商品の検証とは、その1?
商品の評価を検証する方法は、これまで様々な方法が考案されてきた。古くは単純な売上高(売上金額)と売上数量をもとにした評価方法である。これが最もオーソドックスであり、いまでも、広く検証に活用されている。ところが、この指標で商品を検証すると、食品スーパーマーケットでは様々な問題が発生する。主な問題点は、過去との比較、他の店舗との比較がうまくできない点である。いわゆる時間と空間の問題である。時間とは、たとえば、先週の売上高、あるいは、昨年の売上高と比較した場合、仮に、売上高が同じであった場合、果たして、これを単純に同じ商品の力があると見なして良いかである。空間とは、売上高が他の店舗と同じであった場合に、同様に同じ商品の力があると見なして良いかである。この問題を解決するために、食品スーパーマーケットでは様々な改良点が加えられてきた。そこで、ここでは、この商品の検証について、初期の検証から、最新の検証までを考えて見たい。
食品スーパーマーケットは、新規出店がなされると、通常、数年間は売上高が上昇してゆく、そして、数年後には、売上高が上限に達し、ほぼその近辺で収束する。その後、徐々に売上高を落とし、最終的になだらかかなやや下がり気味の横ばいになってゆくのが通常である。いわゆる、これが食品スーパーマーケットのライフサイクルといえ、最終的には、20年から30年で撤退となる。したがって、その時々に、タイミングよく、てこ入れ、いわゆる活性化をしないと売上高の減少に歯止めが効かなくなり、予想よりも、早く、売上高が下がり、収束してしまう。したがって、時間で売上高を評価した場合は、このような点が加味されず、商品の評価があまり意味をなさなくなる。
一方、食品スーパーマーケットは、原則、チェーン展開を行い、新規出店を増やしてゆくため、様々な立地に出店してゆく。その際、立地環境、あるいは、運営体制が様々な状況になるため、常に、同じ客層、同じ面積、同じ商品構成、同じマネジメントで展開できるとは限らず、様々な売上規模となってゆくのが実態である。可能な限り、チェーンオペレーションを組み、そのブレをなくすような立地への出店、社内体制を組んで臨んではいるが、実際は、大きく、売上高が店舗によりブレるのが実態である。したがって、各店舗間、いわゆる空間での売上高での単純な比較は、商品の評価を見誤る恐れが強いのが実態といえる。
この問題を解決するために、初期の頃の、ちょうど、今から20年前ぐらいまで取り組まれてきた商品の検証方法は、構成比を算出することであった。構成比とは対象商品の売上高を全体の売上高で割って算出した数値であり、時間、空間での比較が容易となり、これを活用することにより、商品の検証精度が飛躍的に向上したといえる。この構成比はいまでも、商品の検証に活用されており、優れた評価方法であり、この応用として、食品スーパーマーケットが発明した芸術、魔術ともいうべき、相乗積がある。
相乗積とは、構成比の原理を巧みに駆使し、売上高の構成比と粗利率を掛け、その数値を足して、複数の商品の粗利率をほぼ暗算で瞬時に計算する方法で、はたから見ているとまるで手品のように見える粗利率の計算方法である。ただ、これは魔法でも、手品でもなく、要は、原理は単純であり、粗利構成比を算出しているに過ぎない。売上高の構成比が粗利高の構成比に変わったために、理解しにくくなっただけであり、その本質は極めて単純な原理である。ただ、単純であるがゆえに、優れているといえ、相乗積はいまでも、部門の粗利管理から、棚割りの粗利管理、さらには、刺身盛り合わせの粗利管理、精肉の部位ごとの粗利管理などに応用され、現場で広く活用されている仕組みである。
この構成比の時代は、その意味で、現時点でも相乗積だけでなく、広く、活用されている商品の検証方法であるといえ、わかりやすく、現場でも活用され、脈々と続いているといえる。
そして、その後、登場したのが、PI値である。PI値は、POS分析の代名詞ともいえる商品の評価方法であるといえ、POS分析の普及とともに、世の中に受け入れられるようになっていった。一般にPOS分析では、商品ごとに売上高、売上数量、そして、レシート客数(レシート枚数)が算出できるため、これまでの構成比に加え、レシート客数で割ったPI値の算出が可能となったからである。一見、構成比に良く似た指標であるが、構成比が常に全体の売上高で割って算出するのに対し、PI値はレシート客数、これは限りなく、顧客1人当たりの売上高、いわば、顧客シェアに近い数値となり、顧客から、商品がどのように評価されているか、すなわち、商品の顧客からの検証が可能になる点が大きく違うといえる。
商品の検証は、このように、初期の頃は単純な売上高の比較、そして、その後、長く、現在まで構成比での検証の時代が続いているが、POSの出現とともに、PI値の時代へと突入したといえる。そして、現在では、ID-POS分析の時代となり、新たな商品の検証の時代が始まりつつあるといえるが、これについては、別途、本ブログで取り上げたい。
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