ユニバースの2012年2月期、中間決算を見る!
10/21、ユニバースとアークスが株式交換を行い、正式に、ユニバースがアークスの100%子会社となった。これにより、ユニバースは上場廃止となり、今後はアークスグループとしての決算となるが、この中間決算に関しては、11/21、アークスから公開された。ユニバースの決算はこれまで4月決算であったが、今後はアークスに合わせ、2月決算となるので、この中間決算も2012年2月期の中間決算となる。なお、この経営統合により、ユニバースの代表取締役社長は三浦紘一氏が務めるが、新たに代表取締役会長を置き、アークスの横山清氏が就任した。また、アークスにも新たにユニバースの社長、三浦紘一氏が代表取締役会長に就任し、相互に経営を統括することになる。結果、アークスは代表権を3名、横山清氏(代表取締役社長)、三浦紘一氏(代表取締役会長)、そして、福原朋治氏(代表取締役副会長)のトロイカ路線を敷くことになった。
なお、この新体制発足に伴い、組織強化にも入っており、11/14、「アークスグループの組織強化を図るべく、以下の組織を新設いたします。(1)業務改革室、アークスグループの業務改善および運営基盤の強化を目的とし、業務改革室を新設いたします。(2)社長室、トップマネジメントのサポート体制の強化および拡充を目的とし、社長室を新設すると共に秘書室の機能を統合いたします。」とのことで、新たな組織を新設した。しかも、峰松繁氏(業務改革室、室長)を三菱商事から、花牟礼真一氏(社長室、室長)を三井物産から迎え、三菱、三井グループとの関係も強化するなど、ユニバースとの経営統合を機にアークスの経営マネジメントの強化をはかったといえる。
さて、ユニバースの2012年2月期の中間決算の結果であるが、営業収益537.92億円(4.1%)、営業利益25.94億円(40.4%)、経常利益26.67億円(40.1%)、当期純利益14.92億円(64.6%)となり、増収、大幅増益、好決算となった。特に、利益はいずれの段階でも大きく増加しており、3/11の東日本大震災以降の特需も影響していると思われるが、異常値である。ちなみに、10/12に公表されたアークスの中間決算であるが、売上高1,543.43億円(2.1%)、営業利益50.38億円(10.4%)、経常利益54.11億円(8.6%)、当期純利益23.59億円(-17.6%)であり、ユニバースは売上高ではアークスの1/3であるが、利益は1/2であり、ユニバースの収益性の高さが光る中間決算といえよう。なお、アークスの当期純利益が減益となったのは、2月度決算企業は資産除去債務に関する会計基準の適用がなされるため、今期、その影響額5.69億円を特別損失に計上したためである。
そこで、ユニバースの営業利益が大幅に増益となった要因を原価、経費面から見てみたい。まずは、原価であるが、75.17%(昨年75.71%)と0.54ポイント改善した。結果、売上総利益は24.83%(昨年24.29%)となった。一方、経費の方であるが、20.89%(昨年21.64%)と0.75ポイント改善した。特に、販売促進費7.84億円(昨年8.31億円)、94.34%、水道光熱費8.83億円(昨年9.29億円)、95.04%と、この2項目が大きく下がっており、東日本大震災の影響が大きいといえよう。また、販売促進費が下がった要因は東日本大震災により、3月、4月度のちらし商品の確保ができず、十分にちらしが打てなかったことによるといえ、これが原価の改善にもつながったといえよう。
結果、差し引き、商品売買から得られる利益、マーチャンダイジング力は3.94%(昨年2.65%)であり、その差1.29ポイントと大幅に改善しており、東日本大震災の特需の影響もあると思われるが、原価、経費ダブルでの改善というユニバースの収益性の高さが光る中間決算となった。そして、これに不動産収入、物流収入等のその他営業収入が0.93%(昨年0.97%)加わり、営業利益は4.87%(昨年3.62%)となった。ちなみに、アークスの今期中間決算での営業利益率は3.26%(昨年3.07%)である。
一方、ユニバースの財務の安定度を表す自己資本比率であるが、この好調な中間決算の結果を受けて、有利子負債を削減するなど負債を圧縮し、65.1%(昨年63.1%)と改善している。しかも、65.1%はアークスの56.6%よりも約10ポイント高く、食品スーパーマーケット業界の中でもトップクラスである。ユニバースの収益性の高さに加え、財務の安定性も増した中間決算であるといえよう。
ただ、この中間期では、アークスとの経営統合にともない「自己株式を1,355,400株、1,515百万円取得いたしました。」とのことで、ここへ、この中間ではキャッシュを大量に投入したため、成長戦略、財務改善にキャッシュを十分に回せなかった点が気になるところではある。
このように、ユニバースがアークスに経営統合されて、はじめての中間決算が公表されたが、結果は増収、大幅増益の好決算となり、本体、アークスを超える好決算であり、アークスを特に利益面で支える決算となったといえよう。今後、両企業はまさに一体となった体制づくりが急速に進んでゆくと思われるが、残り後半を含めた本決算がどのような結果となるか、来年、2012年2月期のアークスの本決算に注目である。
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