マックスバリュ中部、2012年1月第3四半期、増収減益!
2012年度の食品スーパーマーケット、第3四半期決算の公表がはじまった。食品スーパーマーケットの上場企業は約50社であるが、決算期間は2月が最も多く約60%となる。それ以外では3月が約20%、残りは数%づつであるが、1月、5月、9月となる。その1月度の第3四半期決算の公表がはじまり、今月からは、2月度決算の公表がスタートすることになろう。そこで、公表がはじまった1月決算企業であるが、12/8に2012年1月度第3四半期決算を公表したマックスバリュ中部を取り上げたい。
まずは、結果であるが、営業収益903.33億円(2.6%)、営業利益10.16億円(-5.0%)、経常利益10.78億円(-10.4%)、当期純利益0.36億円(-87.9%)となり、増収とはなったが、減益、しかも、当期純利益は大幅の減益となる厳しい決算結果となった。特に、当期純利益が-87.9%となった要因は資産除去債務の会計基準の適用に伴う影響額が5.71億円発生したためである。今期の決算では、1月度、2月度決算企業には同様な影響額が発生するため、当期純利益は厳しい数字が予想される。3月度決算企業は、昨年計上済であるので、今期は増益となる企業が多いといえよう。
そこで、まずは、営業収益が増収となった要因であるが、今期、マックスバリュ中部は、「2011年8月にマックスバリュ東近江店(滋賀県東近江市)、9月にマックスバリュ米野木店(愛知県日進市)、10月にはマックスバリュ長久手店(愛知県愛知郡長久手町)およびマックスバリュ大矢知店(三重県四日市市)の4店舗を開店するとともに、9月にはバリューセンター五女子店(名古屋市中川区)を食品ディスカウント業態「ザ・ビックエクスプレス五女子店」に業態転換し、売上規模の更なる拡大を図りました。この結果、当第3四半期末の店舗数は、ザ・ビックエクスプレス業態4店舗を含め91店舗となりました。」とのことで、新店が寄与した結果といえよう。ただ、既存店も客数0.7%増、客単価0.5%増と堅調に推移したとのことで、その貢献度も増収に寄与したといえよう。
一方、営業利益が減益となった要因であるが、原価、経費面から見てみたい。まずは原価であるが、75.56%(昨年75.70%)と、0.14ポイント減少した。結果、売上総利益は24.44%(昨年24.30%)となった。次に経費であるが、25.74%(昨年25.58%)と0.16ポイント上昇した。マックスバリュ中部も、「ローコスト経営の実現に向けては、店舗オペレーションの効率化を図るための販売什器の導入、省エネ設備の導入、節電への取り組みなど、業務の効率化と経費の削減を継続的に推進しました。」とのことであるが、経費が予想以上に上昇したものといえよう。
結果、差し引き、商品売買から得られる利益、マーチャンダイジング力は-1.30%(昨年-1.28%)と0.02ポイントとわずかではあるが、減少した。そして、これに不動産収入、物流収入等のその他営業収入が2.47%(昨年2.54%)のり、結果、営業利益は1.17%(昨年1.26%)と、減益となった。原価の削減は進んだが、経費の上昇が響き、さらに、その他営業収入も下がったことが減益の要因といえる。したがって、マックスバリュ中部としては、経費比率の低い、ディスカウント業態、ザ・ビックエクスプレスへの業態転換が、今後、経費削減の上では鍵を握るといえよう。
さて、この結果を受けて、マックスバリュ中部の今後の経営戦略をキャッシュフローから占ってみたい。キャッシュフローは、営業活動により得られたキャッシュをどう経営戦略に反映させるかを、その配分を見ることにより、推し量ることができる。まずは、マックスバリュ中部の営業活動によるキャッシュフローであるが、24.74億円(昨年21.73億円)と増加した。その配分であるが、成長戦略が反映される投資活動によるキャッシュフローへは-5.78億円(昨年-7.73億円)であり、その比率は23.36%、しかも、昨年よりも、削減している。したがって、この時点で成長戦略への投資を抑制していることがわかる。
そこで、財務活動によるキャッシュフローを見ると、-19.57億円(昨年-4.88億円)であり、ここに大半、79.10%を配分しており、今期は財務の改善にキャッシュを充てていることがわかる。その中身は、有利子負債の返済への配分がほとんどである。ただ、それでも自己資本比率は33.3%(昨年35.5%)と、下がっており、今後、さらに、財務の改善が必要といえ、マックスバリュ中部としては、成長戦略よりも財務基盤の安定にキャッシュを配分せざるをえない状況にあるといえよう。
このように、マックスバリュ中部の2012年1月期の第3四半期決算が公表されたが、結果は増収とはなったが、減益となる厳しい決算となり、経費比率が上昇したことが、決算に響いたといえる。したがって、キャッシュフローもまずは経営基盤の安定に配分せざるをえなかったといえ、成長戦略を抑制せざるをえなかったといえよう。現在、自己資本比率も33.3%であることから、マックスバリュ中部としては、当面、成長よりも財務改善の方が経営の優先度が高いといえ、今期本決算、そして、来期も、攻めよりも守りを重視するのではないかと予想される。
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