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March 03, 2012

食堂と食品スーパーマーケット、びっくり!

   これまで、食堂、喫茶店、ファミリーレストラン等、いわゆる外食と食品スーパーマーケットとはノウハウは別であり、あまり連動性が図れないのではないかと思ってきた。ただ、メニュー分析へのPI値活用、マテハンなどによる作業効率の改善については共通性が多く、相互に応用が可能であり、実際、そのようなケースはあった。特に、メニューについては、PI値分析することにより、メニューの人気度を判断し、メニュー改善に活かしたり、さらには、販売数量を予測し、食材の調達、調理手順の改善などにつなげるといったことが可能であり、その点ではPI値は様々な活用が外食でもなされてきた経緯はある。

   それ以外となると、なかなか共通に活用できるノウハウはあまりないのではと思っていたが、この間、東京汐留ビルディングでソフトバンクの方と昼食をする機会があった。その25階にある見晴らしのよい食堂で昼食をし、私は焼き魚定食を食べたが、これが食品スーパーマーケットそのものであり、その思想をしっかり受け継いでおり、さらに、発展させていたのには驚いた。思わず、携帯で写真をとり、facebookに投稿したくなったが、残念ながら、その機会を逸した。

   食品スーパーマーケットの基本思想はセルフ販売とワンウェイコントロールにある。この2点が50年以上に渡って貫かれてきた基本思想であり、この2点が貫かれたことで、食品スーパーマーケットが流通産業の中で確固たる地位をしめるようになったといっても過言ではない。セルフ販売はいわゆる対面販売を排すというところから発展し、それまでの商売は顧客=対面=商品であり、商品は対面の背後に隠れ、顧客の要望を聞いて手渡しで販売するという手法が主流であった。いまでも、八百屋、魚屋、肉屋などには、この手法が残っており、商店街では少なくなったとはいえ、よく見かける光景である。食品スーパーマーケットの中でも、ここ最近、加わった部門、OTCは、Over the Counterの略が示すとおり、対面販売といって良い。

   食品スーパーマーケットはこの対面販売に対して、顧客=商品とし、対面を抜き、まさに、顧客がセルフ、みずから商品を購入する仕組みを構築することで対面販売の限界を打破し、大量の顧客との販売を可能にしたといえる。この発明によって、セルフ販売が可能な部門はすべて対面販売からセルフ販売へと置き換わり、今日の食品スーパーマーケットにつながっていったといえる。ちなみに、その着想は、フォード、トヨタ等が当時採用していた自動車工場のベルトコンベアーにあったといわれている。ベルトコンベアーに部品が乗って移動し、作業員がそれをピックアップし、最終的に自動車ができあがってゆく流れを、逆転させ、顧客がカゴをもって動き、商品をピックアップして、レジで精算するという発想を取り入れたとのことである。

   そして、もう一点、ワンウェイコントロールであるが、これはこのベルトコンベアーを考えて見ればわかるように、セルフ販売で購入する顧客が最短距離で購入するには、一歩たりとも無駄な歩数をかけず、さらに、必要な食材をすべてカゴにピックアップできることが望ましく、そのためには、ワンウェイコントルールが最適であり、これはセルフ販売を採用した時点で結論がでていた答えであるともいえるが、いまでも、食品スーパーマーケットを貫く基本思想であるといえる。

   では、なぜ、この2つが重要な食品スーパーマーケットの販売方法になっていったかであるが、その答えは客数にある。食品スーパーマーケットは100人、200人と100人単位の顧客商売ではなく、1,000人、2,000人の1,000人単位の顧客商売であり、1,000人単位の顧客との商売をしようと思うと、必然的に、この2点、セルフ販売とワンウェイコントロールが絶対条件となるからである。

   さて、ソフトバンクの食堂であるが、この2点が見事に実現されており、社員は食品スーパーマーケットのカゴの代わりに、トレーを持ち、食品スーパーマーケット同様、10部門ぐらいに分かれた部門の中から、昼食に必要なお皿をピックアップしてゆく。麺類、和食、洋食、牛丼、サラダ、デザート、ほぼ全部門揃っており、しかも、そのつくりは、カフェテリア、バイキング等とちがい、食品スーパーマーケットそのものといってよく、四角形でメイン通路を広く取り、通路の両側に各メニューが展開されており、ワンウェイの流れが実現されている。しかも、精算までセルフであり、お皿ひとつひとつにICチップが埋め込まれでいるので、食べ終わった後は、自動精算、社員カード決済となり、食品スーパーマーケットでもここ最近はセルフレジが普及しはじめているが、精算も100%セルフを実現していた。12時になると食堂は満杯、この仕組みで、短時間に1,000人単位が食事をしており、まさに、食品スーパーマーケットの外食版ともいえる光景がそこにあった。

   このように、これまで外食と食品スーパーマーケットは業態が違い、ノウハウの共通性が薄いのではないかと思っていたが、このソフトバンクの食堂を見ると、1度に1,000人単位の多岐多様にわたるニーズを満たすには、食品スーパーマーケットの基本思想、セルフ販売とワンンェイコントロールにたどり着くということがわかり、実に貴重な体験をした。気になったのは、ID-POS分析をしているのかどうかであるが、ここにID-POS分析が入れば、さらに、様々な改善が可能であり、何よりも、社員の満足度につながる、もっと優しい食堂になるのではないかと思った。

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