「店舗展開におきましては、3月に開設した2店舗に続き、6月にはマックスバリュエクスプレス大仁店(静岡県伊豆の国市)を開設いたしました。マックスバリュエクスプレス業態は、「便利さ」に特化した小型店舗として、売場や商品のわかり易さ、商品の選び易さ、価格のわかり易さを追求することにより、ショートタイム・ショッピングを実現することをコンセプトにしたスーパーマーケットを目指しております。また、7月には、5月のザ・ビッグ山梨中央店に続き、浜松葵町店をザ・ビッグに業態転換し、リニューアルオープンいたしました。」と、3店舗にとどまったことである。マックスバリュ東海は現在93店舗であるので、前半5店舗、後半5店舗は欲しいところといえ、後半に期待といえよう。
このように、2012年2月期の中間決算は増収、大幅増益となったが、やや気になるのは増益が原価、経費をバランスよく改善したことではなく、原価の上昇を経費の大幅削減で補ったことである。特に原価の低いPBの構成比が上昇しているにも関わらず、原価が上がってており、今後、PB比率を一層引き上げると同時に、原価の低い生鮮食品の強化等も課題となろう。今後、マックスバリュ東海が、後半へ向けて、どのようなマーチャンダイジング戦略を打ち出すか注目である。
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