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January 08, 2012

マクドナルド、客数アップ戦略、鮮明!

   1/5の日経新聞に、マクドナルドの原田泳幸CEOのインタビューが全面広告で掲載された。マクドナルドは12月決算であるので、2012年度決算が終了したタイミングでの全面広告であり、その結果を踏まえての原田CEOのインタビューであると思われる。実際、冒頭では、「3月の東日本大震災とその後の連鎖的な環境変化で、顧客の動きをつかむのが本当に難しい1年になりました。」と、決算が終了しての感想であることがわかる。続けて、「それでも、9月以降急激に盛り返し、私がマクドナルドに移って以来、8年連続で既存店売上高が前年を上回ることがほぼ見えてきました。・・、当社にかかわるすべての人にとって自信と手ごたえを感じた年になったと思います。」とコメントしており、好決算を示唆する内容である。

   実際、マクドナルドの2012年度の既存店の売上高の推移を見てみると、1月2.2%(客数2.4%、客単価-0.2%)、2月 4.3%(客数14.0%、客単価-8.5%)、3月-7.2%(客数-6.7%、客単価-0.4%)、4月3.9%(客数3.8%、客単価0.1%)、5月1.2 %(客数-0.9%、客単価2.0%)、6月1.2%(客数1.1%、客単価0.1%)、7月-3.6%(客数-0.8%、客単価-2.9%)、8月-7.9%(客数-5.7%、客単価-2.4%)、9月5.0%(客数2.8%、客単価2.2%)、10月1.7%(客数1.9%、客単価-0.2%)、11月8.7%(客数13.5%、客単価-4.2%)、12月5.0%(客数3.3%、客単価1.6%)である。

   こう見ると、1月、2月は客数アップ、3月の東日本大震災で大きく客数が落ち込んだために、戦略転換、客単価アップ、そして、インタビューでのコメントを裏付けるように、9月以降、客数アップに大きく舵を切り、「急激に盛り返す」ことになる。いかに、マクドナルドにとって、客数アップ戦略が重要な転機となったかがわかり、実際に、数字がそれを裏付けているといえよう。

   また、10/28に公表されたマクドナルドの2012年12月期、第3四半期決算を見ると、「Big America2(テキサスバーガー、アイダホバーガー、マイアミバーガー、マンハッタンバーガー)をはじめ、イタリアンハーブ、カリフォルニアコブといったアイコンチキンシリーズや、メガマック、チキンタツタなど魅力ある商品を継続的に展開し、東日本大震災の影響による顧客数の落ち込みを最小限にとどめました。」とのことで、東日本大震災による客数の落ち込みをカバーする対策として、積極的な魅力的な商品投入により、客単価アップに走ったことがわかる。さらに、7月、8月に関しては、「夏場には炭酸ドリンク全サイズを100円で提供する等、節電要請に対応する中で売上高を確保するための施策を積極的に展開いたしました。」とのことで、客数アップも打ち出したとのことである。

   こう見ると、マクドナルドは客数アップ戦略と客単価アップ戦略を意図的に打ち出しており、その結果が既存店の客数、客単価にそのまま表れており、今回の東日本大震災という経営環境が激変する中でも冷静に状況に応じた対応がなされ、それが、9月以降の好調な要因を作り出したといえよう。

   一般に、小売業の売上高は、売上高=客数×客単価と分解でき、売上高を上げるには客数アップ戦略か、客単価アップ戦略かがポイントとなる。ただ、これがID-POS分析になると、売上高=ID客数×ID金額PI値となり、ID金額PI値=ID客数PI値×金額PI値(客単価)となるので、ID-POS分析では、実は戦略が3つとなる。そして、共通するのは金額PI値(客単価)であるので、ここは変わらないが、客数がID客数とID客数PI値に分化し、より、深い戦略構築がポイントとなる。ちなみに、客数(レシート客数)=ID客数×ID客数PI値であり、ID客数PI値=ID客数/客数(レシート客数)となる。したがって、従来の客数アップにはID-POS分析から見ると、2つの戦略が存在することになる。ひとつは、ID客数アップ戦略、すなわち、絶対客数を増やすこと、そして、もうひとつは、そのID客数のID客数PI値アップ戦略、すなわち、購入頻度を増やすことである。

   これがID-POS分析の時代の基本戦略であり、恐らく、今後は、客数アップ戦略をID客数とID客数PI値とに分けて検討してゆくことになろう。実は、マクドナルドでは、今回の原田CEOのインタビューを見ると、このことが示唆されている。「時間帯ごとの人員配置では、従来は30分単位で店舗ごとに来店客数の想定に基づいて、クルーの必要人数を定めていました。」とのことで、これは客数を前提としているが、それが、「新たに取り入れるシステムではもっときめ細かく、「何アイテム買うお客様がいつ、何人来店されるか」、という予測から必要になるクルーの数をはじき出します。」とのことで、予測ではあるが、ID-POS分析を示唆し、ID客数を想定しているといえよう。

   このように、マクドナルドは客単価アップ戦略よりも、客数アップ戦略を得意とするといえ、その効果が、東日本大震災以降如実に表れたといえよう。また、今期も全体的には客数アップ戦略が功を奏しているといえ、さらに、ここ数年も、その傾向が強いといえる。その意味で、今後、ID客数に踏み込むことで、ID客数とID客数PI値の戦略も必然的に構築してゆくことになるといえ、今後のマクドナルドの客数アップ戦略に注目である。

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