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November 15, 2011

商品DNAとID-POS分析について

   Chain Store Age 11/15号でID-POS分析の特集が組まれた。表紙は、「特集、小売業のマーケティングが変わる!」、「POSデータ最新活用法」である。ID-POS分析を真正面から取り上げた特集となっており、興味深い内容である。テーマが、マーチャンダイジングではなく、マーケティングとしているところが、ID-POS分析を示唆したPOSデータの活用法であるといえ、マーチャンダイジングからマーケティングへという流れを感じさせる構成となっている。また、13年前に一世風靡したブライアン・ウルフ氏のコメントもあり、あれから13年もたったのかと感慨深いものがある。

   私自身、当時、ブライアン・ウルフ氏の講演に参加し、当時はIDではなく、レシートを活用したFSPを研究していたので、ブライアン・ウルフ氏が提唱していたOne To Oneマーケティングは参考になった。そのブライアン・ウルフ氏が、来日し、このChain Store Ageの特集の中で「過去10年間、進化が止まってしまったのではないか」とコメントしており、彼が見た日本のFSPは13年前の状況、すなわち、1%のポイントプログラムと変わっていないと嘆いている。その意味で、ID-POS分析がこの1%プログラムをどう変革するのかが問われているといえ、今回のChain Store AgeのID-POS分析の特集はそこに焦点を当てたものであるといえよう。

   その回答となるのが、今回のChain Store AgeのID-POS分析の特集では、テスコ、オギノ、そして、最近、ID-POS分析に本格的に参入したコープさっぽろの事例にみられる商品DNAであろう。いわゆる、テスコ流ともいえるID-POS分析の実践手法であり、オギノもコープさっぽろも、この流れを汲んだものであり、今後の日本におけるID-POS分析の研究に一石を投じることになろう。

   ちなみに、今回のChain Store AgeのID-POS分析の特集記事であるが、POSからID-POS(小売業のMD変革をもたらすデータ活用の深化と進化)、英テスコの「ライフスタイル」による顧客分類手法、コープさっぽろ(マーケティング室を新設し、ID-POS分析・活用に本腰)、オギノ(今年11月、POSシステムを入れ替え、200種類のプログラムが実行可能に)、ローソン(「ポンタ」利用客の売上比率35%、顧客データを品揃え・商品開発に生かす)、ライフコーポレーション(2007年からPOSデータを開示、メーカーとの協働MDを推進)、あらた(分析の専門組織を新設、小売業への売場提案を強化)、会員カード活用で本当に効果を上げるための方法、ビックY(世界で最もクリエイティブなプログラムを展開する食品スーパー)、協働MDの課題(企業間でデータ分析・活用のサイクルをどう定着させるか)、ビックデータは活用できるか(POSデータ、ツィッター、ブログ、大量データ解析から見えてきた法則性)の約30ページに渡る特集である。

   この内、大半がID-POS分析の記事であり、特に、前半部分で事例として取り上げられているテスコ、コープさっぽろ、オギノのID-POS活用のポイントは商品DNAにかかわる内容であり、これを活用していかに、顧客にアプローチするかに焦点が当てられている。その意味で、表紙のテーマ、「特集、小売業のマーケティングが変わる!」と、マーチャンダイジングではなく、マーケティングというキーワードを使った意図がわかる内容といえよう。

   では、商品DNAとは何かであるが、テスコでは売れ筋の約8,500品、1品1品に健康に良い、ナショナルブランド、ベジタリアン、伝統的な商品などの数10項目に渡る商品分類をYESは1、Noは0と番号を振る。これは通常の商品マスターとは別に新たな顧客の購入視点から商品分類を行うことであり、これをID-POS分析に組み込み、顧客グループをつくる。そして、そのセグメントされた顧客グループへ直接アプローチをしたり、その結果をもとにマーチャンダイジングの改善につなげたりする。通常のID-POS分析は顧客属性については様々な角度から分析するが、商品属性は価格、容量、NB、PBなどまでであり、ライフスタイルに関するものは、客観性がなく、排除されがちとなるが、あえて、それらを組み込むことにより、商品から顧客の購買行動を深く探ろうとする試みといえる。

   このようなID-POS分析へのアプローチはまだまだ日本では一般化されておらず、その仕組みも十分に開発されているとはいえない。したがって、この手法でID-POS分析を実施してゆくには少し時間がかかろう。ただ、今後、食品スーパーマーケットが、ID-POSデータをメーカー、卸等へ開放し、協働研究体制をつくることにより、メーカー、卸側から、マーケティング調査にもとづいた商品DNAを構築してゆくことにより、完成度の高い日本独自の商品DNAが作れるのではないかと思う。そして、その商品DNAを実際のID-POS分析で検証し続けることにより、まさに、マーケティングとマーチャンダイジングの融合が進んでゆくのではないかと思う。

   今回のChain Store AgeのID-POS分析の特集は、ID-POS分析の中では、商品DNAをクローズアップし、マーチャンダイジングよりも、マーケティングを重視しており、その意味で興味深い内容であるといえる。一方で、ID-POS分析はマーチャンダイジング面でも13年前にブライアン・ウルフ氏が来日した当時の日本と比べ、格段の進化を遂げており、次回は、是非、「特集、小売業のマーケティングが変わる!」の続編として、「特集、小売業のマーチャンダイジングが変わる!」のテーマのもと、ID-POS分析を取り上げて欲しいところだ。

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