セブン&アイH、2012年2月、第3四半期、減収増益!
セブン&アイHが2012年2月期の第3四半期決算を1/6公表した。いよいよ、GMS、食品スーパーマーケット業界も2月期決算の公表がはじまった。第3四半期決算は本決算前の最後の四半期決算であり、決算の75%が確定、したがって、本決算を占う上で重要な数字となる。その結果であるが、営業収益3兆5,484.80億円(-7.2%)、グループ売上高6兆46.61億円(6.4%)、営業利益2,162.16億円(23.0%)、経常利益2,172.53億円(23.3%)、当期純利益836.56億円(-7.3%)となり、減収、営業、経常段階では大幅増益となる結果となった。当期純利益が減益となったのは、「四半期純利益は、特別損失におきまして東日本大震災の発生に伴う災害による損失245 億円と資産除去債務会計基準の適用に伴う影響額225 億円を計上したことなどにより836 億5 千6 百万円(同7.3%減)となりました。」とのことで、特別損失が発生したためである。
なお、営業収益に加え、同時にグループ売上高が公表されているが、これは、「グループ売上は、セブン-イレブン・ジャパン及び7-Eleven,Inc.におけるチェーン全店売上高を含めた数値を表示しております。」とのことで、いわゆるフランチャイズフィーではなく、売上高を計上した場合の数字である。一般に、コンビニの決算は営業収益として、フランチャイズフィーを計上するので、他の小売業の売上高と比較がしにくいが、このように別途売上高を計上すると、他の小売業との比較がしやすくなる。
では、これを事業部別にみると、どのような結果となったかであるが、営業収益、そして営業利益であるが、コンビニエンスストア事業1兆2,842.57億円(82.6%:営業利益1,669.98億円( 106.6%))、スーパーストア事業1兆4,652.55億円(99.9%:営業利益218.05億円(1,591.6%))、百貨店事業6,471.25億円(97.9%:営業利益14.67億円(前期は赤字))、フードサービス事業581.29億円(95.9%:営業利益-3.36億円(前期は赤字))、金融関連事業966.93億円(118.8%:営業利益254.37億円(115.0%))、その他の事業350.59億円(137.4%:営業利益13.69億円(前期は赤字)という結果となった。
営業収益、営業利益ともにコンビニエンスストア事業、スーパーストア事業の貢献度が大きく、営業収益では、コンビニエンスストア事業36.19%、スーパーストア事業41.29%であり、合計77.48%を占める。一方、営業利益では、コンビニエンスストア事業77.23%、スーパーストア事業10.08%であり、コンビニエンスストア事業が大半を占めており、合計87.31%という状況である。百貨店事業は黒字転換したが、その数字はわずかであり、フードサービス事業は依然として赤字が続いており、厳しい状況である。したがって、セブン&アイHはコンビニエンスストア事業の存在があまりにも大きく、これに売上高を加えた場合は圧倒的な存在となり、コンビニエンスストア事業への事業依存度が極端な事業構造であるといえよう。
このような中で、食品スーパーマーケット業界としては、気になるヨークベニマルの状況であるが、営業収益2,564.23億円(100.8%)、営業利益118.83億円(211.9%)となり、増収増益の好決算となった。特に、営業利益が急回復しており、東日本大震災の影響を乗り越えたといえよう。店舗数も174店舗(+4店舗)、客数は-4.7%と減少したが、客単価が5.7%増と、これをカバーしての増収である。また、部門別にみると、食品100.7%(構成比74.9%)、衣料103.3%(構成比5.0%)、住居105.2%(構成比5.8%)という結果であり、特に、住居の伸びが顕著である。
では、セブン&アイHがこのような経営状況の中、獲得したキャッシュをどのように配分したかであるが、まずは、営業活動によるキャッシュフローであるが、3,890.74億円(昨年2,309.75億円)と、約1,500億円増加した。この豊富なキャッシュフローをどう配分したかであるが、投資活動によるキャッシュフローへは3,353.66億円(昨年2,388.16億円)と、約1,000億円増やしている。その中身であるが、有形固定資産の取得による支出-1,544.73億円(昨年-1,991.39億円)、投資有価証券の取得による支出-1,536.92億円(昨年-1,941.41億円)、事業承継による支出-1,357.94億円(昨年なし)と、ほぼ3分割し、しかも、営業活動に占める割合は86.19%であるので、キャッシュの大半を投資に充てているといえる。
そして、財務活動によるキャッシュフローであるが、-301.38億円(昨年-382.91億円)と、営業活動によるキャッシュフローの7.74%であり、いかに、投資を重視した積極的な攻めのキャッシュの配分であるかがわかる。今期、自己資本比率は43.4%(昨年45.6%)、有利子負債は7,478.05億円(昨年7,534.83億円)、総資産に占める割合は18.9%であり、財務改善にもキャッシュを配分したいところかと思うが、この第3四半期決算では、思い切った投資への配分をしており、この厳しい経営環境の中で、強気の経営の意思が感じられるキャッシュフローといえよう。
このように、セブン&アイHの2012年2月期の第3四半期決算が公表されたが、結果は減収、営業、経常増益となり、利益が大きく改善する決算となった。ただ、その中身は、依然としてコンビニエンスストア事業に営業収益、営業利益ともに大きく依存する構造であり、今後、回復基調にあるスーパーストア事業の収益を、いかに改善できるかどうかが課題といえよう。 また、今回のキャッシュフローを見ると、投資活動によるキャッシュフローに営業活動によるキャッシュフローの90%弱を配分するという、攻めの姿勢を鮮明にしており、今後、セブン&アイHが守りに入るのではなく、攻めに転じようとする強い、経営の意思が感じられる。残り、四半期、そして、来期へ向けて、セブン&アイHがどのような積極的な経営戦略を打ち出すか、注目である。
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