キャッシュの源泉は、顧客にあり!
キャッシュの源泉は通常、商品にあると認識されているが、実はその大本は当然のことながら顧客にある。直観的には誰もがわかっていることではあるが、その実態を正確に確認したものは少ない。なぜなら、現在の食品スーパーマーケットのPOSシステムがPLU(Price Look Up)を基本技術とした商品の売上げ、キャッシュを管理する仕組みになっているからである。したがって、キャッシュの管理は、商品の単品管理が基本であり、商品1品1品の売上げからキャッシュを把握することになる。商品分析とはつまるところ、どの商品からどれだけキャッシュが獲得できるかを分析し、その結果から、いわゆる売れ筋、死筋を見つけ、死筋をカットし、売れ筋を強化し、新たな売れ筋となる可能性の高い新商品を導入することに他ならない。
では、その商品の大本が顧客にあることを直感どおり、正確に把握する方法があるかであるが、そのためには、キャッシュを商品からではなく、顧客1人1人から把握する仕組みを導入することが必要である。そのひとつの技術がID-POS分析である。ID-POS分析から顧客1人1人から得られるキャッシュを把握するには大きく、2つの段階がある。ひとつは、既存のPOSシステムに何らかの顧客を識別できるポイントカードなどを導入し、顧客ごとにキャッシュを把握することである。実際、これは広く普及しており、現在では大半の食品スーパーマーケットで活用されている。
ここから、いわゆるFSP(Frequent Shoppers Program:フリークエント・ショッパーズ・プログラム)が生れ、数多くの事例ができた。最も成功した事例は、残念ながら食品スーパーマーケットではなく、航空業界であり、いわゆるマイレージが、まさに、FSPの典型的な成功事例といえる。この成功事例を食品スーパーマーケットにも導入を図ったが、残念ながら決定的なインパクトを与えるまでにはいっていないといえよう。FSPが効力を発揮するには、いくつかの条件がある。その条件とは商品数が少ない、商品単価が高い、顧客属性が比較的把握しやすい、この3つが大きなポイントとなる。
なぜなら、FSPは顧客1人1人の購入金額を把握し、その購入金額に応じてキャッシュバック(ポイントバック)を行い、そこにインパクトを与え、顧客を囲い込むのが目的であるからである。さらに、その後、顧客1人1人の顧客属性を分析し、キャッシュをより多くもたらす可能性の高い顧客へのマーケティングを実践し、新規顧客獲得を目指すことにある。これをキャッシュの動きで見ると、既存顧客からの最大のキャッシュを引出し、その結果をもとに、新たなキャッシュを獲得できる可能性の高い新規顧客獲得を目指すことにあるといえる。実に、理にかなったキャッシュ獲得手法であり、航空業界にピタリはまるのは当然といえる。
航空業界は食品スーパーマーケットと比べ、圧倒的に商品数が少なく、商品単価はおよそ100倍、顧客属性は安全性のためもあり、食品スーパーマーケットと比べ数倍詳細なデータが把握できる。したがって、1%の顧客還元でもインパクトが大きく、10%還元ともなれば、食品スーパーマーケットの想像を絶するインパクトとなる。また、その結果を顧客属性ごとに分析でき、マーケティングへ活かすこともできる。食品スーパーマーケットとは対照的なビジネスモデルであるといえよう。
したがって、食品スーパーマーケットが航空業界のようなFSPを実施しても、それなりのインパクトはあるが、食品スーパーマーケットの経営構造を変えるようなインパクトは難しいといえ、食品スーパーマーケットとしては、ID-POS分析を実施するにはもうひとつの段階に踏み込む必要がある。それが、食品スーパーマーケットの取扱商品、何万という商品1品1品と顧客1人1人をリンクさせ、これまでの商品の単品管理をID-POS分析の観点から、顧客視点にもとづき全面的に見直し、商品ごとに顧客1人1人のキャッシュを正確に把握することである。
いわば、食品スーパーマーケットが何10年にもわたって積み重ねてきた単品管理の技術とID-POS分析により新たに可能となった顧客1人1人からのキャッシュを把握する技術を融合させた、新マーチャンダイジングともいうべき、単品「顧客」管理手法を開発することである。そして、これが可能になることにより、キャッシュを商品からのみでなく、顧客1人1人から把握することが可能となり、キャッシュの源泉が顧客1人1人にあり、それは商品1品1品を通じてもたらされていることがはじめて明らかになる。
今後、食品スーパーマーケットは恐らく、このような方向に進んでゆき、これまでのようにキャッシュを商品からのみ把握するのではなく、顧客1人1人から、商品1品1品を通じて把握することになり、単品管理から単品「顧客」管理の時代へと入ってゆくことになろう。それが、ID-POS分析の役割であるといえ、目指すべき方向であるといえる。ID-POS分析は、その意味で、顧客をキャッシュという観点から捉えなおし、最終的には食品スーパーマーケットのキャッシュフローを顧客を通じて改善する強力な武器となり、同時に、新たなマーチャンダイジング戦略を構築してゆくことになろう。
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