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November 07, 2011

注目のヤマザワ、2012年3月期中間決算、増収増益!

    食品スーパーマーケット業界で、3/11の東日本大震災以降、各社売上げが伸び悩む中、月平均110%前後の高成長を維持しつづけている食品スーパーマーケットがある。ヤマザワである。そのヤマザワの注目の2012年3月期の中間決算が10/28公表された。結果は、売上高501.80億円(11.1%)、営業利益21.03億円(90.3%)、経常利益21.15億円(88.9%)、当期純利益12.14億円(323.7%)という予想以上の高収益、大幅増収増益の好決算となった。売上高はもちろん、利益も異常値であり、これまで公表された他の食品スーパーマーケットの中間決算と比べ、群を抜く伸び率である。

   ヤマザワ自身も、「売上面では震災により宮城県内の6店舗が一時休業を余儀なくされたものの、客数が伸び、お客様1人当たりの買上点数も増えたことにより増加いたしました。利益面では震災の影響によりチラシ特売を見合わせた期間があったことや生鮮食品の値下げ販売が減少したこともあり、売上総利益率が改善しました。販売費及び一般管理費におきましては、節電対策により光熱費の削減となったものの、販売費等の費用が増えたことで増加いたしました。」と、コメントしており、生鮮食品が特に好調であったとのことである。

   実際、ヤマザワの今期の中間決算の数字を見てみると、生鮮食品は112.6%伸びているが、売上総利益、すなわち、粗利率は27.9%(昨年28.0%、一昨年28.9%)であるので、率は減少している。したがって、高が大きく増加したことが利益を伸ばした要因といえる。また、既存店の客数は104.7%、客単価104.7%、PI値103.4%、平均単価101.2%であるので、客数だけでなく、客単価もバランスよく伸びているのが特徴である。客単価の中身もPI値、平均単価、ともに伸びており、コメントにもあるように、PI値が伸びていることが、客単価を伸ばし、さらに、客数をも伸ばしたといえよう。また、生鮮食品以外の売上高であるが、日配食品111.9%、加工食品112.8%、家庭用品105.9%、衣料品98.6%であるので、食品全体がバランスよく伸びているといえる。しかも、直近のこの10月度の全体の売上高も111.5%(既存店109.2%)と、好調さを維持しており、今期、ヤマザワは過去最高の好決算となるものといえよう。

   ヤマザワは、この中間決算の公表をさかもどる10/24、「業績予想の修正に関するお知らせ」を公表している。それによると、5/27時点の予想を売上高0.4%増、営業利益40.2%増、経常利益41.0%増、当期純利益73.4%増と、特に利益を大幅修正している。したがって、ヤマザワ自身も、売上高はほぼ予想通りと見ているが、利益はいずれの段階でも予想外の伸び率と見ているといえる。

   その理由を「3月11日に発生した東日本大震災により大きな被害を受けましたが、それに伴う復興需要や猛暑による影響などにより、客数や客単価が増加し、売上高は前年同期間を上回り順調に推移しております。売上総利益率につきましても、震災による商品供給の不安定からチラシ特売を見合わせた期間があったことや、生鮮食品の値下げ減少などにより改善し、また、節電による電気料の減少など、販売費及び一般管理費につきましても当初の見込額より減少しており、営業利益、経常利益、四半期純利益とも前回発表予想を大きく上回る見通しとなりました。」としており、大きく上回る見通しとのことである。

   そこで、ヤマザワの営業利益が大幅増となった要因を原価、経費面から見てみたい。まずは、原価であるが、71.86%(昨年72.12%)と、0.26ポイント改善した。結果、売上総利益は28.14%(昨年27.88%)となった。一方、経費の方であるが、23.94%(昨年25.42%)と1.48ポイントと大幅に下がった。原価を大きく上回る下げ率であり、経費比率の減少が大きいといえる。結果、差し引き、商品売買から得られる利益、マーチャンダイジング力は4.20%(昨年2.46%)となり、大きく改善した。ヤマザワはその他営業利益が計上されていないので、マーチャンダイジング力=営業利益となり、結果、営業利益が大幅な増益となった。また、率だけでなく、売上高も11.1%増であるので、高ではさらに増益となり、これが好決算をもたらした要因といえよう。

   これを受けて、通期予想であるが、売上高1,000.00億円(9.9%)、営業利益34.50億円(33.3%)、経常利益35.00億円(32.8%)、当期純利益19.00億円(145.8%)と、中間決算同様、大幅な増収増益予想であり、特に、売上高が創業以来、50年目にして、1,000億円を超えることがほぼ確実となったといえよう。ちなみに、ヤマザワの11/4時点の株価は1,345円であり、ここ最近1,350円前後で推移しているが、26週移動平均乖離率は+8.64%であるので、投資家も注目度の高い銘柄として見ているといえよう。

   このように、2012年3月期のヤマザワの中間決算は他の食品スーパーマーケットの中間決算と比べても、異常値ともいえる大幅な増収増益の好決算であり、3/11の東日本大震災以降、好調さが続いているといえる。この震災がヤマザワを大きく変えたといえ、直近のこの10月度も好調な売上げを維持していることからしても、この好調さは短期では終わらず、中期的に続くものと予想され、今期のヤマザワの本決算も好決算が期待される。この好調さをもとに、今後、ヤマザワが中長期的にどのような経営戦略を打ち出すか、その動向に注目である。

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