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December 02, 2011

家計調査データ、2011年10月、たばこ異常値!

    2011年10月度の家計調査データが、11/29、総務省統計局から公表された。結果は、外食を除く食品は1,940.68円(99.3%)と、若干昨年を下回った。消費支出全体は9,213.06円(99.4%)であるので、ほぼ、全体に準じた結果となった。この中で、異常値ともいえる結果となったのは、たばこであり、たばこ35.68円(267.1%)である。昨年はたばこの値上げあったため、その反動であるといえるが、それにしても凄まじい伸びである。

   そこで、まずは、たばこについて、その動向を見てみたい。家計調査データは10,000分比という数字が公表されており、これを活用すると、消費額を消費世帯のみの消費額と消費世帯の割合に分けることができる。これを用いることにより、たばこの267.1%の伸びが、たばこの消費世帯の数字が上がったのか、それとも、消費世帯の割合が増加したのかがわかる。その結果を見てみると、消費世帯の数字は260.61円(149.9%)、消費世帯の割合は13.7%(178.3%)であるので、双方が上昇しているが、消費世帯の割合の方が増加率が高く、かなりの割合で消費世帯が戻ったといえよう。

   さらに、9月度を見てみると、たばこ35.87円(47.6%)、消費世帯の消費額270.49円(60.3%)、消費世帯の割合13.3%(79.0%)であるので、昨年のたばこ値上げ前の駆け込み需要が異常値をたたき出しているといえ、この10月度と全体は変わらぬ数字である。それにしても、9月度と10月度のたばこの消費額がほぼ同じ数字であり、値上げにより、たばこの消費額が下がってはいないようである。参考に、一昨年の10月度の数字であるが、全体の消費額31.65円(92.8%)、消費世帯の消費額198.03円(92.3%)、消費世帯の割合16.0%(100.5%であるので、むしろ、増えているといえる。ただし、消費世帯の割合は16.0%から13.7%へと減少し、消費世帯の消費額が198.03円から260.61円へと増加しているので、喫煙人口は減少、その減少した喫煙者が値上げ分をほぼ吸収した結果といえよう。その意味では、今回の値上げは、バランスを加味した絶妙な値上げ率といえよう。

   さて、このような中で、消費を伸ばした部門は、唯一、住居707.23円(137.0%)のみといえ、この部門が大きく消費を伸ばしている。その中身であるが、地代9.61円(136.1%)、他の家賃地代4.23円(144.0%)が大きく伸びているのに加え、設備修繕・維持が357.13円(188.5%)と、さらに大きく伸びている。その中でも、設備器具151.19円(281.7%)、給排水関係工事費37.00円(207.0%)、外壁・塀等工事費60.68円(355.6%)、植木・庭手入れ代17.74円(159.4%)が異常値であり、ここへ来て、3/11の東日本大震災の影響も一段落し、住居関連の修繕に消費を費やしたのではないかと思われる。

   では、食品はどうかであるが、先のブログでも取り上げたが、消費者物価指数がデフレ傾向を示している中、それぞれの部門を見てみると、穀類253.52円(106.2%)、魚介類200.71円(97.8%)、肉類207.90円(100.3%)、乳卵類108.26円(99.1%)、野菜・海藻280.81円(96.9%)、果物96.29円(97.9%)、油脂・調味料107.23円(98.7%)、菓子類188.23円(97.7%)、主食的調理食品117.87円(104.0%)、飲料126.61円(103.6%)、酒類101.13円(93.2%)という結果である。大きく伸びた部門はないが、穀類、主食的調理食品、飲料が堅調な数字であり、魚介類、野菜・海藻、果物、油脂・調味料、菓子類がやや厳しい結果といえよう。

   そこで、堅調な部門の項目を見てみると、穀類では、米122.74円(115.1%)が伸びており、その中身は、消費世帯の消費額228.57円(115.2%)、消費世帯の割合53.7%(99.9%)であり、消費世帯の消費額が増加しており、価格の上昇が見られるのではないかと思われる。主食的調理品、すなわち、惣菜では、弁当39.45円(108.2%)、サラダ8.81円(107.1%)が、飲料ではミネラルウォーター8.71円(127.4%)、緑茶11.26円(120.8%)が異常値であり、全体的に好調である。

   一方、消費が厳しい部門であるが、魚介類では、貝類が8.52円(78.1%)と大きく落ち込んでいる。特に、かき(貝)1.77円(58.5%)、ほたて貝 2.52円(76.5%)が激減しており、東日本大震災の影響がここへ来て出ているのはないかと思われる。野菜・海藻では、生鮮野菜185.52円(96.4%)、乾物・海藻21.81円(97.5%)、大豆加工品35.48円(97.7%)、他の野菜・海藻加工品37.97円(98.5%)と、全体的に低迷気味である。果物では、ぶどう8.90円(87.3%)、オレンジ0.61円(95.0%)、バナナ11.45円(96.7%)等が下がっている。油脂・調味料では調味料97.03円(98.2%)の方が下がっており、特に、ケチャップ1.55円(92.3%)、マヨネーズ・マヨネーズ風調味料3.19円(92.5%)、酢3.19円(93.4%)、食塩1.29円(95.2%)等が下がっている。そして、菓子類であるが、ゼリー3.13円(91.5%)、カステラ1.87円(92.1%)、スナック菓子10.32円(95.0%)等が下がっている。

   このように、2011年10月度の家計調査データは、たばこが、昨年の値上げ後の反動があり、異常値となり、大きく消費を伸ばしている。ただ、その中身は消費世帯は減少したが、ほぼ値上げ分で消費額を相殺しており、たばこ全体の数字は、もう少し様子を見る必要があるが、大きな変動がないようである。また、消費者物価がデフレ基調を示す中、全体の消費では、修繕等の住居関連の消費が伸びているのが特徴である。東日本大震災の影響が落ち着き、修繕に目が向き始めたといえよう。そして、食品は大きな変動はないが、やや気になるのは生鮮食品、鮮魚、青果の落ち込みである。特に、鮮魚は東北地方が三陸をはじめ一大産地でもあり、気になるところである。いよいよ、今年も年末となるが、この状況を踏まえ、厳しい年末年始が予想されるが、その動向に注目である。

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