オークワ、2012年2月期、第3四半期、増収増益!
食品スーパーマーケットの2012年度の第3四半期決算が次々と公表されているが、和歌山県を地盤とするオークワが12/26、2012年2月期、第3四半期決算を公表した。結果は、営業収益2,219.86億円(3.9%)、営業利益42.27億円(12.7%)、経常利益45.18億円(14.6%)、当期純利益13.45億円(-18.7%)と、営業、経常段階では増収増益、特に、利益がいずれの段階でも2桁増となる好決算となった。なお、当期純利益が減益となった要因は、2月度決算企業は今期から適用される資産除去債務会計基準の適用に伴う影響額2.68億円(昨年0)に加え、減損損失11.18億円(昨年0.62億円)が特別損失に計上されたためである。これらは特別損失であるので、P/L上には反映されるが、キャッシュフロー上ではプラスとなるため、キャッシュ面でみれば、増益といえ、この第3四半期決算は好決算であったといえる。
オークワ自身も、「当第3四半期連結累計期間の販売状況は、豊富な品揃えと低価格を実現したスーパーセンター業態、こだわりの商品を取り揃えたメッサ業態などは好調に推移いたしましたが、全業態ベースの既存店売上高は100.1%となりました。」また、続けて、「連結子会社については、高質スーパーを主力とする(株)パレや食品スーパーの(株)ヒラマツが当社とのシナジー効果等により、大幅な経常利益の増加となりました。」と、コメントしており、スーパーセンター、メッサ、子会社が好調であったとのことである。
そこで、オークワの営業利益が2桁の増益となった要因を原価、経費面から見てみたい。まずは、原価であるが、75.01%(昨年75.09%)と、0.08ポイントと、わずかではあるが、改善している。結果、売上総利益は24.99%(昨年24.91%)となった。ちなみに、この売上総利益24.99%は、前期決算における食品スーパーマーケット業界の決算公開企業約50社の平均が24.93%であるので、まさに、平均、オークワは食品スーパーマーケット業界の標準となる売上総利益、そして、標準となる原価といえる。オークワは、食品スーパーマーケットをはじめ、スーパーセンター、ディスカウントストア、高質食品スーパーマーケット、GMS等、様々な業態をもっているが、これらの業態がミックスされて、この数字となっているといえ、絶妙なバランスといえよう。
一方、経費の方であるが、26.47%(昨年26.67%)と、0.20ポイント削減された。したがって、原価よりも、経費の改善がこの第3四半期決算では大きかったといえ、増益に貢献したといえよう。ちなみに、これも前期決算における食品スーパーマーケット業界の決算公開企業約50社の平均は25.18%であるので、やや、高めといえ、高質食品スーパーマーケット、GMS等の高コスト業態が経費を押上げていると思われる。結果、差し引き、商品売買から得られる利益、マーチャンダイジング力は、-1.48%(昨年-1.76%)と、依然としてマイナスではあるが、その幅が、率では20%弱と、大きく改善されている。そして、これに、不動産収入、物流収入等のその他営業収入が3.46%(昨年3.59%)加わり、営業利益は1.98%(昨年1.83%)と増益となった。
こう見ると、営業利益を構成する原価、経費、その他営業収入の中で、大きく改善したのが経費であり、これを見る限り、この第3四半期決算におけるオークワの増益要因は経費削減効果が大きかったといえよう。ちなみに、オークワはその他営業収入を不動産賃貸収入として独立させて計上しており、これを見ると、不動産賃貸収入は、その他営業収入の44.06%(昨年45.57%)であり、約半分弱となる。したがって、物流収入等が残り、50%強となる。
なお、オークワはこの第3四半期決算の決算短信では、キャッシュフロー計算書を公表していないので、今後の経営戦略を推し量るのが難しいが、通期予想を見ると、営業収益2,985.00億円(2.9%:第3四半期3.9%)、営業利益70.50億円(7.8%:第3四半期12.7%)、経常利益72.00億円(6.5%:第3四半期14.6%)、当期純利益20.50億円(-34.0%:第3四半期-18.7%)であり、やや、ひかえめな予想ではあるが、どちらかというと、攻めよりも守りを重視しているといえよう。ちなみに、この通期予想は、「平成24年2月期の業績予想につきましては、当第3四半期の業績を踏まえ検討した結果、現時点においては平成23年4月4日に公表いたしました業績予想からの変更はありません。」とのことであり、この第3四半期の好決算をも考慮しているとのことである。
このように、2012年2月期のオークワの第3四半期決算は、営業、経常段階では増収増益、特に、利益が2桁増となる好決算となった。その要因は原価よりも、経費が改善したことが大きいといえる。これを受けて、通期予想は、やや、ひかえめではあるが、昨年4月時点での予想であり、この第3四半期を考慮しているとのことであるが、恐らく、通期予想を上回り、この第3四半期に近い好調な決算となるのではないかと予想される。今後、オークワがこの好調な決算を受けて、守りから攻めに転じるか、後半、そして、本決算を受けて、来期の経営戦略に注目である。
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