iD-POS分析って何、その1?
iD-POS分析は、これまでの商品中心のPOS分析とは違い、顧客IDを基点にすべての分析が始まりますので、商品視点、すなわち、マーチャンダイジングから、顧客視点、マーケティングへの転換が必須です。しかも、データ量はこれまでのPOS分析の比ではなく、莫大な大量、かつ、多様のBig Dataとなり、しかも、様々なIDとのリンクも必須となることから、分析期間も瞬間的な分析ではなく、中長期間に渡った腰をすえた分析が必要となります。食品スーパーでは最低26ケ月、約2年、ドラックストアでは数年、専門店では数十年の期間での分析が欠かせません。
ポイント1:顧客視点
iD-POS分析のポイントは何といっても顧客視点といえます。通常、POS分析といえば商品分析のことであり、分析対象商品が売れた、売れないを分析することなります。そこには顧客視点は存在せず、あるのは商品視点、商品の動向を分析することになります。
これに対して、iD-POS分析は一見、商品を分析しているように見えますが、実際に分析しているのは、その商品の購入顧客であり、商品ではありません。その商品の購入顧客が分析対象商品をどのように購入しているか、すなわち、F(頻度)、購入点数、購入価格を分析しているわけです。しかも、顧客一人一人の購入状況をつぶさに分析します。
さらに、iD-POS分析では、対象商品の購入顧客だけでなく、その顧客の全購入商品をも分析対象になります。したがって、そこには商品のカテゴリーは無意味となり、あるのはその顧客が生活のために、その店舗で購入する全商品ということになります。
これが顧客視点であり、この顧客視点への転換がiD-POS分析を理解し、実践するための最初のステップとなります。
ポイント2:マーケティング
iD-POS分析はマーチャンダイジングではなく、マーケティングです。なぜなら、商品を分析するのではなく、その商品の購入顧客を分析するからです。したがって、打つべき政策も商品ではなく、顧客です。商品政策である品揃え、発注、棚割り、レイアウト、販促、これもiD-POS分析ではすべて顧客視点となります。品揃えは誰のための、どのような購入段階にある顧客のための品揃えか、発注は誰のための商品の発注か、棚割りはどのような顧客のための棚割りか、レイアウトはどの顧客を意識してのものか、さらには販促も商品を売るためではなく、顧客との関係を深めるための政策となります。
すべては顧客視点、したがって、その目的も商品を起点にした市場シェアではなく、顧客を中心においた顧客シェアをいかに確保するかとなります。まさに、マーケティング、マーチャンダイジングはマーケティングに完全に吸収されることになります。
ポイント3:分析期間
iD-POS分析を実践するためには分析期間が重要なポイントとなります。iD-POS分析は商品を分析するのではなく、その商品の顧客の購入状況を分析するため、分析期間は、購入顧客がはじめてその商品を購入し、リピート購入に入り、さらに、その商品のお得意さん、ご贔屓さんになり、顧客との永遠の関係ができるまでが分析期間となります。したがって、分析期間は中長期にわたり、通常の食品スーパーでは最低1年、1年前の購入顧客の1年の購入履歴も必要なため、少なくとも2年間は顧客の購入履歴を見る必要があります。商品によっては、さらに、数年、数十年に渡って顧客を追いかける商品もありますので、このような視点で分析期間を設定することがポイントです。
PI研のコメント:
・これから不定期、何回かに渡って、「iD付POS分析って何?」のテーマでコラムを展開してゆく予定です。なお、まとめとしての全体のコラムはMBQでもとりあげる予定です。さて、その第1回目ですが、iD付POS分析の3つのポイントをまとめてみました。顧客視点、マーケティング、分析期間です。特に、はじめの顧客視点は、言葉では簡単ですが、腑に落ちるまでにはかなりの時間がかかります。私も、約10年前からiD付POS分析には取り組んでいますが、腑に落ちたのはここ最近です。実際に生データと格闘し、苦闘の末に辿りついた境地ともいえます。ただ、誰もが10年かかるのかというと、iD付POS分析に触る機会をもてれば、1年で顧客視点を身に付けることは可能だと思いますし、そのような研修を組むことも、ここ最近では可能だと思います。通常、分析というと、どうしても商品分析を試みてしまいますが、実は、商品と顧客は密接不可分、どちらから入っても同じです。これまでは商品からしか入れなかったので、顧客が見えなかったのですが、iD付POS分析の環境が整っていれば、顧客が完璧に見えますので、商品分析=顧客分析となるわけです。商品を分析しているようで、実は、その商品の顧客を分析しているわけであり、そこから自然、顧客分析になり、結果、顧客分析=商品分析となり、その顧客の全購入商品へと自然に転換できるわけです。この世界がiD付POS分析、そのものであり、ここにたどり着けるかどうかが、iD付POS分析を理解できたかどうかの判別ポイントとなります。顧客視点、是非、身に付けて欲しいと思います。きっと世界がかわるはずです。
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