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December 27, 2011

ID-POS分析でMDがどう変わるか、その2!

   前回は、ID-POS分析とこれまでのPOS分析とのマーチャンダイジングにおける違いを新MD方程式とMD方程式にもとづいて解説した。その結果、金額PI値(客単価)=PI値×平均単価については、すべて、ID-POS分析が筒み込んでおり、これまでのマーチャンダイジング戦略をID-POS分析が100%踏襲できることを示した。そして、ID-POS分析では、これに加え、ID客数、ID客数PI値(頻度)、そして、ID金額PI値がID-POS分析ならではの独特な指標であり、この観点からマーチャンダイジング戦略を構築することにより、新たな世界が開けることを示唆した。今後、恐らく、ID-POS分析が実践投入されることにより、これまでにないマーチャンダイジングのノウハウが開発されてゆくことになろう。

   ちなみに、ID金額PI値=ID客数PI値×金額PI値であるので、これまでのマーチャンダイジングはID客数PI値を媒介にして、ID金額PI値へとつながっており、その意味で、ID客数PI値がこれまでのPOS分析の世界とID-POS分析の世界をつなぐ架け橋となり、ID客数PI値がちょうど翻訳機の役割をはたすことになろう。ID-POS分析でのマーチャンダイジング戦略はID客数PI値をいかに理解し、これを使いこなし、実践するか、ここが最大のポイントといえる。

   実は、このID客数PI値はID客数、すなわち、ID-POS分析特有の顧客1人1人を分析する際の最も重要な基本指標ともなっており、ID-POS分析のマーチャンダイジングはまさに、このID客数PI値からはじまるといっても過言ではない。通常、顧客1人1人を分析する際には売上高の高い、低いを用いる場合が多い。ところが、売上高は、前回解説したように、従来のPOS分析、MD方程式では3D、ID-POS分析の新MD方程式では4Dとなっているため、複雑な要素が絡み、総合的な判断となり、顧客1人1人の分析には曖昧さが残る。顧客の分析はID客数が把握できてはじめてできる分析であるので、当然、ID-POS分析特有の指標で分析することが望ましいといえる。こう考えると、顧客1人1人の分析もID-POS分析特有のID客数PI値が望ましいといえ、これで顧客を分析することにより、ID-POS分析ならではの顧客ランクをつくることができる。

   実際、ID客数PI値で顧客ランクをつくると、商品の全購入顧客、1人1人が見事に分類できる。毎週その商品を購入する顧客、毎月その商品を購入する顧客、そして、毎年(年1回)その商品を購入する顧客である。その結果を見ると、驚くべきことに、ほとんどの商品で毎年(年1回)の顧客が圧倒的に多いことが判明し、マーチャンダイジングとは年間1回しか購入しない顧客を結果的には焦点を当たてていたことが判明する。ある意味、これが従来のマーチャンダイジングの限界であるといえよう。したがって、ごく単純化すれば、ID-POS分析のマーチャンダイジングとは、だまって毎週その商品を購入していただいている顧客に焦点を当て、全体の顧客の購入頻度(ID客数PI値)を引き上げ、そこに導いてゆく導線をつくることに他ならない、これがID-POS分析のマーチャンダイジングの本質である。

   売場づくり、すなわち、棚割、レイアウトの最優先事項は客導線と作業導線のバランスであり、特に、マーチャンダイジングでは客導線をどうひくか、極論すれば、客導線の良し悪しで、売上げの70%から80%を決めてしまう。ところが、顧客1人1人に対しては客導線をひきたくても、これまでひく方法がなかったが、ID-POS分析が可能になったことで、ID客数PI値にもとづいて、顧客1人1人の導線をひくことが可能となった。したがって、ID-POS分析のマーチャンダイジングとは売場の客導線と並行して、顧客1人1人の客導線をどのようにつくり、どう導いてゆくか、これが最大のポイントである。

   これまでのPOS分析にもとづくマーチャンダイジングでも52週、52回、あるいは52週、104回のマーチャンダイジングをつくることにより、客導線らしきものはあった。ただ、これは、商品のライフサイクルにもとづいて、売上げの山と谷を分析し、最大の山づくり、最小の谷づくりを特に旬、社会行事などをもとに販促をかけるという手法であった。これはこれで売上げを商品面から引き上げるには有効な手法といえるが、ID-POS分析では、これに加え、顧客(ID客数)の導線を基盤にすえるため、毎週、毎月、毎年(年1回)の顧客のどこにリーチし、どのくらいの時間をかけて、どのような方法で顧客の構造変化をもたらすのかを重視する。したがって、山でのリーチ、谷でのリーチ、この場合、どの顧客に、どのような働きかけを、どのくらいパワーをかけるかがポイントとなり、その結果をしっかり数値で検証し、次にいかす、これがID-POS分析特有のマーチャンダイジングといえる。

   そこで、もうひとつ、重要なポイントがある。これまでのPOS分析では、対象商品の商品売上げを分析するのみで、他の商品との関係を分析することは、同時購入を除いてできなかった。同時購入だけは、レシート客数のレシートを分析すれば可能であるので、ここまでが限界であった。ところが、ID-POS分析ではID客数に基点を置くため、ID客数が購入している全商品をほぼ永遠に分析することが可能となる。したがって、商品同士の関係をより深く把握することが可能となり、これまでのPOS分析では見えなかった新たな領域のマーチャンダイジングの世界を見ることができる。

   なお、これについては、来年以降、食品スーパーマーケット業界で本格化するであろうID-POS分析の実践事例をもとに、本ブログでも優先的に取り上げてゆきたい。ID-POS分析はまだまだはじまったばかりであり、今後、様々なマーチャンダイジングが食品スーパーマーケットの中で創意工夫され、生れてくることになると思う。まずは、これまでのマーチャンダイジング戦略をすべてID-POS分析で洗い直すところからスタートすると、スムースにID-POS分析特有のマーチャンダイジングへの移行が可能となろう。

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