日本銀行、消費者物価指数(CPI)1%にターゲット!
日本銀行が2/14、新たな金融緩和の強化についての政策決定をおこなった。その内容は、以下の3点である。まず、1点目は、「中長期的に持続可能な物価の安定と整合的な物価上昇率として、「中長期的な物価安定の目途」を示すこととする。日本銀行としては、「中長期的な物価安定の目途」は、消費者物価の前年比上昇率で2%以下のプラスの領域にあると判断しており、当面は1%を目途とする。」である。
2点目は、「当面、消費者物価の前年比上昇率1%を目指して、それが見通せるようになるまで、実質的なゼロ金利政策と金融資産の買入れ等の措置により、強力に金融緩和を推進していく。ただし、金融面での不均衡の蓄積を含めたリスク要因を点検し、経済の持続的な成長を確保する観点から、問題が生じていないことを条件とする。」である。
そして、3点目は、「資産買入等の基金を55 兆円程度から65 兆円程度に10 兆円程度増額する。買入れの対象は長期国債とする。現在、資産買入等の基金の残高は43 兆円程度であるため、今回の増額分と併せ、本年末までに残高は22 兆円程度増加することになる。」である。
特に、食品スーパーマーケット業界ともなじみの深い、消費者物価指数(CPI)が重要な目標指標となっており、しかも、「当面は1%を目途とする。」と明記し、デフレからインフレへという明確な目標設定をしたところがポイントといえよう。また、その具体的な方法としては、金融緩和、特に、「実質的なゼロ金利政策」と「金融資産の買入れ等の措置」といっており、さらに、その金額も新たに資産買入等の基金を10兆円増やし、65兆円程度にするとのことである。また、公表資料の中では、10兆円の中身が明示されており、長期国債のみが+10兆円となっているので、長期国債を購入するということであろう。
これまで、本ブログでも消費者物価指数(CPI)については総務省統計局から公表され次第、その内容を取り上げてきたが、今回、日銀がこの消費者物価指数を物価安定のための中心的な指標として、1%という数値まで明示したことにより、様々な経済指標の中でも、より重要な指標となったといえる。日銀自身も、消費者物価指数について、「物価指数としては、国民の実感に即した、家計が消費する財・サービスを対象とした指標が基本となり、中でも、統計の速報性の点などからみて、消費者物価指数が重要である。」と解説しており、今後、消費者物価指数の数字への注目が各界から増すといえる。
ただ、気になるのは、「金融緩和=消費者物価指数1%の上昇」と結びつきにくい点である。現時点では、本ブログでも取り上げた最新の消費者物価指数、総務省統計局から1/27に公表された2011年12月度の数字を見ると、3つの総合指数は、(1) 総合指数は平成22年を100として99.4、前月と同水準、前年同月比は0.2%の下落、(2)生鮮食品を除く総合指数は99.6、前月と同水準、前年同月比は0.1%の下落、(3)食料(酒類を除く)及びエネルギーを除く総合指数は98.6、前月比は0.1%の下落、前年同月比は1.1%の下落と、いずれも昨年対比は芳しくない状況であり、特に、今回最も重要な(3)は大きく下落、まさに、デフレ状況を示しているといえよう。
また、その中身を寄与度で見ると、教養・娯楽-0.43、家具・家事用品-0.23と、この2大費目が最も大きく、デフレの元凶ともいえ、この2つの回復をどう図るかが、消費者物価指数の観点からは重要なテーマである。したがって、この2大費目の回復と金融緩和とがどうつながってくるのかが見えにくいといえる。あるいは、逆に、インフレ傾向の強い、光熱・水道0.37、交通・通信0.21をもっとインフレにし、全体を引き上げるという方向もあるが、むしろ、この2大費目は、国民としては、さらに下げて欲しいというのが本音であろう。
実際、2/14の経済関連の新聞の記事を見ると、ロイターは、「脱デフレで日銀の真剣さに疑問符も、FRBに見劣りする市場操縦術」、さらには、「焦点:デフレ脱却へ日銀の決意評価する政府、問われる結果責任」と、やや懐疑的な記事を掲載し、「政策手段を伴わない「インフレターゲット」は絵に描いた餅になりかねない。」との懸念を述べている。したがって、今後、消費者物価指数を-1.1%から1.0%に引き上げ、デフレからインフレへと転じるためにも日銀の金融緩和に加え、政府とも連携し、具体的なインフレへの政策との連動も重要な課題となろう。
このように、今回、日銀がインフレターゲットを消費者物価指数(CPI)1.0%に設定したことにより、俄然、この消費者物価指数が数ある経済指標の中でも注目の指標となったといえる。食品スーパーマーケットにとっては、身近な馴染みのある指標であるといえるが、金融との結びつきは、いまひとつ馴染みが薄いといえる指標でもある。したがって、今後、どのように金融政策を通じて、消費者物価を上昇させ、少なくとも昨対1.0%まで引き上げられるのかが課題となろう。次の消費者物価指数の公表は今月末であるが、その結果を含め、今後、どのように消費者物価指数の数字の動きが変化するのか、その結果に注目である。
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