ヤオコー、2012年3月期、中間決算、増収増益!
ヤオコーが11/7、2012年3月期の中間決算を公表した。結果は、営業収益1,178.04億円(9.5%)、営業利益61.14億円(39.6%)、経常利益60.12億円(39.8%)、当期純利益33.82億円(48.7%)となり、増収増益、特に利益がいずれの段階でも大幅な増益となる好決算となった。ヤオコー自身も、「特に震災後、商品調達環境が厳しいなか、最大限の集荷を図るとともに、平時の売場への早期回復と当社の特徴であります提案型売場の展開に注力いたしました。また新店5店舗の開設、既存店3店舗の改装を実施するなど営業の強化を図りました。」とのことで、積極的な新店開発と提案型売場の展開を同時に追求し、営業力を強化したとのことである。
また、ヤオコーは今年が第6次中期経営計画の最終年度にあたり、「『豊かで楽しい食生活提案型スーパーマーケットの充実』の実現と第2の創業・第2のステージに向けて各種施策」に取り組んでおり、特に、「『価格コンシャスの徹底とミールソリューションの強化』、『人材教育・育成と生産性の向上』」の2大テーマを掲げているのが特徴である。中でも価格コンシャスは、ヤオコーがこれまで付加価値を追求し、価格にはコンシャス、すなわち、あまりこだわらなかっただけに、ヤオコーにとっては挑戦課題であるといえ、その成果が問われた中間決算でもあったといえる。
そこで、ヤオコーの営業利益が大幅な増加となった要因を原価、経費面から見てみたい。まずは、原価であるが、71.22%(昨年71.53%)と、0.32ポイント改善している。結果、売上総利益は28.78%(昨年28.47%)と上昇した。この数字は、食品スーパーマーケット業界ではトップクラスであり、いかに、ヤオコーが付加価値にこだわっているかがわかる。したがって、この数字を見る限りでは、価格コンシャスは全体への影響はなく、むしろ、付加価値がよりアップしているといえよう。
実際、この中間期においては、ヤオコーは、「生鮮部門において、今朝水揚げ生かつおなど鮮度の良い商品の開発や近海魚のメニューを軸とした時間帯別MDの徹底を図るなど鮮魚部門の強化に努めました。」、「グロッサリー部門では、EDLP(常時低価格販売)導入など定番商品の価格対応を強めると同時に、プライベートブランド商品の拡充により低価格商品からセミアップグレード商品までのラインアップの充実を進めました。」、「デリカ部門((株)三味)につきましては、商品・MDのレベルアップに加え、仕入先の見直しなどによるコスト削減にも取り組みました。」等、価格コンシャスにも取り組んでいるが、それを上回る粗利の高い部門、生鮮、日配、そして、PB等を強化しており、これらが原価改善に大きく寄与したものといえよう。
一方、経費の方であるが、27.79%(昨年28.68%)と、0.89ポイントと大幅に削減した。ヤオコー自身も、「オペレーション面では、店舗作業の標準化の推進、自動発注システムやLSP(作業割当システム)の実験導入など生産性向上の取り組みを強化しました。またコスト削減につきましては、電力抑制対策による電気代の削減なども含め、引き続き徹底して取り組んでまいりました。」とのことで、オペレーション面の改革が進んだといえよう。ただ、27.79%の経費比率は、食品スーパーマーケット業界では依然としてトップクラスである。こう見ると、ヤオコーは典型的な高コスト、高付加価値の極致をゆく食品スーパーマーケットであるといえ、多くの食品スーパーマーケットが低コストをめざし、低付加価値か、高付加価値を目指すのに対し、独特な経営戦略をとっているといえる。
結果、商品売買から得られる利益、マーチャンダイジング力は、0.99%(昨年-0.21%)と、マイナスからプラスに転じ、大きく改善したといえる。そして、これに、不動産収入、物流収入等のその他営業収入が4.43%(昨年4.47%)加わり、営業利益は5.42%(昨年4.26%)と、大幅な増益となった。原価、経費、特に、経費比率が大きく下がったことがマーチャンダイジング力がプラスに転じ、営業利益を大きく押し上げたといえよう。
ヤオコーは、この中間決算では利益の改善だけでなく、積極的に売上拡大も図っている。「店舗につきましては、4月に市川田尻店(千葉県市川市)、大宮盆栽町店(埼玉県さいたま市)、7月に船橋三山店(千葉県船橋市)、9月に立川若葉町店(東京都立川市)、市川中国分店(千葉県市川市)の5店舗を開設いたしました。また、既存店3店舗について改装を行いました。なお、平成23年9月末現在の店舗数は、埼玉県70店舗、千葉県16店舗、群馬県12店舗、茨城県7店舗、栃木県5店舗、東京都4店舗、神奈川県1店舗の計115店」となり、新店開発も積極的である。
このように、ヤオコーの2012年3月期の中間決算は増収大幅増益となり、好決算となった。原価の改善に加え、経費を大きく改善したことが利益をダブルで押し上げたといえる。そして、利益の改善をはかる一方で、積極的に新店開発、既存店の改装を実施し、売上拡大もはかっており、守りを固め、攻めに転じる理想的な経営が実践されたといえよう。今後、後半ヘ向け、食品スーパーマーケット業界を取り巻く経営環境は厳しさを増すものといえ、ヤオコーがどのような経営戦略を打ち出すか、注目である。
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