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December 29, 2011

商品の検証とは、その2?

   前回は商品の検証について、約20年前までにさかもどり、構成比、相乗積について解説し、その後、POS分析とともに発展してきたPI値を活用しての検証にまで言及した。そこで、今回は、このPI値からの商品の検証をもう少し解説し、その後、今後、食品スーパーマーケットの商品の標準検証となると思われるID-POS分析を活用した、ID-PI値からの商品の検証について解説したい。ID-PI値を用いた商品の検証は、まだまだ始まったばかりであり、今後、食品スーパーマーケットだけでなく、メーカー、卸も含め、様々な場面で活用がなされてくることになろう。特に、ID-PI値はこれでのマーチャンダイジングに加え、メーカー、卸の専売特許ともいえるマーケティングの領域に踏み込むことになり、マーチャンダイジングとマーケティングの融合につながる商品の検証となるといえよう。

   まずは、PI値からの商品の検証であるが、PI値の原理は、すべてをレシート客数当たりの指標に換算したところがポイントであり、これにより、過去、すなわち、時間との比較、他の店舗、すなわち、空間との比較を容易にしたことに加え、はじめて、顧客に焦点を当てた商品の検証が可能となったことである。ID客数と比べると、顧客への焦点の当て方に甘さが残るが、その方向を示したことは、大きな前進といえる。

   PI値は通常、PI値のみが独り歩きして、商品の評価指標のひとつと活用されることが多いが、それは、PI値の本質からいえば、実にもったいない話である。PI値は本来、その上位概念に金額PI値があり、同列に平均単価があり、平均単価とともに活用し、商品の検証をしてゆくべき指標である。金額PI値(客単価)=PI値×平均単価であり、金額PI値(客単価)が商品の検証結果、PI値、平均単価がその原因を表しており、PI値の検証とは、金額PI値(客単価)で結果を判断し、PI値、平均単価でその原因を追究するというのが正しいPI値の使い方である。

   したがって、PI値が上がったからといって、喜んではいけない。平均単価が下がったからといって悲しんではいけない。結果である金額PI値が上がれば、それはそれで正解であり、本来の目的を達したことになる。ただ、もちろん、最高の結果は、PI値も平均単価も上がり、結果、金額PI値が上がることである。これが本来のマーチャンダイジングの目指すべき方向であり、商品の到達点といえよう。ちなみに、金額PI値の評価には6つの場合がある。金額PI値が上昇し、PI値、平均単価双方が上昇する場合、平均単価が下がり、PI値のみが上昇する場合、PI値が下がり、平均単価のみが上がる場合の3つ、そして、金額PI値が下がり、PI値、平均単価双方が下がる場合、平均単価が上がり、PI値のみが下がる場合、PI値が上がり、平均単価のみが下がる場合である。

   さて、このPI値からの商品の検証に加え、ここ最近では、ID-POS分析を通じたID-PI値からの商品の検証がはじまったといえる。これは、レシート客数にポイントカードなどを使い、IDの区別が可能となったことにより、可能となった新たな商品の検証方法である。その結果、実に興味深いことに、金額PI値が必ずしも最終的な結論ではないということになり、金額PI値を下げてもID金額PI値が上がれば正解という事例が見られ始めたことである。

   ID-PI値はID金額PI値=ID客数PI値×金額PI値で算出可能となる。これまでの商品の売上高をレシート客数で割った金額PI値に対し、商品の売上高をID客数で割った金額PI値のことである。ID客数PI値がレシート客数をID客数で割った購入頻度であるので、ID客数PI値×金額PI値はレシート客数が約分され、ID金額PI値となり、双方が成り立っていることがわかる。このID金額PI値が開発されたことにより、商品の検証は新たな段階を迎え、これまでの金額PI値(客単価)を結論とみなしていたマーチャンダイジングにその先があることが判明した。そして、商品の検証にID客数PI値が加わり、結果、ID金額PI値で商品を検証することが可能となり、より、精度の高い、顧客視点に立脚した商品の検証の時代へと突入した。

   これは直観的にはよくわかる話であり、金額PI値が1回当たりの顧客の購入金額で商品を評価しているのに対し、ID金額PI値はそれにさらに、購入頻度を加え、それを加味した累計購入金額で商品を評価している点が違い、これが新たな商品の検証につながっていったといえる。しかも、その評価期間が1日、1週間ではなく、ここ最近では年間の累計金額での評価が定着しつつあり、将来的には10年、20年と、店舗が続く限りの商品の評価、検証へとなってゆくものといえよう。

   このように、商品の検証は、この20年の間に劇的に変化しており、初期の頃の構成比、相乗積の時代から、POSシステムの普及とともに、PI値での検証の時代となり、さらに、ここ最近では、ID-POS分析が可能となったことにより、ID-PI値での検証の時代へと入りつつあるといえる。今後、さらに、商品の検証方法は改良され、新たな検証方法も開発されると思うが、商品1品1品をしっかりと、食品スーパーマーケット側だけでなく、メーカー、卸も加わり、より深く検証していって欲しいところである。

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