イオン、2012年2月期、第3四半期決算、増収増益!
イオンが1/6、2012年2月期の第3四半期決算を公表した。結果は、営業収益3兆7,482.96億円(0.4%)、営業利益1,018.18億円(9.1%)、経常利益1,145.60億円(13.3%)、当期純利益365.36億円(-25.6%)となり、増収増益、特に、利益が営業、経常段階では大きく改善した。なお、当期純利益は災害による損失-334.34億円、資産除去債務会計基準の適用に伴う影響額-177.73億円と約500億円発生したため減益となった。ただし、これはいずれも、営業活動によるキャッシュフロー上ではプラスとなるため、今期の営業活動によるキャッシュフローは1,621.81億円(昨年1,358.11億円)と、増加しており、キャッシュ面では増益である。
そこで、特に、営業利益が増益となった要因を事業部門別に見てみると、「GMS事業が牽引、サービス、戦略的小型店事業も好調」という結果である。実際の数値は、営業収益、営業利益であるが、GMS事業1兆9,002億円(99.1%:営業利益162億円(+54億円))、SM事業8,461億円(103.9億円:営業利益98億円(+4億円))、戦略的小型店事業1,596億円(113.4%:営業利益55億円(+9億円))、総合金融事業1,242億円(98.4%:営業利益141億円(+6億円))、ディベロッパー事業1,195億円(106.7%:営業利益274億円(+5億円))、サービス事業2,348億円(104.3%:営業利益140億円(+15億円))、専門店事業2,301億円(100.3%:営業利益25億円(+0億円))、アセアン事業637億円(99.3%:営業利益43億円(-5億円))、中国事業761億円(101.88%:営業利益15億円(-4億円))、その他事業1,890億円(104.2%:営業利益-11億円(+11億円))である。
営業収益については、伸び率の高い順に見てみると、戦略的小型店事業113.4%(構成比4.25%)、ディベロッパー事業106.7%(構成比3.18%)、サービス事業104.3%(構成比6.26%)、SM事業103.9%(構成比22.57%)と、これらが伸び率の高い事業である。残念ながら、構成比50.69%のGMS事業が99.1%であるので、全体への影響度は低く、全体が0.4%の伸びに留まったが、今後、営業収益を引き上げるには、このGMS事業が鍵を握っているといえよう。一方、営業利益の方であるが、貢献度の高い順に見てみると、ディベロッパー事業274億円(構成比26.91%)、GMS事業162億円(構成比15.91%)、総合金融事業141億円(構成比13.85%)、サービス事業140億円(構成比13.75%)であり、GMS事業の貢献度が大きかったといえ、GMS事業が回復基調にあるといえよう。
この第3四半期決算で特に、営業利益が好調であった要因のひとつに、ここ最近、イオンがグループをあげて取り組んでいるPB戦略がある。特に、トップバリューの伸び率が顕著であり、第1四半期52品目、第2四半期104品目、第3四半期148品目と、開発品目を順調に増やし、累計3,792億円(116%)と、大きく数字を伸ばした。これを事業部の規模で見ると、第3番目の事業規模であり、トップバリューはいまやイオンの収益を支える大きな存在となったといえよう。また、今期は、生鮮、デリカのPB化にも積極的に取り組んでおり、こまつな、活〆ぶり、まろやか黒毛和牛、牛肉コロッケなどを開発、GMS事業、SM事業の収益改善につながったといえよう。
これを踏まえて、キャッシュフローであるが、営業活動によるキャッシュフローは、先に見たように1,621.81億円(昨年1,358.11億円)と大きく増加した。キャッシュフローでは、災害による損失-334.34億円、資産除去債務会計基準の適用に伴う影響額-177.73億円がそのままプラスになり、これが営業活動によるキャッシュフローを大きくプラスにした要因である。そして、その増加したキャッシュの配分であるが、投資活動によるキャッシュフローへは-2,433.55億円(昨年-670.37億円)と約4倍に増やし、思い切った投資を実施した。その中身は有形固定資産の取得による支出-2,290.18億円(昨年-1,399.77億円)と大半を占め、約1,000億円の増加である。営業活動によるキャッシュフローを上回る投資額であり、超強気の攻めの投資といえよう。
そして、財務活動によるキャッシュフローであるが、154.15億円(昨年-804.92億円)と、プラスとなり、社債、長期借入金で賄ったといえる。したがって、有利子負債は1兆3,316億円(昨年1兆2,024億円)と1,000億円強増加し、総資本に占める割合は31.98%(昨年31.37%)となり、自己資本比率も21.5%(昨年23.5%)と下がった。それにしても、思い切った投資であり、イオンとしては、ここが勝負所とみたようである。
このように、イオンの2012年2月期、第3四半期決算は増収、営業、経常段階では大幅な増益となり、好決算となった。特に、全体の営業収益の50.69%を占めるGMS事業の営業利益が改善したことが大きいといえよう。ただ、気になるのはキャッシュフローであり、増加した営業活動によるキャッシュフローを大きく上回る投資を行い、有利子負債を増やし、自己資本比率が下がったことである。イオンとしては、ここが攻め時との決断をしたと思えるが、結果、財務改善が後手に回ったといえる。今後、残された第4四半期、そして、その後、来期に向けて、イオンがさらに攻めるのか、それとも、財務の安定を重視し、守りに転じるか、今後のイオンの経営決断に注目である。
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