食品スーパーマーケット、好調、日経新聞で特集!
1/12の日経新聞に、食品スーパーマーケットの2012年度の第3四半期決算の記事が掲載された。記事のタイトルは、「10社中9社が増益に、食品スーパーの3~11月経常」、「「内食志向」が追い風」である。広域スーパーとして、本ブログでも取り上げたライフコーポレーション、マルエツ、アークス、オークワ、マックスバリュ西日本、そして、地域スーパーとして、カスミ、マックスバリュ東海、サンエー、タイヨー、ベルクの10社の売上高と経常利益の一覧表が掲載された記事である。
この一覧表を見ても、鮮明なのは経常利益である。見出しにあるように、10社中9社が増益であるだけでなく、この内、7社が2桁増であり、伸び率が顕著である。これに対して、売上高は、経常利益同様10社中9社が増収であるが、2桁の伸びは1社のみであり、ほとんどが数%の伸びに留まっているのが実態である。したがって、各食品スーパーマーケットが、この第3四半期決算では、売上げよりも利益、攻めよりも、守りを重視しているといえる。
そこで、特に、この記事に掲載された広域スーパー5社の利益構造をさらに掘り下げてみたい。すでに、本ブログでは、この5社については、この第3四半期決算の内容を取り上げているので、これをもとに比較検討してみる。記事では経常利益について取り上げているが、ここでは、営業利益について、特に、食品スーパーマーケットにとって、最も重要な、原価、経費の関係、マーチャンダイジング力の面から比較検討してみる。
まずは、原価であるが、ライフコーポレーション73.38%(昨年73.84%)、0.46ポイントの改善、結果、売上総利益26.62%(昨年26.16%)、マルエツ70.02%(昨年71.57%)、1.55ポイントの改善、結果、売上総利益29.98%(昨年28.43%)、アークス76.89%(昨年77.15%)、0.26ポイントの改善、結果、売上総利益23.11%(昨年22.85%)、オークワ75.01%(昨年75.09%)、0.08ポイントの改善、結果、売上総利益24.99%(昨年24.91%)、そして、マックスバリュ西日本76.78%(昨年76.06%)、0.72ポイントの上昇、結果、売上総利益23.22%(昨年23.94%)という結果である。
こう見ると、記事の一覧表にもあったとおり、経常利益が減少したマックスバリュ西日本のみ原価が上昇し、厳しい結果であったといえる。他の4社はいずれも、原価が改善しており、特に、記事の中でも言及されているが、マルエツの原価改善が顕著である。したがって、食品スーパーマーケットのこの第3四半期の増益の要因はまずは、この原価改善が進んだことにあるといえよう。
一方、マックスバリュ西日本は唯一原価の上昇が見られるが、これは、売上げを重視し、ディスカウント路線を鮮明に打ち出し、積極的にディスカウント業態、ザ・ビックを出店し、価格競争に打って出たことも大きいといえよう。ちなみに、この地域で競合となる大黒天物産の直近の決算、2012年5月期中間も減益となっており、この地区では激しい価格競争が繰り広げられているといえ、その影響も大きいといえよう。
次に、経費の方であるが、ライフコーポレーション27.57%(昨年27.17%)と、0.40ポイント上昇、マルエツ29.91%(昨年28.79%)、1.12ポイントと大きく上昇、アークス20.08%(昨年19.93%)、0.15ポイント上昇、オークワ26.47%(昨年26.67%)、0.20ポイント減少、そして、マックスバリュ西日本23.49%(昨年23.84%)、0.35ポイント減少と、ここでは、2つに分かれた。
結果、差し引き、商品売買から得られる利益、マーチャンダイジング力は、ライフコーポレーション-0.95%(昨年-1.01%)、0.06ポイント改善、マルエツ0.07%(昨年-0.36%)、マイナスからプラスへと転換、アークス3.03%(昨年2.92%)、0.11ポイント改善、オークワ-1.48%(昨年-1.76%)、0.28ポイント改善、そして、マックスバリュ西日本-0.27%(昨年0.10%)、一転、プラスからマイナスへと転じた。したがって、マックスバリュ西日本以外は、マーチャンダイジング力がプラスとなった。原価改善が寄与したライフコーポレーション、マルエツ、アークス、双方が寄与したオークワ、そして、経費の改善はできたが、原価の上昇が響いたマックスバリュ西日本という結果である。
こう見ると、この第3四半期決算の増収要因は原価が鍵を握っているといえ、原価を改善できたライフコーポレーション、マルエツ、アークス、オークワはいずれも増益、原価を改善できなかったマックスバリュ西日本が減益と明暗が分かれた。ただ、原価は価格と密接な関係があるため、原価改善=売価上昇となりかねず、ここをいかに、コントロールするかが課題といえよう。
このように、日経新聞の記事で取り上げられた食品スーパーマーケットの好調さの要因は、特に、広域スーパーの中身を分析すると原価改善による効果が大きったといえる。この第3四半期決算はその意味で、いかに原価を改善できかたかどうかが増益の鍵を握っていたといえよう。改めて、食品スーパーマーケットにとって、原価の重要性が浮き彫りになったといえ、今後、残された本決算に向けて、原価の改善をいかにはかるかが、増益をもたらす課題といえよう。その意味で、各社、どのように、原価改善に踏み込み、増益決算を目指すか、今後の動向に注目である。
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