マックスバリュ東北、厳しい決算、2012年、第3四半期!
マックスバリュ東北の2012年度、第3四半期の決算が昨年12/26に公表されたが、その結果は、厳しい決算となった。営業収益685.68億円(1.1%)、営業利益1.69億円(-46.5%)、経常利益0.85億円(-64.7%)、当期純利益-11.27億円となり、増収大幅減益、特に、当期純利益は赤字となる厳しい決算となった。マックスバリュ東北は、本社が秋田県にあり、秋田県を中心に、青森県、山形県と日本海側がドミナント地区となっており、太平洋側では岩手県にマックスバリュ北上店1店舗のみであり、3/11の東日本大震災の影響は直接的には少なかったと思われるが、節電、物流網の寸断、原子力災害の影響等は東北地区一円に及んでおり、その影響もあり、厳しい決算となったと思われる。
ただ、この第3四半期の決算を見ると、災害による損失が-3.86億円発生し、直接の被害も少なからず出ている。さらに、2月期決算企業は、今期から適用された資産除去債務会計基準の適用に伴う影響額が-5.13億円、そして、昨年の約10倍となった減損損失が-4.27億円(昨年-0.43億円) 発生したため、結果、当期純利益は-11.27億円となった。
では、これを受けて、キャッシュフローであるが、営業活動によるキャッシュフローは9.16億円(昨年5.41億円)とむしろ増加しており、P/L時点では厳しい決算となったが、キャッシュフローの面ではむしろ増加したといえる。これは、当期純利益はマイナス計上であるが、特別損失の減損損失、資産除去債務会計基準の適用に伴う影響額等が現時点ではプラスとなるからである。したがって、投資活動によるキャッシュフローを見てみると、新規出店関連の有形固定資産の取得による支出-4.39億円(昨年-2.58億円)と、むしろ、昨年よりも増加している。結果、全体の投資活動によるキャッシュフローも-4.42億円(-2.52億円)となり、営業活動によるキャッシュフローの48.25%と、半分を配分しており、このような経営環境が厳しい中でも、成長戦略を重視した投資を行っている。
今期は、「当第3四半期には、秋田県の「たかのす店」をディスカウント業態である「ザ・ビッグ」に転換し、単品訴求力を高めお値打ちな商品を低価格で提供できる店舗づくりを進めることにより売上高の増大をはかりました。一方、青森県むつ市内の2店舗を閉店することにより、効率的な店舗網の再構築にも着手をしております。」とのことで、純粋な新店はないが、スクラップ&リビルドを実施し、ザ・ビックへの業態展開を行い、ディスカウント路線を鮮明にし、攻めの姿勢を強く打ち出したといえる。
そのザ・ビックであるが、「業態転換した「ザ・ビッグ」において一点単価を下げ一人当たり買上点数を上げる戦略的な販売政策を推進させたことなどにより売上総利益率は22.1%と前年同四半期と比べ0.9 ポイント低下しましたが、上記の取り組みを実施した結果期間中の一人当たり買上点数は対前年同四半期比105.1%、客数は同97.5%、客単価は同103.4%となり、既存店売上高は同101.4%と改善いたしました。」とのことで、PI値アップには絶大な効果があったとのことである。結果、金額PI値があがり、客数のマイナスをカバーしたとのことである。この結果を見る限り、PI値から見れば、ディスカウント戦略は、平均単価、そして、粗利を下げるが、一方でPI値を大きく引き上げ、結果、金額PI値を引き上げ、客数とあいまって、売上アップをもたらすことが、その効果といえよう。
そして、財務活動によるキャッシュフローであるが、-4.73億円(昨年-1.81億円)と、昨年以上にキャッシュを配分している。その中身であるが、有利子負債の返済に-49.24億円と多額の返済を行っている。これも、一方で、今期、株式の発行による収入44.52億円があったからであり、その大半を充てたことになる。結果、営業活動によるキャッシュフローに占める割合は51.63%となり、投資、財務、バランスのよいキャッシュの配分となった。なお、株式発行を有利子負債の返済に充てたことにより、自己資本比率は昨年7.2%から19.5%へと跳ねあがり、危険水域を脱したといえるが、依然として、厳しい財務状況にあるといえよう。ちなみに、有利子負債であるが、前期決算時は106.85億円であったが、今期は57.62億円と半減しているが、総資産274.41億円に占める割合は20.99%と、さらに、財務改善をはかってゆきたいところといえよう。
このように、マックスバリュ東北の2012年度、第3四半期決算は増収大幅減益、当期純利益は赤字という厳しい結果となったが、キャッシュフローを見る限りでは、営業活動によるキャッシュフローはむしろ増加している。そして、最大の経営課題であった自己資本比率の改善も、財務活動によるキャッシュフローを見ると、株式発行による収入を有利子負債の返済に充て、改善しており、財務面では落ち着いた決算となったといえよう。キャッシュの配分も、投資、財務ほぼ半分半分であり、新規出店はなかったが、攻めの姿勢を強く打ち出し、守りも固めるというバランスをとった配慮が見られ、次の展開につながってゆくといえよう。今期、そして、来期に向けて、財務的には一息ついたマックスバリュ東北が、どこまで攻めの姿勢を打ち出すのか、その経営戦略に注目である。
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