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November 13, 2011

ドラックストア、2011年3月期中間、好調!

   ここへ来て、2011年3月期の中間決算の公表が相次ぎ、食品スーパーマーケット業界の決算はいずれも好調な中間決算があいついでいる。そこで、ここでは、ドラックストアについて、この中間決算がどのような結果となったかについて見てみたい。ちょうど、11/12の日経新聞で、ドラックストア大手5社の中間決算の記事が掲載されたが、この結果も踏まえ、マツキヨHD、サンドラック、スギHDのドラックストア業界、売上高上位3社の中間決算の結果を見てみたい。

   まずは、日経新聞11/12の記事であるが、見出しは、「5社そろって経常増益」、「ドラックストア大手4~9月」、「節電対策商品が好調」という記事である。その5社とは、マツキヨHD売上高2,147億円(昨対1%)、経常利益91億円(昨対13%)、サンドラック売上高1,902億円(昨対7%)、経常利益109億円(昨対18%)、スギHD売上高1,641億円(昨対8%)、経常利益107億円(昨対38%)、ココカラF売上高1,604億円(昨対60%)、経常利益64億円(昨対77%)、そして、カワチ薬品1,113億円(昨対-8%)、経常利益57億円(35%)である。いずれも経常利益が2桁の増益であり、売上高よりも利益が好調に推移しているといえよう。特に、利益が好調な要因について、マツモトHDは、「利益率の高い医薬品などのプライベートブランド(PB=自主企画)商品の販売が増加した。「効率的な経営に努めたことで増益を確保できた」」とのことである。

   そこで、日経新聞の記事では公表されていないマーチャンダイジングに直結する営業利益について、原価、経費面から売上高上位3社のマツキヨHD、サンドラック、スギHDについて見てみたい。なお、いずれの決算書においても、食品スーパーマーケットの決算書と違い、その他営業収入が計上されておらず、食品スーパーマーケットのようにマーチャンダイジング力を算出することはできず、マーチャンダイジング力=営業利益となる。

   はじめに、原価であるが、マツキヨHD72.00%(昨年72.41%)と、0.41ポイント改善している。結果、売上総利益は28.00%(昨年27.59%)となった。サンドラック77.08%(昨年77.46%)と、0.38ポイント改善した。結果、売上総利益は22.92%(昨年22.54%)となった。そして、スギHDであるが、72.98%(昨年73.51%)と、0.53ポイント改善した。結果、売上総利益は27.02%(昨年26.49%)となった。こう見ると、マツキヨHDとスギHDは原価構造が良く似ているが、サンドラックは両企業とは一線を画し、原価高、すなわち、低粗利であり、約5%違い、ディスカウント路線が鮮明であるといえる。これは、サンドラックが粗利の高い医薬品、化粧品よりも、粗利の低い食品関連、消耗雑貨を両企業よりも強化していることによるといえよう。

   ついで、経費であるが、マツキヨHD24.13%(昨年24.23%)と0.10ポイント削減している。サンドラックは17.29%(昨年17.43%)と0.14ポイント削減している。そして、スギHDであるが、20.81%(昨年21.84%)と1.03ポイントと大きく削減している。それにしても、この経費比率は3社3様であり、サンドラックが極端に低い経費比率であるのに対し、マツキヨHDは3社の中では最も高い経費比率である。スギHDはちょうど、その中間であり、3社大きな違いである。また、スギHDが他の2社と比べ、大きく経費比率を改善しているのも特徴である。

   結果、差し引き、営業利益率はマツキヨHD3.87%(昨年3.36%)、サンドラック5.63%(昨年5.11%)、スギHD6.21%(昨年4.65%)となり、いずれも増益、しかも、原価、経費双方を改善しての増益である。特に、スギHDは他の2社と比べ、経費改善効果が大きく、大幅な増益となったのが特徴である。また、3社とも共通しているのは、原価率の改善であり、この中間決算期間は原価改善により営業利益を大きく押し上げたといえよう。やや気になるのはマツキヨHDであり、経費比率が最も高く、その改善率も低かったために、営業利益率が他の2社と比べ、かなり低いことである。今後、いかに、経費比率を引き下げられるかが課題といえよう。

   こう見ると、ドラックストア業界も食品スーパーマーケット業界同様、3/11の東日本大震災以降、特需が発生したことに加え、震災後しばらくは価格競争が弱まり、さらには、新規出店の抑制等もあり、原価、経費双方が改善したといえ、これが営業利益を押し上げたといえよう。問題は、後半であり、消費動向が不透明な上に、依然としてデフレ傾向は強く、価格競争もここへ来て、再開されたきらいもあり、この好調さを維持できるかどうか、読めないところである。

   この3社の通期予想も、マツキヨHD売上高5.1%、営業利益7.2%、サンドラック売上高8.1%、営業利益10.4%、スギHD売上高5.3%、営業利益21.3%であり、売上高はこの中間決算に近い伸び率であるが、営業利益は増益予想ではあるが、その伸び率は大きく下がっており、厳しい数字となっている。これは、価格競争が激化し、原価に影響が及ぶと予想しているものといえ、それだけ、前半と後半では経営環境が大きく変化すると見ているということであろう。今後、後半に向けで、ドラックストア各社がどのように収益改善を図るってゆくのか、その動向に注目である。

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