マルエツ、2012年2月期、第3四半期決算、減収増益!
マルエツが1/6、2012年2月期の、第3四半期決算を公表した。結果は、営業収益2,428.39億円(-2.4%)、営業利益54.31億円(19.9%)、経常利益52.27億円(24.2%)、当期純利益16.67億円(84.4%)となり、減益とはなったが、利益はすべての段階で大幅な増益となった。マルエツ自身は、「小売業界では、震災直後に特需があったものの、お客様の低価格志向や企業間の激しい価格競争によりデフレ状況が続いており、さらに放射能汚染による食品の安全性に対する懸念の顕在化も相まって、厳しい経営環境となっています。」とコメントしており、価格競争、放射能汚染等、厳しい経営環境とのことである。
ただ、このような厳しい経営環境の中でも、営業利益をはじめ、すべての利益が大きく増益に転じた要因を、特に、営業利益について、原価、経費面から見てみたい。まずは、原価であるが、70.02%(昨年71.57%)と、1.55ポイントと大きく改善した。これについて、マルエツは、「商品施策面では、「お手頃価格なのに、プラスワンの価値がある」PB商品「maruetsu365」の開発を継続して推進し、低価格型のマルエツ限定販売商品と併せてご提供に努めました。」とのことで、PBの強化をはかるなど、原価の改善に取り組んだとのことである。結果、売上総利益は、29.98%(昨年28.43%)となった。
一方、経費の方であるが、29.91%(昨年28.79%)と、原価とは一転、1.12ポイントと大きく上昇している。マルエツとしては、「オペレーション改革では、「腰の低い経営体質の実現」を目指し、川崎複合センター稼働による店舗作業の軽減化と「MOP(マルエツオペレーションプランニング)」の深耕により、店舗オペレーションの標準化と人的生産性の改善を進めました。」等、取り組んだとのことであるが、残念ながら、数字にはまだあらわれていないようである。結果、商品売買から得られる利益、マーチャンダイジング力は0.07%(昨年-0.36%)と、マイナスからプラスへと転換、原価改善が寄与したといえよう。これに今後、経費削減が加われば、マーチャンダイジング力はさらに高まり、営業利益の上昇が見込めるものと思われる。
そして、これに、不動産収入、営業収入等のその営業収入が2.22%(昨年2.22%)と、昨年と同じ比率となり、結果、営業利益は2.29%(昨年1.86%)と、大幅な増益となった。原価の改善が大きく、営業利益に寄与したといえよう。なお、当期純利益も、2月期決算企業各社が、資産除去債務会計基準の適用に伴う影響額が発生し、その分減益となるところ、マルエツも6.78億円発生しているが、昨年は転貸損失引当金繰入額16.06億円が発生したため、今期はその分プラスとなり、当期純利益も増益となった。
さて、今期、第3四半期決算の課題は営業収益の-2.4%であるが、これは、既存店の売上高が94.6%となったことが大きいといえる。新規出店は、「新店は、マルエツ屋号店舗として東京都に板橋駅前店、市ヶ谷見附店を、マルエツプチ屋号店舗として東京都に本所四丁目店、渋谷鶯谷町店、中落合一丁目店、富ヶ谷一丁目店、雑司が谷二丁目店、千葉県に千葉みなと駅店の合計8店舗を新設しました。」とのことで、8店舗を出店し、1店舗を閉店、合計262店舗と、期初の255店舗から7店舗増加しているが、この新店ではカバーできなかったといえる。マルエツとしては、既存店の活性化は急務であるが、新店も262店舗の5%、純増で13店舗は欲しいところであり、そのためにも、今後、いかに、財務内容を改善し、新規出店にキャッシュを配分するかが課題といえよう。現在、マルエツの自己資本比率は45.6%(昨年45.7%)であり、食品スーパーマーケット決算公開企業約50社の前期決算の平均が40.5%であるので、この水準は超えているが、トップクラスは60%以上であるので、もう一段階、自己資本比率の改善を目指したいところであろう。
ちなみに、今期の営業活動によるキャッシュフローであるが90.56億円(昨年92.26億円)であり、投資活動によるキャッシュフローは-72.61億円(昨年-80.07億円)であり、約80%を投資、その大半は新規出店関連である。財務活動によるキャッシュフローは-18.88億円(昨年-12.20億円)であり、結果、強気の攻め重視の経営戦略であるといえる。したがって、今後とも攻めの経営を継続するには、マーチャンダイジング力の改善が不可欠であるといえ、同時に、財務の改善も図ってゆきたいところといえよう。
このように、マルエツの2012年2月期、第3四半期決算は、既存店が伸び悩み、減収とはなったが、利益は特に原価改善効果が大きく、いずれの段階でも大幅な増益となった。ただ、経費が大きく下がっており、残念ながら、マーチャンダイジング力はプラスに転じたといえるが、その比率はわずかであり、今後、いかに経費を改善し、マーチャンダイジング力をさらにプラスにもってゆけるかどうかが課題といえよう。このような状況の中でも、マルエツは、この第3四半期のキャッシュフローを見る限り、攻め重視の経営戦略を打ち出しているが、今後、自己資本比率を引き上げ、出店余力を引き上げることも課題といえ、本決算、そして、来期に向け、どのような経営戦略を打ち出すか、その動向に注目である。
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