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October 2011

October 31, 2011

ベルク、2012年2月期、中間、増収増益!

   ベルクが10/5、2012年2月期、中間決算を公表した。結果は営業収益611.43億円(11.7%)、営業利益36.63億円(42.1%)、経常利益37.74億円(40.9%)、当期純利益19.94億円(33.1%)となり、増収、大幅増益となる好決算となった。特に、当期純利益は、2月期決算企業は、今期から適用された資産除去債務会計基準の適用に伴う影響額が発生し、ベルクも-2.37億円計上しているが、これを吸収しての大幅な増益である。しかも、この中間決算は各食品スーパーマーケットがいずれも売上げが伸び悩んでいるが、ベルクは営業収益が11.7%と、2桁の増収であり、バラスン良く、収益を伸ばしており、理想的な中間決算となった。

   そこで、まずは、営業収益が11.7%増収となった要因であるが、「店舗展開におきましては、平成23年6月埼玉県さいたま市に「さいたま吉野町店」及び埼玉県川越市に「川越むさし野店」2店舗を新規出店するとともに、競争力の強化及び当社が目指す標準化の推進のため既存店3店舗の改装並びに夏季の電力不足への対策を実施いたしました。」とのことで、新規出店に加え、既存店の改装も並行して実施しており、これらが増収に大きく、寄与したといえよう。

   次に、営業利益が42.1%と驚異的な伸びとなった要因を原価、経費面から見てみたい。ちなみに、ベルクの昨年度、2011年度2月期の中間決算の結果であるが、営業収益547.48億円(3.0%)、営業利益25.77億円(10.6%)、経常利益26.79億円(8.5%)、 当期純利益14.98億円(10.6%)であり、昨年度も増収増益の好決算であった。したがって、今期はそれ以上の好決算であるので、いかに、この中間決算の数字が驚異的な数字であるかがわかる。ちなみに、ベルクの株価であるが、この中間決算が公表されるまでは1,100円前後で推移していたが、公表直前あたりから株価はにわかに上昇しはじめ、中間決算後には1,200円を超えた。ただ、ここ最近はやや下がり気味であり、1,150円前後で推移している。

   さて、原価であるが、74.11%(昨年74.39%)と0.28ポイント減少した。結果、売上総利益は25.89%(昨年25.61%)と改善した。これについて、ベルクは「スーパーマーケットとして地域社会のお客様の生活をサポートするという社会的役割を果たすため、企業集団の総力を挙げ、自社物流センターを最大限に活用した商品調達を行い、安定的な商品供給を行いました。」とのことで、物流センターの活用が大きかったとのことである。

   一方、経費の方であるが、21.22%(昨年22.33%)と1.11ポイントと、大きく減少した。これについて、ベルクは「店舗運営におきましては、当企業集団の最大の特長である標準化された企業体制を基盤に、LSP(作業割当システム)の定着化、適正な人員配置を図り、効率的なチェーンオペレーションを継続的に推進しております。これにより販売管理費を削減するだけでなく、購買頻度の高い商品群のさらなる価格強化及び売場づくりの活性化を図り、地域社会の皆様のニーズに応えております。」とのことで、効率的なチェーンオペレーションが寄与したとのことである。

   余談だが、ベルクの中間決算のコメントは的確であり、数字の意義をよく理解した内容である。本来決算書のコメントは、特にP/L(損益計算書)においては、原価、経費面から数字の変化の要因をコメントすべきであると思うが、なかなか、ベルクのような的を射たコメントが少ないのが現状である。株主へのディスクローズの一環としても、上場企業は決算書において、的確なコメントを望みたいところである。

   結果、差し引き、商品売買から得られる利益、マーチャンダイジング力は、4.67%(昨年3.28%)と、大きく改善した。原価、経費、双方、特に、経費の大幅改善がマーチャンダイジング力を力強く押し上げたといえよう。そして、これに、不動産収入、物流収入等のその他営業収入が1.44%(昨年1.53%)加わり、営業利益は6.11%(昨年4.81%)と、高収益となった。ちなみに、ベルクはその他営業収入に加え、営業原価も提示しており、ディスクローズが徹底している。なかなか、ここまで数字を正確に計上するケースはなく、精度の高い決算書といえる。

   この好決算を受けて、キャッシュフローも好調であるが、興味深いのはベルクが大きく増加したキャッシュを投資と内部留保、現金に充てていることである。もともと、財務状況が良好であるので、攻めと守りの双方にキャッシュの配分が可能であるといえるが、これをみる限り、ベルクは後半以降も高い成長率と、高収益が期待できるのではないかと思う。

   このように、ベルクの2012年2月期の中間決算は増収大幅増益の好決算となった。特に営業利益は42.1%増と驚異的な伸びであり、営業利益率も6.11%と極めて高い数字である。原価の改善に加え、経費が大きく削減されており、これが高収益をもたらした最大の要因といえる。しかも、営業収益も11.7%増と、成長性も維持しており、理想的な中間決算といえる。さらに、キャッシュフローの配分も攻めと守り双方にバランスよく配分しており、今後、後半に向けての経営体制が整ったといえる。ベルクがこの中間における好決算を踏まえ、今後、どのような経営戦略を打ち出すか、その動向に注目である。

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October 30, 2011

マックスバリュ東海、2012年2月期中間、増収増益!

   マックスバリュ東海が10/5、2012年2月期の中間決算を公表した。結果は、売上高804.27億円(5.0%)、営業利益24.55億円(32.6%)、経常利益24.41億円(32.6%)、当期純利益7.48億円(54.0%)となり、増収、大幅増益となる好決算となった。特に、今期は、新たに2月度決算企業に適用される資産除去債務会計基準の適用に伴う影響額が加わり、マックスバリュ東海も4.67億円計上している。さらに、これ以外にも、東日本大震災の災害による損失2.54億円、その他の特別損失が発生し、合計15.81億円と多額の損失計上となったが、これを上回る利益の増加となり、当期純利益も大幅な増益となった。

   余談だが、マックスバリュ東海は決算短信において、売上高という名目で数字を公表しているが、決算公開企業約50社の大多数、約70%は営業収益という名目で公表している。これは、売上高に、その他営業収入である不動産収入、物流収入等を加えた総収入であり、売上高よりも大きな数字となる。通常売上高からはじまる企業はその他営業収入を計上していない場合が多いが、マックスバリュ東海はその他営業収入も別途計上されており、敢えて売上高を全面に出した決算の公表といえる。それだけ、食品スーパーマーケット本来の商品売買からの収入を重視しての判断であるといえよう。

   さて、この中間決算において、マックスバリュ東海が大幅な増益となった要因を、まずは、営業利益の原価、経費面から見てみたい。その原価であるが、75.27%(昨年75.14%)と、若干上昇している。結果、売上総利益は24.73%(昨年24.86%)となった。マックスバリュ東海としては、「イオンのプライベートブランドである「トップバリュ」の3つの基本ブランド(トップバリュ セレクト、トップバリュ、ベストプライス by TOPVALU)の品揃えをより一層充実させることにより、お客さまの生活プランやスタイルに応じた商品提供機会の拡充を図りました。これらの取組みにより当第2四半期累計期間におけるトップバリュの売上構成比は11.7%(前年同期は9.5%)となりました。」とのことであり、PBを強化したが、全体の原価を引き下げるまでにはいかなかったようである。

    一般に、PBを通じて原価を引き下げるには、PBの売上構成比をいかに引き上げるかが課題となる。仮に、PBの売上構成比が10%でNBとの原価の差が5%であった場合、相乗積から、0.5%の貢献度となる。したがって、確実に全体に影響を与えるためには、20%のPB比率、原価差5%、相乗積1%は欲しいところであり、さらに、PB比率を30%、40%へと引き上げたいところといえよう。したがって、マックスバリュ東海としても、現状のPBの売上構成比11.7%をさらに引き上げてゆくものと思われる。

    一方、経費の方であるが、23.41%(昨年24.42%)と、1.01ポイントと大きく削減した。これについて、マックスバリュ東海は、「経費面におきましては、夏期の電力使用制限の要請に呼応して、省エネ設備の導入や、店内外の照明の一部消灯を徹底し、使用電力の削減に努めました。また、引き続きオペレーション改革に取り組み、投入人時基準に基づく作業の推進とアウトパック商品などの拡大による作業の省力化を図ることにより、生産性の向上に努めました。これらの取組みにより、販売費及び一般管理費は既存店ベースで対前年同期比96.4%となりました。」 とのことで、生産性の向上が大きかったとのことである。

    結果、差し引き、商品売買から得られる利益、マーチャンダイジング力は1.32%(昨年0.44%)と、大きく改善した。経費削減効果がマーチャンダイジング力に顕著に表れたといえよう。そして、これに、先に解説した、不動産収入、物流収入等のその他営業収入が1.74%(昨年1.98%)加わり、営業利益は3.06%(昨年2.42%)と、大幅な増益となった。やや気になるのは、営業利益を構成する3つの要素、原価、経費、その他営業収入の内、改善されているのは経費のみである点である。残りの2つ、原価、その他営業収入は、むしろ、厳しい状況であり、今後、後半にかけて課題となろう。

    これに対して売上高であるが、5.0%と、利益に加えやや伸び悩んでいるが、その要因は、既存店が99.3%と昨年をわずかに下回り、新店も、「店舗展開におきましては、3月に開設した2店舗に続き、6月にはマックスバリュエクスプレス大仁店(静岡県伊豆の国市)を開設いたしました。マックスバリュエクスプレス業態は、「便利さ」に特化した小型店舗として、売場や商品のわかり易さ、商品の選び易さ、価格のわかり易さを追求することにより、ショートタイム・ショッピングを実現することをコンセプトにしたスーパーマーケットを目指しております。また、7月には、5月のザ・ビッグ山梨中央店に続き、浜松葵町店をザ・ビッグに業態転換し、リニューアルオープンいたしました。」と、3店舗にとどまったことである。マックスバリュ東海は現在93店舗であるので、前半5店舗、後半5店舗は欲しいところといえ、後半に期待といえよう。

    このように、2012年2月期の中間決算は増収、大幅増益となったが、やや気になるのは増益が原価、経費をバランスよく改善したことではなく、原価の上昇を経費の大幅削減で補ったことである。特に原価の低いPBの構成比が上昇しているにも関わらず、原価が上がってており、今後、PB比率を一層引き上げると同時に、原価の低い生鮮食品の強化等も課題となろう。今後、マックスバリュ東海が、後半へ向けて、どのようなマーチャンダイジング戦略を打ち出すか注目である。

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October 29, 2011

顧客面から見た売上げの本質に迫る、その2!

   前回は、「顧客面から見た売上げの本質に迫る」と題し、従来の商品面からの売上げのとらえ方と対比し、顧客面から見た売上げのとらえ方を解説した。そこで、今回は、さらに一歩踏み込み、どのように顧客面から見た売上げの本質をつかんだ上で、売上げアップをはかるか、そして、その時の管理フォーマットはどのようなイメージになるかを解説してみたい。こう見ると、従来の商品から見た売上げアップのノウハウが無駄になるのではないかと思われるかもしれないが、実は逆で、顧客面からの売上げの本質がつかめると、これまでの商品面からの売上げアップのノウハウがすべて、この観点から検証でき、より、精度の高いノウハウへと生まれ変わってゆくことになる。さらに、それ以上に、顧客面から見たこれまでは想像もできなかった世界から売上げを見ることができるようになるため、新たな売上げアップのノウハウの構築へとつながってゆくことになる。

   では、顧客面から売上げを見るとはどのようにとらえたらよいかであるが、ここでポイントとなるのが、対象商品の顧客の分析対象の課題、分析期間の課題、分析指標の課題の3つである。この内、分析対象の課題については、前回詳しく解説したので、ここでは、分析期間の課題、分析指標の課題について触れたい。まずは、分析期間であるが、ここは従来の商品分析と大きく異なる点であり、従来は週別、月別管理が基本であったといえる。特に、販売促進との連動もはかるために年間52週のマーチャンダイジングをどう構築するかが課題であった。

   商品面から売上げを捉える場合は、このように週別、月別の数字の変化を捉え、検証することができたといえる。特に、商品面からアクションを起こす場合は大抵の場合、価格政策が全面に出る場合がほとんどであり、いわゆる値引きに対して、商品の売上げがどのように変化したか、すなわち、売上数量はどのくらい伸び、結果、売上金額はどのくらい上がったかを見れば良かった。これに対して、顧客面から見た売上げは商品の売上数量、売上金額の変化を見るのではなく、その商品の購入顧客、個々人の売上数量、売上金額を見ることになる。

   特に、顧客面から見た場合、売上高=ID客数×ID客数PI値×PI値×平均単価と分解できるため、売上げの構成要素に沿い、顧客個々人のID客数PI値(購入頻度)、PI値(売上数量)、平均単価を見ることになる。問題はこのID客数PI値にあり、これが商品面からでは見えない、顧客面から見た場合のみに見える指標であり、この数字を判断する必要がある。極論すれば、顧客の売上げは、PI値、平均単価よりも、ID客数PI値の方が圧倒的に重要であり、決定的な指標であるといえる。

   そこで、このID客数PI値で見た場合の顧客面からの分析期間を見てみると、驚くべきことに、年間1回しか購入実績のない顧客がかなりの人数に、どのような商品でも発生していることがわかっている。同様に、毎月、購入実績のある顧客もかなりの人数発生しており、週1回、購入実績のある顧客はごくわずかであるのが実態である。このような事実が浮かびあがると、顧客面から分析期間を捉えるには、年間1回しか購入しない顧客も無視することはできず、このいわゆるトライアル顧客へのアプローチもマーチャンダイジングの課題となる。また、それ以上に、いかに、未購入顧客をトライアルに誘導するかも、マーチャンダイジングの課題といえる。したがって、自然、顧客面から売上げを見る場合の分析期間は1年が原則となり、できれば、数年は欲しいというのが現実的な期間設定といえよう。

   そして、もうひとつの課題、分析指標であるが、これは、すでに見たように、顧客面から見た場合の売上げを分解すると、売上高=ID客数×ID客数PI値×PI値×平均単価となるので、この中のID客数PI値が中心となる。さらに、統合指標として、PI値×平均単価=金額PI値、金額PI値×ID客数PI値=ID金額PI値となるので、ID金額PI値、金額PI値、数量面ではPI値×ID客数PI値=IDPI値となるので、IDPI値等が分析指標の中心となる。

   ここまで顧客面からの売上げの本質に迫ることができると、後は、これをどうフォーマットに落とし、顧客面から売上げをいかに引き上げるマーチャンダイジングを実践するかとなる。そのポイントは、従来の商品ごとのMD評価表に、ID、ID客数PI値を加えた帳票になることに加え、従来の商品面からでは踏み込めなかった全顧客の購入実態を組み込むことが課題となる。いわば、商品面からの売上管理帳票に、顧客面からの売上管理帳票が融合したものであり、商品のサマリーの数字がいつでも、商品面、顧客面の各指標に落とし込むことができ、かつ、全顧客、個々人の購入実態も同時に見える帳票であり、さらに、分析期間は原則1年で判断する帳票である。当然、顧客数は年間であると1店舗1単品数千人となるため、顧客ランクをつけ、ランクのサマリー、そして、いつでも、顧客明細に落とせるようなフォーマットが課題といえよう。

   売上げとは、商品の売上げが出発点ではあるが、その本質は本来、顧客から発生するものであり、顧客1人1人の購入履歴がその原点にあるといえる。したがって、商品面からだけでなく、顧客面からの売上げをとらえることが、売上げの本質であるといえ、その意味で売上げアップとは、商品の動きを追うことはもちろん、同時に、顧客構造の変化を読み解き、ここにどのようなアクションを起こすかがポイントである。

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October 28, 2011

顧客面から見た売上げの本質に迫る!

   ID-POS分析を深く研究するようになり、売上げの本質が見えるようになった。従来、売上げは商品の金額面と数量面からしか把握することができなかったが、ID-POS分析を実施すると、これに顧客面が加わることになる。従来でも顧客に近い概念、レシート(購入回数)という把握の仕方があり、ここからPI値、金額PI値を算出することにより、売上げをある程度、顧客面からとらえることはできた。ただ、これはある程度であり、本質ではない。顧客面のほんの一部を捉えているにすぎず、その本質に迫りつつあるが、実際は、かなり、遠いところにあるといえる。

   顧客とはレシートではなく、IDそのものであり、実際の個々人であるので、顧客個々人の購入履歴を把握して、はじめて、顧客面からの売上げを把握することができる。顧客面からの売上げとはまさに、売上げを顧客個々人から把握することであり、レシートのように、誰がを特定できない売上げは、顧客面に近づきつつあるが、顧客個々人の売上げとは違うといえる。

   では、顧客面からの売上げとは、どう捉えれば良いだろうか。その第1歩は、対象商品の全購入顧客の全明細を把握することが先決である。全明細とは、対象商品の購入履歴だけでなく、対象商品以外の商品の購入履歴もすべて把握することである。ID-POS分析の事例を見ると、対象商品のみの購入履歴だけでID-POS分析を実施し、そこで止まっている場合があるが、ID-POS分析は顧客個々人のIDを基点に分析するのであるから、当然、その顧客が購入している対象商品以外の購入商品についても分析の範囲を広げ、顧客の購買行動を俯瞰する必要がある。

   したがって、商品面から見た場合の売上げは対象商品のみの売上げを見れば良かったが、顧客面からの売上げを見る場合は、対象商品の売上げはもちろんであるが、対象商品以外の顧客の売上げをも見る必要があり、その意味で、売上げは、顧客面から見た場合2つあるといえる。対象商品と全商品の売上げであり、この2つの売上げが存在する。ここから、売上げを上げるとは、対象商品の売上げを上げるだけでなく、その顧客の全購入商品の売上げを上げることも重要なテーマであるといえる。

   この2つの関係は一見関係ないように思えるが、実は、密接に絡んでいる。たとえば、対象商品の売上げを上げるためには、対象商品だけを見るのではなく、その顧客が他に何を購入しているか、特に、来店動機となっている商品は何か、また、対象商品とよく一緒に買うものは何か、さらには、同時ではないが、ある一定期間内において、よく購入する商品は何か等を把握することにより、大所高所から、対象商品の売上げアップをはかる仮説をつくることができるからである。

   たとえば、よく一緒に購入する商品、ある一定期間内でよく購入する商品が明確である場合には、期間購入も踏まえ、同時購入した場合は、価格還元がなされる仕組みを入れるとかがポイントとなる。また、仮に、対象商品が来店動機となっている場合は、その顧客のみに、対象商品を大幅還元、場合によっては、10回に1回無料贈呈(10%還元)するなどのサービスを行うことにより、対象商品の売上げはもちろん、来店頻度が増加し、対象商品以外の商品の売上げが上がり、結果、顧客の総売上げを大きく引き上げることもできる。一方、対象商品が来店動機となっていない場合は、来店動機の商品の価格還元を行い、来店頻度を増やし、結果、対象商品を購入する機会を増やすこともできる。あるいは、来店動機の商品とクロスマーチャンダイジングをかけることもひとつの方法である。

   こう見ると、売上げとは商品面から見る売上げはこれら顧客面から見た売上げのサマリー(総合計)でしかないといえ、その背後にはID-POS分析が可能であれば、必ず、顧客個々人が購入しており、その購入履歴が存在しているといえる。しかも、その顧客は当然、対象商品以外にも数多くの商品を購入しているのが実態であり、そこまで、分析の範囲を広げることによって、顧客面から見た売上げの全体像をつかむことができる。これは、すべての商品1品1品に存在している事実であるといえ、ここまで分析して、はじめて、売上げの本質がつかめるといえよう。

   ID-POS分析が明らかにしなければならない課題はまさにここにあるといえ、これまでは商品面からしか、売上げをとらえることができなかったので仕方ないことであるが、ID-POS分析ができる状況になった場合は、すべての商品の売上げを顧客面からとらえ直し、対象商品だけでなく、対象商品を購入している顧客のすべての購入商品の分析にまで踏み込み、売上げの本質を極めて欲しいところである。

   このように、売上げの本質は、ID-POS分析が可能になったことにより、はじめて、顧客面から本格的にアプローチができるようになったといえ、これがID-POS分析がもたらした最大の売上げへの貢献であるといえよう。当然、売上げアップもこれまでの商品面からのアップローチだけでなく、顧客面からのアプローチがむしろ本質であるといえ、ID-POS分析が可能な環境にあるのであれば、ここを突き詰め、これまでの売上げアップの仕組みをすべて検証し、さらに、顧客面から見た新たな売上げアップの仕組みを構築して欲しいところである。

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October 27, 2011

大黒天物産、2012年5月期、第1四半期、増収減益!

   大黒天物産が2012年5月期の第1四半期決算を10/5公開した。結果は売上高239.82億円(10.9%)、営業利益10.50億円(-15.8%)、経常利益10.47億円(-16.0%)、当期純利益5.86億円(10.3%)となった。各食品スーパーマーケットの今期の中間決算の結果が増収増益、ないしは、減収増益が多い中、大黒天物産は増収減益、特に、利益が減益となる対照的な決算となった。なお、この第1四半期の当期純利益が増益となっているが、昨年度は資産除去債務会計基準の適用に伴う影響額を特別損失に2.59億円計上していたので、実質減益といえ、厳しい決算といえる。

   大黒天物産の第1四半期は5月度決算であるため、6月度、7月度、8月度の3ケ月であり、ちょうど、3月度、4月度の東日本大震災の特需が入っておらず、昨年は猛暑の影響もあり、特に数字がきびしい結果となったとえよう。ちなみに、その3月度、4月度の数字が組み込まれた、2011年5月度の本決算時の結果を見ると、売上高893.64億円(11.4%)、営業利益46.12億円(10.6%)、経常利益45.93億円(10.3%)、当期純利益22.40億円(0.9%)となり、大幅な増収増益である。したがって、この6月度、7月度、8月度の第1四半期は、昨年と比べると厳しい結果であったといえよう。ただ、売上高はいずれも10%前後の増収であり、大黒天物産は積極的な成長戦略を前期、そして、今期も展開しているといえ、ここも各食品スーパーマーケットが守りに入っている中、対照的な攻めの経営戦略であるといえる。

   そこで、大黒天物産が減益となった要因を原価、経費面から見てみたい。まずは、原価であるが、77.89%(昨年77.36%)と0.53ポイント上昇した。結果、売上総利益は22.11%(昨年22.64%)と下がった。東日本大震災直後は価格競争も落ち着いていたが、その後、ちらし投入を含め、各食品スーパーマーケットが価格競争に踏み込みはじめており、大黒天物産としても、ディスカウント路線を一層強化したのではないかと思われる。

   一方、経費の方であるが、17.72%(昨年16.87%)と、0.85ポイントと、大きく上昇している。大黒天物産自身も、「小売業界におきましては、雇用情勢の改善が見られないことなどによる個人消費の低迷と東日本大震災の直接的・間接的な影響による不安定な商品供給状況により、経営環境は非常に厳しい状態が続いております。」との認識であり、経営環境は厳しい状況であるとのことである。

   ちなみに、経費比率17.72%は、食品スーパーマーケット業界の2011年度の決算公開企業約50社の平均が25.18%であるので、かなり低い数字であり、これが大黒天物産のディスカウント戦略を支えているといえよう。この約50社の中では、ベスト4となる低さであり、No.1がオーケーの15.19%、No.2がトライアルカンパニーの16.49%、No.3がアオキスーパーの17.36%であり、この次が大黒天物産となる。さらに、No.5はスーパーバリューの18.67%、No.6はアークスの19.89%となるので、17%台が、食品スーパーマーケット業界ではいかに低い数字かがわかる。

   結果、差し引き、商品売買から得られる利益、マーチャンダイジング力は4.39%(昨年5.77%)となり、原価、経費ともに上昇し、ダブルで利益を圧迫したため、大幅な減益となった。大黒天物産は、その他営業収入を計上していないため、マーチャンダイジング力=営業利益となり、営業利益も同様な厳しい数字となった。

   こう見ると、これまで公開された食品スーパーマーケットの中間決算が概ね大幅な増益となっていることと比べると対照的な結果であるが、その最大の違いは、3/11の東日本大震災後の数ケ月間の特需の数字が入っている各社の中間決算と、入っていない大黒天物産の第1四半期決算との違いが大きいといえよう。いかに、東日本大震災が食品スーパーマーケット業界にプラスの影響を与えたかがわかる。

   ただ、反面、大黒天物産は、売上高が2ケタ増収となっており、これは、他の食品スーパーマーケットの中間決算では見られない高い成長率であり、それだけ、大黒天物産の積極的な経営戦略がうかがえる数字である。実際、今期、「新規出店としてディオ庭瀬店(岡山市北区)、ディオ熊野店(広島県安芸郡熊野町)、ラ・ムー泉南北野店(大阪府泉南市)の3店舗を出店いたしました。」とのことで、毎月新規出店をしている状況であり、高水準での新規出店ペースであり、積極的な成長戦略を推進しているといえよう。

   このように、大黒天物産の2012年5月期のはじめての四半期決算が明らかになったが、決算期間が3/11の東日本大震災以降の6月から8月ということもあり、その特需が反映されず、逆に、その反動が来る時期でもあり、結果は、積極的な新店が寄与し、大幅な増収とはなったが、利益は一転、大幅な減益となった。特に、原価、経費、双方の上昇がみられ、気になるところである。大黒天物産としては、今後、いかに、利益を安定させるかが、今期スタート時点で大きな課題となったといえ、次の中間決算、そして、本決算、どこまで原価、経費の改善に踏み着込めるのか、その動向に注目である。

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October 26, 2011

PLANT、2011年9月期、本決算、減収、営業増益!

   PLANTが10/20、2011年9月期の本決算を公表した。結果は売上高823.75億円(-1.3%)、営業利益29.22億円(38.5%)、経常利益28.50億円(42.3%)、当期純利益0.46億円(-95.7%)と、減収、営業、経常段階では大幅な増益となり、過去最高の数字となった。なお、当期純利益が大きく減益となった要因は、特別損失として、原発事故損失-18.10億円、震災損失-0.47億円、資産除去債務会計基準の適用に伴う影響額-7.66億円を計上したためである。特に、原発事故に関しては、「福島第一原発の事故により警戒区域に立地している「PLANT-4大熊店」につきましては、地震の影響による商品及び店舗設備等への重要な被害は発生しておりませんが、警戒区域解除の時期及び営業再開の目処が未だたっておりません。」とのことで、依然として、厳しい状況が続いている。

   そこで、PLANTが過去最高の営業利益となった要因を原価、経費面から見てみたい。まずは原価であるが、80.05%(昨年80.36%)と、0.31ポイント改善した。結果、売上総利益は19.95%(昨年19.64%)となった。これについて、PLANTは、「利益におきましては、従来から取り組んでまいりました「在庫管理」「値入向上とロスの削減」により、利益率の改善が図られました。」とのことで、在庫、値入、ロスの3つの面からの改善が寄与したとのことである。

   これに対し、経費の方であるが、16.73%(昨年17.46%)と、0.73ポイントと大きく改善している。これについて、PLANTは「店舗運営において人時生産性を意識した人事管理が定着したことにより作業効率が向上し、主に人件費や販売費を売上高に応じてコントロールすることができた、・・」とのことで、作業改善が寄与したとのことである。この経費比率16.73%は食品スーパーマーケット業界ではかなり低い数字であり、2011年度の決算公開企業約50社の本決算の平均が25.18%、トップがオーケー15.19%、ついでトライアルカンパニーの16.49%につぐ低い数字であり、これがPLANTのスーパーセンターの特徴といえる。

   結果、差し引き、商品売買から得られる利益、マーチャンダイジング力であるが、3.22%(昨年2.18%)と増加し、収益が大きく改善した。原価、経費双方の改善が図られ、特に、PLANTの強みでもある経費比率を大きく改善できたことが大幅な増収につながったといえよう。そして、これに、不動産賃貸収入が0.34%(昨年0.35%)加わり、営業利益は3.56%(昨年2.53%)となった。売上高は厳しい状況が続いているが、利益の方は、着実に改善しており、PLANTの業績が向上しつつあるといえよう。

   これを受けて、キャッシュフローの方であるが、営業活動におけるキャッシュフローは25.23億円(昨年23.69億円)と、当期純利益は厳しい数字となったが、特別損失分がプラスとなり、むしろ増加している。そして、この増加したキャッシュをどう配分したかであるが、まずは、新店にかかわる投資活動によるキャッシュフローであるが、-1.61億円(昨年-7.48億円)とわずかである。したがって、キャッシュフローの大部分を財務活動によるキャッシュフローに配分することになるが、その数字は-19.72億円(昨年-24.87億円)である。その中身であるが、長期借入金の返済による支出-18.63億円(-24.14億円)と、ここにキャッシュフローの大部分を配分している。

   現在、PLANTの自己資本比率は21.7%(昨年21.2%)と、約80%弱を負債に依存する状況であり、有利子負債も148.42億円(昨年167.12億円)と、総資産348.87億円(昨年359.02億円)の42.54%と厳しい状況にある。したがって、成長戦略に投資をする余裕はなく、財務の健全化をはかることが経営の最優先課題であるといえ、今期においても、最優先でキャッシュを有利子負債に充てざるをえなかったといえよう。PLANT自身も、中期経営計画において、「設備投資については案件を厳選しながら対応することとし、営業キャッシュフローは極力有利子負債の削減に充当していく方針であり、 ・・」とのことある。

   ちなみに、ここまで負債比率が上昇した要因は、「当社は、ビジネスチャンスを素早く掴み取るべく、平成15 年~平成20 年にかけて大型店11 店舗の出店を行いましたが、資金調達において主に借入金に依存してきたため有利子負債の増加を招く結果となりました。」とのことで、有利子負債に依存した新規出店を急激に行ったことによるとのことである。ただ、今後は、「平成20 年7 月の鏡野店出店以降は、営業キャッシュフローによる有利子負債の削減を進め、有利子負債額・有利子負債依存度、有利子負債比率の経営指標は改善してきております。中期経営計画期間においても有利子負債の削減を更に進め、財務基盤の強化を図ります。」とのことで、当面、財務基盤の強化を最優先で取り組むとの方針であるという。

   このように、PLANTの2011年9月期の本決算は減収とはなったが、営業、経常段階では過去最高の利益を生み出し、キャッシュフローも改善した。ただ、PLANTの自己資本比率は21.7%と依然として厳しい状況におかれているため、このキャッシュを本来、成長戦略に配分したいところであるが、財務基盤の強化に配分せざるをえないといえ、今期も前期同様、大半を有利子負債の返済に充てている。今後、PLANTが、成長戦略を打ち出すには、かなりの時間が必要といえ、当面、今期同様、キャッシュをいかに確保するか、マーチャンダイジング力の一層の改善が課題といえよう。

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October 25, 2011

食品スーパー、売上速報、2011年9月度100.1%!

   食品スーパーマーケット上場企業23社の2011年9月度の売上速報を独自に集計した。店舗数は約2,000店舗であり、スーパーセンターを要するPLANT、アークランドサカモトも加えた数字である。結果は全体が100.1%(既存店97.9%)となり、伸び悩んだ。8月度が100.5%、7月度が104.9%、6月度が102.0%、5月度が101.9%、4月度が105.0%、そして、3月度が110.2%であるので、8月度から売上げが厳しい状況にあるといえ、食品スーパーマーケット業界としては、やや気になる動きである。この9月度は、昨年度がたばこの値上げ前の特需が発生し、さらに残暑が厳しかったこともあり、コンビニ業界は軒並み大きく減収となっているので、その影響もあるかとは思う。ただ、食品スーパーマーケット業界はコンビニほどたばこの影響度はなく、これを加味しても、8月度から売上高が伸び悩んでいるといえよう。

   現在公表されている食品スーパーマーケットの中間決算を見ると、ほとんどが大幅な増益となっているが、売上高は微増か、減収となっており、東日本大震災の特需による増収効果が後半の減収により相殺されているといえる。これに加え、東日本大震災により、新規出店を見合わせた食品スーパーマーケットが多く、新店による売上増が昨年に比べ弱い面も大きいといえよう。したがって、後半、各食品スーパーマーケットの新規出店がはじまる可能性もあり、売上増が期待きできるかもしれない。

   さて、この9月度、厳しい売上げ状況の中、105%以上増収となった食品スーパーマーケットは、アークランドサカモト110.3%(既存店101.3%)、ヤマザワ109.4%(既存店106.7%)、スーパーバリュー108.6%(既存店106.5%)、バロー108.2%(既存店99.8%)、 ハローズ107.2%(既存店98.9%)、ヤオコー105.9%(98.2%)の6社である。アークランドサカモト、スーパーバリューがNo.1、No.3に入っており、しかも、既存店も101.3%、106.7%と昨対を超えており、好調である。食品だけでなく、ホームセンター関連商品を要しており、これが好調さの要因のひとつといえよう。ただ、同じ業態のPLANTは92.0%と厳しい状況であり、明暗が分かれている。

   そして、No.2には、ヤマザワが入った。食品スーパーマーケット業界としては、No.1であり、しかも109.4%(既存店106.7%)と、既存店も好調であり、既存店ではスーパーバリューを抜き、No.1の伸び率であり、絶好調といえる。この数ケ月の推移であるが、8月度110.2%(既存店108.2%)、7月度119.1%(既存店117.0%)、6月度114.2%(112.3%)、5月度112.1%(既存店110.2%)、4月度104.7%(既存店103.6%)、3月度110.5%(107.7%)であるので、東日本大震災以降好調さを維持しており、食品スーパーマーケット業界でもダントツの伸び率である。

   ついで、バロー108.2%(既存店99.8%)、ハローズ107.2%(既存店98.9%)、ヤオコー105.9%(98.2%)と、この3社が105%以上売上げを伸ばしており、好調であるが、既存店はやや伸び悩んでおり、今後、既存店をいかに引き上げるかが課題といえよう。こう見ると、ヤマザワの既存店106.7%はすごい数字であることがわかる。ちなみに、客数、客単価の数字を公表している食品スーパーマーケットの既存店の集計結果を見ると、客数が97.3%、客単価が99.8%であるので、客数の方が伸び悩んでおり、既存店の客数アップが課題といえよう。

   一方、この9月度100%を下回った食品スーパーマーケットであるが、いなげや97.6%(既存店95.1%)、ダイイチ97.5%(既存店97.5%)、アークス97.3%(既存店95.8%)、エコス94.0%(既存店94.6%)、マルエツ92.3%(既存店90.0%)、PLANT 92.0%、トーホー89.5%(既存店94.7%)、Olympic:フード81.3%(既存店81.3%)という数字である。いずれも、新店がほとんど展開できていない状況であり、加えて、既存店も厳しい数字である。なお、アークスは10/21にユニバースと正式に経営統合したため、今後はユニバースがアークスの傘下に入ることになり、アークスの売上げに加わることなり、一時的に異常値が発生することになろう。

   そして、これ以外の食品スーパーマーケットであるが、オオゼキ102.7%(既存店100.5%)、マックスバリュ西日本101.9%(既存店96.7%)、ユニバース101.6%(既存店101.6%)、マックスバリュ東北101.3%(既存店100.8%)、マックスバリュ中部101.2%(既存店98.6%)、マックスバリュ北海道100.9%(既存店100.9%)、カスミ100.6%、イズミ100.5%(既存店100.5%)、マックスバリュ東海100.4%(既存店95.1%)という結果である。いずれも100%強という数字であり、新店が予想以上に出店できていない状況にあるといえよう。

   このように、2011年9月度の食品スーパーマーケット業界の売上高は上場企業23社の集計結果であるが、100.1%(既存店97.9%)となり、8月から失速した感がある。特に、各食品スーパーマーケットが新店を東日本大震災以降控えたことが大きいと思われ、これが全体の売上げが伸び悩んでいる要因のひとつといえよう。ただ、後半以降、抑制していた新店開発がはじまれば、数字は上向いてゆくと思われるが、一方で、中間決算の数字を見ると大幅な増益である。したがって、今期は成長戦略よりも、財務基盤を固めることも選択肢といえ、後半以降、各食品スーパーマーケットがどのような経営戦略を打ち出すか、注目である。

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October 24, 2011

ID-POS分析、小売業向けセミナーin大阪10/21、終了!

   10/21、ID-POS分析、小売業向けセミナー、in大阪が終了した。ご参加いただいた方にはご清聴いただき、ありがとうございました。私の持ち時間は50分でしたので、十分にID-POS分析についてお伝えできなかった面、もっと掘り下げて解説すべき面、質疑応答の時間等十分とれなかった面等あったかと思いますが、それについては、このブログ、Twitter、フェイスブック、そして、同時にスタートした、まぐまぐプレミアム版での「紙上セミナー、ID-POS分析に挑む!」にてフォローさせていただきますので、これらを通じて補っていただければと思います。

   ちなみに、大阪での私の講演テーマは、「ID-POS分析、究極の目的、購入頻度のアップにせまる!」であり、サブタイトルは、「顧客を増やし、顧客の購入履歴を把握し、顧客本位のマーチャンダイジングをどう確立するか。」でした。主な講演項目は、1.ID-POS分析と通常のPOS分析との関係、2.これまでのPOS分析と今後のID-POS分析の方向、3.現時点の具体的なID-POS分析帳票、4.効果検証をどう行うか、5.来季へ向けて、ID-POS研究フォーラムを企画!の5つの項目を解説させていただきました。次回、福岡10/28、そして、今年はこれでID-POS分析セミナーは打ち止めとなる東京11/10となりますが、今回の大阪での講演内容を踏まえ、さらに、充実したセミナーを目指したいと思います。

   特に、東京会場は、巨大液晶画面、大パノラマ画面でのプレゼン資料の掲示をもとに講演させていただく予定ですので、テキストでは見にくい細かい数字も迫力ある画面でご確認いただけるのではないかと思います。このID-POS分析セミナーをフォローする「紙上セミナー、ID-POS分析に挑む!」も、すでに第2回目を終え、11/10には第4回目が終了しているものと思います。予定では10回以上となるものと思いますので、実際のセミナー50分間をあますところなくフォローできるのではないかと思います。

   さて、ID-POS分析セミナーin大阪ですが、テーマは「ID-POS分析、究極の目的、購入頻度のアップにせまる!」ですが、最もお伝えしたかったことは、ID-POS分析はこれまでのPOS分析の延長では解けないということであり、ID-POS分析を理解し、実践するためには、はじめからID-POS分析に入り、その本質、購入頻度を極めてしまった方が早いということです。

   通常、ものごとを学んでゆくプロセスは、基本から応用、そして、実践へとなってゆくわけですが、ID-POS分析も当然、この流れにそって学んでゆくことになりますが、一般的には通常のPOS分析が基礎、ID-POS分析が応用と理解されているきらいがあることです。その背景には、ID-POS分析は通常のPOS分析の延長にあり、通常のPOS分析を理解しないと、ID-POS分析は到底理解できない。ID-POS分析は、大量のデータを取り扱い、複雑な数式を駆使し、難解な専門用語がたくさん登場し、とっつきぬくいものであり、覚悟してとりくまなければならないと思われているからかと思います。

   ところが、実際は真逆です。基礎が通常のPOS分析ではなく、ID-POS分析であり、むしろ、応用、正確にいえば、通常のPOS分析は100%、ID-POS分析に包み込まれており、ID-POS分析のほんの一部分が通常のPOS分析という関係になります。したがって、ID-POS分析は通常のPOS分析ではどう逆立ちしても、全く見えない世界が広がっており、通常のPOS分析をどんなに極めてもID-POS分析へたどり着くことはけっしてありえないからです。むしろ、ID-POS分析の世界を先に理解し、通常のPOS分析をそこから俯瞰した方がPOS分析そのものを大局的につかむことができます。

   したがって、これまで通常のPOS分析で実践されてきたすべてのマーチャンダイジング戦略はID-POS分析の視点からすべて再解釈する必要があり、再解釈することによって、これまでのマーチャンダイジングを改善し、さらに、新たなマーチャンダイジング戦略を生みだすことが可能になります。ID-POS分析と通常のPOS分析はこのような包含関係にあり、どちらかが、どちらへと発展してゆく関係ではなく、ID-POS分析が通常のPOS分析を完全に包み込む関係にありますので、ID-POS分析を先に学び、これまでのPOS分析でのすべての結果を洗い直すということが本筋といえ、これがID-POS分析の本質といえます。

   そして、その本質がまさに、購入頻度であり、この購入頻度がID-POS分析の象徴的な指標であり、ここをいかに理解し、使いこなせるかがポイントであるといえます。今回のセミナーでは、ここに焦点を当て、ここを可能な限り、詳しく解説させていいただいたセミナーであるといえます。ID-POS分析の数式も、フォーマットも、仮説づくりもすべて、この購入頻度が基盤になっており、そこをご理解いただけるかが、本セミナーの趣旨といえます。特に、ID-POS分析特有の顧客ランクもこの購入頻度をもとに算出することが合理的であり、通常のID-POS分析のデシル分析、RFM分析では理解できない世界がそこにはあるといえます。

   このように、まずは、ID-POS分析セミナー、in大阪が終了し、次のin福岡、そして、in東京へ向けてさらに内容を充実させるべく準備に入っていますので、大阪でのセミナーを踏まえ、より、充実した内容をご提供できるのではと思います。なお、来期も、有料、無料、様々なセミナー、そして、ID-POSの研究会等企画してゆくべく、準備を進めていますので、ご期待いただければと思います。

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October 23, 2011

コンビニ売上速報、2011年9月度、98.0%!

   10/20、(社)日本フランチャイズ協会から、主要コンビニ10社の2011年9月度の売上速報が公開された。結果は、売上高7,378.06億円(98.0%)、既存店は96.0%と厳しい結果となった。これに対して、(社)日本フランチャイズ協会は、「昨年10月のたばこ値上げに対する駆込み需要の反動から、全店、既存店とも売上は11ヶ月振りにマイナスとなった、・・」とコメントしており、たばこの値上げが大きかったとのことである。実際、昨年の8月度、9月度、10月度の数字であるが、8月度102.9%、9月度115.0%、10月度96.3%という推移であり、9月度が異常値となっていることがわかかる。したがって、今期は、一昨年度の115%以上にならないと、昨年対比はクリアーできない状況であり、高い壁となり、昨対を割ったといえよう。ただ、来月、10月度はその反動で大きく跳ね上がる可能性が高いといえ、9月度は異常値と見た方がよさそうである。

   ちなみに、昨年9月度の客数、客単価であるが、客数103.8%、客単価110.8%であり、客単価が大きく伸びたことが要因である。そして、その客単価を伸ばした部門が非食品であり、143.9%(売上構成比40.1%)であるので、明らかに、非食品の客単価が異常に上昇したことである。実際、翌月、10月度の非食品は80.7%と激減しており、その要因が非食品であることが明らかである。そして、その非食品の中で、正確な数字は公表されていないが、その大半がたばこにあったといえよう。コンビニにおいて、いかにたばこの貢献度が高いかがわかる。

   さて、同様に、この9月度の客数、客単価であるが、客数103.5%、客単価94.7%であり、客単価が約5%下がっている。そして、その客単価を下げた部門であるが、非食品が81.5%(売上構成比33.4%)と、大きく下がっており、非食品の客単価が下がったことによるといえる。ちなみに、その他の部門は、日配部門109.6%(売上構成比33.5%)、加工食品106.5%(売上構成比28.9%)、サービス116.7%(売上構成比16.7%)と、いずれも上昇しており、非食品と対照的な結果である。したがって、この9月度のコンビニ全体の数字が下がったのは、非食品、その中のたばこであるといえよう。ちなみに、非食品の商品群であるが、「書籍、新聞、衣料品、袋物類、文房具、ブラシ、玩具、雑貨、たばこ、ペットフード、乾電池、テープ、CD、電球、・・」等であり、たばこは非食品の中にあり、その中でも中核商品である。

   それにしても、たばこ恐るべしであるが、たばことは、どのような商品群であるかであるが、参考に、食品スーパーマーケットの実態を見てみたい。一般的に売れ筋といわれるたばこは、JTセブンスター20本、JTマイルドセブンスーパーライト20本、JTマイルドセブンワン100 sB20本、JTセブンスター20本×10、マイルドセブンライト20本、JTマイルドセブン・スーパーライト20本×10、マールボロ フィルタープラスワンBOX10P、JTマイルドセブン20本、JTマイルドセブンエクストラライト20本等である。これらは、値上げ後も、金額PI値1.0円前後(1人当たり)の水準を維持しており、食品スーパーマーケットの中でも最重点商品である。一般に金額PI値が1.0円(1人当たり)を超える商品は食品スーパーマーケットでは超売れ筋であるといえ、全1万品目の中でも、数百品しかない、貴重な商品であるといえる。

   また、たばこは、これら重点商品を強化するだけではけっして数字をあげることはできず、これらの重点商品のたばこ全体の売上構成比は約25%であり、重点商品だけでは活性化はできない。したがって、品揃えがきわめて重要な商品であり、少なくとも100種類は欲しいところである。これを絞り込むとたばこの売上げは激減してしまい、いかに、品揃えの幅を広げ、顧客のニーズにこたえられるかが、マーチャンダイジングのポイントとなる。実際、食品スーパーマーケットでも100種類前後は品揃えしており、全カテゴリーの中でも、品揃えがベスト10には入る多さである。

   一方、コンビニのたばこ売場を見ると、100種類は当たり前の品揃えであるといえ、多い店舗では200種類ぐらい置いているところもあり、食品スーパーマーケットの品揃えよりも、全体的に充実しているといえる。単品管理を徹底し、商品の絞り込みの極致をゆくコンビニが全く正反対のマーチャンダイジングを展開しており、しかも、昨年10月のたばこの値上げ以降、むしろ品揃えが増えているといえ、たばこがいまや、コンビニのマーチャンダイジングの根幹商品とっても過言ではないといえよう。

   このように、2011年9月のコンビニの数字が明らかになったが、さすがに、ここ最近絶好調であった売上高の伸び率が失速、98.0%となったが、その要因は昨年9月度のたばこの値上げ前の特需によるところが大きいといえる。実際、たばこを含む非食品の数字は81.5%と激減しており、他の部門は引き続き好調であることから、たばこがその要因であることが明らかである。ただ、これは一時的なことである可能性が高く、10月以降は、再び、好調さを取り戻すことになろう。それにしても、たばこがいかにコンビニにとって、重要な商品であるかが改めて認識されたといえる。機会があれば、コンビニのたばこのID-POS分析を徹底的に掘り下げてみたいところである。

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October 22, 2011

アークス、2012年2月期、中間、増収増益!

   アークスが10/12、2012年2月期の中間決算を公表した。結果は、売上高1,543.43億円(2.1%)、営業利益50.38億円(10.4%)、経常利益54.11億円(8.6%)、当期純利益23.59億円(-17.6%)となり、営業、経常段階では増収増益となる好決算となった。なお、当期純利益は、「四半期純利益は、資産除去債務に関する会計基準の適用に伴う影響額5億69百万円を特別損失に計上した結果、・・」とのことで、減益となった。また、この6月に公表されたユニバースとの経営統合は、10月の予定であり、この中間決算では連結されないが、本決算では連結されることになる。

   そのユニバースとの経営統合後、すなわち、今期の本決算予想であるが、当初の業績予想を大きく上回ることになる。売上高3,470億円(当初予想3,100億円:昨対114.3%)、営業利益109億円(96億円:117.6%)、経常利益117億円(104億円:116.3%)、当期純利益122億円(50億円:223.9%)であり、特に、当期純利益も増益となる予定であり、全体としては、2桁増の増収増益となる予想である。そして、この10月からのユニバースとの経営統合について、アークス自身は、「当社グループは株式会社ユニバースが持つ優れた経営資源、経営手法を逸早く融合させ、全体最適の実現とグループシナジーの特大化により、一層の競争力強化を図り、従来の展開エリアを越えて、広く東日本を視野に入れた流通企業グループの形成を目指してまいります。」とコメントしており、東日本を視野に入れた展開を目指すとのことである。

   さて、アークスの中間決算であるが、営業利益が10.4%増と好調であったが、その要因を、原価、経費面から見てみたい。まずは、原価であるが、77.07%(昨年77.25%)と0.18ポイント改善した。結果、売上総利益は22.93%(昨年22.75%)となった。原価がやや上昇したとはいえ、食品スーパーマーケット業界でも、原価率は高く、売上総利益はかなり低い数字である。ユニバースの昨年度の本決算時の原価率は75.1%、売上総利益は24.9%であるので、どう調整を図ってゆくかが課題といえよう。これに対して、経費の方であるが、19.66%(昨年19.72%)と0.06ポイント削減している。この数字も食品スーパーマーケット業界の中ではトップクラスの低さであり、ユニバースの昨年度の本決算の数字が21.91%であるので、この調整も課題といえよう。

   こう見ると、アークスはユニバースよりも原価、経費ともに数字的には優位性があるが、その差は原価、経費ともに影響の大きい生鮮食品の強いユニバースとの違いが大きいといえ、逆に、アークスとしては、生鮮食品をさらに強める契機となろう。また、コメントにもあるように、東日本へのアークスの本格的な参入に際しては、この数字は強力な武器となろう。当面は経営統合に時間がかかると思われるが、一段落後、アークスがどのように東日本での市場拡大に入るか注目である。

   結果、差し引き、商品売買から得られる利益、マーチャンダイジング力であるが、3.27%(昨年3.03%)と、大きく増加した。原価、経費、特に、原価が改善したことが大きいといえよう。アークスはその他営業収入を計上していないため、結果、営業利益も3.27%(昨年3.03%)となり、増益となった。なお、食品スーパーマーケット業界の2011年度の本決算の公開企業約50社の平均が2.31%であるので、アークスの収益性は高い数字である。ちなみに、ユニバースはさらに高く3.99%である。

   この高収益の決算を受けて、アークスのキャッシュフローであるが、営業活動によるキャッシュフローは90.32億円(昨年73.08億円)と増加した。そして、これをどう配分したかであるが、投資活動によるキャッシュフローは-15.95億円(昨年-8.53億円)と倍増しており、成長戦略を重視していることがわかる。また、財務キャッシュフローであるが、-53.14億円(昨年-55.10億円)と、ほぼ昨年同様の配分であり、しかも、投資活動によるキャッシュフローを大きく上回る配分であり、財務の健全化を成長戦略以上に重視しているといえる。

   結果、有利子負債も126.69億円(前期本決算時163.28億円)と大きく減少し、総資産1,198.55億円に占める割合は10.57%となり、食品スーパーマーケットの決算公開企業約50社の2011年度の平均が27.76%であるので、財務の健全化が着々と図られている。アークスの自己資本比率も56.6%(昨年56.7%)と、高い水準であり、これも食品スーパーマーケットの先の数字で見ると40.5%であるので、いかに、高い水準であるかがわかる。アークスとしては、ここで成長戦略をM&Aに移し、投資よりも、財務の健全化にキャッシュの配分の重点を置き、さらなるM&A体制固めに入ったといえよう。

   このように、アークスの2012年2月期の中間決算は営業、経常段階では増収増益と好決算となった。特に、原価が改善されたことが大きかったといえる。そして、その結果、増加したキャッシュを投資よりも、財務の健全化に配分しており、守りを一層固める体制づくりに入ったといえる。一方で、ユニバースのM&Aを実施するなど、成長戦略をM&Aに置き始めたともいえ、今後、強固な財務基盤をもとに、さらに、M&Aによる成長戦略を目指してゆくのではないかと思われる。今期、ユニバースを経営統合し、来期以降、次のM&Aにいつ踏み込むか、その動向に注目である。

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October 21, 2011

客数とID客数の違い!

   ID-POS分析と通常のPOS分析の最大の違いは客数のとらえ方にあるといえる。通常のPOS分析における客数は来店回数、いわゆるレシート枚数のことであるが、ID-POS分析における客数はID、すなわち、ID客数のことである。ID客数とは文字通り、顧客に振られたIDごとの客数のことであり、ここが通常のPOS分析との決定的な違いである。そして、この2つの客数の関係は、客数(レシート枚数)=ID客数×ID客数PI値という数式で結ばれることになる。ID客数PI値はレシート枚数/ID客数であり、ID客数が約分され、もとの客数となる。

   したがって、小売業の活性化の根幹となるMD方程式も、ID-POS分析では、新MD方程式となり、3Dから4D分析となる。具体的には、従来のPOS分析では、売上高=客数×客単価=客数×PI値×平均単価であり、売上高を3Dに分解し、活性化を図ってきた。これが、ID-POS分析となると、客数がID客数×ID客数PI値となるため、売上高=ID客数×ID客数PI値×PI値×平均単価となり、4Dとなる。そして、これが、ID-POS分析におけるMD方程式、すなわち、新MD方程式となる。

   では、3Dが4Dとなったことにより、小売業の活性化にどのような変化が生じるかであるが、その最大のポイントは、客数へのアプローチが大きく違ってくることである。MD方程式では客数はレシート枚数であり、しかも、大抵の場合、総レシート枚数であり、ここへのアプローチは至難の技である。一歩踏み込み、総レシートから商品ごとの購入レシート枚数まで落とし込めれば、客数、すなわち、レシート枚数の多い商品をピックアップし、客数アップへのアプローチも可能となるが、これは、ほぼPI値とほぼ同じ動きを示すため、結果、PI値アップと何らかわらないアプローチとなり、客数よりも、客単価アップをはかることになり、客数アップにダイレクトに働きかけることは難しいといえる。

   一方、新MD方程式となると、すべての単品の4D分析が可能となるため、客数、すなわち、レシート枚数をID客数とID客数PI値に分解することが可能となる。しかも、ID客数が何人で、それぞれのIDごとのレシート枚数が何枚かが明らかになり、ここから、IDごとのID客数PI値によるランクづけが可能となる。ここがID-POS分析のID-POS分析たるゆえの分析であるといえる。通常のPOS分析ではこの顧客明細を見ることができない。いわば、たった一人のIDが膨大なレシートをもっているような状況といえ、ID客数の明細はもちろん、顧客のランクづけを行うこともできない。

   ちなみに、顧客をランクづけるには、このID客数PI値以外に、レシートの中身に踏み込み、PI値、平均単価を用いることもできる。さらに、ID-POS分析特有のレシート変換により、商品の購入レシートからID客数の全購入レシートをもとに、そのID客数PI値でランクづけすることも、その購入レシートからPI値、平均単価からランクづけを行うことも可能であり、顧客ランクづけも様々な角度から可能となる。

   したがって、顧客をここまで正確に単品ごとに把握できるのが新MD方程式の特徴であるといえ、ここから、MD方程式ではできなかった顧客へのアプローチが可能となる。顧客へのアプローチとは、具体的には客数(レシート枚数)=ID客数×ID客数PI値にもとづき、総レシート枚数を増やすことである。そして、そのためには、ID客数PI値を増やし、同時に、ID客数PI値を増やしてゆく仮説をつくり、アクションを起こすことである。特に、ID客数PI値は重要な指標であり、ID客数ごとに把握でき、しかも、これで顧客ランクを作成できるので、いかに、ID客数の顧客ランクを引き上げるかが課題となる。

   通常、ID客数PI値は1年を基本とすることが望ましく、1年を基本とすると、どんな商品も年間1回しか購入しない顧客がかなりの数にのぼり、1ケ月に1回程度の購入顧客もかなりの数となる。そして、1週間に1回以上の購入顧客はほとんどいない事実も明確になる。したがって、この実態が鮮明になれば、ここから、客数を増やすには、1週間に1回の超高頻度顧客をしっかりフォローし、年間1回しか購入しない顧客を年間2回購入してもらうような販促を検討し、さらに、月間1回購入している顧客を月間2回購入してもらうようなマーチャンダイジング戦略をつくることがポイントなる。これが、新MD方程式が明らかにした売上アップのメカニズムであり、結果、客数の増加をもたらし、売上高を客数面から引き上げることが可能となる。

   このように、従来、客数へのアプローチはなかなか容易ではなかったといえるが、ID-POS分析の時代となり、MD方程式が新MD方程式へと進化し、3D分析から4D分析が可能となったことにより、客数アップへのアプローチが可能となったといえる。ID-POS分析の本質はここにあるといえ、これまでのように客単価アップがPI値、平均単価から図れるのはもちろんであるが、これに、新たなアプローチ、客数アップがID客数、ID客数PI値から可能になったことが大きいといえる。ID-POS分析が可能であれば、どこまで単品ごとの客数アップがはかれるか、是非、取り組んで欲しい。

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October 20, 2011

マルエツ、2012年2月期中間、減収増益、上方修正!

   マルエツが、2012年2月期の中間決算を10/6公表した。結果は営業収益1,652.05億円(-0.2%)、営業利益40.58億円(16.7%)、経常利益38.85億円(20.0%)、当期純利益13.18億円(887.6%)と、減収増益となった。特に、利益がいずれの段階でも大きく伸びた。マルエツ自身も、9/27に公表した「業績予想の修正に関するお知らせ」の中で、「営業収益については想定以上に厳しい状況でしたが、その中で「質の高い売上高の拡大」の実現に向けた販促施策の見直しや、全社を挙げて節電施策に取り組んだこと等により、売上総利益の改善と経費の抑制が図られ、営業利益・経常利益及び当期純利益は当初の見通しを上回る見込みとなりました。」と、コメントしており、予想以上の増益であったとのことである。

   そこで、マルエツが大幅な増益となった要因を原価、経費面から見てみたい。まずは原価であるが、70.29%(昨年71.56%)となり、1.27ポイントと大きく改善した。結果、売上総利益は29.71%(昨年28.44%)となった。これについて、マルエツは、「商品施策面では、「お手頃価格なのに、プラスワンの価値がある」PB商品「maruetsu365」の開発を継続して推進し、低価格型のマルエツ限定販売商品と併せてご提供に努めました。」とのことで、PB開発等に積極的に取り組んだとのことである。

   これに対して、経費の方であるが、29.38%(昨年28.53%)と、0.85ポイント上昇した。今期は、「オペレーション改革では、「腰の低い経営体質の実現」を目指し、川崎複合センター稼働による店舗作業の軽減化と「MOP(マルエツオペレーションプランニング)」の深耕により、店舗オペレーションの標準化と人的生産性の改善を進めました。」とのことであるが、原価とは一転、経費の上昇がみられる。

   結果、差し引き、商品売買から得られる利益、マーチャンダイジング力は0.33%(昨年-0.09%)と、マイナスからプラスに転じ、改善した。原価の1.27ポイントの改善が大きいといえよう。そして、これに、不動産収入、物流収入等のその他営業収入が2.18%(昨年2.24%)加わり、営業利益は2.51%(昨年2.15%)と改善した。原価の改善が収益を押し上げたといえる。なお、2月期決算は、東日本大震災による損失および資産除去債務会計基準の適用に伴う影響額が計上され、当期純利益は厳しい状況になるが、マルエツの場合は双方合計で8.66億円計上したが、昨年は転貸損失引当金繰入額16.06億円が計上されており、その結果、当期純利益も大幅な上昇となり、利益はいずれの段階でも大幅な増益となった。

   気になるのは、営業収益が-0.2%と伸び悩んだことである。この中間期では、「新店は、東京都にマルエツ屋号店舗として板橋駅前店を、マルエツプチ屋号店舗として本所四丁目店、渋谷鶯谷町店、中落合一丁目店、富ヶ谷一丁目店の合計5店舗を新設しました。さらに、経営資源の効率化を図るためマルエツプチ翁町二丁目店(神奈川県)を閉鎖した結果、当第2四半期末の店舗数は259店舗となりました。」と、差し引き4店舗の新規出店を果たしている。さらに、「また、既存店の活性化を図るための改装を11店舗で実施しました。」とのことで、既存店も積極的に改装している。

   ただ、この6ケ月間の売上高の推移を見えると、3月度112.8%(既存店108.2%)、4月度98.7%(既存店94.5%)、5月度97.9%(既存店94.1%)、6月度97.1%(既存店94.0%)、7月度99.0%(既存店96.7%)、そして、8月度94.5%(既存店92.3%)と、3月度こそ東日本大震災の特需により、大きく売上高が伸びたが、その後は厳しい数字で推移している。特に、既存店が厳しい状況である。参考に、直近の9月度であるが、92.3%(既存店90.0%)と、今期、最も低い伸び率であり、今後の売上高の推移が気になるところである。

   これを受けて、今後の経営戦略を占うキャッシュフローであるが、投資活動によるキャッシュフローは-50.28億円(昨年-49.53億円)とほぼ昨年同様の投資への配分を行っており、成長戦略への投資は継続してゆく方針といえよう。一方、財務活動によるキャッシュフローは-28.64億円(昨年-38.65億円)と若干削減している。その中身であるが、有利子負債を-19.89億円(昨年-34.90億円)と削減しており、昨年よりはその金額が減少している。マルエツの現在の有利負債は290.52億円(昨年の本決算時315.02億円)と、減少しているが、総資産1,341.50億円に占める割合は21.65%と、やや重く、自己資本比率は46.21%(昨年45.7%)と、改善してはいるが、もう一段と引き上げ、課題の成長戦略に軸足を移したいところであるといえよう。

   このように、2012年2月期のマルエツの中間決算は減収増益、特に、利益がいずれの段階でも大幅な増益となった。特に、原価の改善が1.27ポイントと大きく改善したことが大きかったといえる。ただ、経費比率が上昇し、29.38%と高め水準で推移している点が気になるところであり、その要因は既存店の伸び悩みが影響しているものと思われる。今後、マルエツとしては、財務の健全化をはかる一方、成長戦略をどのように推し進めるが経営課題といえ、特に、厳しい既存店の数字をいかに引き上げてゆくか、どのような方針を打ち出してゆくか、その動向に注目である。

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October 19, 2011

ライフコーポレーション、2012年2月期中間、増収増益!

   ライフコーポレーションが10/11、2012年2月期の中間決算を公表した。結果は、営業収益2,485.57億円(4.6%)、営業利益58.16億円(22.6%)、経常利益56.95億円(24.2%)、当期純利益25.02億円(-0.1%)となり、当期純利益は資産除去債務会計基準の適用に伴う影響額-6.99億円、東日本大震災の災害による損失-2.56億円を計上したため-0.1%のマイナスとなったが、営業、経常段階では増収増益、特に、利益がいずれの段階でも20%を超える増益となり、好決算となった。また、この好決算を活かし、財務改善にも踏み込み、自己資本比率も29.4%(昨年28.3%)と若干であるが、改善した。
   
   ライフコーポレーション自身も、「当社は当期を過去3回に渉る「中期3カ年計画」の「総仕上げの年」と位置づけ、平成20年度よりスタートした「第三次中期3カ年計画」を1年延長し、お客様からも社会からも従業員からも信頼される日本一のスーパーマーケットを目指し、「スピード」と「連携」をキーワードに、各種の改革施策を着実に遂行すべく取り組んでおります。」とのことで、3ケ年計画を1年延長し、改革を進めたとのことであり、これらが業績改善に寄与したものといえよう。また、経営環境も、「流通業界におきましても、震災直後は飲料・食料品・防災用品を中心とした、また、6月以降は気温上昇・節電対策による関連商品の需要増により、消費は堅調な動きを見せましたが、・・」とのことで、東日本大震災の特需、その後の猛暑のプラス効果も大きかったとのことである。ただ、「雇用・所得環境の改善が進まないことなどもあり、今後の消費の伸び悩みが懸念されております。」と、今後の消費環境は厳しい状況が続くとの認識である。

   そこで、この中間決算でライフコーポレーションの営業利益が22.6%増となった要因を原価、経費面から見てみたい。まずは原価であるが、73.41%(昨年73.93%)と、0.52ポイント改善した。結果、売上総利益は26.59%(昨年26.07%)となった。一方、経費の方であるが、27.23%(昨年26.95%)と、0.28ポイント上昇しており、原価とは対照的な動きである。特に、人件費は104.8%と、営業収益比の伸び率に近い数字であるが、物件費が106.1%と増加したことが大きいといえよう。ライフコーポレーションは、今期12店舗の新規出店を予定し、すでに、5店舗の出店を終えており、この積極的な新規出店関係の経費が売上高の伸び率以上にかかっていることが大きいといえよう。

   結果、差し引き、商品売買から得られる利益、マーチャンダイジング力は-0.64%(昨年-0.88%)と、依然としてマイナスではあるが、昨年よりも削減しており、改善している。経費はやや上昇したが、原価の改善が進んだことが大きかったといえよう。そして、これに、不動産収入、物流収入等のその他営業収入が3.05%(昨年2.94%)と加わり、営業利益は2.41%(昨年2.06%)となり、増益となった。特に、その他営業収入は、不動産収入、物流収入ともに売上高に比例するため、今期は売上高が4.45%増となったことが、その他営業収入が伸びた要因といえよう。ライフコーポレーションとしては、原価の改善に加え、経費の改善も目指したと思われるが、経費はやや上昇しており、ここが、後半以降の課題といえよう。

   では、この好調な営業増益を受けて、キャッシュをどのように配分したかであるが、この中間決算は昨年と違い、仕入債務の増減額(-は減少)が34.82億円(昨年-129.65億円)と正常に戻っており、結果、営業活動によるキャッシュフローは118.76億円(昨年-78.79億円)と、約200億円近く、大きく増加している。そして、この配分となるが、まずは、投資活動によるキャッシュフローへは52.54億円(昨年57.69億円)と、ほぼ昨年並みの配分である。したがって、ライフコーポレーションはここ数年、高い成長戦略を維持しているといえ、積極的な投資といえる。そして、財務活動によるキャッシュフローであるが、-72.89億円(昨年61.86億円)と、一転、今期は有利子負債の返済に、この大部分を当てており、財務の改善に踏み込んだ。

   ここが昨年と大きく違うところであり、結果、先に見たように、自己資本比率が29.4%(昨年28.3%)と、改善につながった。この自己資本比率が示すように、ライフコーポレーションは財務改善が課題であったが、この中間決算では、このキャッシュフローを攻めと守り、双方にバランスよく半分しており、2兎を追う貪欲なキャッシュフローの配分である。

   このように、ライフコーポレーションの2012年2月期の中間決算は当期純利益は営業利益が大きく改善し、営業、経常段階では増収増益の好決算となった。結果、キャッシュフローが大きく改善し、100億円を優にこえた。そして、この豊富なキャッシュを新規出店と、財務改善の双方にバランスよく配分し、結果、成長戦略を維持し、財務をも改善するという結果となり、積極的に攻め、同時に守りを固めたといえる。やや気になるのは、経費比率の上昇であり、これが依然として、マーチャンダイジング力をマイナスにしており、今後、後半、そして、中長期的な課題といえよう。来期、ライフコーポレーションは新たな中期経営計画を打ち出すことになると思われるが、今期決算を踏まえ、どのような方針を打ち出すか、注目である。

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October 18, 2011

いよいよ、ID-POS分析セミナー、スタート、東京11/10!

   ID-POS分析セミナーがいよいよ今週からスタートする。10/21大阪、10/28福岡、そして、11/10東京と続く一連のセミナーである。テーマは、「売場の最適化!、ショッパーを捉える効率的な販売計画づくり」、サブタイトルは、「ID-POS分析で店舗力を上げる」である。詳細は、本ブログ記事の下に、ご案内があるので、そちらでご確認いただくとして、私の担当は冒頭の50分、テーマは、「ID-POS分析、究極の目的、購入頻度の本質に迫る!」、サブタイトルは、「顧客を増やし、顧客の購入履歴を把握し、顧客本位のマーチャンダイジングをどう構築するか!」である。

   本来、3時間から4時間は欲しい内容であるが、50分に圧縮するために、かなり密度の濃い内容となる予定である。先ほどセミナー用のテキストが完成したが、優に数時間はかかる内容を盛り込んでいるので、当日は、どこを重点に解説させていただくかを明確にし、メリハリのあるセミナーにしたいと思う。また、このセミナーの開催を機に、このセミナーを補う意味で、本ブログ、まぐまぐ、そして、Twitter、フェイスブック等でも可能な限り、フォローして行ければと思う。また、同時に、食品スーパーマーケット最新情報、有料版プレミアムでも紙上セミナー、「ID-POS分析に挑む!」をスタートしたので、こちらでも今回のセミナーの内容を補ってゆければと思う。特に、この有料版は、10回シリーズぐらいになる予定であるので、今回のリアルなID-POS分析のセミナーを補い、さらに、新たなID-POS分析の研究成果を解説してゆければと思う。

   さて、10/21からスタートする当日の冒頭50分の内容であるが、まずは、通常のPOS分析とID-POS分析との関係を明確にするところからスタートしたいと考えている。多くの食品スーパーマーケットですでに、ポイントカードを入れ、ID-POS分析の分析体制は整っているにも関わらず、ID-POS分析を活用した店舗の活性化、全店への成功事例の水平展開の仕組みができているケースは極めて少ないのが現状といえる。大抵の食品スーパーマーケットはFSP(Frequent Shoppers Program:フリークエント・ショッパーズ・プログラム)に終始しており、ID-POSデータの原票を見られた方は皆無に近いのではないかと思う。

   ID-POS分析とは通常のPOS分析の延長ではなく、ID-POS分析が100%通常のPOS分析を包み込むため、通常のPOS分析では見えない世界が見え、これまで想像もつかなかった分析、というよりも、本来直観ではわかっていた分析が数字で検証できるようになる。したがって、まずは、通常のPOS分析とID-POS分析は何が違うのか、実際にID-POS分析で分析した具体的な分析データとはどのようなものなのか、ここからセミナーをスタートさせたいと思っている。

   また、ID-POS分析には、すでに様々な、すぐれた分析フォーマットが開発されているが、現時点での最新フォーマットについても時間が許す限り解説したいと思う。ID-POS分析は日進月歩であり、日々進化している。通常のPOS分析ではわずか数指標ぐらいしかないので、その組み合わせもさほど多くはないが、ID-POS分析は基本指標だけでも、数10種類、細かく見てゆくと数100種類作ることも可能であり、その組み合わせは無限といえる。したがって、フォーマットも無限といえるが、いかにわかりやすく、活用しやすく、しかも、効果が得られるものかが開発ポイントとなる。さらに、ID-POS分析は商品部が商品分析に活用することもさることながら、その本質は顧客ID、特に、今回のテーマ、購入頻度に基点があるため、店舗が活用できなければ意味がないといえる。したがって、現場、特に、店舗が活用しやすいフォーマットをつくることも課題となる。

   当然、ID-POS分析の分析フォーマットと連動し、検証フォーマットも課題であるが、意外に、ID-POS分析では、この検証フォーマットが十分に研究されているとはいえず、ここも今後のID-POS分析の大きな課題であるといえる。今回は、この検証フォーマットのあるべき姿についても、セミナーで解説する予定である。特に、購入頻度をいかに組み込んだ検証をするかがID-POS分析では要諦といえる。

   そして、これらの解説を踏まえ、実践事例をも解説してゆきたいところだが、さすがに、50分の中で何もかもは難しいといえ、事例に関しては、私の担当の中では、必要最小限に留めて、ID-POS分析の本質、購入頻度を中心に、今回のセミナーでは取り組んでゆく予定である。そして、時間があれば、すでに、準備がはじまっている来季のID-POS分析の取り組み、研究課題等についても解説できればと思う。

   まずは、10/21の大阪、翌週、10/28の福岡、そして、来月11/10の東京と連続してID-POS分析のセミナーが続いてゆくが、私に与えられた貴重な時間を参加された小売業、メーカー、卸の方がID-POS分析の本質をご理解いただき、自社でID-POS分析が可能となり、実践に活かしていただけるような内容にできればと思う。今期のID-POS分析関連のセミナーはこれで終了であるが、来期も今期以上に回数も、そして、内容も充実させ、ID-POS分析関連のセミナーを実施してゆきたいと思う。ご期待ください。

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October 17, 2011

セブン&アイH、イオン、ダイエーの中間決算を比較!

   GMS、主要3社の2012年2月期の中間決算が出揃った。3社とはセブン&アイH、イオン、ダイエーである。すでに、本ブログではその概要を取り上げたが、改めて、この3社の決算を比較してみたい。GMSは食品スーパーマーケットと違い独特な経営構造であり、この3社を比較することによって、その独特な経営構造を読み解き、合わせて、今期の主要GMSの動向を占ってみたい。

   まずは、営業収益であるが、セブン&アイH 2兆3,572.41 億円(-7.9%)、イオン2兆5,099.94億円(0.2%)、ダイエー4,378.99億円(-5.6%)という結果である。イオンはプラスであったが、その伸び率はわずかであり、セブン&アイH、ダイエーはマイナスとなり、厳しい数字である。各GMSとも成長戦略が打ち出せていない状況といえる。これに対して、営業利益であるが、セブン&アイH 1,501.86億円(25.9%:営業収益比6.37%)、イオン764.24億円(22.9%:営業収益比3.04%)、20.45億円(150.0%:営業収益比0.46%)という結果である。いずれも、大幅な増益であり、営業収益とは対照的な結果となった。いかに、この中間決算時は成長性よりも、各GMSとも利益確保を優先したかがわかる。ただ、その収益率は大きな差が生じており、セブン&アイHがイオンの約2倍、ダイエーは伸び率は高いが、わずかな収益率である。

   そこで、各GMSの収益力の違いを原価、経費、そして、その他営業収入から明らかにしてみたい。また、ここが食品スーパーマーケットとGMSとの最大の経営構造の違いといえ、その違いにも言及してみたい。まずは、原価であるが、セブン&アイH76.59%(昨年74.43%)となり、2.16ポイント上昇している。ただし、これは、「北米のコンビニエンスストア事業における営業収益の計上方法の変更など、・・」があったとのことで、昨対については、参考数値といえよう。結果、売上総利益は23.41%(昨年25.57%)となった。イオンであるが、73.27%(昨年73.12%)と、0.15ポイント上昇し、結果、売上総利益は26.73%(昨年26.88%)となった。そして、ダイエーであるが、69.63%(昨年69.98%)と、0.35ポイント下がり、結果、売上総利益は30.37%(昨年30.02%)となった。

   こう見ると、各GMSとも、かなり原価構造が違うといえ、セブン&アイHが最も高く、結果、粗利が低いといえる。3社の中ではダイエーが最も原価率が低く、結果、粗利が高い数字であり、イオンはその中間といえる。ちなみに、食品スーパーマーケット業界の決算公開企業約50社の2011年度の本決算の数字は原価率75.07%、売上総利益24.93%であるので、セブン&アイHとイオンの間ということになる。

   一方、経費の方であるが、セブン&アイH 35.19%(昨年33.34%)と、1.85ポイント上昇した。イオンは35.35%(昨年35.56%)と、0.21ポイント下がった。そして、ダイエーであるが、37.24%(昨年37.30%)と、0.06ポイント下がった。こう見ると、いずれも35%を超える経費比率であり、これがGMSの経営構造の大きな特徴といえ、いかに、経費率が高いかがわかる。ちなみに、先の食品スーパーマーケット業界の数値は25.18%であるので、約10ポイント近い差であり、食品スーパーマーケットとGMSを分ける経営指標の最大の違いはこの経費構造にあるといえよう。

   したがって、差し引き、商品売買から得られる利益、マーチャンダイジング力を算出すると、セブン&アイH-11.78%(昨年-7.77%)、イオン-8.62%(昨年-8.68%)、ダイエー-6.87%(昨年-7.28%)と、いずれも大きくマイナスとなる。したがって、営業利益を黒字にするためには、これに不動産収入、物流収入等を加える必要があるが、その数字は、このマーチャンダイジング力から見ても、大きな数字であり、これが、GMS業態の特徴といえる。

   そこで、その他営業収入を見ると、セブン&アイH 19.39%(昨年13.05%)、イオン12.04%(昨年11.45%)、ダイエー7.38%(昨年7.48%)と、いずれも大きな比率であり、特にセブン&アイHは会計上の変更があったため、さらに異常値となっている。結果、営業利益はセブン&アイH 7.61%(昨年5.28%)、イオン3.42%(昨年2.77%)、ダイエー0.51%(昨年0.20%)となった。セブン&アイHの収益力の高さが光るが、各GMS、いずれも、増益であり、今期は、利益の改善に注力したことがわかる。ただ、その方法はまちまちであり、セブン&アイHは、判断が難しいがその他営業収入、イオンはその他営業収入と経費、ダイエーは原価の改善に注力したといえよう。

   このように、GMS主要3社の2012年2月期の中間決算は、増収面では苦戦したが、いずれも大きく増益となっており、利益の改善がみられる結果となった。セブン&アイH、イオンはその他営業収入に負うところが大きく、ダイエーは原価に負うところが大きい。本来、GMSの改革ポイントは経費比率をいかに引き下げるかにあるといえ、ここがイオンは若干下がったが、依然として、35%を終えており、イオンも含め、改善の余地は大きいといえよう。こう見うると、今期決算は大きく増益は期待できると思われるが、増収はかなり厳しい状況といえよう。ただ、増益に関しても、経費比率よりも、原価、その他営業収入に負うところが大きいといえ、今後、いかに、中長期的に、経費比率の改善に踏み込めるかが、各GMSの大きな経営課題といえよう。

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October 16, 2011

OTC医薬品のID-POS分析、ロキソニン健闘!

   月刊マーチャンダイジング、2011年10月号にOTC医薬品のID-POS分析が取り上げられた。この記事は6回シリーズの連載であり、これが最終、タイトルは、「データの読み方、生かし方」、サブタイトルは「店長&売場スタッフのための考えるヒント」である。そして、この6回目は、「解熱鎮痛剤、小容量で即効性の高い「ロキソニン」は来店きっかけ商品」がテーマであり、これに、ID-POS分析の図表が8つ掲載され、2ページにまとめられた記事である。

   ID-POS分析にあたっては、カスタマー・コミュニケーションズが協力しており、独自の開発指標ABCL分析をメインに取り上げている。ABCL分析は、カスマー・コミュニケーションズによれば、「通常の「ABC分析」に商品ロイヤルティ(L)して「リピート率」を加えた分析手法です。「買上点数構成比」によるABC判定と「リピート率」をあわせて見ることによって「絶対に欠品させてはいけないアイテム」や「売込めばリピーターがついて伸びてくる商品」を発見することが可能です。」という分析指標である。ABCまでは通常のPOS分析でも可能であるが、LはID-POS分析なくして算出することは不可能であり、その意味で、通常のPOS分析とID-POS分析を組み合わせたところがミソといえ、ユニークな指標である。ID-POS分析は、このように、通常のPOS分析と組みわせることにより、このABCL以外にも、様々な指標をつくることができる。また、ID-POS分析のみの指標も当然つくれ、この逆、ID-POS分析に通常のPOS分析を組み合わせることもできる。

   余談だが、通常のPOS分析とID-POS分析は密接な関係があり、ID-POS分析が通常のPOS分析を100%包み込んでしまう、いわば部分集合の関係にある。したがって、ID-POS分析から通常のPOS分析はすべて可能であるが、通常のPOS分析からはID-POS分析へは一部のみ分析が可能であり、大分部は分析不能となる。したがって、ID-POS分析を理解するには、まずは、通常のPOS分析の延長として考えるのではなく、いきなり、ID-POS分析から入り、ID-POS分析の世界観を理解することが早いといえる。そうすると、通常のPOS分析が、POS分析のほんの一部であり、しかも、通常のPOS分析には、存在しない世界観があることが理解でき、POS分析の全体像がつかめるはずである。

   ひとつ例をあげると、通常のPOS分析では客単価(金額PI値)をあげることがマーチャンダイジングの根幹であるが、ID-POS分析では客単価(金額PI値)をあげることは必ずしも正しくない。客単価(金額PI値)を下げても、売上げを上げることはでき、むしろ、その方が良い場合もある。このような事例はID-POS分析を実施すると、いくらでも実証されることであり、この瞬間に、通常のPOS分析では理解できない世界がID-POS分析には広がっていることがわかる。また、ID-POS分析の指標は無限といってよく、通常のPOS分析は数種類しかないので、ID-POS分析の世界に入ると、圧倒される。ただ、本質はたったひとつ、頻度のみであり、この頻度を理解できれば、その他の指標も理解でき、新たな指標を誰でも生み出すことができる。その意味で、ABCLのLは頻度のひとつであり、ID-POS分析の本質をついたすぐれた指標であるといえる。

   さて、この記事の中で、注目の分析は、ABCL分析でOTC医薬品の第1類医薬品の分析結果である。ABC、すなわち、通常のPOS分析でベスト20を算出し、これに、L、リピート率を付与したものである。結果を見ると、2011年5月から7月までの期間であるが、No.1は大正製薬のリアップX5-60mlであり、購入金額構成比38.49%(昨年41.40%)、リピート率37.36%(39.51%)であり、圧倒的なNo.1である。そして、No.2が今回の記事の対象商品、第一三共ヘルスケア、ロキソニンS-12錠であり、購入金額構成比9.94%(昨年なし)、リピート率16.91%(昨年なし)である。以下、大正製薬、リアップ120ml、第一三共ヘルスケア、トランシーノ360錠、第一三共ヘルスケア、トランシーノ180錠、大正製薬、リアップレディ60ml、第一三共ヘルスケア、ガスター10<錠>12錠、・・と続く。

   さらに、これ以外も、解熱鎮痛剤の性年代別購入状況、売上金額上位50SKUの錠剤数別売上構成比、錠剤数別購入間隔、錠剤数別購入者の同時購入状況、ロキソニンのカテゴリー新規顧客獲得率、2011年7月の解熱鎮痛剤購入者の前月来店状況の7つの図表が掲載されており、ロキソニンを様々な角度から分析している。そして、結論であるが、ロキソニンは小容量でも即効性が高く、来店のきっかけをつくる「コンビニ型」医薬品であり、既存解熱剤からのブランドスイッチも起こっている可能性が高いとのことである。

   このように、ID-POS分析でOTC医薬品を見ると、通常のPOS分析における単なる売れ筋だけでなく、ID-POS分析特有のリピート率、トライアル等の指標を通じて、新たな商品の購入状況が理解でき、奥の深い考察が可能となる。今回の記事ではリフト値の活用には言及していなかったが、さらに、リフト値等を活用すると、よりOTC医薬品内の関係、雑貨、食品等との関係も導き出すことができ、新たな仮説づくりにつながってゆくものといえよう。なお、すでに、カスタマー・コミュケーションズはプラネットと組み、ドラックストアのABCL分析をバイヤーに公表している。ドラックストア業界の方が食品スーパーマーケット業界よりもID-POS分析は一歩進んでいるといえよう。今後、食品スーパーマーケットにおいても、急速にID-POS分析が浸透してゆくのではないかと思う。

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October 15, 2011

ダイエー、2012年2月期中間、減収営業増益!

   ダイエーが10/7、2012年2月期の中間決算を公表した。結果は、営業収益4,378.99億円(-5.6%)、営業利益20.45億円(150.0%)、経常利益2.95億円(昨年は赤字)、当期純利益-93.57億円となり、当期純利益は資産除去債務の会計基準の適用等があり、赤字となったが、営業、経常段階では減収増益となり、収益が大きく改善した。10/7、同時に公表した「平成24 年2月期 第2四半期(累計) 業績予想との差異及び通期業績予想の修正に関するお知らせ」の中でも、「営業収益は既存店の売上高が当初見込みを下回ったことにより、前回予想を下回りました。営業利益、経常利益及び四半期純利益につきましては、原価低減施策を推し進めたことによる荒利率の改善や業務の効率化、節電等による販売費及び一般管理費の低減により、前回予想を上回りました。」とコメントしており、営業利益の改善が予想以上であったとのことである。

   ちなみに、ダイエーの現時点の大株主であるが、筆頭株主はイオン19.85%であり、第2位株主が丸紅18.41%であり、イオンと丸紅が経営権を握っている。さらに、第3位が丸紅リテールインベストメント10.87%であり、実質、丸紅が29.28%と、経営の主導権を握っているといえる。ただし、丸紅も30%を微妙に下回っており、イオンの協力なしに、経営を主導してゆくことはできない。また、この総合計が49.13%であり、50%を若干割っており、残りは投資ファンド、銀行等が数%づつ株式を保有している。したがって、圧倒的な主導権をもっている企業はなく、今後、イオン、丸紅がどのように協力しながら、さらに、投資ファンド、銀行等とも合意を得ながら経営を進めてゆく必要があり、経営陣はいかにバランスを取るかが重要なポイントといえる。

   さて、このダイエーの中間決算の結果であるが、ポイントは営業利益が150.0%と大きく回復した点にある。そこで、その要因を原価、経費面からみてみたい。まずは原価であるが、69.63%(昨年69.98%)と0.35ポイント改善した。結果、売上総利益は30.37%(昨年30.02%)となった。これはかなり高い数字であり、食品スーパーマーケットの2011年度の本決算における決算公開企業約50社の平均が24.93%、セブン&アイHが25.74%、イオンが27.16%であるので、いかに高い数字であるかがわかる。ちなみに、食品スーパーマーケットでは、サンエーが30.09%と最大であり、これを上回る数字であり、ダイエーのマーチャンダイジングの特徴は、この原価率の低さにあるといえよう。

   一方、経費に関しては、37.24%(昨年37.30%)と0.06ポイントと、わずかではあるが、改善した。これについてダイエーは、「業務の効率化による生産性改善、店舗の賃料減額等により販売費及び一般管理費の低減が実現し、・・」、さらに、「また、全国的に予想されていた夏場の電力需給逼迫に対応し全社的に節電の取り組みを強化することで、東京電力管内におきましては7月4日から8月31日の間、店舗における使用最大電力を昨年比29.2%削減いたしました。」とのことで、経費削減に取り組んだとのことである。ただ、37.24%はかなり高い数字であり、先の食品スーパーマーケットの2011年度の本決算の平均が25.18%、セブン&アイH33.37%、イオンが35.11%であるので、いかに高いかがわかる。

   したがって、ダイエーは低原価、高経費の典型的なパターンであるといえるが、結果、差し引き、商品売買から得られる利益、マーチャンダイジング力は、-6.87%(昨年-7.28%)と、0.41ポイント改善した。原価、経費、双方が改善したことが大きいといえよう。ただ、依然として、-6.87%と大きくマイナスとなっており、経費比率をいかに削減するかが課題といえよう。ちなみに、2011年度の食品スーパーマーケット業界の本決算におけるマーチャンダイジング力は-0.25%、セブン&アイHは-7.63%、イオンは-7.95%であるので、食品スーパーマーケットと比べると大きくマイナスであるが、GMSの中ではかなり低い数字であるといえよう。これは、ダイエーの原価の低さによるといえ、これがダイエーのマーチャンダイジングの特徴といえよう。

   そして、これにGMS特有の不動産収入、さらに、物流収入等が7.38%(昨年7.48%)加わり、営業利益は0.51%(昨年0.20%)と、倍増した。ただ、その比率は0.51%であるので、昨年よりは大きく改善したが、2011年度の食品スーパーマーケットの営業利益は2.31%であり、セブン&アイHは5.37%、イオンは3.78%であるので、さらに、原価、経費の改善が課題といえよう。ちなみに、セブン&アイHの2011年度本決算のその他営業収入は13.00%、イオンは11.72%であるので、ここがダイエーとの大きな差であり、GMSの大きな特徴といえよう。

   このように、ダイエーの営業利益は昨対150.0%と大きく改善し、減収とはなったが利益の改善が図られたといえよう。ただ、食品スーパーマーケット、セブン&アイH、イオン等と比較すると、その数字はかなり低い数字であるといえ、経費の削減に加え、GMS特有のその他営業収益をどのように高めてゆけるかが、今後の課題といえよう。今後、ダイエーは後半戦に入るが、本決算、そして、中長期的にどのように営業利益を高めてゆくか、その動向に注目である。

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October 14, 2011

ついに、アクセス(Access)!

   これまで、どんなに大量のPOSデータを分析するにも、基本はExcelでこなしてきた。アクセスの方が便利なような気がしてはいたが、限界までExcelを使いこなそうとしてきた。実際、これまで取り組んできたPOS分析はExcelで可能であったし、手間を惜しまなければ、Excelでも、アクセスのような分析も可能であったからである。ちょうど、掛け算を足し算、ないしは、割り算を引き算でやるような感じでExcelをアクセスのように使えば、かなりの程度までExcelでPOSデータを分析することが可能であった。また、アクセスは何か、手が出しにくい感じがしており、通常の思考では理解しにくいものがあり、Excelのように気軽に使おうという気になれなかった面もある。

   ところが、ここへきて、ID-POS分析の時代になり、Excelではにっちもさっちもいかなくなり、とうとう、先日からアクセスを使い始めた。まだ使い始めたばかりであり、自由自在に使いこなすところまでは程遠いが、約500ページの入門書と格闘しながら、何とかデータの分析ができるまでになった。今回のID-POS分析のケースも、これまでのように、当初はExcelで分析が可能だと思っていたが、どう考えてもできない、というより、莫大な時間、少しトライしてみたが、ざっと計算しただけでも100時間ぐらいかかりそうなので、さすがにあきらめた。

   Excelでの分析をあきらめたこのID-POSデータであるが、縦が約1万行、すなわち、顧客約1万人のデータである。以前のExcelではこれだけでも不可能な分析であったが、最近のExcelでは、1万行でも問題なく分析が可能であり、当初はExcelで可能だと思っていた。ところが、その顧客データをもとにID-POS分析に入るわけであるが、ID-POS分析の基本は期間に関しては年間、月別が原則であり、これをもとに、状況に応じて、年間を数年に拡大したり、月別を週別、日別、時間にまで落とし込んだりする。したがって、今回のケースも月別での顧客データであり、1月度から12月度までの分析となる。

   ポイントはこの時、月々の顧客の数が大きくばらつくことである。ある月はたとえば2,000人の月があり、ある月は4,000人の月があり、ある月は1,000人の月があったりする。そして、この顧客を合計すると、年間では約1万人の顧客となる。何でこんなバラつくかというと、ID-POS分析を実施してみれば一目瞭然のことであるが、どんな商品も年間1回しか購入しない顧客が大量に発生しているからである。今回のケースは生鮮食品の最重点商品であるが、それでも、5,000人以上、すなわち、50%以上が年間1回しか、この商品を購入しない顧客であることが判明している。ちなみに、グロサリー商品ではさらに、多くの顧客となるのが通常である。

   このような、いわゆるBランクの顧客は分析しなくともいいのではないかとも思われるが、ID-POS分析のもうひとつの分析のポイントは、レシート変換、すなわち、対象商品の購入顧客の全購入レシートまで分析することが課題となる。実際に、今回も、この約1万人の顧客の全レシートを分析してみると、対象商品はBランクであるが、全商品では、Sランクの顧客がたくさんいることがわかる。すなわち、対象商品をSAB、全商品をSABに分けて見ると、SS、AA、BBとならず、SB、BSの顧客が確実に存在しているといえる。したがって、対象商品がBランク、すなわち、年間1回しか購入しない顧客であっても、店舗にとってはSランクの顧客もおり、この顧客をID-POS分析から外すわけにはいかないからである。また、ID-POS分析の要諦は、顧客のランクアップの導線をつくることが重要であり、さらに、Cランク、いわゆる未購入顧客からBランクへ誘導することも課題である。そのためにはBランクのID-POS分析も無視できないからである。

   こうなると、この場合のID-POS分析は縦約1万行、横対象商品12ケ月、全商品12ケ月、そして、それぞれの月、および、年間合計のID-POS分析の基本分析指標が約10列づつ入るので、完璧に分析すると、数百列となる。そして、これを縦約1万行の顧客IDで一覧表にするわけであるが、月々では当然購入が発生しない顧客が大量に発生するので、空白行が発生する数百万件の巨大な一覧表を作り上げなければならなくなる。もちろん、Excelでも可能であるが、問題は縦約1万行の顧客順に横の列すべてを統一することであり、ここで挫折し、アクセスを使ってしまった。入門書を見ながらの作業であったが、テーブルをつくり、このテーブル間をクエリーで顧客IDを基点にすべてむすびつけ、購入のない顧客IDの月は空白にする指示を与え、何とか、巨大な一覧表をつくりあげることができた。そして、ここから、再度Excelに落とし、ID-POS分析の計算式を入れ、顧客約1万人のランクづけも行い、ID-POS分析の基本帳票がやっと完成した。

   このように、やむにやまれず、今回はアクセスを使わざるをえなくなってしまったが、まだ、アクセスのほんのわずかな機能をつかっただけであるが、今回のように顧客IDを基点に各月のデータを連結するには、必須であるといえ、力づくではどうにもならないことがわかった。ただ、Excelもいったん基本帳票ができてしまえば、分析するには便利であり、双方の組合せがポイントといえよう。今回は苦労したが、今後は、ID-POS分析の流れができあがったので、さらに、アクセスももう少し勉強し、ID-POS分析の基本帳票を短時間で作り上げ、中身の分析に時間をかけられるようにしてゆければと思う。   
   
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October 13, 2011

イオン、2012年2月、中間、減収増益!

   イオンが10/5、2012年2月期、中間決算を公表した。結果は、営業収益2兆5,099.94億円(0.2%)、営業利益764.24億円(22.9%)、経常利益829.63億円(22.8%)、当期純利益274.16億円(-18.5%)と、営業、経常段階では、増収増益、特に、利益が大幅アップとなる好決算となった。なお、当期純利益が、営業、経常段階とも大きくプラスになりながらもマイナスとなったのは、東日本大震災による災害による損失304.59億円、今期から適用された資産除去債務会計基準の適用に伴う影響額177.73億円等の特別損失が計上されたためである。したがって、営業活動によるキャッシュフローは、この分がプラスとなり、1,212.91億円(昨年198.70億円)と、約6倍近く増加しており、まさに好決算といえよう。

   そこで、イオンが昨年の約6倍となった営業活動におけるキャッシュフローをどのように配分したかを見てみたい。まずは、投資活動によるキャッシュフローであるが、-1,005.54億円(昨年465.21億円)と、倍増している。営業活動によるキャッシュフローが1,212.91億円であるので、その大半を投資に配分したことになる。その主な項目であるが、有形固定資産の取得による支出-1,065.50億円(昨年-959.07億円)と、昨年同様、新規出店関連に大半を配分しており、積極的に成長戦略へ舵を切っているといえる。したがって、財務活動によるキャッシュフローは-208.41億円(-515.03億円)と、投資滑動によるキャッシュフローの約1/5であり、いかに投資、すなわち、成長戦略にキャッシュを配分しているかがわかる。

   イオンのこの中間決算時の有利子負債の合計は1兆1,693.99億円 、総資産3兆9,908.43億円の29.30%となり、経営に重くのしかかっているといえる。したがって、本来、好決算で営業活動によるキャッシュフローが増加した場合、財務の圧縮に取り組みたいところであろうが、この中間では投資を最優先にキャッシュを配分しているといえる。実際、財務活動におけるキャッシュフロー-208.41億円の中身は配当金の支払額が-160.69億円(昨年-153.04億円)であり、有利子負債への配分は+13.36億円、むしろ、若干増加しており、実質返済へは充てられていないといえる。それだけ、イオンは成長戦略に経営資源をシフトしているといえる。結果、自己資本比率は22.4%(昨年23.5%)と下がっており、しかも、その比率も低く、成長戦略が約80%弱の負債に支えらえているといえる。イオンとしては、財務の安定もはかりたいところかと思うが、この中間決算に関しては、あえて、成長戦略を選択したといえよう。

   そこで、イオンがどのような成長戦略を描いているかであるが、「当期を初年度とするイオングループ中期経営計画(2011 年度~2013 年度)に則り、中国、アセアンにおける本社設立準備や、首都圏を中心とする都市型小型店舗の出店加速、ならびにシニア向けの商品開発や売場展開を進める等、「アジアマーケット」「大都市マーケット」「シニアマーケット」の3つの領域における事業基盤の構築を進めました。」とのことである。イオンとしては、この3つ、「アジアマーケット」「大都市マーケット」「シニアマーケット」を同時並行で取り組んでゆくとのことで、この中間決算でも、この3つに、投資活動によるキャッシュフロー1,005.54億円の大半を配分したものといえよう。

   ちなみに、イオンのアジアマーケットの状況であるが、アセアン、営業収益422.40億円(構成比1.68%)、営業利益26.19億円(構成比3.42%)、中国、営業収益517.29億円(構成比2.06%)、営業利益11.43億円(構成比1.49%)であり、合計構成比は、営業収益3.74%、営業利益4.91%であり、まだまだ、事業規模は小さいといえる。一方、大都市マーケットであるが、ミニストアップ3,936 店舗に加え、「都市型の小型スーパー「まいばすけっと」は、重点エリアへの集中出店と新規展開エリアの拡大により、当第2四半期連結累計期間末の総店舗数が217 店舗となりました。」とのことで、順調に店舗を拡大している。事業の収益も、「営業収益1,045 億66 百万円(対前年同期比113.2%)、営業利益40 億64 百万円(同136.4%)」とのことで、増収増益となった。ただ、営業収益の構成比は4.16%、営業利益は5.31%であり、まだまだ、全体への影響は小さいといえる。

   その意味ではイオンの中核は何といっても、GMS事業であるといえ、この中間期は、「営業収益1兆2,825 億4百万円(対前年同期比97.5%)、営業利益151 億67 百万円(同176.5%)」と、特に、利益が大幅な増益となったことが大きいといえよう。ちなみに、構成比であるが、営業収益51.09%、営業利益19.84%であり、営業利益は回復基調にあるとはいえ、もう一段と改善したいところであろう。

   このように、イオンの2012年2月期、中間決算は、営業、経常段階では増収増益の好決算となった。当期純利益も特別利益の発生によるものであり、実質、増益といえ、営業キャッシュフローは倍増し、1,000億円を超えた。そして、この増加したキャッシュをこの中間では、依然として、有利子負債が経営に重くのしかかる中、思い切って、大半を成長戦略に配分しており、成長戦略に舵を切ったといえる。特に、「アジアマーケット」「大都市マーケット」「シニアマーケット」へと成長の軸を3つに移すとのことであり、後半、そして、中長期的に、今後、イオンがどのような具体策を打ち出すか、注目である。

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October 12, 2011

セブン&アイH、2012年2月、中間、減収増益!

   セブン&アイHが10/4、2012年2月期、中間決算を公表した。結果は、営業収益2兆3,572.41億円(-7.9%)、営業利益1,501.86億円(25.9%)、経常利益1,508.78億円(26.4%)、当期純利益527.90億円(-15.4%)と、減収、営業、経常段階では増益となる決算となった。当期純利益がマイナスとなった要因は、「四半期純利益は、特別損失におきまして東日本大震災の発生に伴う災害による損失234 億円と資産除去債務会計基準の適用に伴う影響額225 億円を計上したことなどにより527 億9 千万円(同15.4%減)となりました。」とのことで、これら特別損失が生じたためである。また、営業収益においても、今期から、アメリカのセブンイレブンの計上方法が総額方式から純額方式に変更したためであり、これをもとのままで計算しなおすと、営業収益は2兆6,121.31億円(2.1%)となり、増収であるので、この中間決算は、実質、増収増益、特に、利益は2ケタの増益となる好決算であったといえよう。

   さらに、セブン&アイHは米国、中国事業も、この決算の中には含まれており、その決算結果には、為替レートが反映される。この中間決算時の為替レートは、US$1=82.01円(昨年US$1=91.36 円)、1元=12.52 円(昨年1 元=13.35 円)であり、いずれも、円高であり、その分、円換算では減収となり、これも加味すると増収増益幅はさらに増すことになる。ちなみに、営業収益では、米国事業23.0%、中国事業は1.9%、営業利益では 、米国事業7.4%、中国事業0.9%であるので、営業収益の方が影響が大きいといえる。

   では、これを事業別に見て、どの事業が利益に貢献したかを、営業利益をもとに見てみたい。セブン&アイHは、事業構造をコンビニエンスストア事業、スーパーストア事業、百貨店事業、フードサービス事業、金融関連事業、その他の事業の6つに大きく分けている。その営業収益と営業利益であるが、コンビニエンスストア事業、営業収入8,359.19億円(81.0)、営業利益1,098.39億円(107.2%)、スーパーストア事業、営業収益9,883.31億円(100.1%)、営業利益210.47億円(609.4%)、百貨店事業、営業収益4,318.97億円(97.4%)、営業利益22.13億円(昨年は赤字)、フードサービス事業、営業収益390.76億円(93.8)、営業利益310 億円(103.4%)、金融関連事業、営業収益635.72億円(116.2%)、営業利益162.92億円(107.9%)、そして、その他の事業、営業収益230.85 億円(142.5%)、営業利益11.31億円(昨年は赤字)という結果である。

   こう見ると、この中間決算において、スーパーストア事業の営業利益が大きく改善したことが大きいといえる。そこで、このスーパーストア事業の中身をイトーヨーカ堂とヨークベニマルに分けて見てみたい。まずは、イトーヨーカ堂であるが、営業収益6,728.84 億円(99.1%)、営業利益60.71億円(昨年は赤字)、これに対して、ヨークベニマルであるが、営業収益1,726.50億円(100.3%)、営業利益95.79億円(237.2%)という結果である。したがって、イトーヨーカ堂が黒字転換したことに加え、ヨークベニマルが東日本大震災において甚大な被害を受けながらも、営業利益を昨年の2倍以上に拡大したことが大きかったといえる。

   これを受けて、セブン&アイHのキャッシュフローであるが、異変が起きている。まずは、営業活動によるキャッシュフローであるが、3,608.28億円(昨年2,594.80億円)と、約1千億円増加している。食品スーパーマーケットでは、営業キャッシュフローは100億円がトップクラスであるので、いかに、巨大な金額かがわかる。そして、今後の経営戦略を占う投資活動によるキャッシュフローであるが、-2,639.15億円(昨年-909.82億円)であり、積極的な投資を展開している。主な増加項目であるが、有形固定資産の取得による支出-1,111.74億円(昨年-743.35億円)と、新規出店関連を大きく増加させており、今後、積極的な新店を展開してゆくことになろう。そして、さらに、大きな項目が事業承継による支出-1,357.94億円(昨年は0)であり、いわゆるM&A、「(株)セブンCS カードサービスの株式取得による支出および事業承継による支出を計上したことなどにより、・・」である。

   結果、フリーキャッシュフローは969.13億円(昨年1,684.98億円)となり、これを財務キャッシュ活動によるキャッシュフローに充てることになるが、その財務活動によるキャッシュフローは266.71億円(昨年-156.21億円)と、今期はプラスであり、そのまま、フリーキャッシュフローを内部留保している。さらに、中身を見ると、有利子負債を増やしており、気になる動きである。結果、自己資本比率は43.6%(昨年45.6%)と、若干下がっている。事業承継への投資配分が影響したといえよう。

   このように、2012年2月期のセブン&アイHの中間決算は、米国のセブンイレブンの計上方法の変更、円高による為替レートの上昇などがあり、営業収益は減少したが、収益はイトーヨーカ堂の黒字転換、ヨークベニマルの大幅増益等により、増益となった。そして、この増益による増加したキャッシュに加え、有利子負債の増加もはかり、新店開発及び事業承継に大きくキャッシュを配分して、事業の拡大を図ったといえる。結果、自己資本比率がやや下がったことは気になるが、営業収益の改善をはかる投資といえ、今後、後半に向け、セブン&アイHがどこまで、営業収益を伸ばしてゆくのか、その動向に注目といえよう。

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October 11, 2011

RDS、地域POSデータ研究委員会スタート!

   RDS((財)流通システム開発センター)、「サプライチェーンにおける協働マーチャンダイジング研究委員会」の委員長に就任し、10/5から、研究委員会がスタートした。この研究委員会、通称、「RDS-POS活用研究会」は、食品スーパーマーケット、特に、中小の食品スーパーマーケットがRDS-POSデータを活用し、店舗の活性化を実現するための仕組みづくりが目的である。これまでRDS-POSデータは、メーカー、卸が、自社の取扱い商品が小売業ではどのような売れ方をしているのか、特に、新商品はどうなのかなどを知り、マーケティング戦略をつくることが主な目的であったので、今回は、逆、小売業、特に、食品スーパーマーケットのためのRDS-POSデータの活用に焦点を絞ったところが新たな試みである。

   したがって、研究会の委員の中核は地域の中小の食品スーパーマーケットであり、東北から1社、近畿から1社、関東から1社と、この3社の食品スーパーマーケットがメインの研究会である。この3社の食品スーパーマーケットを、コンサルタント会社、システム関係会社が、RDS-POSデータを活用しての店舗の活性化を全面フォローするという体制である。RDS-POSデータは、(財)流通システム開発センターが総力を挙げて収集した全国約400店舗の食品スーパーマーケットの貴重なPOSデータであり、各食品スーパーマーケットのPOSデータをJICFIS分類で集計したものである。

   今回の「RDS-POS活用研究会」は、この貴重なRDS-POSデータを提供している全国の食品スーパーマーケット、1店舗1店舗が、これまで十分に活用できていなかったのではないかという認識のもと、スタートした研究会であるので、今回、委員となった食品スーパーマーケット3社が、RDS-POSデータを本当に活用できるのか、実際に、このRDS-POSデータで店舗の活性化がはかれるのかが問われる研究会であり、私自身にとっても、身の引き締まる思いで、委員長をお引き受けした次第である。

   特に、今回は、RDS-POSデータの食品スーパーマーケット側へのフォローの仕組みとして、WEBを活用した「比べて点検WEB」という仕組みがすでに動いているので、この仕組みを改善し、「新、比べて点検WEB」を構築し、これを食品スーパーマーケット、コンサルタント、システム関係者が共有し、実践的な活用ノウハウを構築することを当面の目標としている。そして、その基本帳票として、RDS-POS用に新たに開発したRDS-POS版の新MD評価表をもとに研究会が進んでゆくことになる。

   そもそもMD評価表は、約20年前、1992年10月に、MD方程式をもとに開発したPOS分析帳票であり、その後、大幅な改定、マイナーチェンジなどを繰り返し、現在、POS分析の標準分析の1つとして、数多くの食品スーパーマーケットが活用している。最新のMD評価表は、つい最近開発されたID-POS分析用のものであり、これも、徐々に活用がはじまり、将来は、このID-POS分析用のMD評価表が、MD評価表全体を包み込んでゆくことになろう。今回のRDS-POS分析用の新MD評価表はこの流れを汲んでおり、約20年間の実戦に耐えたPOS分析帳票のRDS-POS版であり、恐らく、この新MD評価表をメインにして、今回の研究会を進めてゆけるのではないかと思う。

   そのRDS-POS版の新MD評価表の中身であるが、食品スーパーマーケットの自社のPOSデータとRDS-POSデータをMD方程式にそって比較し、自社の商品の課題、特に、重点商品のずれ、品揃えの課題等が、たった1枚の帳票で、一目で一瞬の内に把握でき、すぐに手が打てるように様々な工夫をこらしている。「RDS-POS活用研究会」スタート前の事前準備の段階から日々、3社の要望等を聞きながらマイナーチェンジを繰り返しいるので、すでに、何度も改訂を重ねており、今後も、順次、改訂してゆく予定である。

   このRDS-POS版の新MD評価表は、JICFIS分類で約400近い全カテゴリー一覧と、それぞれの重点カテゴリーの詳細版とからなり、すべてのカテゴリー、そして、そのカテゴリーの中で自社の取扱い商品、1品1品がRDS-POSデータ(地域POSデータ)と客数PI値、PI金額、PI数量、自店の実数、平均単価の順序で比較できるようになっており、しかも、自社で品揃えしていないRDSの全商品に関しても、同様な指標を客数PI値ごとに並び変えて提示し、さらに、課題商品はマーカーを自動でつけているので、誰でも、少し、訓練すれば、現場で自由自在に使いこなすことができるように工夫してある。

   次回からは、3社共通の研究課題のカテゴリーとして、菓子パン、ヨーグルト、カップ麺、スナック、豆腐、牛乳、加工肉等が決定したので、まずは、これらのカテゴリーを中心に、RDS-POS版の新MD評価表をもとに、重点商品の選定と品揃えの改善をはかり、どのように、カテゴリー全体の数字を伸ばしてゆけばよいかをテーマに、各社の売場写真等も交え、「RDS-POS活用研究会」を進めてゆく予定である。

   将来は、このRDS-POS版の新MD評価表が今回の研究委員3社が、研究成果を活かし、実践に活用できるということが条件となるが、RDSの全参加食品スーパーマーケット、約400店舗が活用できる体制を目指したいと思う。さらに、その食品スーパーマーケットを支援しているメーカー、卸、コンサルタント、システム会社等とも連携し、食品スーパーマーケットを支えてゆくネットワークをつくりあげられればと思う。

   日本中の特に中小の食品スーパーマーケットが自社だけではけっしてつかむことができない重点商品の選定と品揃えの改善を通じ、マーチャンダイジング戦略立案の支援体制ができればと思う。RDS-POSデータは、規模の大小にかかわらず、食品スーパーマーケットであれば、RDSに加盟すれば、無料で利用が可能であり、いずれ、今回の研究成果を活かしたRDS-POS版の新MD評価表の活用も可能となる予定であり、食品スーパーマーケットの方は、このチャンスを、是非、活かして欲しい。

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October 10, 2011

顧客IDから見える!ブランド育成の最前線セミナー終了!

   10/6、株式会社マーケティング研究協会主催、私が講師を務めさせていただいた「顧客IDから見える!「ブランド育成の最前線」」と題し、メーカー向けのブランド育成のセミナーが無事終了した。サブテーマは、「頻度と時間がブランド育成のポイントの決め手」であり、ID-POS分析を通じて、どのようにメーカーの方が小売業と協業し、ブランドを育成してゆくのかを、実際のID-POS分析をもとにじっくりと解説した。13時からスタート、途中、休憩を入れ、17時までの約4時間のセミナーであり、質疑応答も含め、ほぼ時間通りのセミナーとなった。

   前半は理論編であり、ID-POS分析特有の基本方程式、売上高=ID×ID客数PI値×PI値×平均単価の4D分析をもとに、1.ブランド育成に絶対必要なID-POSの基本データとは何か、2.ID-POSデータをどのように、ブランド育成用に加工するか、3.ID-POS分析の結果から、ブランド育成の仮説検証体制をつくるの3章構成で、約150分ぐらいの解説となった。

   特に、2のID-POSデータをどのように、ブランド育成用に加工するかについては、1)ブランドの全購入顧客IDの購入履歴を最低1年以上を把握、2)頻度を期間購入頻度(相対)と月頻度(絶対)に分解、3)購入頻度別にブランドの全購入顧客IDを整理、4)S顧客IDとAB顧客IDを頻度別に整理、5)レシート変換により、ブランド以外の商品の購入履歴を把握、6)リフト値により、商品、カテゴリー、部門間の関係を分析の6つのポイントを解説した。また、3.ID-POS分析の結果から、ブランド育成の仮説検証体制をつくるについては、1)ブランド購入IDをどう獲得するか?、2)S顧客のPI値、平均単価をどうアップさせるか、3)AB顧客の頻度(ID客数PI値)アップをどうはかるかの3つのポイントを解説した。

   前半の要点はいくつかあるが、まずは、ブランド育成に当たって、ID-POSデータを取得する時は、必ず、過去1年間、ID-POSデータをもとに分析することが大前提であり、しかも、ブランド購入レシートだけでなく、ブランド購入顧客が店舗で購入する全商品の購入レシートも取得することが必須であることである。ここから、自然、ブランド育成の検証に当たっても、1年間のデータで検証することが前提となることを解説した。その理由は、顧客をSABに分け、特にB顧客、今回の場合は、年間1回しかブランドを購入しない顧客がグロサリーの場合は70%前後、生鮮食品でも約40%おり、数ケ月のID-POSデータでは、これらの顧客がカットされてしまうためである。ブランドの育成には、このB顧客も重要な顧客であり、この顧客の動向を把握するためにも、最低、1年のID-POSデータが必須となるからである。

   そこで、ここから、次の要点は、顧客ランクである。通常顧客ランクは売上げで作るが、ID-POS分析では、頻度の方が、理論的にも、実務的にも正しいことを実際のID-POS分析をもとに、詳しく解説した。これは、ブランド購入レシートにおいても、全商品の購入レシートにおいても全く同じであり、頻度によってランクづけをすることがブランド育成の決め手になることを解説した。そして、もうひとつ、リフト値の活用に当たっては、IDを基点に見てゆくことが、ID-POS分析では基本であり、ここから、クロスマーチャンダイジング、棚割、誘導POP、ちらし等へ落とすことが重要であることを実際の数値をもとに解説した。

   以上が前半の内容であり、後半は約90分、実践編と題し、質疑応答を含め解説した。実戦事例としては、事例研究1とし、グロサリー食品、特にワイン等について、ワインの購入顧客の新規IDを増やす、棚割、レイアウト、誘導POP、ちらし活用のポイント、ワインのS顧客とAB顧客の購入実態を把握し、頻度に着目した段階的な顧客ランクアップづくりのポイントについて解説した。さらに、事例研究2とし、生鮮、日配食品、特に、牛乳、豆腐等について、ブランドごとの顧客ロイヤリティーの違いを把握し、ブランドスイッチと価格政策との関係をつかむポイント、ブランドの品揃えの原則を理解し、ブランド育成をはかるポイントについて、じっくり解説した。

   ブランドをID-POS分析を通じて、育成してゆくということは、ブランドを構成している、1人1人の顧客の詳細な購入履歴をもとに、購入頻度を前提に、顧客のランクづけを行い、顧客のランクアップを1年かけて実施してゆくことであり、見方を変えれば、顧客構造をS顧客に誘導してゆく流れをつくることに他ならない。この流れ、すなわち、S顧客への導線ができていれば、トライアルが発生した瞬間に、その導線にのり、顧客が時間とともにランクアップしてゆくことになり、顧客の構造変化が起こり、ブランドと顧客との関係が時間と共に深まってゆくことになる。

   今回は、このような観点から、「顧客IDから見える!「ブランド育成の最前線」」をテーマに、セミナーにて詳細な解説をしたが、まだまだ、ID-POS分析の実戦事例は通常のPOS分析と比べた場合、圧倒的に少ないといえる。さらに、その理論、基本フォーマット、検証の方法等は十分に確立されているとは言い難いのが現状である。恐らく、数年以内には、ID-POS分析は食品スーパーマーケットの標準分析となってゆくことは必至であるので、メーカーとしても、そろそろ、本格的な受け入れ態勢の準備が必要といえよう。ブランド育成にID-POS分析をどう取り入れるか、メーカーにとってもブランド育成には、ID-POS分析は不可欠な要素となってゆくのではないかと思う。

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October 09, 2011

カスミ、2012年2月期中間決算、増収営業、経常増益!

   カスミが10/3、2012年2月期の中間決算を公表した。結果は営業収益1,104.28億円(0.5%)、営業利益47.52億円(48.4%)、経常利益44.99億円(32.6%)、当期純利益0.80億円(-94.7%)と、営業、経常段階では増収大幅増益となったが、当期純利益は大幅な減益となった。その要因は、「特別損失に災害損失18億56百万円、災害損失引当金繰入額5億8百万円及び資産除去債務会計基準の適用に伴う影響額10億61百万円等を計上したことにより、・・」とのことで、東日本大震災の影響が大きかったといえ、これに、今期から資産除去債務の会計基準の適用がなされたためであるといえる。カスミは、茨城県を地盤とする食品スーパーマーケットであるが、東日本大震災の影響は茨城県にも及んでおり、神栖店は震災影響による修復工事のため依然として休業中であり、その影響が決算にダイレクトに反映されたとえいる。

   そこで、当期純利益が大幅な減益となったが、キャッシュフロー上はどのような結果であったかを見てみたい。まずは、営業活動によるキャッシュフローであるが、72.96億円(昨年66.21億円)と、むしろ増加している。これは、当期純利益は5.85億円(昨年28.17億円)と大きく減少したが、資産除去債務会計基準の適用に伴う影響額10.61億円(昨年0)、災害損失18.56億円(昨年0)はキャッシュとしてはプラス計上となるためである。また、仕入債務の増減額(-は減少)が35.68億円(昨年28.45億円)と増加していることも、キャッシュを増やした要因である。

   結果、むしろキャッシュは昨年よりも潤沢であり、これを投資、財務へより多く配分することが可能となった。そこで、投資活動によるキャッシュフローであるが、-26.83億円(昨年-13.98億円)と、増加している。その中身であるが、有形固定資産の取得による支出が-25.59億円(昨年-11.36億円)と、倍増しており、積極的な新規出店関連への投資配分である。ちなみに、この中間期では、「出店につきましては、馬渡店(茨城県ひたちなか市)を開店しました。既存店の活性化では、元吉田店をディスカウント業態である「FOOD OFFストッカー」に業態転換しました。また、震災の影響によりFOOD OFFストッカー芳賀店及び勝田駅前店を閉鎖し、総店舗数は当第2四半期連結会計期間末現在138店舗となりました。」とのことである。

   ついで、財務活動によるキャッシュフローであるが、-18.99億円(昨年-25.29億円)と、昨年よりはキャッシュの配分は少ないが、有利子負債を昨年、今期いずれも返済しており、削減をはかっている。結果、長短借入金の合計は35.38億円となり、総資産の818.67億円の4.32%と、わずかな比率となり、このペースで推移すれば、数年で無借金経営が実現することになろう。

   結果、トータルキャッシュフローは27.14億円(昨年26.93億円)となり、内部留保も増加し、資産の現金は150.56億円(本決算時123.41億円)と、大きく増加した。現金比率は総資産対比18.39%であり、実質、無借金経営といえ、しかも、本決算時の食品スーパーマーケット業界の決算公開企業約50社の中で見ると、ベスト5に入る高い現金保有率である。東日本大震災の影響を強く受けただけに、現金保有率を引き上げ、今後の有事に備えたものといえよう。

   したがって、当期純利益は-94.7%と大きく減少したが、キャッシュフローはむしろ潤沢になり、その配分も投資と内部留保を強く意識した配分に加え、有利子負債の削減をも配慮するという、極めてバランスの良いキャッシュの配分といえる。

   一方、今期の中間決算でのもうひとつのポイント、営業利益が48.4%増と大幅な改善が図れた要因を原価、経費面から見てみたい。まずは、原価であるが、73.81%(昨年74.46%)と、0.65ポイント削減した。結果、売上総利益は26.19%(昨年25.54%)となった。また、経費であるが、25.16%(昨年25.99%)と、0.83ポイント改善した。特に、「電力不足に伴う節電対応につきましては、従来から環境活動の一環として節電に努めておりましたが、今夏はピーク電力の前年対比25%削減を自主目標に掲げ、お客様の安全と商品の品質管理に万全を期しながら、より積極的な節電に取り組みました。」とのことで、節電等が大きかったとのことである。

   結果、原価、経費双方が改善し、商品売買から得られる利益、マーチャンダイジング力は差し引き、1.03%(昨年-0.45%)とマイナスからプラスに転じた。そして、これに不動産収入、物流収入等のその他営業収入が3.42%(昨年3.47%)が加わり、営業利益は4.45%(昨年3.02%)と、大幅な増益となった。

   このように、カスミの2012年2月期、中間決算は営業、経常段階では増収増益となったが、当期純利益は東日本大震災の影響等があり、-94.7%と減益となった。ただ、キャッシュフローはむしろ大きく増加しており、その配分も投資、財務とバランス良く半分し、現金も増加している。さらに、営業利益の原価、経費の改善も図られており、キャッシュを生み出すマーチャンダイジング力は増している。カスミとしては、東日本大震災の影響が依然として残る厳しい経営環境の中ではあるが、後半に向けて経営環境を整えることができたといえ、今後、どのタイミングで攻めの経営に転じるのか、その動向に注目である。

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October 08, 2011

商品の購入履歴をどうMDに活かすか?

   商品には1品1品、必ず、その背後に顧客の購入履歴が存在している。実際の売場で商品を見る限り、フェイスとプライスカートがあるだけで、そこから、その商品の背後に存在する顧客の購入履歴を読み取ることは難しいが、実際には、日々商品は顧客が購入しており、その顧客の購入履歴は日々蓄積されてゆく。したがって、その蓄積された商品の購入履歴を分析すれば、その商品の様々な特徴が浮かび上がり、マーチャンダイジングの改善につなげることが可能なはずである。

   ところが、商品の購入履歴はデータとしては存在していても、実戦に活かすことは中々難しいのが実態である。その最大の要因は、実際に商品の購入履歴をつぶさに分析してみると、どんな商品も売上げの大半が年間1回しか購入しない顧客で占められているのが実態であり、購入頻度が高い生鮮食品の中の売れ筋商品でも30%から40%はあり、グロサリーになると、50%を優に超え、70%から80%の商品が大半を占めるといえる。この膨大な、いわゆるトライアル顧客も含めて、商品の売上げは成り立っており、マーチャンダイジングは、このトライアル顧客への政策なくして、成立しないからである。したがって、この顧客をどうマーチャンダイジングに活かすかが大きな課題となる。

   一方、商品にはその反対、ファンも確実に存在しており、この顧客は年間1回どころか、月1回、さらに、熱狂的なファンになると週1回購入する顧客も存在する。しかも、この顧客の比率はわずかであるにもかかわらず、売上構成比では、50%以上を超えることもあり、この顧客なしでは、商品の存在そのものが成り立たないといえ、マーチャンダイジング政策でも最優先で最大級の政策を打ち出す必要があるといえる。

   そして、これ以外の顧客も当然存在しており、この顧客はマーチャンダイジング政策次第で、どちらにも動きかねない顧客層であるといえる。しっかりフォローができれば、ファンへとつながって行く可能性も高いが、何もしないと、トライアル顧客へと移ってしまい、やがては、未購入顧客にもなりかねない不安定な顧客であるといえる。

   通常のマーチャンダイジングではこれらの顧客の実態をつかむことができないため、日々の売上げを追いかけ、週別にチェックし、さらに、月別の販売方針を検討するということになるが、そもそも、商品の背後に、顧客の購入履歴を分析すると、このような実態があるわけであるので、この実態がつかむことができるのであれば、この実態にあったマーチャンダイジングの検討が必要といえよう。しかも、実際の商品の購入履歴を見ると、かなりの顧客が年間1回しか購入しない顧客が存在することは事実であるので、この顧客の動向もフォローできるように、少なくとも、購入履歴の把握は1年は欲しいところである。

   通常の商品の売上げの評価は1日1日で評価してゆくが、顧客の購入履歴は、今日、顧客が何人購入したかではなく、過去1年の購入履歴の中から、ファンの顧客がどう動いたか、トライアルの顧客がどう反応したか、それ以外の顧客がどう動きはじめているのか、ここを評価する必要がある。したがって、マーチャンダイジングのテーマも、瞬間の売上げを上げることから、顧客の購入構造を変化させ、全体をファン、そして、熱狂的なファンへと導くことがテーマとなる。

   従来のマーチャンダイジングでは、どうしても、価格政策が中心となり、可能な限り、価格訴求をかけることがマーチャンダイジング戦略の中心的な課題であったといえる。実際、大半の商品の売上げは需要供給の原理に従っており、価格と売上げとは反比例の関係にあり、価格を下げれば下げるほど売上げは上がり、逆に価格を上げれば上げるほど、売上げは下がるという関係にある。

   では、顧客の購入履歴が把握でき、先のような構造が明確になった時、この問題をどうとらえるかである。一般に顧客はファン、そして、熱狂的なファンほど価格はいわゆる値頃感があれば、購入が継続するが、トライアル、未購入顧客はかなり思いきった価格政策を打たないと反応しないといえる。また、その期間もファンであれば短くても購入機会は得られるが、トライアルは長期間でないと購入の機会は得られないといえる。したがって、価格政策ひとつとっても、購入履歴を前提とした場合は、その価格訴求の大きさと期間により、顧客の対象が変わるといえ、何パターンも存在することになる。

   このように、顧客の購入履歴をマーチャンダイジングに活かすためには、まずは、商品の顧客の購入履歴をしっかり分析し、その構造を理解することが大前提である。そして、ここから、これまでのような価格政策中心のマーチャンダイジングにおいても、顧客ごとに価格と期間を慎重に選定する必要があり、かつ、その検証も瞬間の売上げではなく、常に、年間の顧客構造の変化で検証すべきであるといえる。価格ひとつとっても、様々なバリエーションが年間を通じて組むことができ、さらに、これ以外の従来のマーチャンダイジングの手法もすべて、この観点から見直す必要がある。また、顧客IDを把握できることから、ポイント、クーポン等の独自のマーチャンダイジング政策も可能になるといえる。顧客の購入履歴が把握できるのであれば、是非、独自のマーチャンダイジングに挑戦して欲しいところである。

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October 07, 2011

ハローズ、2012年2月期中間決算、増収減益!

  ハローズが9/30、2012年2月期中間決算を公表した。結果は売上高384.33億円(7.8%)、営業利益11.97億円(-13.7%)、経常利益 11.42億円(-13.5%)、当期純利益5.33億円(-26.7%)と、増収減益となる厳しい決算となった。これまで公表された食品スーパーマーケットの決算結果が増収増益、減収増益が多かったが、ハローズは正反対、増収減益となり、各社がどちらかというと守りの決算であるのに対し、攻めの決算結果である。ハローズ自身は、この中間決算時の経営環境を、「小売業界におきましても、震災直後の一時的な需要増加はあったものの、個人消費の低迷・デフレ基調が続き、顧客獲得のための、出店競争、価格競争及び集客競争に歯止めがかからない厳しい経営環境となりました。」と総括しており、「歯止めがかからない厳しい経営環境」と表現し、守りよりも、攻めを優先せざるをえなかったものと思われる。

   そこで、まずは、ハローズの売上高が7.8%増となった要因を見てみたい。一般に、売上高が上昇する要因は新店によるところが大きいが、今期ハローズは8月に、愛媛県への初出店となる西条飯岡店(愛媛県西条市600坪型 24時間営業)を新規出店しており、いよいよ、香川県以外の四国への出店がはじまったといえる。結果、ハローズの店舗数は広島県19店舗、岡山県22店舗、香川県7店舗、愛媛県1店舗の合計49店舗となった。その背景には、今期から新たな物流センター、早島物流センターが稼働したことが大きいといえ、今後、四国への新店は増えてゆくものといえよう。

   また、全体と既存店の推移であるが、7月に南松永店(広島県福山市)の全面改装を行っており、結果、3月度110.5%(既存店103.8%)、4月度107.6%(既存店101.5%)、5月度105.1%(既存店99.1%)、6月度106.8%(既存店100.8%)、7月度110.6%(既存店104.2%)、8月度105.6%(既存店97.1%)と、8月度はやや苦戦したが、それ以外は堅調な売上げで推移している。したがって、この中間期は前半の東日本大震災の特需が寄与し、後半では改装、新店が寄与し、結果、7.8%の増収をもたらしたといえよう。

   一方、苦戦した利益の方であるが、特に、営業利益について、原価、経費面からその要因を見てみたい。まずは、原価であるが、76.27%(昨年77.01%)と0.74ポイント削減しており、結果、売上総利益は23.73%(昨年22.99%)となり、粗利は上昇した。ハローズは、「当社プライベート・ブランド商品の「ハローズセレクション」の開発も引き続き進め、売上高構成比は前事業年度末の8.0%から8.3%に増加いたしました。」とのことで、PB商品の強化が貢献したとのことである。また、「「早島物流センター」の効果的運用による商品調達コストの低減に取組みました。」とのことで、新物流センターの稼働による原価の低減も寄与したといえよう。

   これに対し、経費の方であるが、23.37%(昨年22.01%)と、1.36ポイントと大きく増加した。これについてハローズは、「経費面では、各種委員会を設けて、オペレーション面及び管理面のコストコントロールに取組みましたが、新店開店経費、新物流センター経費、料金単価の値上げにより電気動力費が上昇したことなどにより、営業経費が増加いたしました。」とのことで、営業経費の増加が大きかったとのことである。

   結果、差し引き、商品売買による利益、マーチャンダイジング力は0.36%(昨年0.98%)と、プラスではあるが、大きく減少している。原価は削減できたが、それ以上にコストの上昇が大きかったといえ、厳しい結果となった。そして、これに、不動産収入、物流収入等のその他営業収入が2.75%(昨年2.92%)加わり、結果、営業利益は3.11%(昨年3.90%)と減益となった。したがって、今後、後半に向けて、いかに、経費増を原価の低減、既存店の活性化により、吸収できるかが課題といえよう。

   これを踏まえて、今後の経営戦略を占うキャッシュフローであるが、営業活動によるキャッシュフローは28.83億円(昨年-11.26億円)と、昨年が仕入債務の関係上、マイナスとなったが、今期はプラスとなった。投資活動によるキャッシュフローであるが、-15.58億円(昨年-26.22億円)と、大きく削減している。そして、財務活動によるキャッシュフローであるが、-15.42億円(昨年-0.15億円)であり、特に、今期は有利子負債の削減にキャッシュを配分している。したがって、投資を控え、その分、財務の改善にキャッシュを振り向けているといえる。

   このように、ハローズの2012年2月期の中間決算は増収減益と厳しい決算となったが、中身を見ると、新規出店、店舗改装、新物流センターの稼働等、敢えて、この中間は攻めに転じたといえる。一方、キャッシュフローを見ると、むしろ逆で、投資を控え、財務の改善にキャッシュを配分しており、守りに重きを置いているといえる。したがって、前期は減益となったが、後半以降、攻めよりも守りを重視する経営戦略へと転換するのではないかと思われ、ハローズが増収減益から、増収増益を目指し、後半に向けて、どのような政策を打ち出すか、その動向に注目である。

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October 06, 2011

イオン、マルナカをM&A、マルナカHもイオン株を取得!

   10/5、イオンがマルナカへのM&Aのプレスリリースを公表した。タイトルは、「株式会社マルナカ及び株式会社山陽マルナカの株式取得(子会社化)及び株式会社マルナカホールディングスとの資本提携に関するお知らせ」と、やや長いが、マルナカ、山陽マルナカをイオンが子会社化し、マルナカホールディングスと資本提携を結ぶという内容である。2010年8月から、三菱商事を含め、イオンとマルナカは包括業務提携を結ぶ関係にあったが、ここへ来て、いよいよ、大きく踏み込み、M&A、イオンが動いたといえる。

   「当社は、中山一族から、マルナカの発行済株式の94.96%(131,979 株)を総額364 億円で取得して子会社化し、山陽マルナカの発行済株式の全て(18,100株)を総額85 億円で取得して完全子会社化いたします。」当社とはもちろんイオンのことであり、マルナカに関しては94.96%、山陽マルナカについては100%の株式を取得とのことであるので、マルナカの子会社化、山陽マルナカの完全子会社化であり、まさに、M&Aである。しかも、「本株式取得は2011 年11 月25 日」とのことであり、来月であり、すばやい動きである。

   一方で、「マルナカ及び山陽マルナカの代表取締役社長である中山明憲氏が発行済株式の全てを所有し代表取締役社長を務めるマルナカHDが、当社普通株式の証券取引市場内における取引による取得を行います。」とのことで、マルナカホールディングスはイオンの株式を取得するとのことで、この日程も「2011 年10 月中旬以降」とのことであるので、今月中には動きがあると思われる。

   したがって、日程通りであれば、先に、マルナカホールディングスがイオンの株式を保有し、イオンの株主になり、その後、マルナカ、山陽マルナカがイオンに売却されることになるといえる。マルナカホールディングスがイオンの株式をどの程度取得するかによるが、マルナカホールディングスはマルナカ、山陽マルナカを含めたイオンの経営を株主という立場から、ある意味、イオンの経営に参画することにもなるといえよう。

   これは従来のイオンのM&Aとはかなり様相が違うM&Aであり、これまでイオンはたとえばカスミは32.54%、マルエツは33.01%、ベルクは15.00%、いなげやは15.08%と1/3以上の株式の所有はさけ、資本業務提携関係を結び、友好的なM&Aが主体であった。これが、ここ最近ではC&Fコーポレーションを50.05%と過半数の株を取得し、一歩踏み込み、さらに、少し前になるが、大阪のコーヨーに関しては89.9%の株式まで所有し、経営権を取得したが、今回のマルナカはそれ以上の株式所有であり、イオンがこれまでのようなゆるやかなM&Aから、経営権を確実に握るM&A、さらには、100%の完全子会社化を目指したM&Aという方向に大きく舵を切ったことになる。

   当然、今後のイオンのM&A、特に、食品スーパーマーケット業界へのM&A戦略はもちろん、先に大阪の近商ストアとの資本業務提携をしたセブン&アイH、ウォルマート傘下の西友等のGMS、住友商事、三菱商事、伊藤忠商事等の商社、そして、アークス、原信ナルスH等の食品スーパーマーケットのM&A戦略にも影響を与え、食品スーパーマーケット業界全体の再編につながる可能性が極めて高くなったといえよう。

   また、今回の場合は、気になる動きもある。マルナカホールディンスグスがイオンの株式を取得することである。これは、マルナカそのものはイオンの子会社となるが、その親会社の株式をマルナカホールディングスが取得することにより、イオンの経営にある意味、参画することになることである。実はマルナカは、今回のイオンの株式所有以前に、競合となるハローズの株式を7.81%所有しており、イズミヤの株式も5.01%、さらに、マルエツの株式も2.24%保有している。しかも、ハローズについては、ここ数年株式を買い増しており、直近では、この9/29に、さらに買い増している。こう見ると、ハローズの動きも気になるところであり、さらに、マルナカホールディングスの動きは、さらに気になるところである。

   特に、イオンへの株式の売却額はマルナカ364億円、山陽マルナカ85億円であり、合計449億円となる。これらがすべてイオンの株式取得に充てられるとは思えず、今後、さらに、ハローズ、イズミヤ、マルエツを含め、その他の株式取得に充てられる可能性もあるといえよう。これは、マルナカホールディングスという小売業、特に、食品スーパーマーケットに特化した一大投資ファンドの出現といえ、食品スーパーマーケット業界のまさに再編成につながる動きとなる可能性もあるといえる。

   このように、今回のイオンのマルナカ、山陽マルナカへのM&AはイオンにとってもこれまでのM&A戦略を転換するものであるといえ、本格的な食品スーパーマーケットのM&Aの時代に入る前兆ともいえる動きであるといえる。また、一方で、M&Aされるマルナカ、山陽マルナカも、従来のM&Aとは違い、マルナカホールディングスを通じて、イオンの株式を購入するという、これまでにないM&Aであるといえる。特に、マルナカホールディングスは、すでに、マルナカの競合ともいえるハローズの株式をはじめ、食品スーパーマーケット数社の株式の取得に動いており、これは投資ファンドそのものともいえる動きである。今後、今回のイオンのM&Aがどのような方向に動き、食品スーパーマーケット業界へどのような影響が生じるか、その行くへに注目である。

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October 05, 2011

アオキスーパー、2012年2月期中間、増収増益!

   アオキスーパーが9/26、2012年2月期、中間決算を公表した。結果は営業収益436.51億円(1.9%)、営業利益671億円(130.5%)、経常利益711億円(111.2%)、当期純利益315億円(249.0%)となり、増収大幅増益となり、好決算となった。昨年の決算が厳しい結果であっただけに、その反動が大きいが、それを加味しても、営業、経常利益は2倍、当期純利益3.5倍は大幅増益といえ、収益の回復が鮮明である。特に、今期は当期純利益において、資産除去債務会計基準の適用に伴う影響額が1.40億円発生したが、昨年も固定資産除去損、減損損失1.73億円が発生しており、むしろ、今期はプラスになったことが、当期純利益を一層押し上げたと要因といえる。

   そこで、アオキスーパーの営業利益が130.5%となった要因を、原価、経費面から見てみたい。まずは、原価であるが、83.39%(昨年84.85%)と、1.46ポイントと大幅に減少した。結果、売上総利益は16.61%(昨年15.15%)となり、粗利が上昇した。ただ、この16.61%は上昇したとはいえ、2011年度の食品スーパーマーケット業界の本決算公開企業約50社の中で見ると依然として、断トツのトップであり、食品スーパーマーケット業界としては限界に近い低い数字である。一方、経費の方であるが、18.83%(昨年17.73%)と、1.1ポイント上昇しており、大幅な上昇といえよう。ちなみに、これも、決算公開企業約50社の中ではトップクラスの経費比率の低さであり、アオキスーパーの強さの源泉といえる。

   一般に、これだけ、低い経費比率を維持できるマネジメント力がある場合、それに見合う原価政策をとり、利益を確保する方向に走りがちとなるが、アオキスーパーは、それ以上に原価を引き下げ、利益を確保せず、むしろ、経費以下で粗利を抑え、原価を高く保つマーチャンダイジング戦略を敢えて実施している。これは、経費から原価を決めるのではなく、市場環境の中で、ディスカウント戦略を徹底するために、競合価格を強く意識した価格政策を採用しているためといえよう。結果、マーチャンダイジング力はマイナスとなるが、それをその他営業収入でカバーする営業構造となる。

   そのマーチャンダイジング力であるが、差し引き、商品売買から得られる利益、マーチャンダイジング力は-2.22%(昨年-2.58%)と、依然としてマイナスであるが、その幅は縮まっている。ただ、それでも、-2.22%はかなりのマイナスであり、それだけ、アオキスースーパーが市場での競争価格を強く意識していることがわかる。そして、これに不動産収入、物流収入等のその他営業収入が3.83%(昨年3.28%)加わり、営業利益は1.61%(昨年0.70%)と、大幅な増益となった。経費は上昇したが、これを原価とその他営業収入でカバーした形であり、その他営業収入の改善もさることながら、それ以上に原価の改善が特に、増益に貢献したといえよう。

   では、この大幅な増益により、大きく増加したキャッシュをどのように配分したかをキャッシュフローで見てみたい。まずは、営業活動によるキャッシュフローであるが、-39.95億円(昨年6.91億円)と、大きくマイナスとなった。本来、これだけ大幅な増益となった場合は、営業活動によるキャッシュフローも大きくプラスになるはずであるが、今期は仕入債務の増減額(-は減少)が-47.02億円(昨年0.32億円)となったためである。また、未払金の増減額(-は減少)-2.71億円(昨年-0.21億円)と、これもその要因のひとつである。ちなみに、当期純利益+減価償却費は10.86億円(昨年5.85億円)と倍増しており、キャッシュは大きく増加している。

   営業活動によるキャッシュフローはこのように大きくマイナスとなったが、結果、負債が大幅に減少しており、本決算時には133.43億円であった負債合計が、この中間期では94.56億円と大きく減少しており、自己資本比率は61.7%(昨年53.1%)となり、財務はかえって安定したといえよう。

   そして、投資活動によるキャッシュフローであるが、-10.46億円(昨年-6.44億円)と昨年よりも増加、財務活動によるキャッシュフローも-2.37億円(昨年-1.08億円)と増加、結果、すべてのキャッシュフローがマイナスとなる通常ではありあえないキャッシュフローである。これが可能な理由は、アオキスーパーは、通常の食品スーパーマーケットと違い、多額の現金を保有しており、今期のキャッシュフローにおいても、借入せずに、むしろ返済しており、すべてのキャッシュフローのマイナスを現金を取り崩して相殺している。結果、現金は66.42億円(本決算時119.21億円)と、大きく減少したが、総資産247.53億円に占める割合は26.83%と、依然として極めて高い保有率であり、ここでも安定した財務状況である。

   このように、アオキスーパーの2012年2月期決算は、増収幅はわずかであったが、増益幅は大きく増加しており、好決算であったといえる。そして、この好決算を踏まえ、豊富な現金をもとに財務改善に踏み込み、負債の圧縮を行い、自己資本比率を61.7%にまで高めており、財務の安定化が図れたといえよう。今後、この強固な財務基盤をもとに、アオキスーパーがいつ攻めに転じるか、その動向に注目である。

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October 04, 2011

家計調査データ、2011年8月度、全体96.1%!

   総務省統計局が9/30、2011年8月度の家計調査データを公表した。結果は全体が96.1%と厳しい状況であり、外食を除く食品も98.2%と伸び悩んだ。昨年は猛暑であったこともあり、その関係もあるかとは思うが、消費は全体的に伸び悩んでいるといえよう。ちなみに、過去数ケ月の状況を見てみると、7月度98.2%(食品100.5%)、6月度96.1%(食品98.6%)、5月度98.4%(食品97.9%)、4月度97.5%(食品99.3%)、3月度91.6%(食品100.5%)という推移であるので、3/11の東日本大震災以降、ほぼ同様な傾向であるといえ、厳しい状況が依然として続いているといえる。

   そこで、特に、消費が厳しかった分類であるが、家具・家事用品342.06円(92.4%)、交通・通信1,230.23円(89.1%)、教育231.00円(94.8%)、教養娯楽1,067.29円(90.2%)等である。家具・家事用品では、消費者物価指数の下落項目とほぼ一致しており、炊事用電気器具6.71円(76.8%)、炊事用ガス器具 3.55円(54.5%)、電気冷蔵庫26.26円(77.5%)、電気掃除機5.39円(77.3%)、エアコンディショナ36.48円(64.0%)、ストーブ・温風ヒーター0.26円(27.6%)、たんす0.23円(58.3%)、食卓セット1.87円(58.0%)、応接セット1.06円(20.9%)の消費が激減している。

   交通・通信では鉄道通勤定期代16.94円(81.1%)、バス通勤定期代2.03円(65.6%)、航空運賃24.68円(85.2%)、自動車購入125.00円( 52.6%)、自動車以外の輸送機器購入1.68円(62.7%)、自動車等関連用品17.81円(58.7%)、自動車整備費 38.45円(88.5%)、移動電話4.13円(69.9%)等が厳しい結果である。教育では、国公立高校11.58円(78.4%)、私立高校24.90円(84.6%)、国公立大学0.87円(22.5%)、専修学校3.10円(21.5%)等が大きく下がっている。そして、教養娯楽では、テレビ19.94円(27.1%)、ビデオデッキ6.65円(68.7%)、パーソナルコンピュータ20.55円(83.7%)、ゴルフ用具1.97円(57.5%)、テレビゲーム機1.87円(61.1%)、国内パック旅行費112.77円(75.7%)、外国パック旅行費37.45円(62.1%)、自動車教習料4.65円(46.8%)等が厳しい結果である。

   一方、消費が伸びた分類もあり、住居691.48円(105.9%)、被服及び履物307.74円(103.6%)、保健医療386.97円(106.3%)である。住居では、給排水関係工事費93.00円(477.3%)、植木・庭手入れ代8.87円(114.6%)、設備器具126.87円(117.1%)等である。被服及び履物では、和服が伸びており、16.13円(260.4%)、その中でも婦人用帯5.26円(5433.3%)、他の婦人用和服3.10円(1200.0%)と異常値である。これ以外では、男子用和服0.61円(271.4%)、子供用和服1.90円(184.4%)も高い。また、婦人服19.97円(118.6%)、婦人用スラックス14.52円(110.0%)、乳児服2.13円(140.4%)、男子用セーター0.26円(160.0%)、婦人用ファンデーション3.84円(143.4%)、着尺地・生地1.87円(118.4%)、男子靴10.06円(130.5%)、婦人靴16.74円(118.5%)等、幅広く消費が好調である。そして、保健医療であるが、眼鏡19.81円(124.8%)、コンタクトレンズ10.81円(136.7%)、胃腸薬3.81円(128.3%)、整骨(接骨)・鍼灸院治療代6.32 円(107.1%)等である。

   では、食品はどのような結果であったかであるが、全体は98.2%と伸び悩んでおり、その要因は、魚介類200.23円(97.8%)、果物122.87円(96.1%)、菓子類233.87円(96.1%)、飲料156.06円(94.4%)、酒類125.32円(94.8%)が95%前後と伸び悩んだことが大きいといえる。さらに、その項目を見てみると、魚介類では、いわし1.48円(69.7%)、かつお4.45円(76.2%)、たこ3.74円(88.5%)、かに1.84円(67.1%)、しじみ1.23円(79.2%)、ほたて貝3.03円(83.9%)、たらこ 7.23円(90.7%)などである。果物では、グレープフルーツ1.61円(79.4%)、ぶどう20.90円(89.1%)、もも17.10円(89.4%)、キウイフルーツ2.94円(89.2%)等が伸び悩んだ。

   また、菓子では、昨年猛暑だったこともあり、アイスクリーム・シャーベット40.03円(85.5%)、飲料も同様に影響を受け、コーヒー飲料13.94円(93.5%)、果実・野菜ジュース31.97円(93.1%)、炭酸飲料14.68円(95.2%)等が厳しい数字である。そして、酒であるが、ビール51.00円(88.4%)、ウイスキー2.94円(85.0%)等が伸び悩んだといえる。こう見ると、昨年の8月の猛暑との関係が食品では大きかったといえよう。

   一方、この8月度、数字が伸びた項目であるが、さば2.39円(110.4%)、さんま6.16円(133.6%)、かき(貝)0.19円(120.0%)、塩さけ5.58円(111.6%)、揚げかまぼこ6.19円(111.0%)、鶏肉31.29円(110.6%)、ベーコン6.45円(117.0%)、バター2.10円(116.1%)、ほうれんそう3.03円(119.0%)、ブロッコリー3.42円(120.5%)、れんこん1.94円(122.4%)、たけのこ1.26円(130.0%)、トマト21.94円(110.6%)、こんぶ2.48円(114.9%)、こんぶつくだ煮3.39円(112.9%)、りんご5.00円(137.2%)、ふりかけ4.26円(10.9%)、ビスケット9.81円(116.0%)、ワイン6.77円(142.9%)であり、これらが、厳しい消費環境の中110%以上伸びた項目である。ちなみに、たばこであるが、38.16円(116.7%)と、依然として好調であり、高い伸びを示している。

   このように、2011年8月度の家計調査データは全体が96.1%と厳しい結果となり、家具・家事用品、交通・通信、教育、教養娯楽等が消費全体を押し下げたといえる部門である。また、食品も98.2%と全体ほどではないが、消費は伸び悩んでおり、特に、魚介類、果物、菓子類、飲料、酒類等が伸び悩んだといえる。昨年の8月が猛暑であったことも、食品にとってはその反動があったと思われるが、その他の部門も100%前後で推移しており、全体的に伸び悩んでいるといえよう。先に公表された消費者物価指数を見ても、デフレ基調は鮮明であり、当面、消費は厳しい環境が続くものといえよう。食品スーパーマーケット業界も中間決算の季節を迎え、今後、後半戦に入るが、売上げよりも、いかに利益を確保するかが、当面の課題といえよう。

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October 03, 2011

消費者物価指数、2011年8月度、昨対+0.2%!

   総務省統計局から、2011年8月度の消費者物価指数が9/30公表された。消費者物価指数には総合指数が3つあるが、その結果は、(1) 総合指数は平成22年を100として99.9、前月比は0.1%の上昇、前年同月比は0.2%の上昇、(2)生鮮食品を除く総合指数は99.9、前月比は0.1%の上昇、前年同月比は0.2%の上昇、(3)食料(酒類を除く)及びエネルギーを除く総合指数は99.1、前月比は0.1%の上昇、前年同月比は0.5%の下落となり、(1)の文字通りのすべての項目の総合指数、および(2)の生鮮食品の総合指数は0.2%の上昇と微増となったが、(3)の食料(酒類を除く)及びエネルギーを除く総合指数は0.5%の下落となった。したがって、食料(酒類を除く)及びエネルギー以外の項目では、依然として、デフレ基調で推移しているといえ、消費環境は厳しい状況にあるといえよう。

   実際、(3)が全体に反してマイナスとなった要因を見てみると、家具・家事用品が前年同月比で見ると-5.0ポイント、教養娯楽が-3.2ポイントと、この2部門が大きく下落している。さらに、その項目を見ると、教養娯楽では、教養娯楽用耐久財が-25.5%と大きく下落し、特にテレビ -26.4%の下落が大きい。また、家事・家庭用品では家庭用耐久財が-13.1%であり、特に電気冷蔵庫が-26.3%と大きく下落している。これ以外にも、家庭用ゲーム機(携帯型)-40.1%、電気掃除機-21.3%、電気洗濯機(全自動洗濯機)-17.4 %、電気洗濯機(洗濯乾燥機)-28.8%、電子レンジ-13.1%、電気炊飯器-14.8%、電子辞書-19.5%、ビデオレコーダー-38.0%、パソコン(デスクトップ型)-41.1%、パソコン(ノート型)-26.7%など、大きく下落しており、これらが(3)の消費者物価指数を引き下げた大きな要因といえる。

   一方、プラスに動いたものもあり、上昇幅が大きかったのは諸雑費5.3%、光熱・水道3.5%、交通・通信1.9%である。その項目であるが、諸雑費のたばこが38.3%と異常値であり、たばこだけで寄与度0.18ポイントである。極論すれば、たばこ以外のすべての項目はプラスマイナス0であり、たばこが全体の消費者物価+0.2%の要因ともいえるインパクトであるといる。これ以外では、自動車等関係費 3.3%、電気代 3.4%が大きな項目である。

   さて、食品スーパーマーケットに最も関係の深い食料であるが、全体は-0.2%、内訳は生鮮食品が-0.6%、生鮮食品を除く食料が-0.1%と、生鮮食品が下落しており、先月が2.9%でプラスであったので、一転、デフレ気味に動いたといえる。ちなみに、食料の大項目の状況であるが、穀類-1.6%、魚介類1.4%、肉類-0.3%、乳卵類0.1%、野菜・海藻-2.7%、果物2.4%、油脂・調味料-0.4%、菓子類-0.2%、調理食品0.7%、飲料0.0%、酒類-1.0%という結果である。生鮮食品の中では、野菜・海藻が特に消費者物価指数を引き下げた要因といえる。

   そこで、野菜・海藻の中で特に下げた項目であるが、レタス-32.3%、キャベツ-22.8%、にんじん-20.7%、はくさい-20.2%、ブロッコリー-15.5%、ほうれんそう-14.8%、だいこん-14.8%、たまねぎ-12.5%、じゃがいも-12.0%、ねぎ-10.7%と、これらが-10%以上下げている。特に、レタス、キャベツの下落幅は大きく、野菜全体への影響も大きかったといえよう。また、これ以外にも、ながいも-9.4%、さつまいも-8.7%、しめじ-5.2%、もやし-3.1%も下げた項目である。ちなみに、野菜の中でも消費者物価指数が上昇した項目もあり、にがうり38.3%、とうが22.4%、えだまめ 15.4%、なす9.7%、ごぼう9.1%、アスパラガス6.6%などが、逆に大きく上昇した項目である。

   野菜・海産以外では、穀類が-1.6%と下げ幅が大きく、その項目を見てみると、米類-5.5%であり、その内、うるち米-5.5%、 国産米A-4.2、国産米B-6.5%、もち米-4.3%といずれも大きく下げている。一方、パンは1.1%と上昇しており、特に、食パンが3.0%と上昇している。また、めん類も-0.6%と下落しており、特に、生中華めん-2.3%、ゆで沖縄そば-1.6%と、これらが下がっている。

   一方、野菜・海藻、穀類以外で大きな動きがあった項目を見てみると、上昇した項目であるが、ほたて貝22.3%、うなぎかば焼き17.3%、さんま17.0%、かつお16.8%、えだまめ15.4%、たこ13.6%、わかめ9.4%、メロン8.3%、すいか6.4%、インスタントコーヒー5.8%等である。これに対して、下降しているものは、りんごA-7.3%、ぶり-6.2%、冷凍調理ピラフ-5.1%、かれい-4.7、かまぼこ-4.5%、たらこ-4.4%、いか-4.1%、ちくわ-3.8%、さば-3.6%、バナナ-3.5%、ワイン(輸入品)-3.3%、ポーク缶詰-3.1%、あずき-3.0等であり、以上が-3.0%以上下がった項目である。

   このように、2011年8月度の消費者物価指数は全体は昨対+0.2%とわずかであるが上昇となったが、食料(酒類を除く)及びエネルギーを除く総合指数は昨対-0.5%の下落となり、相場変動の激しい食品、エネルギーを除くと、依然としてデフレ気味で推移しているといえる。食品も野菜・海産、穀類が厳しい状況であり、それ以外も果物2.4%、魚介類1.4%と、この2つはやや高いが、全体としてはデフレ傾向が強いといえよう。今後、しばらくは、この傾向は続くものと思われ、食品スーパーマーケット業界としては、デフレ基調を前提とした付加価値訴求のマーチャンダイジング戦略をどうはかるかが課題といえよう。

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October 02, 2011

ID-POS分析における仮説の検証とは?

   食品スーパーマーケットにおいて、マーチャンダイジングの仮説検証のPDCAのサイクルをつくることは重要なテーマであり、ある意味、インフラをつくることに近い。ここ最近、POS分析においても、このインフラ整備が進んでおり、通常のPOS分析では月間をベースに、週間、日別、そして、四半期、年間、10年、・・と、様々な集計方法が考案され、PDCAサイクルが確立されつつある。では、ID-POS分析ではどうか、これは、まだまだ模索段階といえ、試行錯誤が続いているといえよう。そこで、ここでは、ID-POS分析の仮説検証におけるPDCAのサイクルについて考えてみたい。

   ID-POS分析において、PDCAのサイクルが決まらないのは、マーチャンダイジングは日々実戦しているのに対し、その検証の評価期間が中々決めにくいからである。答えが1日で出るものもあるが、ID-POS分析は、週間、月間では目に見えた効果が出にくいといえ、数ケ月単位、場合によっては年間単位で、評価する必要があるからである。その最大の要因は、通常のPOS分析が商品の売上げを評価しているのに対し、ID-POS分析は顧客の売上げを評価しており、顧客の売上げは瞬間で決まるものではなく、長い時間をかけて、顧客との関係を築き、その絆を強固にする、ID-POS分析風にいえば、顧客ランクを安定させ、顧客のランクアップをはかることであり、これは一朝一夕ではなしえない課題であるからである。

   どんな商品にも、必ず、その背後には顧客明細が存在する。商品でみると、単純な売上高であっても、その売上高を支えている顧客が必ず存在しており、売上高が上がった場合、逆に下がった場合は、その背後で顧客の変化が起こっている。したがって、売上高を上げるとは、顧客構造を変えることに他ならず、この顧客構造を変化させない限り、売上高の変化はないといえる。

   では、その構造とはどのようなものか。これはID-POS分析を丹念に実施すれば明らかになることであるが、通常の商品の場合、大きく、SAB、そして、Cに分解することができる。Sとは、その商品のロイヤルカスタマーであり、定義にもよるが、ほぼ毎月商品を購入している顧客である。Aとはレギュラーカスタマーであり、年数回、すなわち、数ケ月に1回程度購入している顧客である。B顧客とはトライアルカスタマーであり、年1回購入している顧客である。そして、C顧客とは、未購入カスタマーであり、IDは把握できているが、年1回も購入していない顧客である。

   このように大抵の商品は顧客を年間で見て、SAB、そしてCにランク分けることが可能であり、しかも、期間、いわゆる購入頻度で見ると、1年というサイクルで購入しているトライル顧客が購入頻度が高い生鮮食品でも30%から40%を占め、加工食品においては、その倍60%から80%を占めるのが実態である。したがって、商品の売上げを上げるとは、ID-POS分析では、この顧客の構造を理解し、その顧客構造を変化させることであるといえる。しかも、年間1回しか購入しない顧客がかなりの比率を占め、この顧客のランクアップがはかれなければ、顧客構造の変化は望むべくもなく、ここがID-POS分析が通常のPOS分析と決定的に違う点である。

   したがって、仮説検証は、当然、週、月ではなく、1年を前提とすべきであり、どんなマーチャンダイジングの仮説検証も年間の顧客構造の変化を前提に検証すべきであるといえる。仮に月間で検証すると、S顧客は問題ないが、B顧客は大半が漏れ、A顧客もかなりの顧客が対象外となるからである。そう考えると、これまでの、マーチャンダイジングはあまりにも顧客に配慮が欠けていたといえ、大雑把なマーチャンダイジングであったことがわかる。商品の瞬間的な売上げを上げることが前提となっていたといえ、顧客との関係を築き、顧客との絆を深める配慮が欠けていたいといえよう。

   では、ID-POS分析の検証とは、どのようにすべきか。まずは、常に、12ケ月、1年を前提として顧客構造の変化を見るべきである。したがって、数字は毎月毎月算出しても、その評価期間は常に12ケ月、1年の移動平均を使って評価してゆくことが望ましい。これによって、SAB顧客の顧客構造の変化が鮮明に読み取ることができ、マーチャンダイジング政策がS顧客にリーチしているのか、それとも、AかBかが判断でき、特に、C顧客が反応した時、どのようなマーチャンダイジング政策が実施されたのかなどが検証できる。そして、この検証結果が積み重なってゆくと、当然、仮説づくりにつながってゆき、これまでのマーチャンダイジング政策がすべてID-POS分析の観点から検証し直されることになる。恐らく、このPDCAを繰り返せば、数ケ月以内には、ID-POS分析の新たなマーチャンダイジング政策が完成することになろう。

   このように、仮説検証はこれまで通常のPOS分析をもとに、商品の売上高を前提に検証してきたが、ID-POS分析の時代になると、商品の売上高から、顧客の売上高へと検証の内容が転換することになり、マーチャンダイジング戦略が知らぬ間に、自然と顧客に目が向くようになり、マーチャンダイジングの戦略転換が促されることになる。その意味で、ID-POS分析を理解する最善の方法は、ID-POS分析の検証体制の確立にあるといえよう。

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October 01, 2011

平和堂、2012年2月期中間決算、営業利益好調!

   平和堂が9/29、2012年2月期の中間決算を公表した。結果は営業収益1,912.96億円(2.5%)、営業利益54.33億円(29.7%)、経常利益54.52億円(30.0%)、当期純利益20.64億円(-4.1%)となり、当期純利益は今期から資産除去債務会計基準の適用に伴い13.22億円の特別損失が発生し、若干のマイナスとなったが、営業、経常段階では増収増益、特に、利益はいずれの段階も大幅な増益となり、好調な決算となった。

   そこで、営業利益が29.7%増と大幅に増加した要因を原価、経費面から見てみたい。まずは、原価であるが、70.39%(昨年70.58)と0.19ポイント改善した。結果、売上総利益は29.61%(昨年29.42%)となった。2011年度本決算時の食品スーパーマーケット業界の決算公開企業約50社の原価率の平均は75.1%、売上総利益は24.9%であるので、いかに平和堂が高粗利であるかがわかる。これは、食品スーパーマーケット以外に、GMS、SCを展開しており、むしろ、これらの業態が売上高の約75%を占め、柱となっているためである。ちなみに、今期、平和堂は、特に食品では、「地場野菜コーナーの拡大や魚場直送商品の拡充による売場鮮度感の向上、一括買い取り商品の増大や仕入先の見直しによる原価低減などに取り組みました。」とのことである。

   一方、経費の方であるが、33.19%(昨年33.79%)と、0.80ポイントと大きく改善している。3/11の東日本大震災以降、節電対策、ちらし等の販促費の自粛、さらには新規出店の先送り等、経費節減効果が大きかったものと思われる。特に、平和堂は大型SC、GMS等が主力業態であることから、節電、ちらしともに経費削減効果は大きかったものといえよう。それにしても、経費比率33.19%は、極めてい高い数字であり、平和堂はGMS特有の原価低経費大の典型的なパターンといえる。

   結果、差し引き、商品売買から得られる利益、マーチャンダイジング力は-3.58%(昨年-4.37%)と、依然としてマイナスではあるが、その幅は縮まっており、改善している。そして、これに、SC、GMS特有の不動産収入、物流収入等のその他営業収入が6.62%(昨年6.77%)加わり、営業利益は3.04%(昨年2.40%)と大幅な増益となった。その他営業収入はやや下がったものの、原価、経費、ダブルでの改善により、営業利益を押し上げたといえ、好調な決算であったといえよう。

   そこで、この好調な増益を受けて、獲得したキャッシュをどのように配分したかであるが、まずは、営業活動によるキャッシュフローは112.93億円(昨年46.19億円)と、100億円を超えた。その要因は、昨年は預かり金の減少が-45.94億円と、今期の5.87億円と比べ、約40億円の差があったことに加え、資産除去債務会計基準の適用に伴う影響額が13.22億円プラスとなったことが大きいといえる。

   そこで、この100億円を超えるキャッシュをどう配分したかであるが、まずは、投資活動によるキャッシュフローを見ると、-85.93億円(昨年-77.37億円)と、投資への配分をを増やしている。その中身であるが、有形及び無形固定資産への投資の取得による支出、すなわち、新規出店関連が103.49億円(昨年97.50億円)と大半を占め、昨年同様の積極的な投資である。実際、前半は3月に平和堂なるぱーく店(愛知県)、6月にフレンドマートビバモール寝屋川店(大阪府)の2店舗であったが、後半は愛知県に2店舗、大阪府に2店舗と4店舗の新規出店を予定しており、成長戦略を重視した投資へのキャッシュの配分といえよう。

   一方、財務活動によるキャッシュフローであるが、-35.11億円(昨年1.14億円)と、成長戦略だけでなく、財務改善にも今期はキャッシュを配分している。その中身であるが、20.39億円を有利子負債の返済に充てており、結果、有利子負債は788.67億円、前期中間決算時と比べ、有利子負債が32.53億円減少し、総資産2,727.66億円に占める割合は28.91%となった。ただ、今期の自己資本比率は39.5%(昨年39.5%)であり、食品スーパーマーケット業界における2011年度本決算時の決算公開企業約50社の平均40.8%には近いが、もう一段と財務改善をはかりたいところであろう。

   したがって、この中間決算では、好調な決算を背景に、生み出された豊富なキャッシュを成長戦略および財務改善、双方に配分しており、後半に向けて、攻めの姿勢を明確にし、かつ、守りを固めたキャッシュの配分であり、理想的な中間決算といえよう。また、今期、新たな市場、中国市場も順調に推移しており、湖南平和堂実業有限公司の2号店、3号店の売上高の伸長により、増収増益となり、売上規模も122.91億円(103.3%、元ベースでは110.3%)と、100億円を超え、今後の成長も見込め、さらなる投資が期待される。

   このように、平和堂の2012年2月期の中間決算が公表されたが、特に、営業利益が大幅な増益となり、収益性の高い決算となった。3/11の東日本大震災の影響が、節電、ちらし等の販促、そして、新規出店等による経費を抑えたことに加え、原価の改善もはかられ、ダブルで利益を押し上げたことが大きかったといえる。そして、その結果、100億円を超えるキャッシュを獲得し、今後の成長戦略と財務の改善、攻めと守りの双方にバランス良くキャッシュを配分しており、後半に向けての経営体制が整いつつあるといえよう。今後は中国市場も軌道にのりはじめており、平和堂としては、海外戦略も視野に入りつつあるといえ、後半以降、どのような経営戦略を打ち出すか気になるところである。

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