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December 13, 2011

ポイントカード、プリペイド、ハウスカードの時代へ!

   12/11の日経MJで「ナナコ」が取り上げられた。見出しは、「「ナナコ」利便性を向上、セブン&アイ」であり、小見出しは、「入金上限5万円に」、「ベニマルも導入」、「ポイント交換、手数料廃止」である。現在、食品スーパーマーケット業界ではポイントカードが急激に普及しているが、その大半は、決済機能のないポイントカードである。今回、ヨークベニマルが採用する「ナナコ」は決済機能、それも、プリペイドでの決済機能付きのポイントカードであり、しかも、すでに、導入しているセブン&アイHのグループのクレジットカード等とのポイント交換も視野に入っており、利便性の高いポイントカードとなる。

   このようなプリペイドのポイント、かつ、ハウスカードは、食品スーパーマーケット業界では、すでにイオングループがマックスバリュ等でWAONの普及を積極的に進め、先行しており、イオンの独壇場であったといえる。それが、日経MJの記事では、来春から、セブン&アイH傘下のヨークベニマル、ヨークマート、合計240店舗での使用が可能になり、流通業界、2大グループにおいて、本格的に食品スーパーマーケットでプリペイドカードが使えるようになる。食品スーパーマーケット業界へ与えるインパクトは大きいといえ、今後、全国の食品スーパーマーケットが、プリペイドのポイント、かつ、ハウスカードの検討を余儀なくされることになろう。

   ちなみに、一般に、ポイントカードは大きく決済機能があるかないかで、2つに分かれる。そして、決済機能がある場合、先に決済するか、後に決済するかで、さらに2つに分かれる。現在、食品スーパーマーケットで主流のポイントカードは決済機能がない単純なポイントカードある。そして、決済機能が先にあるポイントカードの代表的なものがクレジットカードであり、決済機能が後にあるポイントカードが、今回のナナコ等のプリペイドカードである。さらに、その中でも、ポイントカード全般にもいえることであるが、ハスカードか汎用カードかがあり、汎用カードの代表的なポイントカードがedy、SUICA等である。その意味で、今回のヨークベニマルへのナナコの導入はプリペイドのポイントカード、かつ、ハウスカードであり、現時点では食品スーパーマーケット業界は後塵を拝しているといえ、この点で2大流通グループに大きく後れを取ることになる。

   では、プリペイドのポイントカードがなぜ食品スーパーマーケットにインパクトを与えることになるかであるが、その兆候を示す、まさにポイントが、この日経MJで確認することができる。

   その1つ目が、今回、ナナコはヨークベニマル、ヨークマートへの導入に際して、「ナナコにチャージできる金額を引き上げる。従来の上限金額は29,999円だったが、来年3月13日から5万円にする。同時に買い物でナナコを利用してたまったポイントを電子マネーに交換する際の手数料を無料にする。」とのことである。その背景には、「利用者からチャージ金額の引き上げを求める声が増えていた。」とのことある。

   実際、ID-POS分析を実施すると、食品スーパーマーケットのS顧客は週数回買い物をしており、1回当たり、3,000円前後の買い物となる。したがって、月間では5万円を超える買い物となるのが実態であり、29,999円のチャージではA顧客までの対応となり、S顧客へのサービスが十分でないといえる。本来、ポイントカードの最大の目的はS顧客を特定し、S顧客へのきめ細かな対応を徹底させ、S顧客との強固な絆を築くことにある。ところが、チャージ29,999円では、食品スーパーマーケットのプリペイドカードとしては十分とはいえない。ここを改善に入ることにより、ヨークベニマル、ヨークマートが今後、S顧客へのサービスレベルを向上させることができ、競合する食品スーパーマーケットにとっては少なからぬ影響が生じるものと予想される。

   そして、もう1点、「ヨーカ堂やそごう・西武が発行しているクレジットカードのポイントをナナコポイントに交換できるサービスを始めたことが追い風となり、10月の決済件数は5,300万件と前年同月に比べ23%拡大した。」とのことである。この時点ではナナコの主要顧客はセブン・イレブンのコンビニであるといえるが、これは食料品への潜在ニーズを示しているといえ、ヨークベニマル、ヨークマートでも同様な効果が生れると予想される。

    このように、ナナコが来春から、食品スーパーマーケット業界の雄、ヨークベニマル、そして、首都圏のヨークマートに本格導入されることにより、先行するイオングループのWAONと激突、いっきに、プリペイド、かつ、ハウスカードのポイントカードの時代に食品スーパーマーケット業界が突入することになる。残念ながら食品スーパーマーケット業界は、大半が決済機能のないポイントカードであるので、特に、S顧客へのサービスで大きな差が生じる可能性が高いといえる。したがって、現状のポイントカードの機能強化に入るか、自らプリペイド、かつ、ハウスカードのポイントカードを導入するかの選択となり、いずれにせよ、S顧客への対応如何が、食品スーパーマーケットの明暗を分けることになろう。

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