アオキスーパー、2012年2月期、第3四半期決算!
アオキスーパーが12/26、2012年2月期の第3四半期決算を公表した。アオキスーパーは、「当第3四半期会計期間より非連結となったことから、平成23年2月期第3四半期の経営成績(累計)及び対前年同四半期増減率については記載しておりません。」とのことで、昨年対比は算出されておらず、この決算は、第3四半期決算のみの数値となる。その結果であるが、営業収益655.46億円、営業利益7.59億円、経常利益8.19億円、当期純利益5.64億円となった。今期は、「新設店として10月に六名店をオープンし、8月に中村店を建替えオープンし、7月に加木屋店をリニューアルオープンいたしました。また、3月に総合物流センターを開設し、8月に本社社屋を建設し、本部事務所を移転いたしました。」とのこで、新店、リニューアルもさることながら、本社社屋の建設、物流センターの開設があり、多額の設備投資が発生している。
実際、「固定資産は、前事業年度に比べ、16億11百万円増加し、160億31百万円となりました。これは、主に総合物流センター及び本社社屋等の設備投資によるものであります。」とのことで、約16億円の設備投資が発生している。これは、キャッシュフローでも確認でき、投資活動によるキャッシュフローを見ると、-17.17億円であるが、その大半は有形固定資産の取得による支出-12.73億円に加え、差入保証金の差入による支出が-5.26億円発生しており、これが新社社屋と物流センターへ投資したものと思われる。したがって、今期の新店は六名店1店舗であり、本格的な新規出店は来期の課題となろう。
ちなみに、営業活動によるキャッシュフローは10.65億円であるので、全額を投資活動によるキャッシュフローに回しており、さらに資金調達が必要な状況であるが、財務活動によるキャッシュフローを見ると、-6.00億円とマイナスであるので、内部留保を取り崩して、投資をしていることがわかる。実際、現金及び現金同等物の増減額が-12.52億円となっており、借入金なしで、本社社屋と物流センターへの投資を賄ったことがわかる。アオキスーパーの現預金は期首111.66億円であったが、この第3四半期の決算では107.39億円と減少したが、それでも、100億円を超える現預金であり、豊富なキャッシュである。総資産が283.41億円であるので、比率は37.89%であり、この数字は、食品スーパーマーケット業界、決算公開企業約50社の中ではトップ、極めて高い数字である。
この第3四半期の自己資本比率は51.7%であり、有利子負債は、この第3四半期決算ですべて返済し、0となり、無借金経営となった。ただ、買掛金が90.60億円と、総資産の31.96%と重く、これが自己資本比率をやや低くしている要因であるが、現金の107.39億円を下回るため、相殺すると、実質、自己資本比率は80%を超え、超安定した財務状況であり、新社社屋と物流センターへの投資が借入無しで可能であったことがわかる。
こう見ると、アオキスーパーは、内部留保で新社社屋および物流センターへの投資を賄えるほど、健全な財務状況であるといえ、これで守りの体制が整ったことにより、来期は攻めの経営に転じることが可能となろう。そこで、攻める上で重要なアオキスーパーのP/Lであるが、営業利益が7.59億円と、営業収益の1.15%とやや苦戦しており、その要因を原価、経費面から見てみたい。まずは、原価であるが、83.96%となり、結果、売上総利益は16.04%となった。それにしても、売上総利益が16.04%とは、極めて低い数字であり、食品スーパーマーケット業界の決算公開企業約50社の中でも最も低い数値である。これに対して、経費であるが、18.51%であり、これも食品スーパーマーケット業界、決算公開企業約50社ではベスト3に入る低さである。
これだけ、経費比率が低いにもかかわらず、それ以上に、原価を上げ、結果、売上総利益を下げており、いかに、アオキスーパーがディスカウント戦略に徹しているかがわかる。通常であれば、これだけ低い経費比率であれば、=売上総利益でもディスカウントが十分可能であるといえるが、さらに、それ以上に原価を上げ、結果、売上総利益を下げており、他の食品スーパーマーケットが追随できないマーチャンダイジングを展開しているといえよう。結果、差し引き、マーチャンダイジング力は-2.47%とマイナスである。そして、これに、不動産収入、物流収入等のその他営業収入が3.67%加わり、営業利益は1.20%となった。アオキスーパーとしては、もう1ポイントから2ポイントは改善したいところであろう。
このように、2012年2月期のアオキスーパーの第3四半期決算は、新社社屋と物流センターという多額の投資が発生したが、これを借入無しで、内部留保を取り崩し賄い、さらに、有利子負債を全額返済し、無借金経営となった。これで、攻めの体制が整ったといえ、今後は、この健全な財務を背景に、アオキスーパーの得意とするディスカウント戦略を打ち出し、攻めに転じることができよう。本決算までわずかであるが、今後、そして、来期、アオキスーパーがどのような成長戦略を打ち出すか、その動向に注目である。
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