野菜、果物相場高、こちらはインフレ、3月第1週!
日本経済が深刻なデフレとなり、日銀が事実上の消費者物価指数(CPI)1.0%のインフレターゲットを設定し、大胆な金融緩和を実施する中、食品、特に、青果については、野菜、果物はインフレ、異常な相場高となっている。東京中央卸売市場が公表した直近、2012年3月第1週、2/24から3/1までの青果物の週間市況を見ると、野菜はほぼ全面高に近い価格上昇、果物も柑橘類を除き、全面高という様相を呈している。明らかに異常な状況であるといえ、家計にとっては、直撃、厳しい消費環境に入ったといえよう。
まずは、野菜の相場場概況であるが、「今週の1日の平均入荷量は、5,244トンで、前週比は8%減で前年同期比は11%減でした。今週は29日に降雪もあり冷え込みはまだ続き野菜の入荷は今週も減少しました、前年比は前年が寒暖の差はあったものの比較的順調だったため減少となりました。相場は品薄から全般に強含みで推移しました。」とのことで、降雪等の影響による入荷減が相場を押し上げているといえる。需要供給の法則がダイレクトに反映されているといえ、まさに相場である。
実際、今週、最も高値を付けた野菜がトマトのセリであるが、昨対226%、価格が2倍以上となったが、入荷は昨対74%であり、供給不足が深刻である。トマトは、「トマトは曇天・冷え込みから出荷は減少傾向となっている、入荷は少なめだった前週とほぼ同じで価格はメタボ効果の報道もあり引き続き堅調でした。」とのことで、マスコミ等がメタボ効果の食材として取り上げたことも大きく、2重の力が働き、価格を押し上げたといえる。
トマトについで相場高となったのはだいこんのセリであり、昨対180%、入荷は昨対86%であり、トマト同様入荷不足である。だいこんも「だいこんは品種の切り替わり時期で冬物と春物が混在し谷間となっている、小振りの仕上がりもあり入荷は大幅に減少し価格は品薄から堅調となりました。」とのことで、品種の切り替わりによる入荷不足に、小振りが加わり、やはり2重の力が働き、価格を押し上げたといえる。また、レタスのセリも相場高であり、昨対171%、入荷は昨対70%と厳しい状況である。レタスについても、「レタスは先週の悪天候の影響で生育に遅れを生じている、入荷は減少し価格は各地とも絶対量少なく今週も堅調となりました。」とのことで、悪天候が大きく影響し、深刻な入荷不足が相場を押し上げているとのことである。
これ以外の野菜を見ても、ブロッコリーの相対が昨対161%(入荷昨対75%)、こまつなのセリが昨対153%(入荷昨対70%)、キャベツのセリが昨対146%(入荷昨対93%)、はくさいのセリが昨対135%(入荷昨対102%だが、先週比81%)、なましいたけのセリが昨対117%(入荷昨対95%)、ほうれんそうの相対が昨対110%(入荷昨比71%)という状況である。
ちなみに、このような全面高に近い状況の中で、相場が下がっているものもわずかではあるがある。にんじんの相対が昨対81%(入荷昨対99%、先週比92%)であり、比較的安定した入荷が図られている。また、さつまいもの相対も昨対92%(入荷昨対101%)と安定した入荷となっており、相場が下がっている。ただ、相場が下がったのは、主要野菜ではこの2つのみであり、それ以外はすべて相場高となり、まさに、野菜はインフレ、物価高騰という様相を呈しているといえる。
次に、果物であるが、果物も全体の入荷量が昨対91%、先週比79%という状況であり、これが相場を押し上げている要因である。特に、この時期、果物の主力、いちごがすべての品種で相場高となっている。とちおとめ(栃木)のセリが昨対116%、あまおう(福岡)142%、さがほのか(佐賀)148%、紅ほっぺ(静岡)150%という状況である。しかもいちご全体の入荷量は昨対59%と深刻な入荷不足であり、まさに、これが相場を押し上げているといえる。また、りんごも同様に相場高であり、セリで見るとふじ(青森)昨対150%、王林(青森)昨対159%と高騰しており、入荷の昨対はいちご同様厳しい状況であり、昨対58%という状況である。一方、相場安の果物もあり、柑橘類である。果物では柑橘類のみが相場安となっており、たとえば、いよかんのセリは昨対75%(入荷量昨対136%)、不知火(しらぬい)のセリは昨対79%(入荷昨対102%)という状況であり、入荷の安定が相場を押し下げているといえる。
このように、この週の野菜、果物は異常な相場高であるといえ、まさにインフレといえる様相を呈している。消費環境全体はデフレであるといえるが、相場変動の激しい野菜、果物はインフレという正反対の消費状況であり、家計はこと食費においては厳しい状況にあるといえよう。ただ、その要因は明らかに昨年に比べ入荷不足が原因であり、天候不順、雪の影響が大きいといえる。したがって、しばらくは、この状況が続くものと思われ、家計にとっては、食費に関しては当面厳しい日々が続きそうである。
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