Suica10年、日経新聞で特集、プリペイドカードの時代!
11/15、11/16、2日間に渡り、日経新聞が「Suica10年」のテーマのもとに電子マネー、プリペイドカードについて特集記事を組んだ。11/18で、Suica登場からちょうど10年になるとのことで、この特集記事が組まれたといえる。見出しは、11/15の(上)では「駅ソトに勢力拡大」、「電子マネー普及けん引」、11/16の(下)では、「流通系、店舗網競う」、「ポイント武器に連携加速」であり、Suicaを含め、電子マネーのこれまでの状況と現状を幅広く特集した内容である。
まずは、日経新聞11/15の(上)であるが、鉄道系、流通系を含めて現状の電子マネーの一覧表が掲載されているが、これを見ると、鉄道系では、Suica 3,746万枚、PASMO 720万枚、ICOCA 342万枚、TIICA 31.6万枚であり、Suicaが群を抜く発行枚数である。これに対して、流通系であるが、Edy 6,660万枚、Suica 3,513万枚、WAON(イオン)2,180万枚、iD (NTTドコモ、三井住友カード)1,643万枚、nanaco(セブン&アイH)1,532万枚であり、Edyが圧倒的な枚数であり、現時点では電子マネー最大のカード会員数を誇っている。
単純合計で2億枚を超える発行枚数であり、Suica10年目、電子マネーがいかに日本全国に普及したかがわかる。日経新聞の推計では、鉄道系、流通系の主要電子マネーの決済総額(4月から9月、交通機関の利用分を除く)は、前期比14%増の約9千億円に達し、通期では2桃円台に乗せる見通しとのことである。
一方、Suica登場以来、鉄道では駅の風景が一変したという。「首都圏のJR駅の改札の風景を変えた。首都圏のJR駅の改札を通過する客の今や8割以上がスイカを使う。東京23区内の券売機はスイカ導入以前より4割減った。」という。駅を小売業の店舗にたとえれば、ほぼ、小売業のポイントカード利用率に使い数字であり、いかに、電子マネーが鉄道という一連のシステムを変革しているかがわかる。さらに、「財務省によると、2011年度の1円玉の製造枚数は100万枚で、ピークの1990年の約2,700分の1。極端な減少は、鉄道会社がIC乗車券に電子マネーを組み合わせたことによるところが大きい。」とのことである。鉄道だけでなく、国家の貨幣システムそのものも変革したといえ、電子マネー恐るべしである。
ついで、11/16(下)であるが、11/15の特集記事とは一転、流通に焦点が当てられており、特に、見出しにもあるように、「ポイント武器に連携加速」と、ポイントが電子マネー普及の原動力になってきたとの内容である。特に、この特集ではイオンのWAONとセブン&アイHのnanacoを中心に取り上げており、これに対抗する形で、Edyを取り上げている。
これまで、流通系では通常のポイントカードは、先に解説したように店舗の全顧客の70%から80%が活用しているが、電子マネーは、鉄道系の駅では同様な数字となっているが、流通系の店舗では数10%と低いのが現状であった。ところが、この記事ではWAONは、「平均決済率は2割を超え、5割に達した店舗もある。会員数は約2,200万人と、SCやスーパーの買い物客はおおかた獲得した。」とのことであり、急激に利用件数を増やしているとのことである。記事の中では交通系、流通系電子マネーの利用件数のグラフが時系列で取り上げられているが、流通系の伸びが、交通系を圧倒しており、電子マネーが流通系の中で浸透しているのがわかる。そして、WAONに対抗し、nanacoも、そして、Edyも独自の領域で利用件数を伸ばしているとのことである。
記事の中では、「金融庁によると、電子マネーや商品券など前払い式支払い手段の発行額は10年度で約18兆2,000億円、この中で電子マネーは今後、さらに存在感を増しそうだ。」とのことであり、まさに、電子マネー、プリペイドカードの時代の到来といえよう。
こう見ると、電子マネー、プリペイドカードは大手流通業のみのように見えるが、11/16の日経MJでは、「電子マネー事業、イズミ拡大」、「周辺店舗開拓、利用者100万人めざす」とのことである。広島のGMS、SC、そして、食品スーパーマーケットを展開するイズミが独自の電子マネー、「ゆめか」事業の拡大に入り、「現在30万人の利用者を2013年2月期までに100万人に増やす。」とのことである。そして、「将来的には電子マネー決済システムの外販にも乗り出す考え・・。」とのことである。恐らく、今後、WAON、nanaco、そして、Edyに対抗し、独自のハウスカードの電子マネーを各食品スーパーマーケット、ドラックストア等が本格導入する時代も近いといえよう。
このように、Suicaが登場して、10年、電子マネーが鉄道の決済システムを変革しただけでなく、国家のお金のしくみそのものも変革し、さらに、WAON、nanaco、そして、Edyの登場は流通システムの変革を迫っており、今後、鉄道、流通だけでなく、日本全体の産業構造、国家のお金の仕組みまで変革してゆくのではないかという予感がする。Suicaのこれまでの10年、そして、次の10年、どのような時代となるのか、食品スーパーマーケットは、ドラックストアはどのような戦略眼をもつべきか、各社、まさに、いま何をすべきかが、問われているといえよう。
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