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January 12, 2012

セブン&アイHとイオンのMD力を比較、異変!

   1/6、セブン&アイH、イオンの2012年2月期の第3四半期決算が同時に公表された。本ブログでは、すでに、その内容を取り上げたが、ここで、両企業のマーチャンダイジング力について改めて取り上げ、双方の比較検討を試みてみたい。両企業ともGMSを主体にした総合小売業であり、そのグループにはコンビニ、金融関連もあり、GMSだけの数値ではなく、商品売買以外の収入、すなわち、その他営業収入が大きなウェイトを占めるが、それを含め、どのような違いがあるかを見てみたい。

   まずは、マーチャンダイジング力であるが、マーチャンダイジング力は原価から売上総利益を算出し、そこから経費を差し引いたものであり、純粋に商品売買から得られる利益のことである。通常のP/Lでは売上総利益にその他営業収入が加わり、ここから経費を差し引いて営業利益を算出しており、商品売買から得られた利益、すなわち、マーチャンダイジング力が示されていない。したがって、マーチャンダイジング力を算出するには、実際のP/Lから改めて集計し直す必要がある。もちろん、その他営業収入が極めて少ない場合、あるいは、計上されていない場合にはマーチャンダイジング力=営業利益となるので、P/Lからもマーチャンダイジング力は算出できるが、チェーンストアの場合は物流収入、不動産収入等がその他営業収入となり、売上高のかなりの比率を占めるのが実態であり、マーチャンダイジング力を敢えて算出し、経営の実情を把握する必要があるといえる。

   さて、まずは、原価であるが、セブン&アイH76.75%(昨年74.24%)となり、2.51ポイントと大きく上昇した。結果、売上総利益は23.25%(昨年25.76%)となった。一方、イオンであるが、73.12%(昨年73.04%)となり、0.08ポイントとわずかに上昇した。結果、売上総利益は26.88%(昨年26.96%)となった。こう見ると、原価はイオンの方が3.63ポイント低いといえ、事業構造の違いもあると思われるが、セブン&アイHは、特に、昨年よりも大きく上昇したこともあり、厳しい状況である。

   次に、経費の方であるが、セブン&アイHは35.53%(昨年33.76%)と1.77ポイント上昇しており、原価同様、厳しい結果である。一方、イオンであるが、35.97%(昨年36.06%)と0.09ポイント改善した。したがって、セブン&アイHは経費が上昇、イオンは経費が減少し、結果、双方がほぼ近い経費比率となった。結果、差し引き、商品売買から得られる利益、マーチャンダイジング力は、セブン&アイH-12.28%(昨年-8.00%)と、大きくマイナスとなり、一方、イオンは-9.09%(昨年-9.10%)とほぼ昨年同様の数字となった。

   それにしても、セブン&アイHもイオンもマーチャンダイジング力は大きくマイナスであり、商品売買からの利益では、営業利益を黒字化することは難しい経営構造といえる。そして、これに、不動産収入、物流収入等のその他営業収入が加わり、営業利益となるが、その、その他営業収入は、セブン&アイH 19.56%(昨年13.21%)、一方、イオンは12.15%(昨年11.91%)となり、結果、営業利益は、セブン&アイH 7.28%(昨年5.21%)、一方、イオンは3.06%(昨年2.81%)と、双方、大幅な増益となった。
  
   実は、今期からセブン&アイHは、会計基準を変えている。これまで見たように、昨年と比べ大きな数字の変動が見られるが、これは、「米国連結子会社の7-Eleven, Inc.は、従来、フランチャイジーによる売上高、売上原価、販管費を同社の財務諸表に含めて認識しておりましたが、コンビニエンスストア事業における会計処理の整合性を考慮し、第1四半期連結会計期間より、フランチャイジーからのチャージ収入を営業収入として認識する会計処理に変更しております。これにより、営業収益は394,915 百万円減少しておりますが、営業利益、経常利益および税金等調整前四半期純利益への影響はありません。」とのことである。したがって、セブン&アイHは昨年対比に関しては、来期以降、正確な比較が可能になるといえよう。
  
   こう見ると、セブン&アイHのマーチャンダイジング力は、これまでの会計内容と比べ、原価、経費、そして、その他営業収入すべてが変化したため、昨年と比較するのが難しい状況といえる。特に、その他営業収入が大幅に増加しており、米国の7-Eleven, Inc.の会計処理の変更が、原価、経費、その他営業収入に大きく影響し、小売業特有の原価、経費の判断が難しい状況にあるといえる。それだけ、セブン&アイHにとって、コンビニエンスストア事業への依存度が大きいかがわかる決算内容といえよう。会計上からいえば、コンビニは小売業というよりも、その他営業収入で一括処理される不動産収入と同等な事業といえる。その意味で、今後、セブン&アイHの小売業としてのマーチャンダイジング力を正確に把握するためにも、事業部ごとのセグメント状況をより一層ディスクローズして欲しいところである。
  
   このように、セブン&アイHとイオンのマーチャンダイジング力、及び、その他営業収入を加えた営業利益を比較してみたが、セブン&アイHが米国の7-Eleven, Inc.の会計処理を今期から変更しため、営業利益の比較はできるが、マーチャンダイジング力の比較は昨年と大きく変わっており、構造変化が見られる。セブン&アイHはもはや小売業としての比較が難しい状況にあるといえよう。それだけ、コンビニエンスストア事業の依存度が高いためであるといえる。その意味で、セブン&アイHの経営は小売業というよりも、コンビニ主体の新たな流通事業グループであるとの再認識が必要といえよう。

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