ジョイス、2012年2月期、第3四半期決算、減収増益!
ジョイスが1/10、2012年2月期の第3四半期決算を公表した。ジョイスは、岩手県を中心に秋田県1店舗を含め37店舗を展開する食品スーパーマーケットである。昨年の3/11、東日本大震災でも被害を受け、現在も営業が厳しい店舗もあるが、結果は、営業収益282.16億円(-8.7%)、営業利益11.86億円(253.6%)、経常利益13.09億円(203.8%)、当期純利益-8.47億円となり、営業、経常段階では減収大幅増益となった。ただ、当期純利益は、「資産除去債務会計基準の適用に伴う影響額3億72百万円、震災の影響による災害損失14億41百万円などを特別損失に計上したことにより、・・」とのことで、特に、震災の影響が大きく、厳しい結果となった。
ジョイスの現時点での被災状況であるが、「被災店舗の復旧状況につきましては、店舗が津波により流失した「大槌店」(岩手県上閉伊郡)及び「山田店」(岩手県下閉伊郡)は、大槌町における宅配による販売のほか、平成23年12月より、同町内にて仮設店舗の営業を開始いたしました。建替え等の本格的な復旧については、地域の復興計画が示された後となりますが、積極的に検討していく予定です。また、建物が損壊した「みたけ店」(岩手県盛岡市)は、建物の損壊が大きいことから現在の店舗での営業再開を断念いたしました。」と、現時点でも、3店舗が営業困難な状況にあるとのことである。
ただ、このような厳しい中でも、新規出店をはたしており、「新規出店につきましては、平成23年7月に「盛岡緑が丘店」(岩手県盛岡市)を開店いたしました。同店は「食の提案型スーパーマーケット」店舗として、「できたて、つくりたて、プレクック(半加工)」を基本とした「鮮度と味の追求」にこだわったMD(商品政策)をさらに数多く導入いたしました。」とのことで、「食の提案型スーパーマーケット」を目指して、新規出店したとのことである。
実際、キャッシュフローを見ても、営業活動によるキャッシュフロー13.19億円(昨年-10.56億円)の内、-9.28億円(昨年-8.58億円)を投資活動によるキャッシュフローに回している。しかも、その内、新規出店がらみの投資、有形固定資産の取得による支出-8.93億円(昨年-7.96億円)と、営業活動によるキャッシュフローの67.70%を充てており、積極的な経営戦略を打ち出しているといえよう。また、財務活動によるキャッシュフローを見ると2.41億円(昨年3.46億円)とプラス、逆に、キャッシュを調達しており、それだけ、投資を強く打ち出しているといえる。
では、ジョイスがこのような厳しい経営環境の中でも、営業、経常利益が大幅な増益となった要因を原価、経費面から見てみたい。まずは原価であるが、72.49%(昨年74.06%)となり、1.57ポイントと大きく改善している。原価がこれほど大きく改善することは稀であれ、それだけ、東日本大震災のインパクトが大きかったといえよう。ジョイス自身も、「利益面につきましては、食品スーパーマーケット事業へ経営資源の集中や震災の影響によりチラシ特売を一時見合わせたことなどによる荒利益率の改善と販売費及び一般管理費の削減により、・・」とのことで、 チラシ特売の見直しが大きかったようである。結果、売上総利益は27.51%(昨年25.94%)となった。
これに対して、経費の方であるが、24.41%(昨年26.23%)と、1.82ポイント改善しており、原価以上の改善である。したがって、原価、経費双方が大きく改善した結果、差し引き、商品売買から得られる利益、マーチャンダイジング力は3.10%(昨年-0.29%)と、マイナスからプラスへ転じ、大幅な改善となった。そして、これに、不動産収入、物流収入等のその他営業収入が1.16%(昨年1.39%)加わり、結果、営業利益は4.26%(昨年1.10%)となり、営業収益の-8.7%という減収をカバーし、大幅な増益となった。
これを受けて、通期であるが、営業収益370.00億円(-9.8%)、営業利益12.50億円(202.2%)、経常利益13.50億円(151.5%)、当期純利益-9.80億円と、この第3四半期決算とほぼ同じ構図、営業、経常段階では減収大幅増益となる予想である。したがって、これを見る限りでは、ジョイスにとっての東日本大震災のインパクトは、被災した店舗による売上高の減少と災害損失により、営業収益と当期純利益が大きな影響を受けたが、一方で、原価、経費が大きく改善したことにより、営業、経常利益が大幅な増益となり、収益改善につながったことであるといえよう。
このように、ジョイスの本決算直前の最後の四半期、第3四半期決算が公表されたが、3/11の東日本大震災の影響が色濃く表れており、営業収益面では苦戦したが、利益面では、一転、大幅な増益となり、来期に期待できる決算となったといえよう。今後、岩手県でも復興が本格化し、被災した店舗の再開、再構築、さらには、新規出店等がなされることにより、営業収益も回復するといえよう。したがって、課題は、今期、震災のインパクトにより劇的な構造改革が起こった利益構造であり、これをどこまで維持できるかどうかであるといえよう。今期本決算、そして、来期へ向けて、ジョイスがどのような経営戦略を打ち出すか、注目である。
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