マックスバリュ北海道、2012年1月第3四半期、増収減益!
マックスバリュ北海道が12/8、2012年1月期の第3四半期決算を公表した。結果は、営業収益598.16億円(4.2%)、営業利益1.98億円(昨年は赤字)、経常利益1.98億円(昨年は赤字)、当期純利益-2.84億円(昨年は赤字)となり、昨年の赤字決算を脱し、営業、経常段階では黒字転換したが、当期純利益は資産除去債務会計基準の適用に伴う影響額が-3.01億円発生したため、昨年に続き、赤字決算となった。前回のブログでも解説したように、2012年1月期、2月期決算企業は資産除去債務の会計基準の適用がなされるため、当期純利益は今期は厳しい結果が予想される。これに対して3月度決算企業は昨年すでに計上しているので、今期は、その分、当期純利益が増加し、好決算が予想される。
さて、まずは、マックスバリュ北海道が当期純利益は厳しい結果となったが、営業、経常段階では、赤字から黒字へと増益になった要因を原価、経費面から見てみたい。その原価であるが、77.30%(昨年77.05%)と、0.25ポイント上昇している。結果、売上総利益は22.70%(昨年22.95%)と厳しい結果となった。マックスバリュ北海道としては、「商品面では、イオンのプライベートブランドの「トップバリュ バーリアルラガービール」の販売、冬の防寒対応の機能性ウェア「トップバリュ ヒートファクト」の取扱店舗数を35店舗(昨年取扱店舗数5店舗)に拡大し販売いたしました。」とのことで、PBを積極的に扱い原価改善を図ったとのことであるが、全体への反映がまだ十分ではないということであろう。
これに対して、経費の方であるが、24.10%(昨年25.14%)と、1.04ポイントと大きく改善している。マックスバリュ北海道も「全社で節電の取り組みを徹底するとともに、照明機器を省エネ対応機器へ順次変更する等、使用電力の削減に努めております。」とコメントしており、電力の削減に努めたとのことである。それにしても、これだけ、大幅に経費が下がることは稀であり、これ以外にも、大ナタを振るったのではないかと思われる。ただ、それでも売上総利益を大きく上回っており、商品売買から得られる利益、マーチャンダイジング力は-1.40%(昨年-2.19%)と、改善してはいるが、マイナス幅が依然として大きいといえる。
そして、これに不動産収入、物流収入等のその他営業収入が1.74%(昨年1.82%)加わり、営業利益は0.34%(昨年-0.37%)となり、赤字から黒字へと転換した。経費比率が大きく改善したことが大きかったといえるが、営業利益率はまだまだわずかなプラスにとどまっており、今後、いっそう、経費比率だけでなく、原価の改善も課題となろう。
特に、マックスバリュ北海道の自己資本比率は25.9%(昨年25.8%)と、昨年よりは若干改善したといえは、25%台、すなわち、約75%を負債に依存する経営構造であり、いかに、負債を圧縮するかが大きな経営課題であるといえる。そこで、この約75%を占める負債の中身を見てみると、有利負債が58.97億円(昨年の本決算時78.49億円)と、昨年の本決算時と比べると、約20億円削減し、総資産238.19億円に占める割合は24.75%である。ただ、これ以上に67.02億円(昨年の本決算時65.14億円)と多額の支払手形及び買掛金があり、総資産に占める割合は28.13%であり、この2項目で総資産の50%を超える状況である。したがって、当面、これら負債が経営に重くのしかかり、いかに、負債の圧縮を行うかが最優先での経営課題といえる。
実際、この第3四半期のキャッシュフローを見てみると、営業活動によるキャッシュフローは12.53億円(昨年7.69億円)と増加しているが、成長戦略を担う投資活動によるキャッシュフローへの配分は0.74億円(2.93億円)と、むしろプラス、建設協力金を回収している状況であり、財務活動によるキャッシュフローに-19.52億円(昨年-2.15億円)と、特に、今期は、営業活動によるキャッシュフロー以上のキャッシュを配分しており、その中身は全額有利子負債への返済である。したがって、すべてのキャッシュを有利子負債への返済へ充てざるをえない状況にあるといえ、この第3四半期決算時のマックスバリュ北海道における最優先での経営課題は、この有利子負債の圧縮にあるといえ、厳しい、やりくりである。
このように、マックスバリュ北海道の2012年1月期の第3四半期決算は増収、営業、経常段階では、昨年の赤字から一転、黒字に転換したが、まだまだ、その黒字幅はわずかであり、経費の徹底的な削減により、生み出されたキャッシュによるといえる。ただ、そのキャッシュも現時点では自己資本比率が25.9%と、負債に約75%を追う厳しい財務構造であるため、最優先で負債の圧縮、特に、有利子負債の削減に充てざるをえない財務状況にあるといえる。マックスバリュ北海道としては、当面、財務改善に最優先で取り組まざるを得ない経営状況にあるといえ、今期、本決算、そして、来期の経営戦略も攻めよりも守りを最優先で進め、どこまで財務の改善をはかれるかが課題といえよう。マックスバリュ北海道が、今後、どのような経営改善策を打ち出すか、今期、本決算に注目である。
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