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February 19, 2012

原信ナルスH、2012年3月、第3四半期決算、堅調!

   原信ナルスHが、2012年3月期、第3四半期の決算を1/31公表した。結果は、売上高959.25億円(2.7%)、営業利益33.23億円(-1.0%)、経常利益34.18億円(2.3%)、当期純利益16.48億円(63.0%)となり、増収、営業段階では微減、経常、当期純利益は増益、特に当期純利益は、昨年計上した資産除去債務の会計基準の適用による特別損失が今期はなかったため、大幅な増益となった。また、自己資本比率も43.0%(昨年42.4%)と微増となり、全体としては堅調な決算となったといえよう。

   気になるのは、この第3四半期決算では、各食品スーパーマーケットの利益が比較的好調に推移しているケースが多いが、原信ナルスHは-1.0%と、わずかではあるが、微減となったことである。特に、今期は3/11の東日本大震災の影響が大きかったようであり、原信ナルスH自身、「東日本大震災の発生は、あらゆる流通網を阻害し、当社の事業活動にも影響を及ぼしました。また、放射性物質の問題や原料原価の高騰、為替相場の急激な変化など、新たな課題も生じました。」とコメントしており、少なからぬ影響が生じたとのことである。

   さらに、「当第3四半期連結累計期間前半にこの状況は落ち着きましたが、この期間、当社グループでは、お客様に極力ご迷惑をお掛けすることが無いよう、代替商品の確保や、従来とは異なる調達ルートでの商品確保に努めました。」、「放射性物質に関する問題については、行政とともに業界全体が一丸となって継続的に取り組むべき課題と考えており、対応が進まないものについては、当社独自の取り組みを行ってまいりました。」とのことである。これを見る限り、原信ナルスHは、この第3四半期決算の前半まで、東日本大震災の影響が出ていたといえ、これが営業利益が伸び悩んだひとつの要因といえよう。

   そこで、実際のこの第3四半期決算の営業利益が-1.0%となった要因を原価、経費面から見てみたい。まずは、原価であるが、73.38%(昨年73.22%)と、0.16ポイント上昇した。結果、売上総利益は26.62%(昨年26.78%)と若干下がった。一方、経費の方であるが、23.15%(昨年23.18%)と0.03ポイントとわずかではあるが改善した。

   これについて、原信ナルスHは、「コスト・コントール」と題し、特別にコメントしている。その内容であるが、「作業計画と連動した労働時間管理や、ISO14001の環境マネジメントと連動した環境コストの削減を進めるほか、様々な形で経営資源の適正利用、使用料の削減の取り組みを継続しております。加えて、震災後の電力不足問題に端を発した節電対策には、積極的な取り組みをいたしました。」とのことであり、これらが経費比率を下げたといえよう。
   
   結果、商品売買から得られる利益、マーチャンダイジング力は3.47%(昨年3.60%)と、昨対を下回った。原信ナルスHは、その他営業収入を別途計上していないので、マーケティング=営業利益となり、結果、わずかではあるが、減益となった。経費は若干改善したが、原価の上昇をカバーできなかったといえ、コメントにもあるように、「流通網を阻害し、・・」や「放射性物質の問題や原料原価の高騰、為替相場の急激な変化など、・・」があり、これらが原価を押上げた要因といえよう。

   さて、このような、この第3四半期決算を受けて、原信ナルスHが今後のどのような経営戦略を打ち出そうとしているかをキャッシュフローから探ってみたい。まずは、営業活動によるキャッシュフローであるが、58.51億円(昨年58.58億円)と、ほぼ昨年と同じキャッシュである。ついで、投資活動によるキャッシュフローであるが、-19.89億円(昨年-24.02億円)であり、営業活動によるキャッシュの33.99%となり、昨年よりも投資を控えたといえる。実際、新規出店関連への投資、有形固定資産の取得による支出を見ると、-19.74億円(昨年-26.79億円)と大きく削減しており、今期、新規出店も原信近江店(7月)の1店舗、既存店の移転新設2店舗のみである。
   
   そこで、財務活動によるキャッシュフローであるが、-20.19億円(昨年-13.45億円)であり、特に、今期は有利子負債の返済が-15.24億円(昨年-7.95億円)と、昨年の約2倍となっている。ただ、営業活動によるキャッシュフローの比率は34.50%であり、ほぼ投資活動によるキャッシュフローへの配分と同じである。結果、現金及び現金同等物の増加分は18.42億円(昨年21.10億円)となり、営業活動によるキャッシュフローの31.48%となった。

   こう見ると、この第3四半期決算時の原信ナルスHのキャッシュの配分は投資、財務、内部留保と、ほぼ1:1:1で配分しており、どこに経営資源を集中し、戦略を明確に強打ち出すというよりも、どのような経営環境にも対応できるように、特に、東日本大震災の影響もあったこともあり、バランスを強く意識したキャッシュの配分となったといえよう。残り、本決算まであとわずかとなったが、この第3四半期決算を受けて、原信ナルスHが、今後、攻めに転じるのか、それとも守りを固めるのか、その経営決断に注目である。

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