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November 2011

November 30, 2011

バナナをID-POS分析で見てみる!

   バナナは果物の中でも年間を通じて安定した売上げを誇り、顧客からの支持が極めて高い商品のひとつである。今回、実施した食品スーパーマーケット向けのID-POS分析セミナー、in東京、in大阪、in福岡でもID-POS分析の実践事例のひとつとして、バナナを取り上げたが、興味深い分析結果であり、今後、マーチャンダイジングを大きく改善してゆく可能性の高い商品といえる。そこで、ここでは、このバナナのマーチャンダイジングは何がポイントとなるかについて、先のID-POS分析セミナーでのバナナの実践事例を踏まえ、改めて考えてみたい。

   バナナ、ここでは代表的な商品の1つとしてスィーティオについて取り上げてみたい。まずは、スィーティオを購入している顧客がどのくらいいるかであるが、今回の分析対象の食品スーパーマーケットでは、約10店舗で年間1万人を優に超える顧客が購入している実態が浮かび上がった。ID-POS分析の分析期間は基本1年であるが、これは、1年間の購入顧客の購入履歴を見ないと、顧客の全体像を把握することができないからである。実際、スィーティオの約1万人の購入顧客を購入頻度ごとにランク付けすると、毎週スィーティオを購入しているS顧客が3.5%、年間2ケ月以上購入しているA顧客が39.4%、年間1回しか購入しないB顧客が57.1%という結果がでており、圧倒的に、年間1回の購入顧客、いわゆるトライアルが多いのが実態である。したがって、これら約60%のトライアル顧客がどのように発生するかは重要なテーマであり、ここに踏み込み、このトライアルのB顧客を毎月購入してもらえるA顧客にランクアップできるかどうかが問われるからである。

   ちなみに、スィーティオに限らず、生鮮食品を含め、多くの商品で同様な顧客構造であることが実証されており、グロサリーになると、さらに、B顧客の比率が上がるのが実態である。したがって、ID-POS分析の分析期間は原則1年が望ましいといえ、当然、販売促進も1年を単位に検討し、年々、顧客ランクを引き上げてゆく、顧客導線をつくり上げることがID-POS分析では要諦となる。

   さて、その中身であるが、S顧客はスィーティオを平均、年間24回購入しており、年間6,000円を超える売上げとなる。A顧客は平均、年間4回購入しており、年間1,000円弱の売上げとなる。そして、B顧客は平均、年間1回の購入であり、年間200円強の売上げとなる。また、1回当たりでは、いずれのランクの顧客も、ほぼ、毎回1房であるが、平均単価はS、A、Bの順に低くなるのが実態である。したがって、B顧客は特売等で発生しているといえ、S顧客になると特売以外も当然購入されているので、平均単価が高くなるといえる。

   この時点で、スィーティオの年間の販売促進計画、特に顧客のランクアップの観点からつくることができるが、ID-POS分析は、ここからが真骨頂であり、この顧客がスーティオ以外にどのような商品をどのように購入しているかを分析することができる。まずは、S顧客であるが、スィーティオは年間24回購入しているが、店舗には平均150回以上来店しており、年間40万円以上購入している。A顧客はスィーティオは年間4回であるが、店舗には、平均100回以上来店しており、年間20万円以上購入している。そして、B顧客はスィーティオは年間1回の購入であるが、店舗へは平均100回弱来店しており、年間20万円弱購入している。興味深いことに、S顧客は店舗にとってもS顧客が多いといえるが、A、B顧客は極端な差がないのが実態といえ、スィーティオのB顧客だからといって、ないがしろなマーチャンダイジングを実施すると、顧客カットになりかねず、店舗にとっては、スィーティオのB顧客にも重要な顧客が数多く存在するといえる。したがって、ここから、B顧客のスィーティオ以外のS商品を突き止めることも次の課題となろう。

   ちなみに、この顧客をばらして、店舗貢献度順に並び替えて、店舗のS顧客を見てみると、S顧客のスィーティオの年間購入回数は平均5回程度であり、年間売上げは1,500円弱、スィーティオのみのS顧客と比べると、圧倒的な差があり、スィーティオのS顧客=店舗のS顧客とは、必ずしも、ならないことがわかる。これ以外にも、性別、年齢別など、いわゆる顧客属性で分析すると、男性、年配の方の支持が高いことがわかる。さらには、リフト値で分析すると、他のバナナとの同時購入はほとんどないが、期間併売は極めて高いなどの分析結果が得られる。また、他の果物、生鮮食品、惣菜、日配、グロサリーとの関係も明らかになる。

   実は、これが、まさに、商品DNAの根幹指標であるといえ、ID-POS分析でスィーティオを様々な角度から分析することにより、スィーティオを中心にまさにDNAの2重螺旋構造のような様々な関係を導くことが可能となり、この実態をもとにマーチャンダイジングを検討することが、新たな視点であるといえる。また、ここから導きだれた仮説を実際に売場で実践し、その検証結果を見ることにより、スィーティオと顧客との関係を店舗を通じて、時間とともに深めてゆくことが可能となり、これがまさにID-POS分析を通じてのマーチャンダイジング戦略であるといえよう。ID-POS分析が可能であれば、是非、新たな視点でのマーチャンダイジングに挑戦して欲しいところだ。

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November 29, 2011

消費者物価指数(CPI)、2011年10月、-0.2%!

   11/25、総務省統計局から、2011年10月度の消費者物価指数(CPI)が公表された。消費者物価指数には3つの総合指数があるが、その結果は、「(1)総合指数は平成22年を100として100.0となり、前月比は0.1%の上昇。前年同月比は0.2%の下落となった。(2)生鮮食品を除く総合指数は99.8となり、前月比は0.1%の下落。前年同月比は0.1%の下落となった。(3)食料(酒類を除く)及びエネルギーを除く総合指数は99.0となり、前月比は0.1%の下落。前年同月比は1.0%の下落となった。」となり、すべての総合指数が昨対マイナスとなり、依然として、デフレ傾向が続いているといえよう。

   実際、この結果を総務省が公開している折れ線グラフで見ると、(1)、(2)は、この数ケ月、昨年対比では若干プラスで推移していたが、この10月度は昨年を下回った。ただ、この数ケ月を除く、今年1月からの動向は、いずれも昨年を下回っており、全体としてはデフレ気味で今年は推移している。一方、(3)は、今年に入り、一度も昨年を上回ることなく、昨年を下回っており、デフレ傾向が鮮明である。(3)は食料(酒類を除く)及びエネルギーを除く総合指数であり、生鮮食品、エネルギーのもととなる資源の相場などに影響されない物価指数であり、これが最も全体の傾向を表しているといえるが、今年に入って昨対マイナスが続いていることから、消費者物価指数はデフレが継続しているといえよう。

   そこで、その要因をまずは10大費目で見てみると、最も、デフレ傾向が鮮明なのは、家具・家事用品-5.8%(前月-6.0%)、教養娯楽-3.2%(前月-2.6%)、生鮮食品-2.0%(前月-4.6%)であり、この3部門の下落が大きい。一方、上昇したものもあり、光熱・水道4.2%(前月3.7%)、交通・通信1.4%(前月1.6%)である。

   まずは、下落した部門、家事・家具であるが、電気洗濯機(洗濯乾燥機)-44.3%、電気冷蔵庫-32.3%、電子レンジ-31.3%、電気掃除機-30.3%、電気洗濯機(全自動洗濯機)-22.4%、電気ポット-19.9%、ルームエアコン-18.7%、ガステーブル-11.7%、電気炊飯器-10.1%等が10%以上、下がった項目である。教養娯楽では、ビデオレコーダー-44.7%、パソコン(デスクトップ型)-42.4%、家庭用ゲーム機(携帯型)-40.2%、ビデオカメラ-39.9%、テレビ-29.2%、パソコン(ノート型)-26.7%、カメラ-23.2%、携帯オーディオプレーヤー-22.0%、ゴルフクラブ-20.0%、メモリーカード-17.8%、家庭用ゲーム機(据置型)-16.3%、電子辞書-12.6%等が10%以上下げた項目である。そして、生鮮食品であるが、いわし-22.1%、ねぎ-22.0%、レタス-19.1%、なし-16.5%、かき(果物)-15.5%、たまねぎ-13.9%、ながいも-12.7%、ピーマン-11.5%、じゃがいも-10.6%、にんじん-10.6%、グレープフルーツ-10.6%が10%以上、下げた項目である。

   次に上昇した部門であるが、光熱・水道では、灯油が14.0%と、10%を超えている。交通・通信では自動車保険料(自賠責)が12.1%と10%を超えているが、全体的に上昇気味であるが、10%を超える大きな上昇項目はこの2項目のみである。したがって、全体の物価が下がっている傾向が鮮明であり、この10月度も明らかにデフレ気味で推移しているといえよう。

   さて、食品スーパーマーケットと関係の深い食品であるが、先に生鮮食品について見たので、それ以外であるが、まずは、部門で見てゆくと、穀類0.0%、魚介類1.8%、肉類0.1%、乳卵類 -0.8%、野菜・海藻-3.1%、乾物・加工品類-1.2%、果物-8.3%、油脂・調味料-0.8%、菓子類-1.1%、調理食品1.0%、飲料-2.3%、酒類-3.3%という結果である。生鮮食品では、果物、野菜・海藻、が下がっているが、逆に魚介、肉類はむしろ上昇しており、青果部門の下落が生鮮食品全体を押し下げているといえる。ちなみに、外食は-0.1%であり、ほぼ、昨年なみの水準で物価が推移している。

   ついで、先に解説した生鮮食品を除き、食品の各項目の中で、10%以上変動のあったものを見てみると、果汁入り飲料-14.7%、酢-10.6%、炭酸飲料-10.0%の3項目のみが-10%以下であり、ぎょうざ13.4%、うなぎかば焼き12.0%の2項目が10%を超えた。したがって、生鮮食品以外は大きな変動はないといえる。ちなみに、10%までは変動していないが、気になる項目であるが、食用油-9.2%、マヨネーズ-7.4%、しょう油-3.9%、カレールウ-3.2%、ふりかけ-2.9%、ソース-2.8%等、調味料関連の項目が軒並み下がっている。これらはちらしにも良く掲載されることが多く、価格競争が厳しくなっているのではないかと思われる。

   このように、2011年10月度の消費者物価指数(CPI)は-0.2%の下落となり、依然としてデフレ傾向が続いているといえる。特に、食料(酒類を除く)及びエネルギーを除く総合指数は今年に入り、一度もプラスに転じたことがなく、デフレ基調が継続しており、家具・家事用品、教養娯楽が厳しい状況にあるといえる。この10月度は、これに加え、生鮮食品、特に、果物、野菜・海藻が相場の影響により、下がったことが大きく、全体の消費者物価を押し下げたといえよう。今年も年末に近づきつつあるが、今期2011年度はデフレ基調が続くものといえよう。食品スーパーマーケット業界としては、当面、デフレ基調の中でのマーチャンダイジング政策をいかにうち出すかが課題といえ、今期前半の好調さとは対照的な後半となりそうである。

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November 28, 2011

食品スーパーマーケット、売上速報、10月度、好調!

   食品スーパーマーケットの2011年10月度の売上速報をまとめた。今月からユニバースがアークスに統合されたため、売上速報を公開する企業が23社から22社となったが、総店舗数は2,000店舗を超えており、1社あたり約100店舗、食品スーパーマーケット業界の現状を反映しているといえよう。その結果であるが、単純集計で全体が102.7%(既存店99.8%)となり、好調な結果となった。9月度100.1%(既存店97.9%)、8月度100.5%(既存店98.5%)、7月度104.9%(既存店102.8%)、6月度102.0%(既存店100.2%)、5月度101.9%(既存店99.8%)、4月度105.0%(既存店100.8%)、そして、3月度110.2%(既存店105.0%)であるので、3/11の東日本大震災後の特需を除けば、7月度についで高い伸びであり、この10月度は好調な売上げといえよう。

   そこで、この好調な売上げを牽引している食品スーパーマーケットであるが、この10月度110%以上売上げを伸ばした食品スーパーマーケットが4社ある。アークランドサカモト115.8%(既存店108.4%)、ハローズ112.2%(既存店101.9%)、ヤマザワ111.5%(既存店109.2%)、バロー111.4%(既存店101.7%)である。アークランドサカモトはホームセンターが主体の小売業であるが、スーパーセンターも展開しているので、食品スーパーマーケットに含め集計している。それにしても、115.8%は異常値であるといえ、この数字を支えているのが新店よりも、既存店の伸び108.4%にあるといえ、いかに好調であるかがわかる。

   特に、アークランドサカモトは東日本大震災の被災地、東北にも数多く店舗展開をしている。宮城県に2店舗、山形県に6店舗を展開しており、これらの店舗が牽引しているものと思われる。また、ここ最近、コンビニでもたばこ以外の雑貨が好調であり、ホームセンターへの需要は増しているといえよう。PLANTも全体の数値は、この10月度97.6%とやや厳しい状況にあるが、福島の原子力発電所の影響で営業再開ができない大熊店(福島県双葉郡大熊町)を除くと、101.6%と堅調な数字であり、ホームセンター業界は追い風気味であるといえよう。

   一方、食品スーパーマーケット業界ではハローズ、ヤマザワ、バローが110%を超える好調な売上げであり、特に、ヤマザワは既存店も109.2%と絶好調である。ヤマザワのここ数ケ月の数字を見ると、9月度109.4%(既存店106.7%)、8月度110.2%(既存店108.2%)、7月度119.1%(既存店117.0%)、6月度114.2%(既存店112.3%)、5月度112.1%(既存店110.2%)、4月度104.7%(既存店103.6%)、3月度110.5%(既存店107.7%)という推移である。3/11の東日本大震災以降、4月度はやや数字が下がったが、それ以外は、ほぼ2桁で推移しており、しかも、いずれも既存店が好調であり、力強い売上げを維持し続けているといえる。

   この4社についで、103%以上の食品スーパーマーケットは、スーパーバリュー 109.2%、ヤオコー108.4%(既存店101.7%)、マックスバリュ北海道105.6%(既存店105.6%)、マックスバリュ中部105.6%(既存店101.2%)、マックスバリュ東海104.5%(既存店99.4%)、ダイイチ103.2%(既存店103.2%)である。特に、マックスバリュ北海道、ダイイチが既存店も好調であるが、逆に、新店が伸び悩んでおり、気になるところでもある。

   新店に関しては、先の110%以上の食品スーパーマーケットも含め、全体と既存店との差を見てみると、ハローズ10.3%、バロー9.7%、アークランドサカモト7.4%。ヤオコー6.7%、マックスバリュ東海5.1%が5%を超える差であり、新店を積極的に展開しているといえる。東日本大震災の影響もあり、一時、新店も抑制気味であったが、ここへ来て、攻めに転じる食品スーパーマーケットも出始めており、その差が出てきているといえ、後半はさらに差が広がるといえよう。

   これに対して、昨年を下回った食品スーパーマーケットであるが、PLANT 97.6%、エコス97.4%(既存店98.1%)、マルエツ93.3%(既存店91.1%)、トーホー91.8%(既存店95.4%)、Olympic:フード83.3%(既存店83.3%)であり、厳しい状況である。特に、新店開発が難航している上に、既存店の数字が伸び悩んでおり、ダブルで売上げが伸び悩んでいるといえる。

   なお、上記以外の食品スーパーマーケット、すなわち、昨対100%以上、103%未満であるが、マックスバリュ西日本102.8%(既存店98.3%)、オオゼキ102.1%(既存店99.9%) カスミ101.9%、アークス 101.0%(既存店99.4%)、イズミ(推定)101.0%(既存店101.0%)、マックスバリュ東北100.5%(既存店100.7%)、 いなげや100.1%(既存店97.6%)という状況である。

   このように、食品スーパーマーケット業界22社、約2,000店舗の10月度の売上げ速報は102.7%(既存店99.8%)であり、110%以上伸びた食品スーパーマーケットが4社、103%以上が6社と好調な食品スーパーマーケットが多いといえる。特に好調な要因としては、既存店の活性化が成果を上げている食品スーパーマーケットと新店開発を積極的に進めている食品スーパーマーケットに分かれており、どちらも十分に取り組めない食品スーパーマーケットの売上げが伸び悩んでいるという結果である。今年も年末が近づいてきたが、今期決算は2極化の様相を呈してきたといえ、各社、今後、どのような経営戦略を打ち出すか、注目である。

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November 27, 2011

店舗DNAと商品DNA、何ができるか!

   ID-POS分析特有の分析、テスコ流として日本で広く取り入れられている分析に、商品DNAがある。チェーンストアエイジの11/15号でも、テスコの商品DNA事例として、その一端が紹介されている。これは商品1品1品の特徴を1、0、-1で表し、様々な角度から新たな商品分類を構築してゆく手法である。たとえば、容量大中小1、0、-1、健康に良い1、0、包装品である1、0、鮮度が高い1、0、日持ちする1、0、調理が簡単1、0、インスタント製品でない1、0、NBvsPB、1、0、子供向け1、0、お買い得品1、0、最高級品1、0、高価格商品vs低価格商品1、0、ベジタリアン1、0、新しい商品1、0、伝統的な商品1、0、環境配慮型商品1、0というような分類である。

   そして、ここから、因子分析を行い、いくつかの決定的な軸を抽出する。テスコでは価格重視派(経済的に豊かでない)、主流派(平均的顧客)、保守派(外見保守的で高齢者)、利便性追求派(総菜好きで、若いカップル)、健康志向派(健康的なライフスタイル)、美食派(経済的に豊か)などである。そして、このセグメントにそって、顧客をグループ化し、顧客ごとに四半期に一度ダイレクトメールを発送し、その中に、顧客グループ特有のクーポン、あるいはイベントの紹介、銀行ローンへの勧誘などを行ってゆく。これがいわゆる、テスコ流のID-POS分析の根幹である。

   このように顧客グループをつくる点がID-POS分析につながる課題であるが、実は、以前も本ブログで取り上げたが、この方向以外に、通常のPOS分析でも十分に活用できる商品DNAの活用の仕方がある。その方法とは顧客を店舗と考え、顧客分類の代わりに店舗分類を実施し、店舗ごとに商品の品揃えを決定する方法である。商品DNAに対して、店舗DNAをつくることがポイントとなる。実は、この方がはるかに歴史は古く、ウォルマートがDNAではなく、商品トレートと店舗トレートという概念を提唱し、実践している。その意味でテスコの手法はウォルマートの応用、店舗トレートを顧客セグメントに活用したに過ぎないといえる。しかも、ウォルマートはテスコのDM発送の代わりに、自動発注を作り上げ、クーポン、イベントの変わりに自動棚割り、ちらし、POP等へ応用しており、店舗の活性化につなげ、さらに、SCM、サプライチェーンマネジメントを強く意識した仕組みを作り上げているといえ、実用性が高い。

   したがって、日本においても、まずは、ID-POS分析以前の問題として、商品DNAと店舗DNAをつくり、店舗タイプ分けを行い、店舗ごとの品揃えの見直し、そして、重点商品の発注管理への応用が先決であるといえよう。そして、そこからSCMを構築し、その後に、ID-POS分析を活用したCRM、カスタマー・リレーションシップ・マネメントへ踏み込むことが自然の流れのように思う。

   実際、現状のPOS分析で商品DNAも店舗DNAも十分に構築が可能であり、しかも、商品DNAに関しては、商品を開発したメーカーのほとんどが、何らかのマーケティング調査を実施したデータを保有しており、小売業よりも幅広い情報収集ができているのが実態である。そのマーケティング調査データをもとに、商品DNAを1か0で分類し、精緻なものをつくり上げてゆけば完成度の高い商品DNAが得られる。そして、ここに通常のPOS分析、さらには、ID-POS分析を加えてゆけば、そのデータも取り込むことにより、販売実績、顧客の購入履歴、顧客の属性を加味した精度の高い商品DNAができあがるといえよう。ウォルマートよりも、テスコよりも決め細かい商品DNAが完成するのではないかと思う。

   そして、店舗DNAについても、ここ最近成長著しいGISデータを加え、これに、通常のPOS分析、ID-POS分析を加味すれば、日本独自の店舗DNAができるものと思われる。はじめは単純なモデルをつくり、それをもとに検証を繰り返すことにより、おそらく、時間とともに、かなり商圏構造を反映した店舗DNAができあがるものといえよう。

   あとは、この2つのDNA、商品DNAと店舗DNAを合体させ、店舗DNAから導きだされた店舗タイプごとに、品揃えを決定し、重点商品を明確にし、棚割りを作成し、年間52週のマーチャンダイジングを計画し、POP、ちらし等で販売促進を行い、さらに、限りなく自動発注の仕組み、サプライチェーンの適正化を図ってゆけば、適正品揃え、適正在庫、適正物流に限りなく近づいてゆくことになろう。そして、これにID-POS分析のきめ細かい顧客への対応がなされてゆけば、最強の店舗、最強のチェーンができあがるのではないかと思う。

   このように、商品DNAと店舗DNAは、実は、ID-POS分析以前の問題であり、通常のPOS分析でもメーカーの協力が得られればすぐに実現可能なテーマであるといえ、チェーンストアであれば必須のマーチャンダイジングの課題であるといえよう。そして、これにID-POS分析が加われば、さらに、精度の高い商品DNAと店舗DNAが構築でき、店舗に加え、顧客へのアプローチが可能となる。さらに、マーチャンダイジングも顧客を意識した、顧客ランクごとの政策の立案が可能になるといえよう。店舗数が50店舗、100店舗、1,000店舗となったチェーンは、商品DAN、店舗DNAの構築は必須の課題であるといえ、店舗数が少ない段階でも、チェーンストアであれば、是非、トライして欲しいテーマといえよう。

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November 26, 2011

酒、3/11、東日本大震災以降、9月度までの動きを見る!

   前回、酒について、家計調査データの年報をもとに1988年から2010年までの約20年間の動向を清酒、焼酎、ビール、ウィスキー、ワイン、発泡酒、他の酒の7種類について俯瞰してみた。また、家計調査データでは、年代別、所得別も集計されているので、その違いも見てみた。そこで、今回は、2011年に絞り、月別の動向、すなわち、ここ最近について、特に、3/11の東日本大震災以降の状況を見てみたい。なお、家計調査データは、10,000分比という集計値もあり、これを駆使することで、酒7種類の消費データを、酒の購入世帯のみの消費額と、酒の購入世帯の割合に分けて分析することが可能となる。特に、ここでは、食品スーパーマーケットの金額PI値(客単価)と比較しやすくするために、1世帯当たりの消費額を1日あたりに換算し、酒のここ最近の動きを追ってみる。

   酒は、食品スーパーマーケットの中では独特な商品群である。これはPOSデータでも検証できるが、この家計調査データの10,000分比を見ると、食品の各商品部門はほぼ100%全世帯が購入しているが、酒だけは60%強となり、約40%の家計が月間では酒を1度も購入していないのが実態である。このような商品群は食品スーパーマーケットでは医薬品があるが、この2部門が食品スーパーマーケットがラインロビングした商品群としては、来店顧客全員に購入していただくのが難しい商品群である。したがって、この2部門は食品スーパーマーケットではコンサルティングセールスが必要であり、顧客に対してきめ細かなサービスをもとに顧客の支持を獲得できるかどうかがポイントとなる。

   さて、まずは、3/11の東日本大震災以降の酒の消費額であるが、3月度は97.84円(昨対96.2%)となり、若干昨年を下回る結果となった。その要因は、購入世帯の消費額が155.47円(昨対94.6%)、購入世帯の割合が62.9%(昨対101.6%)であるので、購入世帯が減少したのではなく、購入世帯の消費額が下がったのが原因である。ちなみに、この時の東北地方の食品スーパーマーケットのPOSデータを見ると、酒の数字は、軒並み50%前後まで下がっており、厳しい状況であったが、他の地区が比較的安定した数字を確保しており、全体としては昨年を若干下回るぐらいで済んでいるのが実態である。

   そして、酒の各カテゴリーの3月度の家計調査データの動向であるが、清酒14.87円(昨対93.1%)、焼酎19.74円(昨対103.9%)、ビール25.87円(昨対88.4%)、ウィスキー2.81円(昨対85.3%)、ワイン5.23円(昨対88.0%)、発泡酒22.94円(昨対107.4%)、他の酒6.35円(昨対92.9%)である。焼酎と発泡酒は昨対を超えたが、他のカテゴリーは厳しい状況であった。なお、前ブログで焼酎が清酒を、ワインがウィスキーを逆転したことを解説したが、この3月度の数字も同様な傾向となっている。

   次に、4月度以降、9月度までの、酒全体の推移であるが、4月度109.07円(昨対101.6%)、5月度107.94円(昨対97.2%)、6月度 120.57円(昨対96.2%)、7月度128.23円(昨対96.7%)、8月度 125.32円(昨対94.8%)、9月度 103.20円(昨対94.9%)であり、昨対100%を超えたのは、4月のみである。ちなみに、食品全体であるが、3月度 1,918.48円(昨対100.5%)、4月度 1,885.40円(昨対99.3%)、5月度 1,899.00円(昨対97.9%)、6月度 1,920.87円(昨対98.6%)、7月度 1,990.03円(昨対100.5%)、8月度 2,008.81円(昨対98.6%)、9月度 1,915.83円(昨対98.7%)である。3月度、7月度が昨対100%を超えているが、それ以外は、昨年を下回っており、食品全体も厳しい状況であるが、酒の方がさらに厳しい状況であるといえよう。

   では、各カテゴリーはどうかであるが、3月度好調であった焼酎と発泡酒であるが、4月度、5月度も同様な動きであるが、6月度に入り、発泡酒は依然として昨年を上回っているが、焼酎が昨年を下回った。7月度も同様な動きであるが、8月度になると、今度は発泡酒も昨年を下回り、9月度も双方が昨年を下回り、厳しい状況である。一方、6月度に入り、清酒、ウィスキー、ワインが昨年を超えはじめた。その後、ワインは7月度、8月度、9月度も好調であり、9月度の伸び率は121.5%と高い数字である。これに対して、清酒、ウィスキーは6月度のみ昨年を上回ったが、その後は9月度まで昨年を下回ったままである。このカテゴリー以外では、その他酒が7月度、8月度のみ昨年を超えたのみであり、それ以外のカテゴリーはいずれも、昨年を下回っている。特に、ビールは深刻であり、3月度以降、9月度まで一度も昨年を超えていない。

   このように、家計調査データの月報で、2011年3月度から9月度までの、ここ最近の酒の動きを見ると、昨年を上回ったのは4月度のみであり、それ以外はいずれも、昨年を下回り、しかも、食品全体の伸び率をも下回っており、酒全体の消費は厳しい状況で推移しているといえる。また、カテゴリーで見ると、3月度、4月度の前半は焼酎と発泡酒が好調であり、酒全体の消費をひっぱったが、その後、失速した。6月度に入ると、清酒、ウィスキー、ワインが伸びはじめたが、清酒、ウィスキーは6月のみであり、7月度以降、下がってしまい、その後は、ワインと他の酒が昨年を上回った。そして、9月度に入ると、他の酒も失速、ワインのみが昨年を上回る状況で推移している。今後、好調なワイン以外の他のカテゴリーがどこまで消費を回復するか、特に構成比の高いビール、発泡酒が、酒全体の消費動向の鍵を握っているといえよう。

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November 25, 2011

酒を3つの角度、時系列、年代別、所得別に見てみる!

   本ブログでは、毎月、月末に総務省統計局から公表される家計調査データについて、特に食品スーパーマーケットに関連が深い食品を中心に、その動向を取り上げている。家計調査データは、このように月報もあるが、それ以外にも季刊(四半期)、そして、年報もある。そこで、ここでは、家計調査データの年報をもとに、月報ではわからない長期的な消費額の推移、年代別の消費構造の違い、そして、所得別の消費動向について、酒に絞って取り上げてみたい。

   家計調査データでは酒は7種類に分類され集計されている。清酒、焼酎、ビール、ウィスキー、ワイン、発泡酒、他の酒である。また、年報では最新が2010年であるが、1988年までさかもどることができ、約20年間の酒の各種類別の推移を見ることができる。年代は20代以下、30代、40代、50代、60代、そして、70歳以上、所得は年間300万円以下、350万円、450万円、600万円、そして800万円以上を見ることができる。そこで、これらの消費額をすべて折れ線グラフにしてみると、酒を大局的な見地から俯瞰することができ、現在、すなわち2010年度の酒の位置をそれぞれの種類ごとに把握することができる。

   実際、これらのグラフを見てみると、様々なことに気付く。まずは、清酒と焼酎のこの20年間の推移であるが、対照的な動きをしており、20年前の1988年は、1世帯当たりの消費額は清酒13,257円に対し、焼酎3,186円と、何と1万円以上の差があった。ところが、清酒は年々数字が右下がりになり、逆に、焼酎は数字が右上がりになり、何と、2008年に逆転し、清酒6,833円、焼酎7,400円となった。その後、その差はさらに広がり、2010年には清酒6,250円、焼酎7,253円となり、約1,000円の差となり、再逆転は難しい状況となりつつある。グラフを見ると、1988年から見事な右下がりの清酒、逆に、右上がりの焼酎、そして2007年から、2008年にかけて双方が交差し、その後、焼酎が上、清酒が下となり、現在に至っており、栄枯盛衰がまさに鮮明である。

   同様な動きは、ウィスキーとワインにもあり、約20年前の1988年にはウィスキーの1世帯当たりの消費額は5,773円、ワインは1,148円であり、約5倍の差があった。これが、ウィスキーは年々消費額を下げ、逆に、ワインはゆるやかに消費額を上げてゆき、約10年後の1998年に双方が交差し、逆転、ウィスキー2,635円に対し、ワイン3,457円となり、その後、ワインはほぼ横ばいで推移したが、ウィスキーはさらに数字を下げたため、逆転は起こらず、ワインがウィスキーを上回ったまま、2010年を迎えている。現在、ウィスキー1,252円、ワイン2,476円とダブルスコアーである。

   そして、もうひとつ、ビールであるが、これも独特な動きである。ビールは、2000年から発泡酒と他の酒(第3のビールなど)が登場し、それまでの動きとそれ以後の動きは全く違い、2000年まではほぼ1世帯の消費額が30,000円前後で推移していたが、2000年以降は右下がりになり、2005年17,345円と半減、その後も下がり続け、2010年には14,075円となった。一方、2000年から発泡酒、他の酒が登場し、双方、数字をゆるやかに上げてゆき、2010年には発泡酒8,783円、他の酒2,703円となった。したがって、ほぼ、ビールが下がった分を、発泡酒、他の酒がカバーした形となっており、ビール+発泡酒+他の酒の合計は、この20年間、ほぼ横ばいで推移しているといえ、ビール系全体の中での需要の付け替えが起こったといえよう。

   次に、年代別の動きであるが、清酒、焼酎は若い世代と年配の世代で対照的な数字であり、どちらも年配の世代が圧倒的に高い数字となっている。また、ウィスキーも清酒、焼酎ほどではないが、同様な傾向にあるが、ワインは40代、50代がピークで、それより若い世代、年配世代はやや低いのが特徴である。ビールについては、清酒、焼酎と同様な傾向、年配の世代が高いが、発泡酒、他の酒は若い世代が高く、ワインに近い動きである。

   最後に、所得別の違いであるが、ワインは明らかに、所得が上がるごとに消費額が増加してゆく傾向が鮮明であるが、清酒、焼酎は所得による消費額の差は比較的少なく、どの所得の世帯もほぼ同じ消費額となるが、強いていえば、焼酎は所得350万円の世帯の消費額が高いのが特徴である。ビールはワイン型であり、所得が上がるに従い、消費額が増えてゆく傾向が強いが、発泡酒、他の酒はゆるやかに同様の傾向も見受けられるが、ほぼ、所得にかかわらず、同じくらいの消費額である。

   このように、家計調査データの年報をもとに、過去20年までさかもどって酒7種類の1世帯当たりの消費額を3つの角度から見てみた。時系列での推移、年代別、そして、所得別の違いである。その結果、清酒と焼酎、ワインとウィスキー、ビールと発泡酒、他の酒が対照的な動きを示しており、それぞれの消費構造の違いが鮮明である。家計調査データは今回のように、カテゴリーごとに動きを追うことにより、現在の数字がどのような流れを経て、落ち着いたのか、そして、年代別、所得別ではどのような特徴があるのかがわかり、今後の仮説づくりのヒントを与えてくれる。特に、家計調査年報は過去20年間の消費額を比較することができ、消費状況を俯瞰してみることができる貴重な統計データといえよう。今後、月報はもちろんだが、この年報、そして、季刊(四半期)等も活用し、消費実態を大所高所から、本ブログでも取り上げてゆきたい。

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November 24, 2011

コンビニ、2011年10月度、大幅増収、16.6%増!

   11/21、(社)日本フランチャイズチェーン協会から、2011年10月度の売上速報が公表された。結果は、昨年対比16.6%増、既存店14.1%増となる、大幅増収、異常値となった。店舗数は44,062店舗(1.8%増)であるので、既存店の大幅増が要因であり、明らかに異常値である。また、客数8.9%増(既存店6.2%増)、客単価7.1%増(既存店7.5%増)であるので、客数、客単価ともに、バランスよく、売上げを押し上げており、この10月度のコンビニ業界は昨対で見る限り、絶好調となった。

   これについて、(社)日本フランチャイズチェーン協会は「先月は、昨年10月のたばこ値上げ前の駆込み需要の反動から、全店、既存店とも売上高が11ヶ月振りにマイナスとなったが、今月は、昨年のたばこ値上げ後の買い控えの影響により、全店、既存店ともに大幅なプラスとなった。その他日配食品の調理パン、惣菜等が好調であった。既存店ベースの売上高は6,878億円(前年同月比+14.1%)で2ヶ月振りにプラスとなった。来店客数11億6,124万人(前年同月比+6.2%)、平均客単価も592.3円(前年同月比+7.5%)とプラスとなった。」とコメントしており、いかに、昨年10月度のたばこの値上げの反動が大きかったかがわかる。

   この統計数字は、ココストア、サークルKサンクス、スリーエフ、セイコーマート、セブン-イレブン・ジャパン、デイリーヤマザキ、ファミリーマート、ポプラ、ミニストップ、ローソンの主要コンビニ10社を網羅した数字であり、店舗数も先に見たように44,062店舗の結果であり、コンビニ全体が、この10月度の売上高が大幅に上昇したといえる。ちなみに、9月度は-2.0%増(既存店-4.0%増)、8月度9.1%増(既存店7.9%増)、7月度11.5%増(既存店9.5%増)、6月度11.1%増(既存店9.0%増)、5月度7.5%増(既存店5.7%増)、4月度3.3%増(既存店1.6%増)、3月度9.2%増(既存店7.7%増)であり、3/11の東日本大震災以降、翌月4月度はやや伸び率は下がったが、9月度の昨年のたばこの値上げの影響以外はいずれも好調な数字であり、今期、2012度のコンビニの決算は空前の数字となる可能性が極めて高いといえよう。

   参考に、昨年の9月以降の数字であるが、2011年9月度15.0%増(既存店12.9%増)が、異常値であり、たばこの値上げが翌月、10月度であるので、駆け込み需要が発生しているといえる。特に、客数3.8%増(既存店2.1%増)、客単価10.8%増(既存店10.6%増)であるので、客単価が異常値であり、さらに、たばこを含む非食品が43.9%増の売上高であり、明らかにたばこの特需といえる。そして、翌月2010年10月度であるが、-3.7%増(既存店-5.9%増)と、その反動があり、売上高はマイナスとなった。したがって、今年の、この10月度が、その反動で16.6%増(既存店14.1%)の異常値となったといえよう。今年の10月度と昨年の9月度との差16.6%-(15.0%)=1.6%、今年の9月度と昨年10月度の差-2.0%-(-3.7%)=1.7%が、たばこだけでは説明できない伸び率であると思われ、これが3/11の東日本大震災の特需効果といえよう。

   さらに、2010年11月度3.1%増(既存店1.1%増)、2010年12月度5.6%増(3.3%増)、そして、2011年度に入り、1月度7.2%増(既存店5.1%増)、2月度8.7%増(6.5%増)であるので、3/11以降の方がやや伸び率が高めであるといえ、次回、11月、12月と好調な売上高増が予想される。

   なお、この好調な売上げを支えた商品構成であるが、いまや、コンビニの主力部門はファストフードを含む日配食品から、たばこ、乾電池、蛍光灯、紙製品、雑誌、新聞、ペットフード、医薬品等の非食品となりつつあり、この部門が昨年のたばこの値上げショックが落ち着く12月以降、そして、3/11の東日本大震災以降、加速度的に売上げを大きく伸ばし続けている。この10月度の数字は非食品48.6%増(構成比34.7%)となり、日配部門4.7%増(構成比33.5%)と、構成比が逆転しており、他の部門、加工食品2.6%増(構成比27.3%、サービス14.8%増(構成比4.5%)と比べても、非食品が圧倒しており、いかに、非食品を充実させるかが、コンビニにとって最重点課題となっているといえる。

   ちなみに、非食品と日配食品の関係であるが、昨年の9月度(構成比、非食品40.1%、日配食品29.9%)が10月度(構成比、非食品27.2%、日配食品37.2%)と、逆転、そして、11月度(構成比非食品31.0%、日配食品34.4%)、12月度(構成比、非食品33.7%、日配食品33.2%)、2011年に入り、1月度(構成比、非食品34.0%、日配食品33.1%)と、ここで再び、逆転、2月度(構成比、非食品34.6%、日配食品33.2%)、3月度(構成比、非食品36.4%、日配食品31.4%)と、差が広がる。そして、4月度(構成比、非食品31.9%、日配食品33.8%)と、再び逆転、5月度(構成比、非食品35.7%、日配食品32.4%)と、また、逆転、デットヒートを繰り広げている。6月度(構成比、非食品36.3%、日配食品32.1%)、7月度(構成比、非食品34.4%、日配食品33.1%)、8月度(構成比、非食品34.1%、日配食品33.5%)、9月度(構成比、非食品33.4%、日配食品33.5%)と、微妙に逆転、ほぼトントンとなった。そして、10月度の構成比、非食品34.7%、日配食品33.5%である。

   このように、2011年10月度のコンビニの売上速報は空前の伸び率となり、前回の9月度と対照的な結果となった。3月以降、8月度までの数字が好調に推移していることから、今後、安定的な伸びを示してゆくことになろう。また、これに伴い、コンビニの構造変化も起こっており、長年、コンビニ全体の売上げを牽引してきたファストフードを主力とする日配食品からたばこ、雑貨を主体とする非食品部門に構成比No.1の座を奪われようとしている。コンビニも、たばこと東日本大震災の影響により、大きな構造変化を余儀なくされる時代を迎えたといえよう。

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November 23, 2011

クローガー、2012年1月期、中間、増収増益!

   ここ最近、ブログで海外企業の決算を取り上げている。すにで、ウォルマート、ホールフーズマーケット、そして、テスコを取り上げたので、もう1社、食品スーパーマーケット業界の雄、全米No.1の売上高を誇るクローガーの2012年1月期、中間決算を取り上げてみたい。クローガーは現在、全米で約2,500店舗を展開する食品スーパーマーケットであるが、これにコンビニエンスストア約800店舗、ドラックストア約400店舗をかかえており、合計、総店舗数では約3,700店舗となる巨大チェーンストアである。食品スーパーマーケットには、日本でよく知られたラルフス、スミス、フード4レス、フレッドマイヤ、キングなどが傘下に入っており、ほぼ全米に展開されている。主要ドミナントは、カリフォルニア、アリゾナ、ワシントン、コロラド、テキサス、オハイオ、インディアナ、ジョージア、テネシー、ミシガン、ケンタッキーなどであり、これらの州では、いずれも100店舗以上を展開している。

   上記いずれの地区でも、シェアNo.1か、No.2であるが、これ以外にもクローガーが展開している地域では、そのほとんどの州でウォルマートのスーパーセンターと激しいシェア争いをしているのが実態であり、クローガーがウォルマートと真っ向から戦う食品スーパーマーケットの代表格であるといえる。ウォルマートのスーパーセンター以外では、シアトルではセイフェイ、コストコ、サンディアエゴではボンズ、アルバートソン、リッチモンドではフードライン等と激しシェア争いを繰り広げている。

   さて、2012年1月期の中間決算の結果であるが、売上高483.74億ドル(昨対11.20%増)、営業利益12.99億ドル(昨対6.73%増)と、増収増益の好決算となった。売上高の伸び率に比べ、営業利益の伸び率がやや低いのが気になるが、その要因を見てみたい。アメリカの小売業のP/L(損益計算書)は企業により、各項目、形式がまちまちであり、クローガーもウォルマート、ホールフーズマーケットと比べ、大分、形式が違い、独特である。

   まず、売上高から引かれるのは、Merchandise costs, including advertising, warehousing, and transportation, excluding items shown separately belowであり、マーチャンダイジングコスト、すなわち、商品の販売に直接かかわるコストを差し引いている。この中には原価も含まれていると思われ、これに経費の一部、広告宣伝費、物流費なども含まれている。したがって、日本のように純粋な原価という数字がないのが特徴である。その結果であるが、売上高対比で78.92%(昨年77.48%)と、1.44ポイント上昇しており、結果、マーチャンダイジング利益は21.08%(昨年22.52%)と、この時点では大きく減益となった。

   次に、Operating, general and administrative、いわゆる販売管理費であるが、15.86%(昨年16.96%)と、1.10ポイント削減した。したがって、この時点での利益は5.22%(昨年5.56%)と、依然として減益が続いている。そして、次がRent、家賃であろう、0.71%(昨年0.80%)と、0.09ポイント削減した。結果、この時点での利益は4.51%(昨年4.76%)と、まだ、減益が続く。最後がDepreciation and amortization、減価償却費であり、1.80%(昨年1.94%)と、0.14ポイント削減しており、結果、この時点での利益は2.71%(昨年2.82%)であり、結果、いずれの段階でも減益であり、この中間決算時は利益は厳しい結果であったといえる。特に、マーチャンダイジングコストの上昇が大きかったといえよう。ただし、率では減益となったが、高では売上高が11.20%増となったため、6.73%増の増益となった。

   マーチャンダイジングコストが上昇しているということは、それだけ競争が厳しい状況にあるといえ、ウォルマートも国内は思わしくない状況であるので、アメリカ全土でウォルマートと食品スーパーマーケットとの激しい競争が繰り広げられているものといえよう。それにしても、クローガーのP/Lも独特な計算となっており、ここでは、各経費段階で利益を独自に計算したが、P/Lでは、すべての経費が縦に羅列され、営業利益は売上高から一辺に引かれており、利益の状況を知るためには、ひと工夫必要な決算書であるといえる。

   一方、クローガーのこの中間決算時の純資産比率であるが、B/S(貸借対照表)は、P/Lと違い、ほぼ、日本の決算書と同じ形式であり、計算がしやすい。B/Sはバランスシートの略だが、何と何をバランスさせるかは、日本では資産と負債+純資産をバランスさせるが、すでに本ブログでも取り上げたテスコは資産-負債と純資産をバランスさせており、このような考えもあるのかと興味深いものである。さて、クローガーの純資産比率であるが、純資産52.10億ドル、総資産233.98億ドルであるので、22.26%(昨年22.53%)であり、比率も低く、さらに昨年より下がっており、かなり、苦しい財務状況にあるといえる。

   このように、全米No.1の規模を誇る食品スーパーマーケット、クローガーの2012年1月期の中間決算は増収増益とはなったが、その中身は、率では減益、高で増益という決算であり、特に、マーチャンダイジングコストが上昇しており、厳しい結果といえる。また、純資産比率も20.26%と、約80%を負債に追う財務構造となっており、負債が経営に重くのしかかっており、厳しい状況にあるといえる。今後、後半にかけて、より、厳しい経営環境が続くと思われるが、クローガーとしては利益と財務、双方の改善をはかる必要があるといえ、どのような経営戦略を打ち出すか、その動向に注目である。

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November 22, 2011

テスコ撤退に対してのイギリス人のコメント!

   前回、本ブログでテスコの中間決算について取り上げたが、その数字を調べている中で、おもしろいブログを見つけた。「とりいそぎ」というブログであるが、その中で、様々なトピックについて、海外の新聞記事の一部を翻訳する中で、テスコ撤退について取り上げていた。なかなか興味深い内容であるので、そのブログの翻訳元となった新聞記事、および、コメントをもとに、今回のテスコ日本撤退のイギリスでの反響を見てみたい。新聞は3紙、デイリーテレグラフ(約60万部)、ガーディアン(約25万部)、インデペンデント(約20万部)であり、いずれもイギリスの新聞である。

   まずは、記事の内容であるが、デイリーテレグラフは「Tesco pulls out of Japan(2011年10月31日)」という見出しであり、テスコ撤退が、アメリカのFresh & Easyに波及するのではないかという観点で取り上げられていた。これに対するコメントは30件である。次に、ガーディアンであるが、「Tesco to exit Japan after eight-year struggle(2011年10月31日)」という見出しであり、日本での8年間のテスコの苦闘について取り上げ、ただ、日本市場はテスコにとって影響を与えるほど大きくない点を強調した内容である。また、テスコの買い手が中途半端な大きさの店が多く交渉が難航している様子とのことである。コメントは98件であり、関心の高さがうかがえる。

   そして、インデペンデントであるが、「Tesco pulls out of Japanese market(2011年10月31日)」との見出しのもと、日本市場の攻略の難しさをウォルマートも2002年以降苦闘していることを引き合いに出しながら、解説しており、それでも、テスコ本体に与える影響は小さいとの内容である。コメントは14件であり、最も少ない。この3紙はいずれも、イギリス国内で激しい競争をしており、このテスコ日本撤退の記事も、10/31と、同日であり、記事の内容もそれぞれ工夫がみられる。

   さて、そのコメントの内容であるが、まずは、デイリーテレグラフのコメントであるが、「何年か前に、テスコのCEO、デビット・リーヒーが、日本は世界でも参入するのが難しい市場であるので、テスコの水準を上げないと難しいといっていたと思う。」、「日本の市場への独自参入は難しいので、日本の大手小売業とパートナーシップを結ぶべきだったのでは、・・」、「これで、次は、アメリカのブラックホールに落ちたFresh & Easyだな。」などのコメントがある。また、日本人のコメントもあり、「日本では誰もが朝食にシリアルやミューズリーを食べているわけではない。 日本の小売業は、世界で最も競争の激しい市場であり、消費者を喜ばすのが難しい市場である。」とのことである。

   次に、ガーディアンのコメントであるが、「イギリスの小売業は過去に学んでいない。セインズベリーはかつてイギリスで1番だった。でもアメリカで展開すると、イギリスで3番目になった。マークス&スペンサーも2000年以降、イギリス以外の各国で展開したが、撤退した。」、「カルフールが去って、今度はテスコか、いずれも関東での展開だ。自分は関西に住んでいるから、買い物するチャンスがなかった。ただ、このような状況でも、コスコは力をつけている。誰でも会員になれるし、日本の小売業にないビックサイズを得るなど差別化している。」、「私は東京に住んでいるが、テスコのことをほとんど知らなかった。」とのことである。

   そして、インデペンデントでは、「日本のツルカメが、イギリスのテスコのような洗練されたイメージがなかったのではないか」というコメントがあり、それに対して、すかさず、「イギリスでテスコが洗練されているとは思えないが、・・」と反論が寄せられている。また、「コスコ、スターバックス、マクドナルドなど成功した海外企業もあるのだから、テスコやカルフール、ウォルマートが成功しなかったのは、ビジネスモデルが日本に合わなかったのだろう。日本の小売業は強いので、テスコの市場調査、立地等が問題なのではないか」とのコメントもある。

   ここでは、テスコの日本撤退に関してのコメントについて絞ってみたが、大半はイギリスのテスコについてのものが多く、いかに、イギリスではメジャーな小売業であるがかがうかがわれる。また、今回の日本撤退よりも、むしろ、アメリカのFresh & Easyに関するコメントが多いといえ、次はアメリカ市場からテスコが撤退するのではないかと読者は見ているといえる。

   このように、前回のテスコの2012年2月期の中間決算のブログに続き、その関連でイギリスの3大紙、デイリーテレグラフ、ガーディアン、インデペンデントのテスコ日本撤退にたいするコメントを見てみたが、日本の新聞と違い、読者がWEB上にどんどん自由にコメントしており、報道といよりも、読者を取り込んだ仕組みができているといえ、興味深い仕組みであり、その中身もおもしろい内容である。全体的には日本市場はテスコにとっては、わずかなシェアを占めているにすぎず、驚きよりも、安堵感、やっぱりというニアンスが感じられるコメントが多かったといえる。現時点ではテスコの売却先が決まったという報道はないが、年内には何か動きがあるかもしれず、どこが買収するか、その動きが気になるところである。

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November 21, 2011

テスコ、2012年2月期、中間決算、増収増益!

   テスコが2012年2月期の中間、8/27までの26週間の決算結果を10/14に公表した。テスコはイギリスに本社を置き、ヨーロッパ、アジア、そして、アメリカへとグローバルに展開している、世界第3位の規模を誇る小売業であるが、残念ながら、日本からは今年撤退を表明しており、現在、売却交渉に入っている。また、アメリカでの事業も中々軌道にのらず、苦戦を強いられている。ただ、ヨーロッパ、アジアは好調であり、この中間決算も、ヨーロッパ、アジアが寄与し、グループ全体では増収増益となった。

   そこで、各地域の結果を見てみると、全体の売上高は355.30億ポンド(8.8%増)であり、その内訳は、イギリス234.29億ポンド(7.1%増:構成比65.94%)、ヨーロッパ56.73億ポンド(12.4%増、構成比15.96%)、アジア56.02億ポンド(11.7%増、構成比15.76%)、アメリカ3.04億ポンド(23.1%増、構成比0.85%)、そして、テスコ銀行5.22億ポンド(10.1%増、構成比1.46%)である。アメリカは伸び率こそ高いが、構成比は1%にも満たず、全体を牽引しているのは、ヨーロッパ、アジアである。なお、この数字は、Value-Added Tax 、いわゆるVAT、付加価値税込みの数字であり、後で見るP/L(損益計算書)では、VAT抜きで計算している。

   一方、営業利益の方であるが、全体は17.73億ポンド(売上対比5.5%、昨対3.7%増)であり、結果、増収増益と好決算となった。その内訳であるが、イギリス12.73億ポンド(売上対比6.01%、昨対4.5%増)、ヨーロッパ2.37億ポンド(売上対比4.81%、昨対11.8%増)、アジア2.92億ポンド(売上対比5.59%、昨対18.7%増)、アメリカ-0.73億ポンド(売上対比-24.33%、昨対23.2%増)、そして、テスコ銀行0.44億ポンド(売上対比8.43%、昨対-65.9%増)である。アメリカが赤字、テスコ銀行が減益であり、利益についてもヨーロッパ、アジアの貢献度が高いといえる。なお、「Continuing operations exclude the results from our operation in Japan which have been treated as discontinued following our decision to sell the business.」とのことで、日本の数字は除外されているとのことである。

   こう見ると、テスコは、イギリス本体の安定的な収益に加え、売上高、利益ともに成長著しいヨーロッパとアジアが増収増益を支えているといえ、まだ全体へのインパクトは薄いがアメリカは苦戦しているといえる。結果、増収8.8%、増益3.7%の増収増益となり、好調な決算ではあったが、やや利益が厳しいといえ、特に利益の改善を後半にかけては重視したいところであろう。

   そこで、その利益について、P/L(損益計算書)をもとに、原価、経費面から、やや苦戦したとはいえ、増益となった要因を見てみたい。なお、P/Lでは、売上高、Revenue (sales excluding VAT)であり、税抜きの数字で計算されており、先ほどの数字とは若干違ってくる。まずは、売上高であるが、318.12億円(7.8%)であり、先の税込の売上げと比べると、10.46%となり、いわゆる消費税率は10.46%、日本の約2倍であることがわかる。

   さて、原価であるが、92.22%(昨年92.10%)と、0.11ポイント上昇している。結果、売上総利益は7.78%(昨年7.90%)となった。一見、日本のP/Lとよく似ているが、この数字を見ると、ここには仕入れ原価と店舗段階での経費が含まれているものと推測され、これだけ、原価が大きくなるのではと思う。これは日本のP/L、ウォルマートのP/L、ホールフーズマーケットのP/Lとも違い、独特な計算方法である。そして、経費の方であるが、2.45%(昨年2.58%)と、0.13ポイント改善した。これは恐らく、経費といっても本部経費と思われる。言葉としても、Administrative expensesとしており、General and administrative expensesのGeneralが抜けているので、本部経費と推測される。

   結果、営業利益は5.33%(昨年5.32%)と、わずかな伸びにとどまっており、やや厳しい利益構造であったことがわかる。売上高が好調であったことにより、高では好調な数字となったが、率では原価高が響いたといえよう。それにしても、小売業のP/L(損益計算書)は様々であり、日本、ウォルマート、ホールフーズマーケット、テスコ、皆違いびっくりである。中でもホールフーズマーケットは独特であり、最も詳細なP/Lであるといえる。

   一方、テスコのB/S(貸借対照表)であるが、これも独特な計算方法であり、自己資本比率が計算しにくい。その理由は、資産と負債+純資産と左右にわかれてのバランスをとっておらず、資産-負債と純資産でバランスをとっているため、資産の合計、負債と純資産の合計が計算されていないためである。そこで敢えて、自己資本比率を計算してみると、資産の合計は492.93億ポンド(昨年472.06億ポンド)、純資産が170.33億ポンド(昨年166.23億ポンド)であるので、34.55%(昨年35.21%)と若干下がっており、しかも、30%台と厳しい財務状況といえる。日本ではイオンが32.30%、セブン&アイHが47.60%であるので、イオンとほぼ同じ数字である。

   このように、テスコの2012年2月期の中間決算は増収増益とはなったが、利益は原価の上昇がみられやや厳しい結果であったといえる。また、自己資本比率も下がっており、しかも、その数字も低い状況にあり、財務の改善も課題といえる。こう見ると、売上げ、利益ともに伸び悩む日本からの撤退もやむをえないといえよう。テスコとしては、利益を引き上げ、財務の安定化をはかることが先決といえ、売上げ、利益ともに比較的好調なヨーロッパ、アジアへの投資を優先することも理解できるといえる。すでに、後半戦に入っているが、テスコがヨーロッパ、アジアでどのような成長戦略を打ち出すか注目である。

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November 20, 2011

ホールフーズマーケット、2011年9月本決算、増収増益!

   ホールフーズマーケットが11/2、2011年度、9月期の本決算を公表した。ウォルマートの2012年度、第3四半期決算の発表ではEPSを冒頭に取り上げていたが、ホールフーズマーケットの冒頭のコメントは、「results for the 12-week fourth quarter ended September 25, 2011. Sales for the quarter increased 12% to $2.4 billion.」であり、第4四半期の売上高を取り上げている。そして、「Comparable store sales increased 8.7%,or 17.4% on a two-year stacked basis. Identical store sales, excluding six relocations and one expansion, increased 8.4%,or 17.1% on a two-year stacked basis.」と、既存店と全店の数字を取り上げており、日本の決算発表に近いコメントの仕方である。

   また、P/L(損益計算書)についても、まずは売上高、そして、原価、次が、売上総利益であり、日本の決算書と同じ並びであり、ここでもウォルマートとは異なり、日本の決算書と同じである。ただ、次が、ウォルマートにも、日本の決算書にもない、ホールフーズマーケット独特の項目、店舗のみの経費があり、そこから店舗貢献利益が算出されている。すなわち、経費項目が、まずは2つに分かれ、店舗のみの経費を算出し、それを売上総利益から差し引いた利益が計算される。そして、そこから、2つ目の経費、一般管理費があり、これを差し引いた利益が計算される。ただし、この経費には新規出店のプレオープン経費、閉店の経費等は省かれており、この利益から、さらに、プレオープン、閉店費用が差し引かれ、営業利益が計算される。したがって、これを入れれば、経費が3つに分かれ、それぞれの利益を算出しており、ウォルマートにも、日本の決算書にもない、ホールフーズマーケット独特の決算書となっている。

   ホールフーズマーケットにとっては、営業利益までに、結果、経費が3つ、利益は4つあることになる。売上高から原価を差し引いた利益、いわゆる粗利、そこから、店舗段階での経費を差し引いた利益、店舗貢献利益、さらに、そこから一般管理費を差し引いた利益、運営利益、そして、ここが独特であるが、新規出店、閉店等の経費を差し引いた営業利益であり、それぞれの利益が明示されており、投資家にとっては、営業利益がどの段階が貢献しているのか、あるいは、課題があるのかが判断できるようになっており、経営、特に、営業段階でのディスクローズが徹底しているといえる。

   さて、その結果であるが、52週間の売上高は101.07億ドル(112.23%)と増収となり絶好調である。そして、利益であるが、まずは、原価であるが、65.01%(昨年65.17%)と、0.16ポイント改善している。結果、差し引き、売上総利益は34.99%(昨年34.83%)と増益となった。それにしても、これだけ原価が低い、すなわち、粗利が高い食品スーパーマーケットは稀であり、ここがホールフーズマーケットの最大の強みといえよう。自然食品、有機食品に徹した商品構成であるがゆえの、ウォルマートですら追随できない独特の強みといえる。

   そして、店舗段階の費用であるが26.00%(昨年26.38%)となり、0.38ポイント改善した。ただ、原価も低いが、店舗段階で26.00%と経費も十分にかけているといえ、典型的な低原価(高粗利)、高経費の利益構造であるといえる。結果、店舗段階での利益は8.99%(昨年8.45%)と増益となった。ついで、一般管理費、ここでは、本部経費と見た方が良いといえるが、3.07%(昨年3.02%)と、0.05ポイント削減した。結果、運営利益は5.92%(昨年5.43%)と、ここでも増益となった。最後に、新規出店、閉店経費であるが、0.48%(昨年0.54%)と、ここでも0.06ポイント削減しており、結果、営業利益は5.44%(昨年4.89%)と、増益となった。したがって、原価はもちろん、その後の3段階に渡る経費、店舗段階、本部段階、新規出店、閉店段階、すべて改善し、結果、増益となったといえ、増収に加え、増益と好調な決算であったといえる。

   さて、この好調な決算を活かし、ホールフーズマーケットがどこにキャッシュを配分したかであるが、営業活動によるキャッシュフローは7.54億ドル(5.85億ドル)と、大きく増加している。そして、投資活動によるキャッシュフローであるが、-4.50億ドル(昨年-7.15億ドル)と、大きく削減している。ただ、その中身を見ると、新規出店関連への投資は-3.64億ドル(昨年-2.56億ドル)とむしろ増加している。違いは、有価証券の売却益が今期11.55億ドル(昨年6.46億ドル)あり、これを加味すると、成長戦略を強化しているといえる。そして、財務活動によるキャッシュフローであるが、-2.23億ドル(昨年-1.68億ドル)と、増加しており、財務の改善にもキャッシュを昨年以上に配分している。結果、キャッシュが0.80億ドル(昨年-2.98億ドル)と増加しており、財務の強化が図られている。実際、B/S(貸借対照表)の資産の現金も2.12億ドル(昨年1.31億ドル)と増加している。結果、自己資本比率も69.68%(昨年59.53%)と大幅に改善した。

   このように、ホールフーズマーケットの2011年9月期の決算は増収増益と絶好調であり、原価が改善し、経費は、いずれの段階でも削減され、結果、すべての段階で利益が改善している。しかも、その結果、得られた利益に有価証券を売却した収入も加え、成長戦略と財務の安定の二兎を同時に追い、双方を強化したといえる。結果、自己資本比率も大きく改善し、約70%となり、小売業としては、限界に近い数字といえよう。来季、ホールフーズマーケットが、この好調な決算をもとに、どのような経営戦略を打ち出すか、その動向に注目である。

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November 19, 2011

POSデータの開示を考えてみる!

   ここ最近、POSデータの開示が食品スーパーマーケットからメーカーに盛んに行われており、ほぼ日本全国で見られる動きである。この傾向は、まさに、ここ数年の動きであるといえ、いっきにここへ来て広まったといえよう。もともと、このPOSデータの開示の先駆者はウォルマートであり、ウォルマートがいまから10年以上前にメーカーへPOSデータを公開したところからはじまる。日本でもこの流れを受けてPOSデータの開示がなされているように思えるが、よく見ると、ウォルマートのPOSデータの開示とは雲泥の差がある。というよりも、異質といえ、日本独自のPOSデータの開示文化が開きつつあるといえる。

   そもそも、ウォルマートが10数年前にPOSデータの開示をはじめるきっかけとなったのは、巨大なデータウェアハウスを導入し、POSデータの分析に着手したことがきっかけである。この話はすでに、出版物、WEB等で何度も取り上げられているが、特に、「ウォルマートに学ぶデータ・ウェアハウジング(翔泳社)」に詳しい。それを見ると、POSデータの開示の目的が自動発注、自動棚割りに結びつけることにあることがわかる。ここが日本のPOSデータの開示と決定的に違う点であろう。日本の場合は、POSデータの開示の目的の大半が、販売促進にあるといえ、メーカーからの効果的なマーチャンダイジングの改善提案をもらうことに主眼が置かれているといえる。したがって、メーカー側の負担があまりに大きく、現状のPOSデータを分析し、そこから、販売促進の仮説をつくり、提案書にまとめ、小売業のバイヤーに提案する。そして、さらに、その後、検証が行われ、再度、提案が求められるという、本来、バイヤーがやるべき業務のかなりの部分を代行するようなことになっているといえる。

   これに対して、ウォルマートの場合は、POSデータの開示には、日本ではほとんど見られない在庫情報の開示がなされており、しかも、この在庫情報の開示がPOSデータの中ではメインともいえる。なぜなら、この在庫情報とPOSデータをもとに、自動発注の仕組みをつくり、さらに、その発展系として自動棚割りまでつくるからである。したがって、メーカーは、その発注数量にもとづき、物流管理、さらには、生産管理を徹底することが求められ、これに自動棚割が加わり、店舗ごとの適正在庫管理が求められ、結果、在庫改善を通じてキャッシュフローの改善につなげることが期待される。

   余談だが、実は、テスコのID-POS分析もこの点に注目しており、商品からのキャッシュフローの改善を顧客からのキャッシュフローの改善に置き換えたところにポイントがあるといえる。したがって、エンド展開ひとつをとって見ても、テスコの場合は、ID-POS分析にもとづき、キャッシュフロー最大を期待できるロイヤルカスタマーの重点商品を優先し、陳列するが、結果、顧客からのキャッシュフローが商品を通じて改善されることになる。

   ちなみに、テスコとウォルマートの仕組みはPOSとID-POS分析との違いはあるが、よく似ている。いまはやりのテスコ流の商品DNAはウォルマートでもすでに通常のPOSデータで構築されており、商品トレイトという名称で商品をきめ細かく分類している。さらにウォルマートの場合は店舗トレイトも同時に作っており、この商品トレイトと店舗トレイトをもとに、自動棚割りを作成し、品揃えの適正化をはかっている。したがって、その後、自動発注につなげてゆくので、テスコのID-POS分析の原型がすでにウォルマートででき上がっていたといえる。

   こう見ると、日本のPOSデータの開示は、在庫情報が不十分、というよりも、企業規模が小さく、センター機能等が十分でないため、店頭在庫管理までが限界といえ、メーカー在庫、センター在庫、店頭在庫を一気通貫で管理する必然性が薄いといえ、POSデータの開示にそぐわなかったといえよう。したがって、自動発注、自動棚割り、商品トレイト、店舗トレイトという一連のPOSデータの開示、さらには、テスコのような、ID-POS分析にもとづく、顧客面からのキャッシュフローの改善という方向にPOSデータの開示があわなったのではないかと思う。そして、残されたPOSデータの開示機能としては、日本特有のEDLPではない、ちらしを多用するHigh-Low-Price政策を前提とした販売促進への活用に集中してしまったのではないかと思われる。

   今後、POSデータの開示がどのような方向に進んでゆくかであるが、日本特有の販売促進に徹すのであれば、当然、POSよりも、ID-POSデータの方が、顧客属性、顧客の購入履歴が把握できるため、はるかに価値のあるPOSデータであることから、ID-POSデータの開示に集約されてゆくことになろう。そして、これまでのPOSデータの開示は、原点にもどり、自動発注を視野に入れた発注改善、自動棚割りを視野に入れた店舗ごとの品揃えにもとづく棚割り提案による在庫管理に収斂されてゆくのではないかと思う。

   時代は、前回のブログでも取り上げたテーマ、電子マネー、プリペイドカードとなりつつあり、POSデータがID-POSデータに置き換わってゆくことは必然といえる。POSデータの活用は全顧客のデータが把握できるがゆえに、機関システムともいえる物流、発注等に重点を置き、ID-POSデータは会員のみのデータであるが、販売促進には十分に活用できると同時に、キャッシュフローの大きいロイヤルカスターへのきめ細かい顧客サービスの充実、そして、特に、顧客ランクごとの販売促進政策の構築が可能であり、顧客からのキャッシュフローの改善へとつなげてゆくことができる。その意味で、これまでのPOSデータの開示は、ID-POSデータの開示がはじまることで、無理のない本来の役割にもどってゆくのではないかと思う。

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November 18, 2011

Suica10年、日経新聞で特集、プリペイドカードの時代!

   11/15、11/16、2日間に渡り、日経新聞が「Suica10年」のテーマのもとに電子マネー、プリペイドカードについて特集記事を組んだ。11/18で、Suica登場からちょうど10年になるとのことで、この特集記事が組まれたといえる。見出しは、11/15の(上)では「駅ソトに勢力拡大」、「電子マネー普及けん引」、11/16の(下)では、「流通系、店舗網競う」、「ポイント武器に連携加速」であり、Suicaを含め、電子マネーのこれまでの状況と現状を幅広く特集した内容である。

   まずは、日経新聞11/15の(上)であるが、鉄道系、流通系を含めて現状の電子マネーの一覧表が掲載されているが、これを見ると、鉄道系では、Suica 3,746万枚、PASMO 720万枚、ICOCA 342万枚、TIICA 31.6万枚であり、Suicaが群を抜く発行枚数である。これに対して、流通系であるが、Edy 6,660万枚、Suica 3,513万枚、WAON(イオン)2,180万枚、iD (NTTドコモ、三井住友カード)1,643万枚、nanaco(セブン&アイH)1,532万枚であり、Edyが圧倒的な枚数であり、現時点では電子マネー最大のカード会員数を誇っている。

   単純合計で2億枚を超える発行枚数であり、Suica10年目、電子マネーがいかに日本全国に普及したかがわかる。日経新聞の推計では、鉄道系、流通系の主要電子マネーの決済総額(4月から9月、交通機関の利用分を除く)は、前期比14%増の約9千億円に達し、通期では2桃円台に乗せる見通しとのことである。

   一方、Suica登場以来、鉄道では駅の風景が一変したという。「首都圏のJR駅の改札の風景を変えた。首都圏のJR駅の改札を通過する客の今や8割以上がスイカを使う。東京23区内の券売機はスイカ導入以前より4割減った。」という。駅を小売業の店舗にたとえれば、ほぼ、小売業のポイントカード利用率に使い数字であり、いかに、電子マネーが鉄道という一連のシステムを変革しているかがわかる。さらに、「財務省によると、2011年度の1円玉の製造枚数は100万枚で、ピークの1990年の約2,700分の1。極端な減少は、鉄道会社がIC乗車券に電子マネーを組み合わせたことによるところが大きい。」とのことである。鉄道だけでなく、国家の貨幣システムそのものも変革したといえ、電子マネー恐るべしである。

   ついで、11/16(下)であるが、11/15の特集記事とは一転、流通に焦点が当てられており、特に、見出しにもあるように、「ポイント武器に連携加速」と、ポイントが電子マネー普及の原動力になってきたとの内容である。特に、この特集ではイオンのWAONとセブン&アイHのnanacoを中心に取り上げており、これに対抗する形で、Edyを取り上げている。

   これまで、流通系では通常のポイントカードは、先に解説したように店舗の全顧客の70%から80%が活用しているが、電子マネーは、鉄道系の駅では同様な数字となっているが、流通系の店舗では数10%と低いのが現状であった。ところが、この記事ではWAONは、「平均決済率は2割を超え、5割に達した店舗もある。会員数は約2,200万人と、SCやスーパーの買い物客はおおかた獲得した。」とのことであり、急激に利用件数を増やしているとのことである。記事の中では交通系、流通系電子マネーの利用件数のグラフが時系列で取り上げられているが、流通系の伸びが、交通系を圧倒しており、電子マネーが流通系の中で浸透しているのがわかる。そして、WAONに対抗し、nanacoも、そして、Edyも独自の領域で利用件数を伸ばしているとのことである。

   記事の中では、「金融庁によると、電子マネーや商品券など前払い式支払い手段の発行額は10年度で約18兆2,000億円、この中で電子マネーは今後、さらに存在感を増しそうだ。」とのことであり、まさに、電子マネー、プリペイドカードの時代の到来といえよう。

   こう見ると、電子マネー、プリペイドカードは大手流通業のみのように見えるが、11/16の日経MJでは、「電子マネー事業、イズミ拡大」、「周辺店舗開拓、利用者100万人めざす」とのことである。広島のGMS、SC、そして、食品スーパーマーケットを展開するイズミが独自の電子マネー、「ゆめか」事業の拡大に入り、「現在30万人の利用者を2013年2月期までに100万人に増やす。」とのことである。そして、「将来的には電子マネー決済システムの外販にも乗り出す考え・・。」とのことである。恐らく、今後、WAON、nanaco、そして、Edyに対抗し、独自のハウスカードの電子マネーを各食品スーパーマーケット、ドラックストア等が本格導入する時代も近いといえよう。

   このように、Suicaが登場して、10年、電子マネーが鉄道の決済システムを変革しただけでなく、国家のお金のしくみそのものも変革し、さらに、WAON、nanaco、そして、Edyの登場は流通システムの変革を迫っており、今後、鉄道、流通だけでなく、日本全体の産業構造、国家のお金の仕組みまで変革してゆくのではないかという予感がする。Suicaのこれまでの10年、そして、次の10年、どのような時代となるのか、食品スーパーマーケットは、ドラックストアはどのような戦略眼をもつべきか、各社、まさに、いま何をすべきかが、問われているといえよう。

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November 17, 2011

ウォルマート、2012年度決算、第3四半期、好調!

   ウォルマートが11/15、2012年度の第3四半期決算を公表した。第1声は、「Walmart announces FY12 Q3 EPS from continuing operations of $0.97、・・」であり、EPS、すなわち、1株当たり利益が0.97ドルとなったとのことである。日本の決算発表では、増収増益が第1声となるが、ウォルマートの決算における最重要情報は、このEPSにあり、いかに、株主に対して、利益を生み出すことができたかを報告するのが、決算の目的であるといえる。そして、その次のアナウンスが売上高であり、「Net sales for the third quarter were $109.5 billion, an increase of 8.2 percent from last year.」であり、増収となったとのことである。

   そして、3番目が、「Both Walmart U.S. and Sam's Club exceeded comparable ("comp") sales、・・」既存店、4番目が、「Walmart International increased net sales approximately 20 percent to $32.4 billion for the quarter,・・」と、貢献度の高い海外の状況、5番目が、「・・、operating expenses for the quarter.」と、営業費用、そして、最後、6番目に、「During the third quarter, the company returned $2.7 billion to shareholders through dividends and share repurchases.」と、再度、株主への貢献、すなわち、配当と自社株買いのコメントをしており、日本の決算とは異質な着眼ポイントといえよう。

   特に、6番目の株主への貢献は、1番目がEPSで直接利益に加え、そこからの配当、さらには、自社株買いも株主還元であるとの明確な認識であり、特に、この3つの数字が決算にとっていかにウォルマートにとって重要な数字であるかが、鮮明な決算発表といえる。日本では、ここまで決算の冒頭で株主へ、決算結果がいかに貢献しているかを強調することはないといえ、興味深い、決算の認識の違いである。ちなみに、ウォルマートの株価であるが、10月までは53ドル前後でほぼ横ばいで推移していたが、10月に入り、株価は上昇、ほぼ右上がりとなり、11/8には60ドル寸前まで急上昇した。この11/15の第3四半期決算時には57.55ドルであり、高値を維持しており、投資家はウォルマートを買いと判断しているといえよう。

   さて、ウォルマートの、この第3四半期のP/L(損益計算書)であるが、日本のP/Lとは違い、原価と経費が並列で記載され、売上高+その他営業収入から、同時に差し引き、営業利益を算出しているのが特徴である。そして、この営業利益から、資本関連の収益を差し引き、当期純利益を算出しており、いわゆる経常利益がなく、営業利益からストレートに当期純利益へと直結する。したがって、原価率、経費比率等が算出されていないので、独自に計算し、ウォルマートのマーチャンダイジング力を算出する必要がある。

   そこで、そのマーチャンダイジング力を算出してみると、まずは、原価は75.42%(昨年75.11%)と、0.31ポイント上昇しており、原価は残念ながら改善できていない。結果、売上総利益は24.58%(昨年24.89%)となった。日本の食品スーパーマーケットとほぼ同じ数字である。一方、経費の方であるが、19.61%(昨年19.80%)と、0.19ポイント改善している。それにしても、以前と比べると経費比率は上昇しているとはいえ、20%を切る低い数字であり、これが、ウォルマートの強さといえ、EDLP(EveryDay Low Price)を支えるまさに、EDLC (EveryDay Low Cost)であるといえよう。日本の決算公開企業約50社でも20%を切る経費比率の食品スーパーマーケットはわずか5社であり、小売業にとって、20%の経費比率を下回ることがいかに至難の技であるかがわかる。ちなみに、イオンは35.11%、セブン&アイHは33.37%であり、異次元の世界である。

   結果、差し引き、商品売買から得られる利益、マーチャンダイジング力は4.97%(昨年5.09%)となり、下がった。原価が経費削減以上に上昇したのが要因といえ、今後、ウォルマートとしては、いかに、原価を引き下げるかが課題といえよう。そして、これに、その他営業収入が0.68%(昨年0.70%)加わり、営業利益は5.65%(昨年5.79%)と、率では減益となった。ただ、売上高が6.0%上昇しており、結果、営業利益高では3.5%の増益となり、営業利益段階では増収増益の好決算となった。その売上高の上昇要因であるが、ウォルマートの既存店は0.0%と厳しい状況であるが、新店を含めたウォルマート全体は2.6%増、サムズクラブが9.6%増、海外が8.4%増であり、サムズクラブと海外に支えられた増収といえ、今後、米国内、特に、既存店の活性化が課題といえよう。

   さて、このような状況の中、ウォルマートの経営戦略はどこを向いているかであるが、キャッシュフローを見ると、営業活動によるキャッシュフロー129.14億ドル(昨年122.65億ドル)と若干増加したが、そのほとんどを投資活動によるキャッシュフローに配分している。その金額は128.14億ドル(昨年92.89億ドル)であり、中身は新店開発に加え、M&Aへの投資である。財務活動によるキャッシュフローはわずか2.84億ドル(昨年3.30億ドル)であり、いかに、成長戦略を重視したキャッシュの配分であるかがわかる。

   このように、ウォルマートの第3四半期決算は増収増益とはなったが、原価の上昇が響き経費の削減で補うことができず、マーチャンダイジング力は厳しい結果となった。ただ、それを補う売上高を達成したため増収増益を確保したといえる。そして、それを後押しするかのように、キャッシュフローの大半を成長戦略に投資しており、ウォルマートはここへ来て、強気の攻めの経営に転じたといえよう。今後、残された四半期、年間最大の収入が得られる年末年始に向けて、ウォルマートがどのようなキャッシュの獲得に打って出るか、その動向に注目である。

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November 16, 2011

原信ナルスH、2012年3月期中間、増収増益!

   原信ナルスHが11/2、2012年3月期の中間決算を公表した。結果は売上高633.87億円(3.1%)、営業利益20.77億円(1.5%)、経常利益20.48億円(0.7%)、当期純利益10.95億円(294.6%)となり、増収増益の好決算となった。ただ、すでに、公表された食品スーパーマーケット各社の中間決算と比べると、特に営業利益の伸び率が低く、やや厳しい決算といえよう。なお、当期純利益が異常値となったのは、昨年が資産除去債務の会計基準が適用され、特別損失を13.61億円計上したが、今期はそれが0となったためである。

   そこで、原信ナルスHの営業利益がやや伸び悩んだ要因を原価、経費面から見てみたい。まずは、原価であるが、73.51%(昨年73.50%)と、0.01ポイントとわずかではあるが上昇している。これについて、原信ナルスHは、「東日本大震災の発生は、あらゆる流通網を阻害し、当社の事業活動にも影響を及ぼしました。また、放射性物質の問題や原料原価の高騰、為替相場の急激な変化など、新たな課題も生じました。」と、コメントしており、原料原価の高騰が響いたようである。結果、売上総利益は26.49%(昨年26.50%)となった。

   一方、経費の方であるが、23.21%(昨年23.16%)と、0.05ポイントと、わずかではあるが上昇した。原信ナルスHは、これについて、「作業計画と連動した労働時間管理やISO14001の環境マネジメントと連動した環境コストの削減を進めるほか、様々な形で経営資源の適正利用、使用量の削減の取り組みを継続しております。加えて、昨今の電力不足問題を踏まえた節電対策には、積極的な取り組みをいたしました。」と、コメントしており、積極的に経費削減に取り組んだとのことであるが、昨年対比を下回るまでには改善できなかったといえる。

   したがって、原価、経費ともに、ほんのわずかではあるが、上昇がみられ、結果、商品売買から得られる利益、マーチャンダイジング力は3.28%(昨年3.34%)と、やや下がった。原信ナルスHはその他営業収入が計上されていないため、マーチャンダイジング力=営業利益となり、結果、営業利益も率ではわずかではあるが、下がった。ただ、売上高が3.1%増となったため、高では増益となり、増収増益の決算となった。

   なお、売上高が3.1%増となった要因であるが、既存店は、売上高99.7%、客数99.4%、客単価100.3%と、昨年を下回ったが、7月に原信近江店を新設、9月に原信糸魚川東店を移転新設しており、これらが寄与したためである。こう見ると、今期の中間決算は増収増益とはなったが、原価、経費双方が若干下がっており、増収増益は新店による売上増が要因といえ、やや厳しい営業状況といえよう。

   そこで、この結果を受けて、原信ナルスHが、どのように、キャッシュを配分したかであるが、まずは、営業活動によるキャッシュフローであるが、33.97億円(昨年35.64億円)であり、ほぼ、昨年並みのキャッシュを確保している。そして、その配分、まずは、新店開発を含む投資活動によるキャッシュフローであるが、-18.21億円(昨年-24.19億円)と、大きく削減している。その中身は、まさに新店にかかわる投資、有形固定資産の取得による支出であり、-17.79億円(昨年-26.37億円)という結果である。したがって、成長戦略の根幹である新規出店への投資を大きく削減したといえる。

   では、その削減したキャッシュを何に配分したかであるが、財務活動によるキャッシュフローを見ると、-26.66億円(昨年-7.21億円)であり、財務の改善に充てていることがわかる。昨年度と対照的なキャッシュの配分である。その中身であるが、有利子負債への返済が-24.54億円(昨年-0.98億円)であり、財務の改善に大半を配分している。結果、負債が圧縮され、純利益が増加しているので、自己資本比率が44.7%(昨年42.4%)と改善した。ただ、結果、トータルキャッシュフローは-10.91億円(昨年4.23億円)となり、現金を取り崩す結果となり、資産の現金は52.26億円(前期本決算時62.29億円)と、減少しており、やや気になるところである。

   したがって、原信ナルスHは今期増収増益とはなったが、そのキャッシュを新店開発を抑制し、成長戦略よりも財務改善を重視した配分を行うと同時に、内部留保の現金をも取り崩して、有利子負債の返済に充てており、財務の安定化を目指したといえよう。3/11の東日本大震災により、各社経営戦略の変更を余儀なくされているが、原信ナルスHも成長戦略よりも財務改善へと大きく経営戦略をシフトしていることが鮮明である。

   このように、原信ナルスHの2012年3月期の中間決算は、増収増益とはなったが、これまで公表された食品スーパーマーケットの中間決算の結果とはやや内容が違い、原価、経費が若干上昇し、マーチャンダイジング力の改善をはかることができなかったといえる。また、結果、キャッシュフローも成長戦略よりも財務改善に大きく方向展開しており、それだけ、財務重視の経営戦略を優先せざるをえなかったものと思われる。今後、後半戦に入るが、経営環境は一層厳しさを増すことが予想され、原信ナルスHが、さらに財務改善の方針を徹底するのではないかと思われる。そのためにも、原価、経費の改善が課題といえ、今後の原信ナルスHのマーチャンダイジング戦略に注目である。

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November 15, 2011

商品DNAとID-POS分析について

   Chain Store Age 11/15号でID-POS分析の特集が組まれた。表紙は、「特集、小売業のマーケティングが変わる!」、「POSデータ最新活用法」である。ID-POS分析を真正面から取り上げた特集となっており、興味深い内容である。テーマが、マーチャンダイジングではなく、マーケティングとしているところが、ID-POS分析を示唆したPOSデータの活用法であるといえ、マーチャンダイジングからマーケティングへという流れを感じさせる構成となっている。また、13年前に一世風靡したブライアン・ウルフ氏のコメントもあり、あれから13年もたったのかと感慨深いものがある。

   私自身、当時、ブライアン・ウルフ氏の講演に参加し、当時はIDではなく、レシートを活用したFSPを研究していたので、ブライアン・ウルフ氏が提唱していたOne To Oneマーケティングは参考になった。そのブライアン・ウルフ氏が、来日し、このChain Store Ageの特集の中で「過去10年間、進化が止まってしまったのではないか」とコメントしており、彼が見た日本のFSPは13年前の状況、すなわち、1%のポイントプログラムと変わっていないと嘆いている。その意味で、ID-POS分析がこの1%プログラムをどう変革するのかが問われているといえ、今回のChain Store AgeのID-POS分析の特集はそこに焦点を当てたものであるといえよう。

   その回答となるのが、今回のChain Store AgeのID-POS分析の特集では、テスコ、オギノ、そして、最近、ID-POS分析に本格的に参入したコープさっぽろの事例にみられる商品DNAであろう。いわゆる、テスコ流ともいえるID-POS分析の実践手法であり、オギノもコープさっぽろも、この流れを汲んだものであり、今後の日本におけるID-POS分析の研究に一石を投じることになろう。

   ちなみに、今回のChain Store AgeのID-POS分析の特集記事であるが、POSからID-POS(小売業のMD変革をもたらすデータ活用の深化と進化)、英テスコの「ライフスタイル」による顧客分類手法、コープさっぽろ(マーケティング室を新設し、ID-POS分析・活用に本腰)、オギノ(今年11月、POSシステムを入れ替え、200種類のプログラムが実行可能に)、ローソン(「ポンタ」利用客の売上比率35%、顧客データを品揃え・商品開発に生かす)、ライフコーポレーション(2007年からPOSデータを開示、メーカーとの協働MDを推進)、あらた(分析の専門組織を新設、小売業への売場提案を強化)、会員カード活用で本当に効果を上げるための方法、ビックY(世界で最もクリエイティブなプログラムを展開する食品スーパー)、協働MDの課題(企業間でデータ分析・活用のサイクルをどう定着させるか)、ビックデータは活用できるか(POSデータ、ツィッター、ブログ、大量データ解析から見えてきた法則性)の約30ページに渡る特集である。

   この内、大半がID-POS分析の記事であり、特に、前半部分で事例として取り上げられているテスコ、コープさっぽろ、オギノのID-POS活用のポイントは商品DNAにかかわる内容であり、これを活用していかに、顧客にアプローチするかに焦点が当てられている。その意味で、表紙のテーマ、「特集、小売業のマーケティングが変わる!」と、マーチャンダイジングではなく、マーケティングというキーワードを使った意図がわかる内容といえよう。

   では、商品DNAとは何かであるが、テスコでは売れ筋の約8,500品、1品1品に健康に良い、ナショナルブランド、ベジタリアン、伝統的な商品などの数10項目に渡る商品分類をYESは1、Noは0と番号を振る。これは通常の商品マスターとは別に新たな顧客の購入視点から商品分類を行うことであり、これをID-POS分析に組み込み、顧客グループをつくる。そして、そのセグメントされた顧客グループへ直接アプローチをしたり、その結果をもとにマーチャンダイジングの改善につなげたりする。通常のID-POS分析は顧客属性については様々な角度から分析するが、商品属性は価格、容量、NB、PBなどまでであり、ライフスタイルに関するものは、客観性がなく、排除されがちとなるが、あえて、それらを組み込むことにより、商品から顧客の購買行動を深く探ろうとする試みといえる。

   このようなID-POS分析へのアプローチはまだまだ日本では一般化されておらず、その仕組みも十分に開発されているとはいえない。したがって、この手法でID-POS分析を実施してゆくには少し時間がかかろう。ただ、今後、食品スーパーマーケットが、ID-POSデータをメーカー、卸等へ開放し、協働研究体制をつくることにより、メーカー、卸側から、マーケティング調査にもとづいた商品DNAを構築してゆくことにより、完成度の高い日本独自の商品DNAが作れるのではないかと思う。そして、その商品DNAを実際のID-POS分析で検証し続けることにより、まさに、マーケティングとマーチャンダイジングの融合が進んでゆくのではないかと思う。

   今回のChain Store AgeのID-POS分析の特集は、ID-POS分析の中では、商品DNAをクローズアップし、マーチャンダイジングよりも、マーケティングを重視しており、その意味で興味深い内容であるといえる。一方で、ID-POS分析はマーチャンダイジング面でも13年前にブライアン・ウルフ氏が来日した当時の日本と比べ、格段の進化を遂げており、次回は、是非、「特集、小売業のマーケティングが変わる!」の続編として、「特集、小売業のマーチャンダイジングが変わる!」のテーマのもと、ID-POS分析を取り上げて欲しいところだ。

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November 14, 2011

ID-POS分析セミナー、in東京、終了、来期は?

   11/10、ID-POS分析セミナー、in東京が終了した。in福岡(10/28)、in大阪(10/21)に続く、今年度、最後のID-POS分析セミナーであり、これで、今期のID-POS分析に関するセミナーは終了である。これに先立つ、10/6にはin東京でメーカー向け、ブランド育成のID-POS分析セミナーも実施しており、ここへ来て、ID-POS分析の時代の到来が真近に迫っていることを強く感じる。特に、今回のID-POS分析セミナーでは、食品スーパーマーケットだけでなく、ドラックストアも対象としており、さらに、今後の戦略カード、プリペイドポイントカード、そして、ID-POS分析の大量のデータを支えるIT、クラウドについても取り上げた内容であり、多角度からID-POS分析の最前線の状況をお伝えすることができたと思う。

   ID-POS分析を実践するには原則3つの技術が必要である。顧客識別、商品識別、そして、大量のデータ分析である。そして、これに加え、この大量のデータを分析する上においては、ID-POS分析の理論、さらには、理念も必須であるといえ、これらがあいまって、ID-POS分析が推進されてゆくことになる。今回のセミナーでは、商品識別以外は、網羅した内容であり、しかも、食品スーパーマーケットでのID-POS分析事例、ドラックストアでのID-POS分析事例も取り上げ、そのまま、食品スーパーマーケット、ドラックストアへのID-POS分析での支援が可能な体制ができあがっているといえ、実践的なセミナーとなった。

   今回取り上げなかった商品識別についてであるが、現状の13桁のJANコードでも当面は問題ないが、将来を考えた場合は、世界的な趨勢がGS1データバーの新バーコードの方向に動いており、これを検討することが必要といえよう。恐らく数年以内には、この新バーコードをID-POS分析の新たな商品識別コードとして活用してゆく時代になると思われる。特に、食品スーパーマーケットの中核商品である生鮮食品や日配、ドラックストアの中核商品である医薬品には必須のバーコードとなるものといえる。今回のセミナーでは、この点については十分に触れることができなかったので、次回、すなわち、来年については、この商品識別についても、ID-POS分析セミナーの中で取り上げてゆきたい。

   さて、in東京のセミナーの内容であるが、これまでの2回のin大阪、in福岡の内容を踏まえ、ID-POS分析とこれまでのPOS分析との違い、すなわち、ID-POS分析はこれまでのPOS分析を100%包み込み、さらに、これまで分析できなかった顧客1人1人の購入明細、そして、購入履歴が分析可能となることにより、売上げを商品面からではなく、顧客面から引き上げてゆくことができることに力点をおいて解説した。

   ちなみに、ID-POS分析とこれまでのPOS分析とを比較すると、いくつかキーワードがある。顧客(商品)、還元(値引き)、マーケティング(マーチャンダイジング)、永遠(瞬間)、ID(レシート)、店舗(商品部)、顧客での検証(商品での検証)、IDリフト値(レシートリフト値)等、その違いは明確である。ただ、いずれもID-POS分析を理解すれば、これまでのPOS分析はすべて理解できるため、ID-POS分析の時代となった場合は、これまでのPOS分析を理解し、その後、ID-POS分析を理解するのではなく、はじめに、ID-POS分析を理解し、その後、これまでのPOS分析を理解する方が、ものごとの本質をつかめるといえる。数年後の小売業はID-POS分析が当たり前の分析となっていると思われ、その時の新入社員ははじめからID-POS分析から入ることになろう。

   したがって、現状でも、ID-POS分析が可能な環境となった場合は、いち早く、ID-POS分析の世界を理解し、これまでのPOS分析で得られた検証結果、ノウハウ等をすべて、ID-POS分析の観点から洗い直すことが最初のアクションとなろう。ここに十分時間をかけるべきであるといえ、その中で、ID-POS分析特有の新たなノウハウを構築してゆくことが望ましいといえよう。

   今回は、前回までのセミナーでは、事例として掲載できなかったIDのリフト値についても取り上げたが、レシートのリフト値と比較すると、全く正反対の結論が算出されており、改めて、IDのリフト値の必要性が鮮明になったといえる。本来リフト値もIDでのリフト値が先であり、その中で、レシートのリフト値を取り上げるべきであるが、一般にリフト値というと、レシートのみ、しかも、同時購買のみに焦点が当たり、そこで終わってしまうケースがほとんどであるが、リフト値もID-POS分析とこれまでのPOS分析の関係と同様、まずはIDのリフト値、そして、次がレシートのリフト値であり、in東京では事例をもって解説でき、新たなリフト値の活用方法を提示できたのではないかと思う。

   このように、in東京は今年最後のID-POS分析セミナーであり、一連のセミナーのまとめの意味も含め、論点を絞り、できるだけわかりやすくID-POS分析の全体像を解説したつもりである。そこで、来年度であるが、来年度は、引き続き、セミナーも実施してゆく予定であるが、さらに、一歩、大きく踏み込み、食品スーパーマーケット、ドラックストアとメーカー、卸、双方がID-POS分析を実際に体験でき、さらに、実践できる場としての協働研究フォーラムが実現できればと思う。ID-POS分析の時代は、すぐそこまで来ているといえ、来年度はまさにID-POS分析の実践元年となろう。

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November 13, 2011

ドラックストア、2011年3月期中間、好調!

   ここへ来て、2011年3月期の中間決算の公表が相次ぎ、食品スーパーマーケット業界の決算はいずれも好調な中間決算があいついでいる。そこで、ここでは、ドラックストアについて、この中間決算がどのような結果となったかについて見てみたい。ちょうど、11/12の日経新聞で、ドラックストア大手5社の中間決算の記事が掲載されたが、この結果も踏まえ、マツキヨHD、サンドラック、スギHDのドラックストア業界、売上高上位3社の中間決算の結果を見てみたい。

   まずは、日経新聞11/12の記事であるが、見出しは、「5社そろって経常増益」、「ドラックストア大手4~9月」、「節電対策商品が好調」という記事である。その5社とは、マツキヨHD売上高2,147億円(昨対1%)、経常利益91億円(昨対13%)、サンドラック売上高1,902億円(昨対7%)、経常利益109億円(昨対18%)、スギHD売上高1,641億円(昨対8%)、経常利益107億円(昨対38%)、ココカラF売上高1,604億円(昨対60%)、経常利益64億円(昨対77%)、そして、カワチ薬品1,113億円(昨対-8%)、経常利益57億円(35%)である。いずれも経常利益が2桁の増益であり、売上高よりも利益が好調に推移しているといえよう。特に、利益が好調な要因について、マツモトHDは、「利益率の高い医薬品などのプライベートブランド(PB=自主企画)商品の販売が増加した。「効率的な経営に努めたことで増益を確保できた」」とのことである。

   そこで、日経新聞の記事では公表されていないマーチャンダイジングに直結する営業利益について、原価、経費面から売上高上位3社のマツキヨHD、サンドラック、スギHDについて見てみたい。なお、いずれの決算書においても、食品スーパーマーケットの決算書と違い、その他営業収入が計上されておらず、食品スーパーマーケットのようにマーチャンダイジング力を算出することはできず、マーチャンダイジング力=営業利益となる。

   はじめに、原価であるが、マツキヨHD72.00%(昨年72.41%)と、0.41ポイント改善している。結果、売上総利益は28.00%(昨年27.59%)となった。サンドラック77.08%(昨年77.46%)と、0.38ポイント改善した。結果、売上総利益は22.92%(昨年22.54%)となった。そして、スギHDであるが、72.98%(昨年73.51%)と、0.53ポイント改善した。結果、売上総利益は27.02%(昨年26.49%)となった。こう見ると、マツキヨHDとスギHDは原価構造が良く似ているが、サンドラックは両企業とは一線を画し、原価高、すなわち、低粗利であり、約5%違い、ディスカウント路線が鮮明であるといえる。これは、サンドラックが粗利の高い医薬品、化粧品よりも、粗利の低い食品関連、消耗雑貨を両企業よりも強化していることによるといえよう。

   ついで、経費であるが、マツキヨHD24.13%(昨年24.23%)と0.10ポイント削減している。サンドラックは17.29%(昨年17.43%)と0.14ポイント削減している。そして、スギHDであるが、20.81%(昨年21.84%)と1.03ポイントと大きく削減している。それにしても、この経費比率は3社3様であり、サンドラックが極端に低い経費比率であるのに対し、マツキヨHDは3社の中では最も高い経費比率である。スギHDはちょうど、その中間であり、3社大きな違いである。また、スギHDが他の2社と比べ、大きく経費比率を改善しているのも特徴である。

   結果、差し引き、営業利益率はマツキヨHD3.87%(昨年3.36%)、サンドラック5.63%(昨年5.11%)、スギHD6.21%(昨年4.65%)となり、いずれも増益、しかも、原価、経費双方を改善しての増益である。特に、スギHDは他の2社と比べ、経費改善効果が大きく、大幅な増益となったのが特徴である。また、3社とも共通しているのは、原価率の改善であり、この中間決算期間は原価改善により営業利益を大きく押し上げたといえよう。やや気になるのはマツキヨHDであり、経費比率が最も高く、その改善率も低かったために、営業利益率が他の2社と比べ、かなり低いことである。今後、いかに、経費比率を引き下げられるかが課題といえよう。

   こう見ると、ドラックストア業界も食品スーパーマーケット業界同様、3/11の東日本大震災以降、特需が発生したことに加え、震災後しばらくは価格競争が弱まり、さらには、新規出店の抑制等もあり、原価、経費双方が改善したといえ、これが営業利益を押し上げたといえよう。問題は、後半であり、消費動向が不透明な上に、依然としてデフレ傾向は強く、価格競争もここへ来て、再開されたきらいもあり、この好調さを維持できるかどうか、読めないところである。

   この3社の通期予想も、マツキヨHD売上高5.1%、営業利益7.2%、サンドラック売上高8.1%、営業利益10.4%、スギHD売上高5.3%、営業利益21.3%であり、売上高はこの中間決算に近い伸び率であるが、営業利益は増益予想ではあるが、その伸び率は大きく下がっており、厳しい数字となっている。これは、価格競争が激化し、原価に影響が及ぶと予想しているものといえ、それだけ、前半と後半では経営環境が大きく変化すると見ているということであろう。今後、後半に向けで、ドラックストア各社がどのように収益改善を図るってゆくのか、その動向に注目である。

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November 12, 2011

食品スーパーマーケット、新店情報、9月現在、西日本!

   前回のブログに引き続き、食品スーパーマーケットの新店情報、2011月9月時点の最新、西日本を取り上げる。この新店情報は、経済産業省が大規模小売店舗立地法にもとづき、新規出店の届け出があった小売業をまとめたものである。ここでは、その中から、食品スーパーマーケットに絞り、新規出店予定順に地区ごとに取り上げてみた。なお、すでに、出店予定を過ぎている店舗もあるが、そのまま取り上げた。

   まずは、中部地区(北陸を含む)であるが、(仮称)オークワ安八店(オークワ、岐阜県、5/1、529.4坪)、(仮称)バロー清水町店(バロー、富山県、10/13、521.2坪)、大阪屋ショップ鶴来店(大阪屋ショップ、石川県、12/8、772.7坪)、(仮称)カネスエ大口店(カネスエ商事、愛知県、12/19、706.1坪)、(仮称)マックスバリュ各務原那加店(マックスバリュ中京、岐阜県、12/29、739.4坪)、(仮称)蟹江複合施設(オークワ、愛知県、1/21、711.2坪)、(仮称)Yストア蟹江店(ワイストア、愛知県、1/31、500.0坪)、(仮称)トップワン春日井店(トップワン、愛知県、2/11、462.7坪)、(仮称)カネスエ長久手卯塚店(カネスエ商事、愛知県、2/16、703.6坪)、マルヤス松阪川井町店(マルヤス、三重県、3/10、703.3坪)、(仮称)木曽川玉ノ井商業施設(マックスバリュ中部、愛知県、3/16、1,533.0坪)、(仮称)スーパーセンターオークワいなべ店(オークワ、三重県、3/27、1,997.0坪)の12店舗である。オークワが3店舗と積極的な新規出店であり、ついで、カネスエ、マックスバリュ中部が2店舗の新規出展である。

   ついで、近畿であるが、(仮称)山陽マルナカ此花店(山陽マルナカ、大阪市、2/23、617.0坪)、卸値市場ハッスル高野口店(スーパーヨシムラ、和歌山県、12/29、606.1坪)、(仮称)ミリオンタウン西宮前浜店(万代、兵庫県、1/31、1,104.5坪)、コノミヤ枚方店(コノミヤ、大阪府、2/1、390.3坪)、(仮称)JR奈良駅高架下開発(2期)(光洋、奈良県、2/2、1,103.3坪)、(仮称)ライフ西田辺店(ライフコーポレーション、大阪市、2/4、323.0坪)、(仮称)ライフ稲荷店(ライフコーポレーション、大阪市、2/11、462.7坪)、(仮称)ハーツ志比口店複合商業施設(福井県民生活協同組合、福井県、3/8、880.9坪)、(仮称)ディオ貝塚店(大黒天物産、大阪府、3/16、557.9坪)、(仮称)山陽マルナカ摂津店(山陽マルナカ、大阪府、3/16、610.6坪)、(仮称)ディオ和泉店(大黒天物産、大阪府、3/30、592.1坪)、(仮称)デイリーカナート樋之口町店(イズミヤ、大阪市、3/31、651.2坪)、(仮称)竜華スポーツコンプレックス(万代、大阪府、4/1、1,227.3坪)、(仮称)関西スーパー牧野店関西スーパーマーケット(大阪府、4/10、440.0坪)、(仮称)神戸北須磨ショッピングセンター(大黒天物産、神戸市、5/23、1,007.6坪)、(仮称)ディオ奈良上牧店(大黒天物産、奈良県、5/31、597.6坪)、卸値市場ヨシムラ坊城店(スーパーヨシムラ、奈良県、6/1、484.8坪)の17店舗である。

   近畿は激戦、大黒店物産が4店舗、イオン傘下に入ったマルナカが2店舗、地元、ライフコーポレーションが2店舗、万代が2店舗とである。また、ヨシムラも2店舗と複数店舗の新規出店の食品スーパーマーケットが多いといえる。

   そして、中国・四国であるが、主婦の店西須賀店・ドラッグストアセガミ徳島西須賀店(主婦の店、徳島県、8/23、350.9坪)、(仮称)藤三片山店(藤三、広島県、11/1坪、497.6坪)、(仮称)エブリイ呉宮原店(エブリイ、広島県、11/1坪、608.2坪)、(仮称)フレスタ廿日市住吉店(フレスタ、広島県、12/1、418.5坪)、新鮮市場きむら倉敷店(きむら、岡山県、12/28、444.8坪)、ゆめタウン徳島(イズミ、徳島県、12/28、12,121.2坪)、(仮称)山陽マルナカ新早島店(山陽マルナカ、岡山県、2/18、498.5坪)、(仮称)スーパーセンタートライアル松江店(トライアルカンパニー、島根県、2/29、953.9坪)、ハローズ三島店(ハローズ、愛媛県、2/29、624.8坪)、(仮称)ラ・ムー可部店(大黒天物産、広島市、3/7、755.2坪)、ウエスタまるき湯田店丸喜(山口県、3/16、459.1坪)、セブン大林店(セブン、徳島県、3/23、353.9坪)、ハピッシュ小田中店(天満屋ハピーマート、岡山県、4/17、484.2坪)の13店舗である。いずれも1店舗づつであるが、大黒天物産、マルナカが近畿の4店舗に加え、1店舗の新規出店である。

   最後に、九州・沖縄であるが、マックスバリュ東郡元店(マックスバリュ九州、鹿児島県、12/12、470.9坪)、プラッセ食品館吉野店(大和、鹿児島県、12/16、403.0坪)、マルキョウ船津店(マルキョウ、福岡県、12/28、427.6坪)、スーパーモリナガ唐津佐志店(スーパーモリナガ、佐賀県、1/11、564.5坪)、(仮称)ハローデイ井堀店(ハローデイ、北九州市、1/26 、1,077.0坪)、(仮称)イオンモール福津(イオン九州、福岡県、2/1、14,079.1坪)、(仮称)JR大分駅商業施設(コープおおいた、大分県、2/23、1,470.3坪)、(仮称)生活協同組合コープかごしま宇宿店(生活協同組合コープかごしま、鹿児島県、3/14、418.8坪)、(仮称)アクロスプラザいとうづ(丸久、北九州市、3/26、1,805.2坪)、(仮称)スーパーセンターニシムタ薩摩川内店(ニシムタ、鹿児島県、5/16、2,536.1坪)、(仮称)エレナ大川田店(エレナ、長崎県、5/21、527.9坪)、(仮称)サンエー宜野湾コンベンションシティ(サンエー、沖縄県、7/3、4,882.4坪)の12店舗である。いずれも1店舗の新規出店である。

   このように東日本、西日本の2回に渡って、2011年9月現在の食品スーパーマーケットの新規出店を取り上げたが、全部でちょうど100店舗である。その内訳は、北海道5店舗、東北9店舗、関東(東海を含む)32店舗、中部(北陸を含む)12店舗、近畿17店舗、中国・四国13店舗、九州・沖縄12店舗という状況である。3/11の東日本大震災以降、食品スーパーマーケット業界も新規出店が自粛ぎみであったが、ここへ来て、新規出店が増加しつつあり、再び、成長戦略に軸足を移しつつある食品スーパーマーケットも見られる。今後、恐らく成長戦略と財務改善戦略、すなわち、攻めと守りをどうバランスをとるかが課題となるが、各社がどちらに軸足を移してゆくか、その動向に注目である。

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November 11, 2011

食品スーパーマーケット、新店情報、9月現在、東日本!

   11/1、経済産業省から、平成23年度、大規模小売店舗立地法、法第5条第1項(新設)届出の概要(2011年9月現在)が公表された。これは、都道府県・政令指定都市の協力を得て、月に1度、経済産業省が各経済産業局ごとにとりまとめたものである。経済産業局ごとであるので、関東に東海、中部に北陸が含まれるなど、通常の行政区分とはやや異なるくくりとなっているが、ここでは、そのまま最新の状況を見てみたい。なお、大規模小売店舗には、食品スーパーマーケットだけでなく、1,000平米(約330坪)以上の小売業がすべて対象となるが、ここでは、食品スーパーマーケットのみピックアップし、各地区ごとにまとめた。また、順番は新規出店予定日の早いもの順に並び替えているが、すでに、出店予定日を過ぎても、掲載されているものがあるが、そのまま、ここでは、とりあげた。

   まずは、北海道地区であるが、コープさっぽろ屯田店(コープさっぽろ、札幌市、12/2、452.7坪)、函館人見ショッピングセンター(北雄ラッキー、北海道、12/21、459.1坪)、(仮称)発寒中央駅前ショッピングタウン(ダイイチ、札幌市、12/22、827.3坪)、中園ショッピングセンター(福原、北海道、12/29、510.3坪)、美幌ショッピングセンター(コープさっぽろ、北海道、2/9、1,313.9坪)の5店舗である。コープさっぽろが2店舗と積極的な新店への取り組みである。

   次に、東北地区であるが、フレスコキクチ蔵王店(キクチ、宮城県、7/15、445.8坪)、マイヤ赤崎店(マイヤ岩手県、11/25、461.5坪)、郷野目ストア最上店(丸徳ふるせ郷野目ストア、山形県、12/20、569.1坪)、(仮称)カブセンター西バイパス店(紅屋商事、青森県、1/7、1,046.1坪)、(仮称)リオン・ドール美里店(リオン・ドールコーポレーション、福島県、2/1、726.1坪)、(仮称)ヨークタウン愛子(ヨークベニマル、仙台市、2/28、1,330.3坪)、(仮称)ヤマザワ中山店(ヤマザワ、仙台市、3/27、462.7坪)、(仮称)イオン八戸ショッピングセンター(イオンリテール、青森県、4/23、2,378.8坪)、(仮称)ヨークベニマル矢野目店(ヨークベニマル、福島県、4/24、600.6坪)の9店舗である。ヨークベニマルが2店舗、好調なヤマザワが1店舗の新規出店予定である。また、3/11の東日本大震災で大きな影響を受けたマイヤが新規出店予定であり、東北地方も復興の兆しがみえるといえよう。
   
   そして、関東であるが、新規出店数が多いので2つに分けると、前半は、(仮称)焼津小土商業施設(バロー、静岡県、4/1、641.2坪)、(仮称)マミーマート飯山満駅前店(マミーマート、千葉県、5/15、1,150.0坪)、(仮称)マミーマート流山鰭ヶ崎店(マミーマート、千葉県、5/16 、729.4坪)、マックスバリュ沼津柳町店(マックスバリュ東海、静岡県、11/17、600.9坪)、マックスバリュ徳倉店(マックスバリュ東海、静岡県、12/1、434.8坪)、タイヨー知手店(タイヨー、茨城県、12/9、505.5坪)、オーケー大和上和田店(オーケー、神奈川県、12/23、675.8坪)、(仮称)サミットストア鷺宮一丁目店(サミット、東京都、1/18、356.1坪)、オーケー溝口店(オーケー、川崎市、1/27、709.4坪)、(仮称)とりせん吉川美南店(とりせん、埼玉県、2/1、767.0坪)、ヤオコー千葉稲毛海岸店(ヤオコー、千葉市、2/1、617.6坪)、(仮称)コープかながわ新上今泉店(生活協同組合コープかながわ、神奈川県、2/25、776.1坪)、フレッセイ大泉西店(フレッセイ、群馬県、3/1、760.6坪)、(仮称)いなげや小平小川町店(いなげや、東京都、3/1、836.4坪)、(仮称)ダイエー草加店(ダイエー、埼玉県、3/2、1,136.4坪)、(仮称)ヤオコー川越的場新町計画(ヤオコー、埼玉県、3/9、2,197.3坪)の16店舗である。

   後半は、(仮称)ダイエー津久井店(ダイエー、相模原市、3/29、708.2坪)、(仮称)サミットストア練馬石神井町店(サミット、東京都、3/30、556.7坪)、(仮称)イオン新船橋ショッピングセンター(イオンリテール、千葉県、3/31、12,575.8坪)、(仮称)ベルク八千代大和田店(ベルク、千葉県、4/3、648.5坪)、(仮称)小田原西酒匂プロジェクト(ヨークマート、神奈川県、4/4、828.5坪)、(仮称)カスミ西大袋ショッピングセンター(カスミ、埼玉県、4/9、1,399.4坪)、(仮称)カスミ流山おおたかの森店(カスミ、千葉県、4/12、657.0坪)、(仮称)ベルク上尾春日(ベルク、埼玉県、5/1、861.2坪)、(仮称)カスミ武里店(カスミ、埼玉県、5/3、1,072.4坪)、ベルク上尾東店(ベルク、埼玉県、5/3、656.7坪)、ベスタ本庄(ベルク、埼玉県、5/3、2,242.4坪)、(仮称)ヨークマート平塚南原店(ヨークマート、神奈川県、5/3、1,024.2坪)、(仮称)マックスバリュ竹の塚店(マックスバリュ関東、東京都、5/9、499.1坪)、遠鉄ストア(フードワン高林店、遠鉄ストア、浜松市、5/15、440.9坪)、スーパーセンタートライアル小山店(トライアルカンパニー、栃木県、5/16、2,070.3坪)、(仮称)フードストアあおき横浜天神橋店(株式会社あおき、横浜市、5/30、389.7坪)の16店舗である。

   ベルクが4店舗、カスミが3店舗、マックスバリュ3店舗、オーケー2店舗、サミット2店舗、マミーマート2店舗、ヤオコー2店舗、ヨークマート2店舗が2店舗以上、新規出店を予定している食品スーパーマーケットである。

   以上が、東日本のみであるが北海道、東北、関東(東海を含む)の2011年9月時点で新規出店が予定されている食品スーパーマーケットであり、全部で46店舗である。今年の4月から9月までの、小売業全体の累計届出件数が273店舗(昨年286店舗)であるので、やや少ないといえるが、この数ケ月だけを見ると、むしろ増えつつあり、小売業全体の新規出店も自粛から、新店開発再開へと向かいつつあるといえよう。なお、次回は、西日本について取り上げる予定である。

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November 10, 2011

ID-POS分析で、これまでのノウハウをリニューアル!

   ID-POS分析は従来のPOS分析を100%包み込み、さらに、従来のPOS分析では見えなかった新たな視点を提供する。したがって、これまで開発されてきたマーチャンダイジングのノウハウはすべて、一度、ID-POS分析をもとに洗い直す必要がある。おそらく、今後、数年をかけて、ID-POS分析が可能になった食品スーパーマーケットから、これまで培われてきたマーチャンダイジングのノウハウの検証がなされ、ノウハウのリニューアル、さらには、新たなノウハウの構築がなされてゆくことになろう。そして、その先頭を切って走るのが食品スーパーマーケットの組織の中核をなす商品部であろう。

   商品部はこれまで、自ら仕入れた商品、最近では自ら開発したPBを含め、様々な販売促進のノウハウを開発してきたといえる。特に、POSデータをもとに、価格訴求(値引き)、POP、ちらし、さらには、棚割り、レイアウトの変更という一連の販売促進の黄金の連鎖ができ上がっているといえ、この5つを組み合わせることにより、商品の圧倒的な売上げアップをはかってきたといえる。結果、POSデータで検証すると、平均単価は下がるが、PI値がその下げ率をはるかに上回り、結果、金額PI値(客単価)を引きあげ、さらには、客数もアップさせ、売上げの大幅アップをもたらしてきたといえる。

   この黄金の連鎖で、キーとなっているのは価格であり、この価格設定(値引率)がこの一連の販売促進では最重要指標であるといえる。実際、POSデータからは、PI値と価格との需要曲線を導き出し、いわゆる価格弾力性を見極め、価格をいくら下げれば、どのくらいPI値が上がり、同時に、金額PI値を引き上げられるかを予想し、そのぎりぎりの価格設定(均衡価格)を見極めるのが商品部の価格設定であるといえる。さらに、これに、競合店の価格が加味され、少なくとも、競合店の価格を上回らないように調整が加わる。特に、ちらしとの連動が入るので、過去に競合店がいくらでちらしに掲載されたかが、重要な情報となり、POSデータに、競合店のこれまでのちらし価格も加味されることになる。

   したがって、ちらしに掲載される商品は、圧倒的な売上げアップが図れる商品であり、なおかつ、競合店に打ち勝つことができる商品であることが原則となる。もちろん、ちらしと連動しない4つの連鎖の場合もあり、これは競合店を強く意識することはなく、中期的に価格訴求をするもの、長期的、いわゆるEDLPに近い価格訴求をするものもあり、いずれも、これまでのPOS分析から導かれた販売促進のノウハウであるといえる。

   そこで、ID-POS分析が可能となった場合であるが、まず、はじめの課題は、これらの一連のノウハウをID-POS分析で検証することが先決である。これまでPOS分析での検証は売上げが上がったか否かを最終目的として、その中で客数、PI値、平均単価、すなわち、3Dの推移を見て、昨年と比較したり、店舗間を比較したり、さらには商品どうしを比較したりして、検証をしてきたといえる。これに対して、ID-POS分析の検証はもちろん、その数字も検証するが、これに加え、まずは、期間内にID客数PI値、すなわち、購入頻度が上がったか否かを検証することになる。さらに、客数、これまでのPOS分析ではレシート客数を見たが、ID-POS分析ではID客数、すなわち、顧客がどう変化したかを見ることになる。いわゆる4Dでの検証である。特に、IDの属性を可能な限り見極めることもポイントとなる。

   さらに、これに加え、ここがID-POS分析の要諦であるが、顧客構造がどう変化したか、すなわち、商品全体の数字だけではなく、その商品の顧客明細、顧客個々人がどう反応したかを見ることがポイントである。商品の動きだけでなく、顧客の動きも合わせて見ることになる。そこで、さらに、ポイントとなるのが期間の問題がここで重要なキーとなる。これまでのPOS分析では、販促期間内の数字の変化を中心に見ていたが、ID-POS分析では、販促期間は単にきっかけをつくったにすぎず、いわば、ベクトル、力の方向を変えたに過ぎない。目的は顧客の構造変化をもたらすことにあるので、少なくとも数ケ月、できれば、過去1年間の顧客の構造変化を見ることが望ましいといえる。そして、その後、構造変化が定着したのか、一時的なものであったのかを見極めることがポイントとなる。

   こう考えると、ID-POS分析における販売促進は、顧客全体に対して打ち出すものではなく、顧客構造を変化させるために、対象顧客を明確にして打ち出すことがポイントであるといえる。したがって、価格訴求(値引き)も、売上還元という観点から見直すべきであるといえよう。特に、還元という観点でみると、購入頻度ごとに購入商品の価格が存在すべきであり、さらに、キャッチコピーもそれに応じたものが必要であるといえよう。したがって、答えは1つではなく、無限に存在し、POPひとつとってみても、まず、どの顧客に向けたものか、その顧客にとって、適正な還元率となっているか、その顧客が還元金額を享受するに、十分な期間設定となっているかなどが考慮されることになろう。極論すれば、1つの商品にいくつものPOPがあっても良いといえ、商品はひとつだが、顧客は無限であり、それに応じた販売促進があるといえよう。ID-POS分析が可能であれば、販売促進もこのような観点からまずは再検証し、同時に、新たなノウハウの構築にも取り組んで欲しい。

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November 09, 2011

ヤオコー、2012年3月期、中間決算、増収増益!

   ヤオコーが11/7、2012年3月期の中間決算を公表した。結果は、営業収益1,178.04億円(9.5%)、営業利益61.14億円(39.6%)、経常利益60.12億円(39.8%)、当期純利益33.82億円(48.7%)となり、増収増益、特に利益がいずれの段階でも大幅な増益となる好決算となった。ヤオコー自身も、「特に震災後、商品調達環境が厳しいなか、最大限の集荷を図るとともに、平時の売場への早期回復と当社の特徴であります提案型売場の展開に注力いたしました。また新店5店舗の開設、既存店3店舗の改装を実施するなど営業の強化を図りました。」とのことで、積極的な新店開発と提案型売場の展開を同時に追求し、営業力を強化したとのことである。

   また、ヤオコーは今年が第6次中期経営計画の最終年度にあたり、「『豊かで楽しい食生活提案型スーパーマーケットの充実』の実現と第2の創業・第2のステージに向けて各種施策」に取り組んでおり、特に、「『価格コンシャスの徹底とミールソリューションの強化』、『人材教育・育成と生産性の向上』」の2大テーマを掲げているのが特徴である。中でも価格コンシャスは、ヤオコーがこれまで付加価値を追求し、価格にはコンシャス、すなわち、あまりこだわらなかっただけに、ヤオコーにとっては挑戦課題であるといえ、その成果が問われた中間決算でもあったといえる。

   そこで、ヤオコーの営業利益が大幅な増加となった要因を原価、経費面から見てみたい。まずは、原価であるが、71.22%(昨年71.53%)と、0.32ポイント改善している。結果、売上総利益は28.78%(昨年28.47%)と上昇した。この数字は、食品スーパーマーケット業界ではトップクラスであり、いかに、ヤオコーが付加価値にこだわっているかがわかる。したがって、この数字を見る限りでは、価格コンシャスは全体への影響はなく、むしろ、付加価値がよりアップしているといえよう。

   実際、この中間期においては、ヤオコーは、「生鮮部門において、今朝水揚げ生かつおなど鮮度の良い商品の開発や近海魚のメニューを軸とした時間帯別MDの徹底を図るなど鮮魚部門の強化に努めました。」、「グロッサリー部門では、EDLP(常時低価格販売)導入など定番商品の価格対応を強めると同時に、プライベートブランド商品の拡充により低価格商品からセミアップグレード商品までのラインアップの充実を進めました。」、「デリカ部門((株)三味)につきましては、商品・MDのレベルアップに加え、仕入先の見直しなどによるコスト削減にも取り組みました。」等、価格コンシャスにも取り組んでいるが、それを上回る粗利の高い部門、生鮮、日配、そして、PB等を強化しており、これらが原価改善に大きく寄与したものといえよう。

   一方、経費の方であるが、27.79%(昨年28.68%)と、0.89ポイントと大幅に削減した。ヤオコー自身も、「オペレーション面では、店舗作業の標準化の推進、自動発注システムやLSP(作業割当システム)の実験導入など生産性向上の取り組みを強化しました。またコスト削減につきましては、電力抑制対策による電気代の削減なども含め、引き続き徹底して取り組んでまいりました。」とのことで、オペレーション面の改革が進んだといえよう。ただ、27.79%の経費比率は、食品スーパーマーケット業界では依然としてトップクラスである。こう見ると、ヤオコーは典型的な高コスト、高付加価値の極致をゆく食品スーパーマーケットであるといえ、多くの食品スーパーマーケットが低コストをめざし、低付加価値か、高付加価値を目指すのに対し、独特な経営戦略をとっているといえる。

   結果、商品売買から得られる利益、マーチャンダイジング力は、0.99%(昨年-0.21%)と、マイナスからプラスに転じ、大きく改善したといえる。そして、これに、不動産収入、物流収入等のその他営業収入が4.43%(昨年4.47%)加わり、営業利益は5.42%(昨年4.26%)と、大幅な増益となった。原価、経費、特に、経費比率が大きく下がったことがマーチャンダイジング力がプラスに転じ、営業利益を大きく押し上げたといえよう。

   ヤオコーは、この中間決算では利益の改善だけでなく、積極的に売上拡大も図っている。「店舗につきましては、4月に市川田尻店(千葉県市川市)、大宮盆栽町店(埼玉県さいたま市)、7月に船橋三山店(千葉県船橋市)、9月に立川若葉町店(東京都立川市)、市川中国分店(千葉県市川市)の5店舗を開設いたしました。また、既存店3店舗について改装を行いました。なお、平成23年9月末現在の店舗数は、埼玉県70店舗、千葉県16店舗、群馬県12店舗、茨城県7店舗、栃木県5店舗、東京都4店舗、神奈川県1店舗の計115店」となり、新店開発も積極的である。

   このように、ヤオコーの2012年3月期の中間決算は増収大幅増益となり、好決算となった。原価の改善に加え、経費を大きく改善したことが利益をダブルで押し上げたといえる。そして、利益の改善をはかる一方で、積極的に新店開発、既存店の改装を実施し、売上拡大もはかっており、守りを固め、攻めに転じる理想的な経営が実践されたといえよう。今後、後半ヘ向け、食品スーパーマーケット業界を取り巻く経営環境は厳しさを増すものといえ、ヤオコーがどのような経営戦略を打ち出すか、注目である。 

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November 08, 2011

バロー、2012年3月期中間決算、増収増益、好調!

   ここへ来て、2012年3月期の食品スーパーマーケットの中間決算の公表がラッシュを迎えているが、いずれも好調な決算が続いている。前回、本ブログで取り上げたヤマザワに続き、今回取り上げるバローも大幅な増収増益を達成している。バローが11/4に公表した結果であるが、営業収益2,021.46億円(8.8%)、営業利益72.50億円(53.3%)、経常利益76.31億円(52.3%)、当期純利益41.84億円(276.4%)となり、営業収益は2桁を若干下回ったが、利益はいずれの段階も大幅な増益となる好決算となった。特に、当期純利益は、3月度決算企業は、昨年は資産除去債務の会計基準の適用がなされ、今期はその分増益となったこともあり、異常値となった。なお、2月度決算企業は、今期から適用がなされるため、当期純利益は厳しい企業が多いのが実態である。

   そこで、まずは、バローの営業収益が8.8%と好調であった要因を見てみたい。この中間期バローは、「店舗につきましては、SMバロー10 店舗、ユース1店舗を新規に出店し、第2四半期末現在のSM店舗数はグループ合計で213 店舗となりました。なお、バロー10 店舗の出店のなかには、7月に100%子会社とした同業の株式会社ファミリースーパーマルキ(岐阜県山県市)の3店舗を改装・再開店した分が含まれております。」とのことで、新規出店、M&Aを積極的に進めたことが大きかったといえる。

   この中間期は各食品スーパーマーケットが、3/11の東日本大震災の影響もあり、新規出店を自粛している企業が多いが、バローは逆に、積極的に新規出店、M&Aを実施し、営業拡大を図っているのが特徴である。そして、これに、「8・9月には豪雨や台風の影響により客数が伸び悩む局面があったものの、当第2四半期累計におけるバロー本体のSM既存店売上高は、前年同期比で2.3%伸長いたしました。」とのことで、既存店も堅調な数字で推移したことが大きかったといえる。

   なお、バローのキャッシュフローを見ると、営業活動によるキャッシュフローは83.07億円(昨年87.93億円)と、大幅な増益であったにもかかわらず、昨年同様の数字となっている。これは、先にあげた資産除去債務の会計基準の適用に伴う影響額14.83億円が昨年はプラス、今年は0である点が大きいといえる。そして、この営業活動によるキャッシュフローの内、投資活動によるキャッシュフローへの配分は60.40億円(昨年52.67億円)であり、72.70%を占めており、これを見ても、いかに、バローが積極的な投資をしているがわかる。ちなみに、前回取り上げたヤマザワは20.57%であるので、対照的なキャッシュフローの配分であるといえる。

   次に、バローの営業利益が大幅な増益となった要因を原価、経費面から見てみたい。まずは原価であるが、76.13%(昨年76.66%)と、0.53ポイント改善している。バロー自身も、「商品政策では、「サプライズ50」として50 品目から開発をスタートした、圧倒的低価格の自主企画商品が、6月末には100 品目に達しました。また、自社物流網の活用により、当日早朝に水揚げされた鮮魚を、昼には店頭で販売するという取り組みを開始するなど、生鮮食品の強化にも注力いたしました。」とコメントしており、原価の改善に積極的に取り組んだとのことである。結果、売上総利益は23.87%(昨年23.34%)となった。

   一方、経費の方であるが、23.97%(昨年24.48%)と、0.51ポイント改善している。したがって、原価、経費双方をバランスよく改善しており、ダブルで利益の改善が図れている。結果、商品売買から得られる利益、マーチャンダイジング力は-0.10%(昨年-1.14%)と、依然として、若干マイナスではあるが、その幅は劇的に縮まっており、大きく改善したといえる。そして、これに不動産収入、物流収入等のその他営業収入が3.83%(昨年3.79%)加わり、営業利益は3.73%(昨年2.65%)と、大幅な改善となった。特に、この中間決算では売上高も伸びているので、率はもちろん、高ではさらに増益となる好決算となった。

   やや、気になるのは、自己資本比率である。この中間期のバローの自己資本比率は33.1%(昨年32.1%)であり、約70%弱を負債に依存する経営構造であり、特に、有利子負債が693.31億円(前期本決算時697.46億円)と、総資産1,947.38億円の35.6%と重い点である。この中間期の好調な増益決算により生み出されたキャッシュを財務改善に振り向け、経営の安定化をはかりたいところであろうが、今期はあえて、投資に振り向け、成長戦略を優先したといえる。バローにとっては、いまは守りよりも、攻めと経営判断したものと思われる。

   このように、バローの2012年3月期の中間決算は増収増益、特に、利益が大幅な増益となる好決算となった。しかも、原価、経費、双方がバランスよく改善されての増益であり、さらに、その他営業収入も増加しており、トリプルで営業利益を押し上げ、理想的な中間決算となったといえる。また、新規出店、M&Aも積極的に展開しており、守りよりも、攻めを優先した中間決算であったといえる。今後、この好調さを踏まえ、後半、そして、来期へ向けて、バローがさらに、積極的な経営を押しすすめるのか、財務改善に踏み込み、守りも重視するのか、バローの今後の経営判断に注目である。

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November 07, 2011

注目のヤマザワ、2012年3月期中間決算、増収増益!

    食品スーパーマーケット業界で、3/11の東日本大震災以降、各社売上げが伸び悩む中、月平均110%前後の高成長を維持しつづけている食品スーパーマーケットがある。ヤマザワである。そのヤマザワの注目の2012年3月期の中間決算が10/28公表された。結果は、売上高501.80億円(11.1%)、営業利益21.03億円(90.3%)、経常利益21.15億円(88.9%)、当期純利益12.14億円(323.7%)という予想以上の高収益、大幅増収増益の好決算となった。売上高はもちろん、利益も異常値であり、これまで公表された他の食品スーパーマーケットの中間決算と比べ、群を抜く伸び率である。

   ヤマザワ自身も、「売上面では震災により宮城県内の6店舗が一時休業を余儀なくされたものの、客数が伸び、お客様1人当たりの買上点数も増えたことにより増加いたしました。利益面では震災の影響によりチラシ特売を見合わせた期間があったことや生鮮食品の値下げ販売が減少したこともあり、売上総利益率が改善しました。販売費及び一般管理費におきましては、節電対策により光熱費の削減となったものの、販売費等の費用が増えたことで増加いたしました。」と、コメントしており、生鮮食品が特に好調であったとのことである。

   実際、ヤマザワの今期の中間決算の数字を見てみると、生鮮食品は112.6%伸びているが、売上総利益、すなわち、粗利率は27.9%(昨年28.0%、一昨年28.9%)であるので、率は減少している。したがって、高が大きく増加したことが利益を伸ばした要因といえる。また、既存店の客数は104.7%、客単価104.7%、PI値103.4%、平均単価101.2%であるので、客数だけでなく、客単価もバランスよく伸びているのが特徴である。客単価の中身もPI値、平均単価、ともに伸びており、コメントにもあるように、PI値が伸びていることが、客単価を伸ばし、さらに、客数をも伸ばしたといえよう。また、生鮮食品以外の売上高であるが、日配食品111.9%、加工食品112.8%、家庭用品105.9%、衣料品98.6%であるので、食品全体がバランスよく伸びているといえる。しかも、直近のこの10月度の全体の売上高も111.5%(既存店109.2%)と、好調さを維持しており、今期、ヤマザワは過去最高の好決算となるものといえよう。

   ヤマザワは、この中間決算の公表をさかもどる10/24、「業績予想の修正に関するお知らせ」を公表している。それによると、5/27時点の予想を売上高0.4%増、営業利益40.2%増、経常利益41.0%増、当期純利益73.4%増と、特に利益を大幅修正している。したがって、ヤマザワ自身も、売上高はほぼ予想通りと見ているが、利益はいずれの段階でも予想外の伸び率と見ているといえる。

   その理由を「3月11日に発生した東日本大震災により大きな被害を受けましたが、それに伴う復興需要や猛暑による影響などにより、客数や客単価が増加し、売上高は前年同期間を上回り順調に推移しております。売上総利益率につきましても、震災による商品供給の不安定からチラシ特売を見合わせた期間があったことや、生鮮食品の値下げ減少などにより改善し、また、節電による電気料の減少など、販売費及び一般管理費につきましても当初の見込額より減少しており、営業利益、経常利益、四半期純利益とも前回発表予想を大きく上回る見通しとなりました。」としており、大きく上回る見通しとのことである。

   そこで、ヤマザワの営業利益が大幅増となった要因を原価、経費面から見てみたい。まずは、原価であるが、71.86%(昨年72.12%)と、0.26ポイント改善した。結果、売上総利益は28.14%(昨年27.88%)となった。一方、経費の方であるが、23.94%(昨年25.42%)と1.48ポイントと大幅に下がった。原価を大きく上回る下げ率であり、経費比率の減少が大きいといえる。結果、差し引き、商品売買から得られる利益、マーチャンダイジング力は4.20%(昨年2.46%)となり、大きく改善した。ヤマザワはその他営業利益が計上されていないので、マーチャンダイジング力=営業利益となり、結果、営業利益が大幅な増益となった。また、率だけでなく、売上高も11.1%増であるので、高ではさらに増益となり、これが好決算をもたらした要因といえよう。

   これを受けて、通期予想であるが、売上高1,000.00億円(9.9%)、営業利益34.50億円(33.3%)、経常利益35.00億円(32.8%)、当期純利益19.00億円(145.8%)と、中間決算同様、大幅な増収増益予想であり、特に、売上高が創業以来、50年目にして、1,000億円を超えることがほぼ確実となったといえよう。ちなみに、ヤマザワの11/4時点の株価は1,345円であり、ここ最近1,350円前後で推移しているが、26週移動平均乖離率は+8.64%であるので、投資家も注目度の高い銘柄として見ているといえよう。

   このように、2012年3月期のヤマザワの中間決算は他の食品スーパーマーケットの中間決算と比べても、異常値ともいえる大幅な増収増益の好決算であり、3/11の東日本大震災以降、好調さが続いているといえる。この震災がヤマザワを大きく変えたといえ、直近のこの10月度も好調な売上げを維持していることからしても、この好調さは短期では終わらず、中期的に続くものと予想され、今期のヤマザワの本決算も好決算が期待される。この好調さをもとに、今後、ヤマザワが中長期的にどのような経営戦略を打ち出すか、その動向に注目である。

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November 06, 2011

商品から見た売上げと顧客から見た売上げ!

    ID-POS分析が可能となるまでの売上げは商品から見た売上げしか存在していなかった。商品から見た売上げとは、商品とお金との関係を数式にしたものであり、初期の段階は売上金額と売上数量の世界しかなかったといえる。そして、ここから、売上金額÷売上数量を計算し、平均単価を算出し、売上金額=売上数量×平均単価として売上げを捉えていたといえる。この数式が示す売上げは、まずは売上数量をいかに伸ばすか、あるいは、平均単価をいかに引き上げるか、ないしは双方をアップさせるかが課題となり、そのためのノウハウづくりが進んだといえる。特に、売上数量を伸ばすために、敢えて、平均単価を下げ、結果、平均単価の下げ率よりも、売上数量の伸び率を伸ばし、売上金額を引き上げる方法が考案され、いわゆる、価格訴求、POP、ちらしの3点セットが最高のノウハウとして確立されていったといえる。

    食品スーパーマーケットも、店舗数が少ない場合はそれでもよかったが、その後、チェーンストアが確立され、店舗数が10店舗、50店舗、そして、100店舗を超えてくると、店舗間の売上げの比較が必要となり、必然的にレシート分析が、これに加わることになる。レシート分析が加わることにより、売上金額も売上数量もレシート1枚当たりの数値を算出することが可能となり、ここにPI値が生まれることになる。PI値は、原則分母がレシート枚数となる指標であり、レシート1枚当たり、すなわち、購入回数1回当たりの売上金額(金額PI値)、売上数量(数量PI値)が店舗ごとに算出可能となり、これでチェーンストア各店の商品の売上げの比較検討ができ、売上げの違いを数値で検証できるようになった。

    数式では、売上金額=レシート客数×PI値×平均単価となる。初期の頃の数式との違いはレシート客数が加わり、2Dから3D、すなわち、レシート客数、PI値、平均単価で売上げを捉えられるようになり、しかも、チェーンストア全店の商品ごとの売上げの比較が容易になったことである。この時点で、商品から見ら売上げの仕組みがほぼ完成されたといえ、売上げを上げるには、従来の売上数量と平均単価の2つの要素から、レシート客数、PI値、平均単価の3つの要素で売上げアップをはかってゆくことが課題となった。そして、この中でも、PI値と平均単価、すなわち、掛けた金額PI値(客単価)の改善が売上げアップの決め手となり、いかに、金額PI値アップをはかるか、そのためには、PI値、平均単価をどう改善するかが課題となってゆくことになった。

    以上が商品から見た売上げの概要であるが、その後、ID-POS分析が登場することになり、新たに顧客から見た売上げの把握が可能となる。これまでの商品から見た売上げでは把握できなかった顧客個々人の売上げが見えるようになり、商品1品1品に顧客が数10人、数100人、さらには、数1,000人、購入していることが確認され、その顧客1人1人の売上げが明らかになって行くことになる。しかも、この顧客1人1人の売上げが明らかになると、どんな商品にも、その商品をよく購入する顧客とあまり購入しない顧客が存在している事実が明確になり、しかも、日々、新たな購入顧客が生まれていることも明らかになって行く。

    これを数式で表現すると、ある顧客が、ある期間に、その商品を何回購入し、1回当たり何個購入し、いくらで購入したかとなるので、ここから、売上金額=ID客数×ID客数PI値×PI値×平均単価という数式が誕生する。すなわち、売上げを4Dで表すことが可能となる。ある1人の顧客だけに注目すれば、ID客数は1人となるので、実は、売上金額=レシート客数×PI値×平均単価となり、レシート分析の数式と基本は同じ数式となる。ID客数が2人以上となった時、はじめて、3Dから4Dとなり、IDが何人でも、この4Dで顧客から見た売上げを分析することが可能となる。

    こう見ると、商品から見た売上げと顧客から見た売上げは全く同じであり、角度を変えて見ていることに過ぎないことがわかる。商品の購入顧客の明細まで見るのが顧客から見た売上げであり、顧客から見た売上げの統合数値を見るのが商品から見た売上げであり、どちらも、最終的には売上金額で統一されることがわかる。しかも、顧客個々人に落ちた場合は、顧客IDが1人となるため、従来の商品から見た売上げと全く同じ数式で分析できることになり、従来の売上げアップのノウハウがそのまま活用できることになる。ただし、新たに、ID客数PI値が登場するので、いわゆる、頻度を引き上げるノウハウが追加されることになるといえる。

    このように、商品から見た売上げと顧客から見た売上げとは最終的には同一、売上金額で統一されるものであるといえる。したがって、売上げアップとは、商品からも、顧客からも可能であり、どちらからアプローチしても良いといえる。実際、ID-POS分析が可能となる以前は、商品からのアプローチしかできなかったわけであり、専ら、商品の売上をいかに引き上げるかのノウハウをつくってきたいといえる。そして、ID-POS分析の時代になると、これに、顧客からのアプローチが可能となり、顧客1人1人の売上げをいかに引き上げるかのノウハウづくりが加わったといえる。その意味で、ID-POS分析はこれまでアプローチができなかった顧客からの売上げアップを可能としたといえ、この観点からいかに、売上げアップをはかってゆくかが、ID-POS分析時代の大きな研究課題といえよう。

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November 05, 2011

家計調査データ、2011年9月期、食品98.7%!

   10/28、総務省統計局から、2011年9月期の家計調査データが公表された。結果は、外食を除く食品が1,915.83円(98.7%)となり、消費は依然として、厳しい状況にあるといえる。全体も9,000.33円(98.1%)と、さらに低く、食品だけでなく、全体の消費も厳しい状況であった。ただ、昨年は猛暑であったため、その反動もあり、この9月度は、特に厳しい数字であったといえ、そこを考慮する必要があり、次回、10月度の数字も加味して、この9月度を判断する必要があろう。

   なお、ここでは、月間の合計消費額を1日当たりに換算し、食品は食料から外食を引いた数字としている。この方が、食品スーパーマーケットの客単価(金額PI値)に近い数字となり、食品スーパーマーケットのマーチャンダイジングと連動しやすいからである。また、家計調査データは10,000分比という指標が示されており、10,000人当たり何世帯が購入したかがわかるように工夫されている。そこで、ここから、購入世帯のみの消費額、購入世帯の割合も算出できるので、必要に応じて、これらの数字も本ブログでは活用してゆきたい。

   さて、まずは、2011年9月度の全体の消費が伸び悩んでいる要因であるが、伸びた部門は教育526.77円(126.0%)、住居639.67円(109.7%)、保健医療 414.30円(101.6%)であり、これ以外はすべて、昨年を下回り、いかに、この9月度は厳しい消費状況であるかがわかる。一方、特に、消費が大きく下がった部門であるが、交通・通信1,166.70円(90.4%)、光熱・水道640.60円(93.3%)、教養娯楽961.57円(94.6%)、その他の消費支出1,699.80円(95.6%)、被服及び履物310.60円(96.2%)であり、以上が5%前後下がり、消費が厳しい部門である。特に、光熱・水道は昨年の猛暑の影響も大きいといえよう。

   次に、伸びた部門と下がった部門の主要項目を見てみたい。伸びた部門の教育であるが、授業料等が430.47円(129.1%)と大きく上昇しており、その中でも私立高校が39.57円(153.6%)、私立大学が232.57円(155.9%)となり、これがその要因である。住居では設備修繕・維持が284.30円(116.5%)と伸びており、その中でも設備器具77.20円(126.5%)、修繕材料13.97円(128.9%)が大きく伸びている。そして、保健医療であるが、保健医療用品・器具71.20円(116.2%)が伸びており、中でも、眼鏡20.90円(130.6%)が大きく伸びている。

   これに対して、下がった部門の要因であるが、交通・通信は、この部門最大の消費額である自動車等関係費が611.87円(84.6%)となったことが大きいといえる。その中でも、自動車購入が114.70円(55.4%)と、半分近くに落ち込んだことが大きい。また、その中身であるが、消費世帯のみの数字は42,481.48円(110.9%)と増加しているが、消費世帯の割合が0.3%(50.0%)と半分になったことが要因である。光熱・水道であるが、昨年の猛暑、そして、節電の影響もあり、電気代が32.30円(86.4%)と、大きく下がった。その中身であるが、消費世帯のみの消費額は355.93円(87.0%)、消費世帯の割合93.4%(99.3%)であるので、明らかに猛暑、節電によるものといえよう。

   そして、教養娯楽であるが、テレビ、パソコンなどの教養娯楽用耐久財が86.77円(65.4%)と激減していることが大きい。その他消費支出では、諸雑費 734.30円(92.0%)が大きく、その中でも、たばこが35.87円(47.6%)と半減している。被服及び履物であるが、和服9.77円(72.2%)、洋服106.37円(96.1%)、履物類 47.00円(96.1%)が特に、消費が厳しかったといえる。

   では、食品はどのような状況であったかであるが、全体は先に見たように1,915.83円(98.7%)と下がっており、その要因は酒類103.20円(94.9%)、魚介類196.70円(96.3%)、飲料136.13円(96.9%)、果物109.07円(97.7%)、穀類219.57円(98.0%)、乳卵類110.17円(98.4%)、野菜・海藻276.93円(99.5%)、菓子類192.73円(99.6%)がマイナスとなったことである。特に、酒類、飲料、果物等は昨年の猛暑の影響も大きかったといえよう。なお、外食も400.70円(97.7%)とマイナスであり、食関連はこの9月度は、マイナス部門が多かったといえる。一方、プラスになった部門もあり、主食的調理食品115.53円(106.5%)、油脂・調味料 103.27円(101.8%)、肉類201.80円(100.3%)の3部門であり、これを見ても、食品の消費を押し上げる部門が少なかったことがわかる。

    ここでは、特に、この9月度、消費を引き下げた部門の中でも、消費額が大きく下がった項目をさらに見てみたい。しじみ1.17円(79.5%)、ほたて貝2.37円(74.7%)、にんじん6.47円(87.0%)、こんぶ 2.57円(89.5%)、梅干し 3.57円(89.9%)、もも3.97円(75.8%)、グレープフルーツ1.30円(79.6%)、みかん4.73円(85.0%)、ぶどう21.43円(86.0%)、まんじゅう4.00円(85.7%)、ココア・ココア飲料0.60円(72.0%)、ビール33.17円(90.5%)等であり、これらが、食品を大きく押し下げた項目である。

   このように、2011年9月度の家計調査データは、昨年が猛暑ということもあり、全体が98.1%、食品が98.7%と厳しい結果となったといえる。実際、光熱・水道に加え、食品では飲料、酒類、果物等が軒並み下がっており、猛暑が消費全体を押し下げた面もあるといえる。ただ、猛暑関連以外の部門でも下がっている項目も多く、さらに、すでに本ブログでも取り上げた消費者物価指数(CPI)を見ると、デフレ傾向は依然として続いており、昨年の猛暑を加味しても、消費全体は停滞気味であるといえよう。したがって、当面、消費は厳しい状況が続くといえ、食品スーパーマーケットとしては、売上げよりも、利益をいかに確保するかが当面の課題といえよう。

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November 04, 2011

「ドラッグストアでの商品購入」に関する調査、公表!

   10/31、(株)クロス・マーケティングから、「ドラッグストアでの商品購入に関する調査」、サブタイトル、「~その商品は目的買い?それともついで買い? ~」が公表され、プレスリリースされた。この調査は(株)クロス・マーケティングが独自にネットアンケート調査した結果を公表したものであり、過去一週間以内にドラッグストアで買い物をした、関東1都6県に居住する20~69歳の男女2,000人を対象にしたものであり、ドラックストアで買い物をする消費者の実態を捉えているといえ、興味深い内容である。

   (株)クロス・マーケティングは、今回の調査の目的を、「本調査では、商品カテゴリ毎に「目的買い」か「ついで買い」かを調査しました。また、商品決定のタイミングや店頭検討時のポイントを把握することで、ドラッグストアの利用実態を明らかにしました。」としており、サブタイトルにもあるように、目的買いか、ついで買いかに焦点が当てられているのが特徴である。

   調査カテゴリーであるが、ヘアケア用品(n=685)、食料品(n=596)、市販薬(n=573)、洗濯用洗剤、柔軟剤、仕上げ剤(n=485)、オーラルケア用品(n=477)、ティッシュ、トイレットペーパー(n=391)、ソフトドリンク(n=339)、日用雑貨(n=323)、ボディー・ハンドソープ、石鹸(n=311)、台所用洗剤(n=309)、スキンケア化粧品(n=271)、台所、風呂、洗濯などの家事用品(n=238)、生理用品(n=212)、栄養ドリンク(n=200)、住居用洗剤(n=178)、健康食品(n=165)、サプリメント(n=159)、メイクアップ化粧品(n=141)、アルコール飲料(n=127)、シェービング用品(n=84)、ベビー用品(n=72)、コンタクトレンズ用品(n=67)、ペットフード・ペット用品(n=49)の23項目であり、ドラックストアの取り扱いカテゴリーを網羅している。nの数字が示すように、上から直近購入者が多い順であり、ヘルスケア、食料品、市販薬が500人を超え、トップ3である。

   さて、目的買いか、ついで買いかの結論であるが、「全ての商品カテゴリーで、「目的買い」が「ついで買い」を上回る。「ついで買い」が多いのは、「食料品」「ソフトドリンク」「栄養ドリンク」「健康食品」などの食品類と「日用雑貨」」とのことである。特に、目的買いが多い項目は市販薬89.7%、ペットフード・ペット用品84.0%、コンタクトレンズ用品80.1%であり、この3つが80%を超える指名買いの高い商品である。ドラックストアだけあって、市販薬が圧倒的な指名買いであるといえ、来店動機そのものといえよう。以外なのは、ペットフード・ペット用品であり、市販薬に次ぐ来店動機を形成している可能性が高いといえる。

   また、「銘柄決定のタイミングで「指名買い」が多いのは、「コンタクトレンズ用品」「サプリメント」「洗濯用洗剤、柔軟剤、仕上げ剤」。「候補の中から店頭決定」が多いのは、「ボディ・ハンドソープ、石鹸」「生理用品」「住宅用洗剤」など。「候補なく店頭決定」が多いのは、「食料品」「ソフトドリンク」「日用雑貨」」とのことである。意外なのは、先にあげた目的外ベスト3の内、No.1、No.2の市販薬、ペットフード・ペット用品は複数候補をもって来店しているとのことで、興味深い結果である。

   もうひとつ興味深い調査結果であるポイントについても見てみたい。結論としては、「約6割の利用者が「ポイントカード」を2枚以上所有。「ポイントアップの日」や「ポイントが高い商品」を意識する者(6割)は、 意識しない者(3割)の約2倍」とのことである。ポイントカードを2枚以上が約6割であるので、ドラックストアのポイントカードを複数持っている方が大半であり、しかも、ポイントへの意識が高いといえ、ドラックストアにとって、ポイントの重要性が浮かび上がったといえよう。

   この調査は多岐に渡った調査であり、1.目的買いvsついで買い。指名買いvs店頭決定、2.店内での買い回り行動、3.直近利用店舗、4.利用の経緯、5.所要時間と購入金額、6.ポイントについて、7.購入商品カテゴリー、8.商品カテゴリー別購入実態、9.ついで買い理由(商品カテゴリー別)、10.指名買い理由(商品カテゴリー別)、11.候補にしている理由(商品カテゴリー別)、12.店頭決定時の参考情報・重視点(商品カテゴリー別)と、全部で12項目にまとめられ、ドラックストアでの消費者の購入実態がよくわかる内容である。

   改めて、ドラックストアはまさに、ドラック、市販薬の購入を目的としていることが鮮明に浮かび上がったといえる。さらに、ペットフード・ペット用品、コンタクトレンズ用品が、市販薬同様、重要な来店目的となっており、この3つをしっかりおさえることがドラックストアのマーチャンダイジングのポイントであるといえよう。一方、食料品、雑貨は目的買いではなく、典型的なついで買い商品であり、食品スーパーマーケットとの違いが鮮明である。こう見ると、食品スーパーマーケットとドラックストアは相性が良い業態といえ、ドラックストアがNSC(近隣型ショッピングセンター)の中核となるのは、この調査結果からも、うなづける。

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November 03, 2011

関西スーパーマーケット、2011年3月期中間、増収増益!

    関西スーパーマーケットが10/28、2011年3月期の中間決算を公表した。ここへ来て、いよいよ食品スーパーマーケット業界の3月期の中間決算の公表がはじまったといえ、今後、数週間で食品スーパーマーケット業界の2月期、3月期の中間決算の大勢が判明するといえよう。その関西スーパーマーケットの結果であるが、営業収益589.28億円(2.2%)、営業利益6.89億円(22.2%)、経常利益9.37億円(37.4%)、当期純利益3.88 億円(33.5%)となり、増収増益、特に利益がいずれの段階でも大幅な増益となる好決算となった。

    そこで、関西スーパーマーケットの決算結果が大幅な増益となった要因を原価、経費面から見てみたい。まずは原価であるが、76.81%(昨年76.87%)と、0.06ポイント改善した。結果、売上総利益は23.19%(昨年23.13%)となった。この原価率76.81%は、食品スーパーマーケットの決算公開企業約50社の2011年度本決算の平均が75.07%であるので、改善したとはいえ、やや高めの数字といえる。それだけ、関西スーパーマーケットを取り巻く経営環境において、価格競争の厳しさを反映しているといえよう。

    特に、この中間決算時の関西スーパーマーケットの売上げの中身を見ると、客数3.242人/日(昨対100.43%)、客単価1,588円(昨対99.00%)と、客単価が若干下がっている。その要因はPI値1,005%(昨対101.61%)、平均単価157.33円(昨対97.35%)であり、PI値は上昇したが、平均単価が下がっている。したがって、価格訴求を昨年以上に強め、PI値は上昇したが、客単価を改善するまでには、PI値が上昇しなかったといえ、価格競争の厳しさが反映されたといえよう。

    ちなみに、今期、この原価面の改善においては、「農産物集荷能力を高める供給基地とする目的で、マサミキャトルランチInc.(アメリカ合衆国カリフォルニア州・当社が牛肉を仕入れている(株)丸正の在外子会社で牧場を経営)の発行済株式数の30%を取得いたしました。今後、当該地に野菜加工用の冷蔵・冷凍施設を建設し、とうもろこし、じゃがいも、かぼちゃなどの野菜の栽培・加工に取り組み、当社の店舗での販売を予定いたしております。」とのことで、農産物、特に加工のルートを確保したとのことである。

    一方、経費の方であるが、23.80%(昨年24.01%)と、0.21ポイント改善している。この中間期は、3/11の東日本大震災以降、販促を控え、節電等の経費削減に各食品スーパーマーケットが取り組んだことに加え、関西スーパーマーケットは新規出店を「店舗の新設については、平成23年5月に奈良県第1号店となる奈良三条店(奈良県奈良市)を開店いたしました。」とのことで、抑制したことも大きいといえよう。

    結果、差し引き、商品売買から得られる利益、マーチャンダイジング力は-0.61%(昨年-0.88%)と、依然としてマイナスではあるが、その幅は、原価、経費双方が改善し、縮まっている。このマーチャンダイジング力は、決算公開企業約50社の2011年度本決算の平均が-0.25%であるので、関西スーパーマーケットとしては、もう一段と改善したいところであろう。そして、これに、不動産収入、物流収入等のその他営業収入が1.81%(昨年1.88%)加わり、営業利益は1.20%(昨年1.00%)と、大幅な改善となった。原価、経費、特に経費の改善が増益をもたらした要因といえよう。

    関西スーパーマーケットは、現在、「長期ビジョン「2020年、店舗数100店舗・年商2,000億円」を掲げ、「関西スーパーがあるからここに住みたい」「関西スーパーがあって本当に良かった」と思っていただける、その地域に“なくてはならないスーパーマーケット(地域一番店)”の実現を目指してまいりました。」とのことで、100店舗体制を目指している。現在60店舗であり、2011年であるので、2020年までには9年である。したがって、逆算すると、残り、40店舗を9年で割ると、4.44店舗であるので、年間5店舗は新規出店が欲しいところであるといえる。この中間期では新規出店は1店舗であったので、残り、後半で4店舗、少なくとも3店舗は欲しいところであり、今後、今期を含め、新規出店をいかに図ってゆくかが課題といえよう。ただ、通期の決算予想は、営業収益1,189.50億円(1.9%)、営業利益21.20億円(18.8%)、経常利益24.60億円(22.9%)、当期純利益 12.20億円(36.5%)であるので、中間決算同様、増収、大幅増益予想ではあるが、増収幅はわずかであり、長期ビジョン達成のための積極的な新規出店は来期以降となるものといえよう。

    このように、関西スーパーマーケットの2011年3月期の中間決算は増収、大幅増益の好決算となったが、気になるのは、商品売買から得られる利益、マーチャンダイジング力が依然としてマイナスである点である。価格競争が厳しい中、原価の改善は厳しい面があると思われるが、もう一段と原価、そして、経費、双方の改善が課題といえよう。また、新規出店もこの中間期では1店舗であり、関西スーパーマーケットとしては、長期ビジョンを実現するためにも、年間4から5店舗は欲しいところであるといえ、今後、最優先で検討してゆくべき課題といえよう。今後、後半戦に入り、本決算に向け、そして、中長期的に、関西スーパーマーケットがマーチャンダイジング力の改善と新規出店、この2つの大きな課題にどう取り組んでゆくのか、その動向に注目である。

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November 02, 2011

消費者物価指数(CPI)、2011年9月度、昨対100.0%!

    総務省、統計局から10/28、2011年9月度の消費者物価指数(CPI)が公表された。消費者物価指数には、3つの総合指数があり、その結果は、(1)総合指数は平成22年を100として99.9、前月と同水準、前年同月とも同水準、(2)生鮮食品を除く総合指数は99.9、前月と同水準、前年同月比は0.2%の上昇、(3)食料(酒類を除く)及びエネルギーを除く総合指数は99.1、前月と同水準、前年同月比は0.4%の下落という結果であった。この内、文字通りの総合指数(1)は、昨年対比100.0%となった。

    そして、これをグラフで見ると、(1)は確かに、昨年と重なっているが、この1月からの動きを見ると、6月までは昨年を下回っており、7月、8月と昨年を上回り、9月になって昨年と重なっているので、今後、どちらに動くか読めないところである。そこで、(2)、(3)を見てみると、(2)の生鮮食品を除く総合指数もほぼ同様な傾向であるが、(3)の食料(酒類を除く)及びエネルギーを除く総合指数は依然として、昨年を下回っており、デフレ基調が続いているといえる。この数ケ月は、食料(酒類を除く)及びエネルギー等の相場、投機等による変動が激しい商品が物価を押し上げていたといえ、これを除くと、デフレ基調で推移しているといえ、当面、デフレが続くものと思われる。

    そこで、その要因をまずは、10大費目の昨対にもとづく寄与度で見てみると、下落幅が大きかったのは、教養娯楽-0.30、食料-0.21、家具・家事用品-0.20である。この3つが大きく、全体の消費者物価を押し下げているといえる。その中身であるが、教養娯楽では、何といってもテレビであり、昨年対比で-23.3%、寄与度では-0.21であり、テレビが教養娯楽だけでなく、消費者物価全体を押し下げているといっても過言ではない。日本を代表するテレビメーカー、パナソニック、ソニー等が苦戦するのは、この数字からもうなづける話である。
 
    食料では生鮮食品の寄与度が-0.19、生鮮食品を除く食料が-0.03であるので、生鮮食品が大きく消費者物価を引き下げているといえる。詳細については、別途解説したい。そして、家具・家事用品では、家庭用耐久財が昨年対比で-16.1%、寄与度で-0.19である。その中身は、電気洗濯機(洗濯乾燥機)-42.7%、電子レンジ-34.1%、電気掃除機-31.1、電気冷蔵庫-24.2%、電気炊飯器-22.8%、電気洗濯機(全自動洗濯機)-21.9%であり、軒並み、大きく下落しているといえる。

    一方、全体がデフレ基調で推移しているといえるが、逆に、消費者物価が上昇している費目もある。寄与度で見ると、諸雑費0.30、光熱・水道0.27、交通・通信0.22である。それぞれの典型的な項目を見てみると、諸雑費では何といってもたばこ、昨対38.3%(寄与度0.18)、光熱・水道では電気代、昨対3.9%(寄与度0.13)、そして、交通・通信では自動車等関係費、昨対2.5%(寄与度0.20)である。

    結果、これらが相殺しあい、プラスマイナス0となり、この9月度の消費者物価指数は昨対100.0%となったといえる。気になるのは食品であり、特に、生鮮食品がこの9月度の消費者物価を下げていることである。そこで、生鮮食品につて、さらに詳しく、その実態を見てみたい。

    生鮮食品は大きく3つに部門が分かれて集計されている。その数字を見ると、昨年対比では、魚介類3.0%、肉類-0.6%、野菜・海藻-4.9%、果物-12.5%という結果であり、生鮮3品すべての物価が下落していのではなく、野菜と果物、すなわち、青果部門、特に果物が大きく下がっていることがその要因であるといえる。そこで、その果物であるが、なし-23.8%、みかん-14.4%、りんごA-14.0%、もも-10.9%、ぶどうB-6.9%、
ぶどうA-6.0%、バナナ-6.0%という状況であり、軒並み、消費者物価が下がっている状況である。上昇したのはキウイフルーツ6.0%のみであるので、いかに、この9月度は果物の消費者物価が下落しているかがわかる。

    ついで、野菜であるが、にんじん-31.4%、はくさい-21.8%、えだまめ -21.4%、トマト-19.8%、さやいんげん-14.6%、ほうれんそう-13.9%、ねぎ-11.8%、ピーマン-10.3%、たまねぎ-10.2%、アスパラガス-7.4%、なす-7.2%、じゃがいも-6.7%、きゅうり-6.3%、だいこん-6.0%という状況であり、主要野菜が大きく消費者物価を下げていることがわかる。ちなみに、上昇したのは、れんこん0.0%、ごぼう0.7%、さといも4.6%、しょうが8.9%、かぼちゃ9.3%、レタス55.2%であり、レタスが異常値といえる。

    このように、2011年9月度の消費者物価指数は、全体の総合指数は昨年対比100.0%と横ばいとなったが、生鮮食品、エネルギー関連の相場関連の項目を除くと、99.6%となり、依然として、デフレ基調で推移しているといえる。気になるのは生鮮食品の動きであり、魚介類、肉類は比較的安定しているが、青果、野菜もそうであるが、特に、果物が大きく消費者物価が下落していることである。青果は食品スーパーマーケットの中核商品であるだけに、食品スーパーマーケット全体の業績を左右しかねず、中間決算は各社増収増益、特に、大きく利益が伸びている企業がおおいだけに、後半、そして、今期決算が気になるところである。

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November 01, 2011

ID-POS分析、小売業向けセミナーin福岡、終了!

   10/28、ID-POS分析、小売業向けセミナーin福岡が無事終了した。10/21のin大阪についでのセミナーであり、次は、11/10のin東京を残すのみとなった。今回のセミナーは食品スーパーマーケットに加え、ドラックストアも対象となっており、in福岡では、ドラックストアも比較的多く参加していた。ちょうど、私の次の講師がドラックストア関係の方でもあり、ドラックストアのID-POS分析についても触れることができ、興味深く、私にとっても、今後、ID-POS分析を研究開発してゆく上で、様々な知見を得ることができた。特に、セミナー終了後、将来の九州のドラックストア業界を担う若き経営者の方との交流会にも参加することができ、ID-POS分析はまさに次世代の経営者が活用してゆくことになるであろうと確信した。

   以前、本ブログにおいてもドラックストアで、いま最も注目されている商品、ロキソニンについて取り上げたが、本セミナーでも、ドラックストア関係の方が講演でロキシニンについて取り上げていた。それによると、ロキシニンは、スイッチOTC、第1類の商品であり、薬剤師のみが販売可能な商品であり、今年、スイッチ、すなわち、処方箋薬から、OTC医薬品、第1類に移ったとのことである。OTC医薬品の第1類はもともと医者が処方していた薬を、薬剤師が販売できるように、まさにスイッチした医薬品であり、第2類、第3類の医薬品は登録販売者でも販売できるが、この第1類は薬剤師しか販売ができない医薬品である。

   このロキソニンが注目されているのは、短期間で第1類のNo.1リアップに次ぐ、No.2に躍り出たことである。これは以前のブログでも月刊マーチャンダイジングで公表されたCCLのABCL分析でも触れたが、今回のセミナーでは、このロキシニンを様々な角度からID-POS分析した結果が公表された。

   その結果、ロキソニンは他の既存の鎮痛剤とブランドスイッチが極めて少なく、鎮痛剤というカテゴリーの中では、独自に顧客を育成してゆく商品であるとのことである。したがって、鎮痛剤全体の売上げアップに貢献しているという。また、誰がロキソニンを購入しているかを見ると、他の第1類の医薬品が比較的高齢者が多いのに対し、ロキソニンは比較的若年者が多いとのことで対照的な顧客層を形成しているとのことである。結果、ロキソニンをしっかり販売してゆくことにより、ドラックストアの客層を若返らせる効果が高いとのことであり、ここ最近のID-POS分析により、ロキソニンの独自性が次々と明らかになってきているという。

   実際、ロキソニンは医療現場では普通に使われているとのことで、医師だけでなく、歯科医師も処方している医薬品であり、これがドラックストアの第1類にスイッチしたわけである。これまで病院、歯医者に行かなければ処方されなかったのが、普通にドラックストアで購入できるわけであるので、短期間でドラックストアの戦略商品になったこともうなずける話である。

   私自身はこれまでドラックストアのID-POS分析はほとんどトライする機会がなかったが、今回のセミナー、そして、この福岡では、若手ドラックストアの経営者の方とも交流を持つことができ、これを機会に、今後は、ドラックストアのID-POS分析を本格的に取り組んでみたいと思う。医食同源という言葉があるが、食品スーパーマーケットとドラックストアのID-POS分析を同時に実施することで、まさに、これが実証できるのではないかと思う。特に、OTC医薬品と食品との関係は今後の食品スーパーマーケットのあり方を変える可能性も秘めているといえ、ID-POS分析が必須の業態ではないかと思う。

   今回のID-POS分析、小売業向けセミナーは、期せずして、食品スーパーマーケットのID-POS分析とドラックストアのID-POS分析を取り上げており、さらに、今後、ID-POS分析の戦略カードとなる可能性の高いプリペイドポイントカード、そして、小売業がID-POS分析を実施する上で、なくてはならないクラウド化、WEB化のIT技術をもテーマとしており、in大阪、in福岡を終えて、ID-POS分析の最新動向を探るための一体感のあるセミナーとなったといえる。次のin東京11/11は、この一連のセミナーの〆となり、私にとっては、今年度、最後のID-POS分析セミナーとなるので、この2回の内容、そして、他のテーマも踏まえ、ID-POS分析の本質について講演できればと思う。

   来期もID-POS分析については、今期以上に力を入れ、様々なID-POS分析関連の企画を検討している。セミナーはもちろん、それ以上に、小売業、メーカー、卸がID-POS分析を実際に体験できる場が必要であるので、何らかの形で、協働実証の場を設けたいと思う。ID-POS分析の理念、理論、分析フォーマットはほぼ固まったといえるので、あとは、実践し、ノウハウを蓄積してゆく段階に入ったといえる。恐らく、ID-POS分析は、日本では、数年以内に食品スーパーマーケット業界、そして、ドラックストア業界の標準分析となってゆくものといえ、それを前提に各業界関係者も取り組んでゆくことが経営戦略上、重要な課題となろう。

   なお、今回のセミナーは、Twitter、フェイスブック、そして、このブログ、さらには、まぐまぐ有料プレミアムでの紙上セミナー等、ITを駆使して実施しており、リアルセミナーへ参加された方のフォローはもちろん、参加できなかった方もバーチャルでセミナーに参加できるので、ご利用いただければと思う。

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