« オークワ、5000億円、Chain Store Ageで特集! | Main | ホームセンター絶好調、2012年度、中間決算! »

December 10, 2011

メーカーとID-POS分析、何ができるか!

   ID-POSデータは小売業からのみ生まれる販売データであり、現時点では消費者、すなわち、顧客1人1人の購入履歴の把握が可能な唯一のPOSデータであるといえる。通常のPOSデータも顧客への販売データを把握することができるが、あくまでサマリーの数字であり、顧客1人1人の購入履歴にまで踏み込むことはできない。したがって、ID-POSデータをメーカーが小売業から入手することで、これまでのPOSデータでは見えなかった世界、メーカーが開発した商品の購入顧客1人1人の購入履歴を把握でき、その商品の売上構造を顧客面から正確に把握することが可能となる。また、現時点ではあまり精度は高くはないが、顧客の属性をもつかむことができ、どのような顧客が商品を購入しているかがつかめる。さらに、ID-POSデータは顧客が購入している対象商品以外の全商品の購入履歴まで把握することが可能となるので、メーカーが開発した商品と相性の良い商品が何かをつかむことも可能となる。

   このように、ID-POSデータはメーカーにとって、これまでのPOSデータではけっしてつかむことのできなかった3つの大きなメリットがあるといえる。まとめると、1つ目がメーカーが開発した商品の全購入顧客の詳細な購入履歴が把握でき、売上構造を顧客面から捉えることができることである。2つ目がその購入顧客の様々な属性が把握できることである。そして、3つ目が、その商品と相性の良い商品を見つけ出すことができることである。

   では、このID-POSデータの3つのメリットを実践でどう活かすかであるが、まずは最初のメリット、1つ目であるが、商品の全購入顧客の購入履歴が把握できることであるが、これは、これまで、商品の販売促進を考えた場合、商品の売上高の多寡を分析し、売れている時期に商品をさらに売り、売れない時期には何らかの底上げをはかることや、売れている店舗の成功事例を他の店舗へ水平展開したりしてきた。これに対して、ID-POS分析では、その状況も分析するが、それ以上に、売上高の多寡を顧客構造にまで踏み込み、高頻度の購入顧客、低頻度の購入顧客、そして、残りの中頻度の購入顧客に分けてとらえ、販売促進の目的を、商品の顧客構造の変化をもたらし、顧客全体の購入頻度を引き上げることに主眼を置くことになる。

   したがって、ID-POS分析おいては、売上げがあがるとは、商品の数が結果としては増えたり、価格が結果としは改善されたりするが、ここを見るのではなく、顧客1人1人の購入履歴がどのように変化したかを見ることになる。すなわち、高頻度の顧客がどのように変化し、どのくらい増えたのか、低頻度、中頻度の顧客はどう変化したかを読み解き、さらに、新たな商品の購入顧客が増えたのかどうかを見ることになる。そして、この購入顧客の構造変化をもたらすためには何が有効な政策かを、中長期に渡って仮説を立てて検証してゆく、これがID-POS分析の1つ目のメリットである。

   次に、2つ目のメリットであるが、ID-POS分析によって顧客属性を把握できることであるが、これは、現時点では、食品スーパーマーケットのポイントカードの属性把握の精度は必ずしも高いとはいえず、しかも、その情報も限られているのが現状であり、課題が残るメリットではあるが、それでも、傾向値を読み取ることは可能であり、これまでのPOS分析では見ることのできなかった領域に踏み込むことが可能となる。現状、実務的に共通に活用できる顧客の属性は性別、年齢別、住居別、そして、購入ランク別までのデータであるといえるが、これらをID-POS分析で見ることにより、メーカーの開発した商品のコアの顧客や何らかの販売促進において、強く反応した顧客などの把握が可能となる。当然、これは今後の商品開発や、販売促進の改善にもつながってゆくことになろう。また、一方でメーカーはマーケティング調査を様々な角度から実施しており、その調査データとID-POS分析結果を比較することにより、精度の高いマーケティング調査データができあがるといえよう。

   そして、3つ目のメリットが、相性の良い商品を見つけ出すことであるが、これは、これまでのPOS分析でも同時購入をしている相性の良い商品を分析することはできたが、その同時購入をしている顧客がどのような顧客か、さらには、その顧客がその後その商品を購入しているのか、過去はどうであったか、また、同時購入はしていないが、ある期間の中では購入しているかなどにまで踏み込むことができ、幅広く相性の良い商品を探し出すことができると同時に、その顧客の購入状況をもつかむことができる。商品の動きだけではなく、顧客面から商品の相性を見極めることが可能となることがメリットといえる。これによって、商品ごとの顧客層を把握することができ、重なっているのか、独立しているのか、その程度はどのくらいかがわかり、次の販売促進につながる。特に、最近はやりのクロスマーチャンダイジング戦略には必須の分析といえよう。

   このように、メーカーから、ID-POS分析を見た場合、大きく、3つのメリットがあるといえ、これら3つのメリットを享受するためにも、小売業から可能な限り、長期かつ継続的なID-POSデータを入手し、新たな商品開発、そして、今後の販売促進につなげてゆくことが、メーカーにとってのID-POS分析のメリットといえよう。この3つのメリットはいずれも、これまでのPOS分析では踏み込むことができなかった領域であり、メーカーとしては、ここまで踏み込み、小売業とのID-POS分析での協働研究を通じて、商品の活性化をはかって欲しいところだ。

New、紙上ID-POS分析セミナースタート、お申し込みは、こちら、まぐまぐプレミアム版!
販売スタート!食品スーパー2011財務3表連環分析、vol1!
菓子パン無料診断!(POS-RDS菓子パン無料診断受付中!)
週間!食品スーパーマーケット最新情報、まぐまぐ! 資料集

« オークワ、5000億円、Chain Store Ageで特集! | Main | ホームセンター絶好調、2012年度、中間決算! »

Comments

Post a comment

Comments are moderated, and will not appear on this weblog until the author has approved them.

(Not displayed with comment.)

TrackBack


Listed below are links to weblogs that reference メーカーとID-POS分析、何ができるか!:

« オークワ、5000億円、Chain Store Ageで特集! | Main | ホームセンター絶好調、2012年度、中間決算! »