大黒天物産、2012年5月期、中間決算、増収、減益!
大黒天物産が1/12、2012年5月期、中間決算を公表した。結果は、売上高470.74億円(9.4%)、営業利益20.94億円(-7.6%)、経常利益20.87億円(-7.7%)、当期純利益11.16億円(6.4%)と、増収減益となる厳しい決算となった。各食品スーパーマーケットの四半期決算が増収増益、ないしは、減収増益と、利益が好調な決算が多い中、大黒天物産の利益は伸び悩んでおり、ここへ来て、ディスカウント戦略が、この中間決算では、増益に結び付かなかったといえ、厳しい結果となった。ただ、通期予想は、売上高1,005.00億円(12.5%)、営業利益50.20億円(8.8%)、経常利益50.08億円(9.0%)、当期純利益26.70億円(19.2%)と一転、増収増益予想であり、今後、後半、増収増益を目指し、積極的な経営戦略を打ち出すのではないかと予想される。
この中間決算は利益は厳しい結果となったが、売上高は好調であり、9.4%と2桁増に迫る勢いである。また、通期も高い伸び率の予想であり、年商1,000億円を突破する計画である。この中間期でも、「6月にディオ庭瀬店(岡山市北区)、7月にディオ熊野店(広島県安芸郡熊野町)、8月にラ・ムー泉南北野店(大阪府泉南市)、9月にディオ大東店(大阪府大東市)、11月にラ・ムーチャチャ店(岡山県倉敷市)をオープンいたしました。また、既存店のリニューアルとして、ディオ真備店(岡山県倉敷市)とディオ井原店(岡山県井原市)を11月に実施いたしました。」とのことで、積極的な新店戦略を展開している。
実際、この中間期のキャッシュフローを見ると、営業活動によるキャッシュフローは1.71億円(昨年6.39億円)と厳しい中、投資活動によるキャッシュフローは-8.05億円(昨年3.69億円)と、思い切った投資を実施している。その中身の大半は、新規出店関連の有形固定資産の取得による支出-13.12億円(昨年-10.03億円)であり、昨年以上に積極的な投資である。
一方、財務活動によるキャッシュフローであるが、-8.08億円(-7.15億円)と、財務改善にもキャッシュを配分している。その中身は、有利子負債の返済が大半を占めている。結果、双方へのキャッシュの配分が営業活動によるキャッシュフローを大きく上回り、内部留保を取り崩す結果とはなったが、有利子負債が6.00億円(昨年10.00億円)と削減、総資産272.37億円に占める割合は、わずか2.20%となり、いつでも、無借金経営が可能な財務状況となった。結果、自己資本比率も58.0%(昨年53.3%)となり、財務面でも安定化がはかれており、攻めと守りを同時に推し進めた積極的なキャッシュの配分である。
そこで、この中間決算での課題、利益の方であるが、営業利益が-7.6%となった要因を原価、経費面から見てみたい。まずは、原価であるが、77.18%(昨年77.46%)と0.28ポイント改善した。結果、売上総利益は22.82%(昨年22.54%)となった。一方、経費の方であるが、18.36%(昨年17.26%)と1.10ポイントと、大きく上昇している。経費比率の低さは、ディスカウント戦略を押し進めるための原動力といえ、ここが、今期大きく上昇したことが、減益となった要因といえる。結果、差し引き、商品売買から得られる利益、マーチャンダイジング力は4.46%(昨年5.28%)となり、減益となった。大黒天物産は、その他営業収入が計上されておらず、マーチャンダイジング力=営業利益であり、この中間決算では残念ながら減益となった。
ちなみに、前期、食品スーパーマーケットの決算公開企業約50社の経費比率の平均は25.18%である。これと比べると大黒天物産の経費比率は上昇したとはいえ、18.36%と十分に低い数値である。この数値はオーケー15.19%、トライアルカンパニー16.49%、アオキスーパー17.36%につぐ低さであり、経費面での競争力は依然として強いといえよう。ただ、やや気になるは、この上位3社の原価である。オーケー79.2%、トライアルカンパニー82.8%、アオキスーパー84.4%であり、結果、売上総利益は、オーケー20.8%、トライアルカンパニー17.2%、アオキスーパー15.6%であり、大黒天物産の22.82%と比べ、かなり、低いといえる。原価は売価に直結するといえ、ディスカウント戦略を全面に押し出すには、原価をむしろ上げ、それ以上に経費比率を下げる経営戦略を打ち出すことがポイントといえよう。大黒天物産としては、いかに、原価を上げ、結果、売上総利益を下げ、競争力を一層増し、それを支える経費比率をさらに下げられるかが、今後の課題といえよう。
このように、2012年5月期の大黒天物産の中間決算は、積極的な新規出店への投資が寄与し、大きく増収となったが、残念ながら、原価の改善は見られたが、経費の大幅な上昇が響き、結果、マーチャンダイジング力が下がり、減益となった。本来であれば、ディスカウント戦略を打ち出すには、可能な限り、原価を維持するか、敢えて上げ、競争に打ち勝つ価格を強く打ち出したいところであろうが、残念ながら、今期は経費を上げ、原価も上昇しており、ディスカウント戦略とは逆の方向に動いているといえる。したがって、今後、後半に向けて、大黒天物産がディスカウント戦略を敢えて打ち出すのか、この中間決算のように、ディスカウント戦略を緩和するのか、その決断に注目である。
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