関西スーパーマーケット、2011年3月期中間、増収増益!
関西スーパーマーケットが10/28、2011年3月期の中間決算を公表した。ここへ来て、いよいよ食品スーパーマーケット業界の3月期の中間決算の公表がはじまったといえ、今後、数週間で食品スーパーマーケット業界の2月期、3月期の中間決算の大勢が判明するといえよう。その関西スーパーマーケットの結果であるが、営業収益589.28億円(2.2%)、営業利益6.89億円(22.2%)、経常利益9.37億円(37.4%)、当期純利益3.88 億円(33.5%)となり、増収増益、特に利益がいずれの段階でも大幅な増益となる好決算となった。
そこで、関西スーパーマーケットの決算結果が大幅な増益となった要因を原価、経費面から見てみたい。まずは原価であるが、76.81%(昨年76.87%)と、0.06ポイント改善した。結果、売上総利益は23.19%(昨年23.13%)となった。この原価率76.81%は、食品スーパーマーケットの決算公開企業約50社の2011年度本決算の平均が75.07%であるので、改善したとはいえ、やや高めの数字といえる。それだけ、関西スーパーマーケットを取り巻く経営環境において、価格競争の厳しさを反映しているといえよう。
特に、この中間決算時の関西スーパーマーケットの売上げの中身を見ると、客数3.242人/日(昨対100.43%)、客単価1,588円(昨対99.00%)と、客単価が若干下がっている。その要因はPI値1,005%(昨対101.61%)、平均単価157.33円(昨対97.35%)であり、PI値は上昇したが、平均単価が下がっている。したがって、価格訴求を昨年以上に強め、PI値は上昇したが、客単価を改善するまでには、PI値が上昇しなかったといえ、価格競争の厳しさが反映されたといえよう。
ちなみに、今期、この原価面の改善においては、「農産物集荷能力を高める供給基地とする目的で、マサミキャトルランチInc.(アメリカ合衆国カリフォルニア州・当社が牛肉を仕入れている(株)丸正の在外子会社で牧場を経営)の発行済株式数の30%を取得いたしました。今後、当該地に野菜加工用の冷蔵・冷凍施設を建設し、とうもろこし、じゃがいも、かぼちゃなどの野菜の栽培・加工に取り組み、当社の店舗での販売を予定いたしております。」とのことで、農産物、特に加工のルートを確保したとのことである。
一方、経費の方であるが、23.80%(昨年24.01%)と、0.21ポイント改善している。この中間期は、3/11の東日本大震災以降、販促を控え、節電等の経費削減に各食品スーパーマーケットが取り組んだことに加え、関西スーパーマーケットは新規出店を「店舗の新設については、平成23年5月に奈良県第1号店となる奈良三条店(奈良県奈良市)を開店いたしました。」とのことで、抑制したことも大きいといえよう。
結果、差し引き、商品売買から得られる利益、マーチャンダイジング力は-0.61%(昨年-0.88%)と、依然としてマイナスではあるが、その幅は、原価、経費双方が改善し、縮まっている。このマーチャンダイジング力は、決算公開企業約50社の2011年度本決算の平均が-0.25%であるので、関西スーパーマーケットとしては、もう一段と改善したいところであろう。そして、これに、不動産収入、物流収入等のその他営業収入が1.81%(昨年1.88%)加わり、営業利益は1.20%(昨年1.00%)と、大幅な改善となった。原価、経費、特に経費の改善が増益をもたらした要因といえよう。
関西スーパーマーケットは、現在、「長期ビジョン「2020年、店舗数100店舗・年商2,000億円」を掲げ、「関西スーパーがあるからここに住みたい」「関西スーパーがあって本当に良かった」と思っていただける、その地域に“なくてはならないスーパーマーケット(地域一番店)”の実現を目指してまいりました。」とのことで、100店舗体制を目指している。現在60店舗であり、2011年であるので、2020年までには9年である。したがって、逆算すると、残り、40店舗を9年で割ると、4.44店舗であるので、年間5店舗は新規出店が欲しいところであるといえる。この中間期では新規出店は1店舗であったので、残り、後半で4店舗、少なくとも3店舗は欲しいところであり、今後、今期を含め、新規出店をいかに図ってゆくかが課題といえよう。ただ、通期の決算予想は、営業収益1,189.50億円(1.9%)、営業利益21.20億円(18.8%)、経常利益24.60億円(22.9%)、当期純利益 12.20億円(36.5%)であるので、中間決算同様、増収、大幅増益予想ではあるが、増収幅はわずかであり、長期ビジョン達成のための積極的な新規出店は来期以降となるものといえよう。
このように、関西スーパーマーケットの2011年3月期の中間決算は増収、大幅増益の好決算となったが、気になるのは、商品売買から得られる利益、マーチャンダイジング力が依然としてマイナスである点である。価格競争が厳しい中、原価の改善は厳しい面があると思われるが、もう一段と原価、そして、経費、双方の改善が課題といえよう。また、新規出店もこの中間期では1店舗であり、関西スーパーマーケットとしては、長期ビジョンを実現するためにも、年間4から5店舗は欲しいところであるといえ、今後、最優先で検討してゆくべき課題といえよう。今後、後半戦に入り、本決算に向け、そして、中長期的に、関西スーパーマーケットがマーチャンダイジング力の改善と新規出店、この2つの大きな課題にどう取り組んでゆくのか、その動向に注目である。
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