POSデータ分析、年間分析が決め手か!
これまで通常のPOSデータは、ID-POS分析と違い、期間をあまり意識せず、週別、月別、年別、さらには、日別をできるだけ、分析時点に近い期間をもとにしてきた。基本は週別、月別、その月別も数ケ月がせいぜいであり、月別、年間分析をすることは稀であった。時々、年間カレンダーを作成するために月別、年間分析をしたことがあるが、これも、商品のピークがいつかを見極めるのが目的であったのが実態である。
ところが、ID-POS分析を実施し、期間、すなわち、POS分析における時間の大切さを認識し、あらためて通常のPOSでは瞬間の分析をしてはいるが、時間を意識しても良いのではないかと思うようになった。たまたま、菓子パンの無料診断をしている中で、分析データをいただいた中に、通常では対象月、1ケ月のデータをいただくのだが、なぜか、月別、丸1年のデータをいただいた。現在、菓子パンの無料診断は、診断店舗と診断月を決めていただき、その菓子パンのPOSデータとRDS((財)流通システム開発センター)が全国約400店舗の食品スーパーマーケットから収集しているPOSデータと突き合わせ、それをMD評価表に落とし込み、自社のPOSデータとその地域のPOSデータとの比較を行い、重点商品の選定、品揃え商品の推奨、そして、カットすべき商品の提示などを具体的な単品、SKUで示し、診断するものである。
自社、RDSともにPI値の高い商品は当然、最優先で強化すべき最重点商品となり、逆に、自社のPI値も低く、RDSも低い商品はカット検討商品となり、自社が未導入、RDSでPI値の高い商品は新規導入候補商品と判断するなど、様々な単品1品1品の検討を行い、診断レポートを作成し、今後の菓子パンの活性化に活かしていただいている。すでに、かなりの事例を診断したが、菓子パンは例外なく、活性化が可能であり、やればやるほど、数字が改善されると同時に、担当者がマーチャンダイジングの「いろは」を実践で身に着けてゆくことができる。
菓子パンは、その意味で、RDSデータとの相性が実によく、また、マーチャンダイジングの基本を学ぶに最適なカテゴリーのひとつであるといえ、新入社員は全員、菓子パンのマーチャンダイジングのノウハウを菓子パンを通じて実践で身に着けてゆくと、社内教育にも活用できるといえよう。
さて、では、通常のPOSデータだけでは菓子パンの診断ができないのかというと、今回、たまたま、月別、年間のPOSデータが送られてきたので、改めてトライしてみた。ただ、さすがに、Excelだけでは歯が立たず、Accessを用い、差分、重複クエリーを駆使し、何とか年間MD評価表を完成させることができた。すると、実に、興味深いことに年間PI値と月別PI値を算出することができ、しかも、SKUも年間SKUと月別SKUを算出することができたのはもちろんであるが、さらに、販売月だけのPI値を算出するこができた。これは、いわゆる時間軸のPPIであり、客数が年間客数で割ったPI値ではなく、販売月だけの客数で割ったPI値となる。
理論的には予想できることではあるが、実際、年間データでこんなにきれいに算出できるとは正直、驚きであり、発見であった。さらに、これをID-POS分析の新MD評価表で活用している頻度分析を応用し、分析を加えてみると、さらに、興味深い結果が浮かびあがった。月頻度12ケ月から、月頻度1ケ月までの菓子パンのSKUが見え、当然のことであるが、毎月販売している菓子パンから、年間1ケ月しか販売実績のない菓子パンまでが判明した。この中には、菓子パンの重点商品とすべき0.2円以上の商品もあり、これを年間導入すれば、年間100万人の客数で20万円の売上げとなり、様々な事情はあると思うが、結果、チャンスロスとなっていることがわかった。
こう見ると、これまで通常のPOS分析はレシート客数をもとに分析するため、瞬間の分析が基本であり、期間を伸ばしたからといって、販促カレンダーのように推移を見るには適しているが、分析の質を高めるにはあまり価値がないと思っていた。ところが、今回、菓子パンの診断を通じて、新たな発見があり、年間POSデータを月別、年間で分析し、MD評価表をつくることで、あたかもID-POS分析のような分析ができ、IDを単品に見立てた分析が可能になることがわかった。そして、その結果をつぶさに見ることにより、最適なSKU数、年間常に販売すべき最重点商品、さらには、1ケ月で販売終了せず、継続して販売すべき商品、年間最高のPI値の商品、年間平均PI値などがわかり、これだけでも、菓子パンの診断が、ID-POS分析のようななより深い診断が可能であることがわかった。
そして、これに、自社では販売実績のない商品、さらには、販売実績はあるが、もっと売れる商品などのRDSだけでしかわからない商品が加われれば、極めて完成度の高い菓子パンの診断ができるといえよう。そして、その診断結果をもとに、菓子パンの年間販売計画及び発注、商品改廃を含めたオペレーション計画を作れば、菓子パン売場の活性化につながるだけでなく、最高のマーチャンダイジングの実践研修が可能となろう。今回は、偶然が重なったとはいえ、実に価値ある菓子パンの診断となった。
なお、google+(ぐぐたす)に菓子パンサークルをつくったので、これまで診断を受けた方、菓子パンに興味のある方、菓子パンの活性化をはかりたい方、Gメールで誰でもGoogle+に参加できるので、参加されたらリクエストいただければと思う。ここで菓子パンを熱く、そして、POSデータをもとに冷静にマーチャンダイジングを語り合いましょう。
facebookに「食品スーパーマーケット最新情報」のグループ創設22人、リクエスト!
菓子パン無料診断!(全国RDS-POSデータと徹底比較、課題が浮き彫りに!)
google+に菓子パンサークル創設!、リクエスト
食品スーパー2011財務3表連環分析、vol1!MD力、出店余力、出店意欲!
週間!食品スーパーマーケット最新情報まぐまぐ!、 まぐまぐプレミアム版!、資料集
« ID-POS分析における顧客の切り口を考えて見る! | Main | マックスバリュ東北、厳しい決算、2012年、第3四半期! »
« ID-POS分析における顧客の切り口を考えて見る! | Main | マックスバリュ東北、厳しい決算、2012年、第3四半期! »
Comments