船井総研、2011年12月本決算、嵐の前の静けさ?
22.40億円(昨年17.87億円)、-3.17億円(昨年-13.93億円)、-7.36億円(昨年-6.38億円)、11.85億円(昨年-2.43億円)、43.57億円(昨年31.71億円)、この数字は、1/31に公表された船井総研の2011年12月期、本決算のキャッシュフローの数字である。昨年と一転、攻めから、守りに入り、次の展開に向けて、じっと身をかがめ、力を蓄えている様子が伺える決算といえよう。もちろん、今期は、3/11の東日本大震災の影響により、特に前半では船井総研も厳しい経営環境となり、そのことも影響していると思われるが、それにしても、ここまで、守りを固めるのは、気になるところである。
このキャッシュフローの数字であるが、22.40億円(昨年17.87億円)が営業活動によるキャッシュフローであり、今期は増加、特に、営業利益が19.00億円(8.1%)となったことが大きく、当期純利益も11.96億円(105.2%)と、昨年の2倍となった。したがって、今期は、潤沢なキャッシュが獲得できたといえる。
ちなみに、その要因あるが、原価と経費から見てみたい。まずは、原価であるが、64.85%(昨年64.41%)と、0.45ポイント改善した。結果、売上総利益は35.15%(昨年35.59%)となった。一方、経費の方であるが、12.95%(昨年15.28%)と、2.33ポイントと大きく減少した。今期の営業収益が85.67億円(昨年86.63億円:98.89%)であるので、2.33%は1.99億円、約2億円の削減であり、これが今期、増益となった主な要因といえよう。結果、営業利益は22.20%(昨年20.31%)となり、増益となった。したがって、今期の営業活動によるキャッシュフローの増加要因は、この経費削減効果が大きかったといえ、税金等調整前当期純利益も16.47億円(昨年10.56億円)と大幅に増加している。
そこで、この潤沢なキャッシュをどう配分したかであるが、冒頭の-3.17億円(昨年-13.93億円)が投資活動によるキャッシュフローである。この数字を見る限り、昨年は-13.93億円、営業活動によるキャッシュフローの77.95%を投資に配分しているが、今期は、-3.17億円、わずか14.15%の配分であり、戦略転換が起こっている。今期は投資を徹底的に控え、キャッシュを温存したといえる。ちなみに、昨年は有形固定資産の取得による支出-18.43億円と、これが最大の投資であり、ついで、有価証券の取得による支出-10.08億円、投資有価証券の取得による支出-5.33億円と、有価証券関係への投資である。今期も有価証券の取得による支出-12.10億円が最大の投資である、同時に売却も13.00億円あり、相殺されており、結果、-3.17億円と、投資活動によるキャッシュへの配分はわずかとなった。
では、財務活動によるキャッシュフローはどうかであるが、そもそも、船井総研は自己資本比率が83.1%(昨年83.5%)と、超健全な強固な財務状況にあるといえ、財務活動によるキャッシュフローは配当に絞られるといえる。実際、今期も、有利子負債関連は、短期借入金-1.00億円とリース債務へ-0.13億円であり、わずかである。その配当であるが、-6.15億円(昨年-7.03億円)と、昨年より減少しており、営業活動によるキャッシュフロー比で見ると、27.45%(昨年39.33%)である。したがって、配当比率を昨年よりも下げており、結果、財務活動によるキャッシュフローは、冒頭の数字、-7.36億円(昨年-6.38億円)となる。本来であれば、営業活動によるキャッシュフローが昨対125.34%と大きく増加しているので、配当も増加しても良いと思われるが、むしろ、削減しているといえ、それだけ、キャッシュアウトを抑制したといえよう。
結果、冒頭の次の数字、現金及び現金同等物の増減額は、11.85億円(昨年-2.43億円)と、マイナスからプラスに転じ、大幅な増加となった。そして、最後の冒頭の数字、現金及び現金同等物の期末残高は43.57億円(昨年31.71億円)と大きく増加、豊富なキャッシュを確保することとなった。今期の営業収益が85.67億円であるので、その比率は50.85%となり、自己資本比率83.1%もさることながら、キャッシュも潤沢に確保する決算となったといえよう。
こう見ると、今期の船井総研の決算は、東日本大震災という未曽有の災害により、営業収益には影響があったものの、結果的に、経費が大きく改善し、さらに原価も改善したことにより、営業利益が大きく増加し、豊富なキャッシュを確保したといえる。そして、その潤沢なキャッシュを投資、配当を控え、キャッシュアウトを抑制し、キャッシュイン、内部留保に大半を充てたといえる。本来であれば、配当を最優先し、キャッシュの還元を株主にするか、あるいは、次の成長戦略に思い切った投資を決断しても良いように思えるが、どちらも封印し、内部留保を最優先しており、来るべき攻めの時、タイミングをじっと待っているようなキャッシュの流れであるといえよう。
このように、2011年12月期の船井総研の決算は攻めよりも、明らかに守りを重視した決算といえ、キャッシュアウトを極力抑制し、豊富なキャッシュを確保したといえよう。当然、このキャッシュは、今後、攻めに充てるものと思われるが、今後、いつ、どのようなタイミングで攻めに転じ、積極的な経営戦略を打ち出すのか、まさに、今期は、嵐の前の静けさがただよう静かな決算といえよう。
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