ゼンショー、第三者委員会報告書、経営改革へ着手!
「すき家のビジネスモデルは限界」 第三者委員会が「調査報告書」を公表、7/31
・弁護士ドットコム
・http://www.bengo4.com/topics/1852/
・抜粋:
・「すき家」の労働環境改善に関する第三者委員会(委員長・久保利英明弁護士)は7月31日、調査報告書を、すき家を経営するゼンショー側に手渡した。
・報告書は、社員へのヒアリング・現場スタッフへのアンケートなどに基づいて、「すき家の運営は、法令違反であることはもとより、社員の生命、身体、精神に危険を及ぼす重大な状況に陥っていた」と認定。「過重労働問題等に対する“麻痺”が社内で蔓延し、『業界・社内の常識』が『社会の非常識』であることについての認識が全社的に欠如していた」と、経営側の認識不足を厳しく指摘した。
・報告書はさらに踏み込み、「『昼夜を厭わず、生活のすべてを捧げて働き、生き残った者が経営幹部になる』というビジネスモデルが、その限界に達し、壁にぶつかったもの」と言及。経営層の意識改革を迫った。
ゼンショーのコメント:
・http://www.zensho.co.jp/jp/?id=hd
・「すき家」の労働環境改善に向けた改革の実施について
・http://www.sukiya.jp/news/kaitou.pdf
・㈱ゼンショーでは、流通産業全体に及ぶ人手不足を背景に2月から3月にかけて「すき家」店舗の従業員の負担増が深刻化したことを重く受け止め、店舗の労働環境改善を経営の最重要課題に設定しました。ただちに社内で対策を始めるのと同時に、客観的な視点からも問題の把握が必要であると考え、外部有識者による第三者委員会を組織し、店舗や本部などへの調査をもとに労働環境改善に関する会社への提言をお願いしました。本日、久保利英明委員長よりその提言を拝受しましたので、今後はこれを真摯に受け止め、改める点についてはスピード感をもって改善を進めてまいります。
・「すき家」の労働環境改善に向けた改革:
・(1) 分社化
・(2) 労務管理体制の強化
・(3) ガバナンス体制の強化
調査報告書:
・http://www.sukiya.jp/news/tyousahoukoku%20A_B.pdf
第 1 「すき家」の労働環境改善に関する第三者委員会の設置及び調査の実施
・1. 「すき家」の労働環境改善に関する第三者委員会の設置の経緯及び委員会の構成 、2. 調査体制((1) 調査担当弁護士、(2) 会社事務局担当)、3. 第三者委員会ガイドラインへの準拠、4. 当委員会の任務・調査事項、5. 当委員会の調査方法及び開催状況((1) 資料・データの提出依頼・分析、(2) ヒアリング、(3) アンケート、(4) 当委員会の開催状況)
第 2 前提となる事実
・1. すき家の沿革・概要、2. ゼンショーグループの企業理念・使命、3. すき家の運営体制・営業部門関連の役職((1) すき家の運営体制、(2) ZHD 社の組織体制、(3) すき家の営業部門の役職)、
第 3 認定された事実
1. 客観データ((1) 退職者数・離職率の推移、① 退職者数の推移、② 新卒社員の離職率の推移、(2) クルー・社員の残業時間の推移、(3) 労働基準監督署からの是正勧告・指導の件数・概要 、2. 2014 年 3 月の多数の店舗の一時休業・時間帯休業に至る経緯 、3. 現場の労働実((1) 過重労働、① 社員の過重労働、② クルーの過重労働、(2) サービス残業、① 社員について、(i) 労働時間管理方法から生じるサービス残業、(ii) 労時を意識したサービス残業、② クルーについ、(i) 労働時間管理方法から生じるサービス残業、(ii) 労時を意識したサービス残業③ 小括、(3) 社員のプライベートの喪失、(4) 一人勤務体制(ワンオペ)、① 休憩時間の非付与、② 顧客サービスの低下とクレーム、③ 防犯上の問題、(5) 休憩時間の非付与/恣意的運用、① 休憩時間の非付与、② 休憩時間の恣意的運用、(6) 限度を超えた休日労働、(7) 年少者の深夜労働及び賃金不払い、(8) 外国人留学生の就業制限を超える労働 、4. ZHD 社・Z 社本部による労働実態の把握・共有状況、(1) SK 労働安全委員会、(2) 総合リスク管理委員会・コンプライアンス委員会 、(3) 人事部門・労政部門、① 人事部門、② 労政部門、(4) 内部監査室、(6) Z 社取締役会・監査役、① Z 社取締役会、② Z 社監査役、(7) ZHD 社取締役会・監査役会、① ZHD 社取締役会、② ZHD 社監査役会、(8) 小括
第 4 原因論
・1. 人手不足状況による過重労働の発生と危機意識をもつ経営幹部の不在、(1) 人手不足状況による過重労働の発生と「負のスパイラル」、(2) 危機意識をもつ経営幹部の不在、2. 過重労働を是正できなかった組織上の問題、(1) ガバナンスの機能不全、① Z 社(事業会社)自身によるガバナンスが欠如していたこと、② Z 社、ZHD 社の取締役会にリスク情報伝達がなされなかったこと、(2) 悪しき「自己責任」論と「言いっ放し・聞きっ放し」の蔓延 、(3) 頻繁な組織変更と異動、3. 経営幹部の思考・行動パターンの問題、(1) 経営幹部に共通してみられる思考・行動パターン、① コンプライアンス意識の欠如、② 顧客満足のみにとらわれた思考・行動パターン、③ 自己の成功体験にとらわれた思考・行動パターン、④ 自社と社会の変化に対応する「全社的リスクマネジメント」の欠如、⑤ 数値に基づく収益追求と精神論に基づく労働力投入、(2) 経営幹部の思考・行動パターンを基礎づけるヒアリング結果
第 5 会社施策についての当委員会の評価
・1. 分社化の概要、2. 分社化の目的、3. 当委員会の評価と提言、(1) 評価、(2) 提言
第 6 当委員会の提言
・1. 労働環境を改善するための施策、(1) 一定時間以上の長時間労働の絶対的禁止のルール化とその実現のための体制整備、(2) サービス残業を防止するための施策 、(3) 従業員(社員・クルー)を企業の重要なステークホルダーと位置づけ、その人権と生活を尊重する企業風土を築くための施策、(4) バランスに配慮した投入労働時間の設定、運用、(5) 労働環境の重要性に関する全社的教育の実施、2. 経営幹部の意識を改革するための施策、3. コーポレートガバナンスを改革するための施、4. 担当者の権限と責任の明確化のための施策、5. リスク情報の伝達経路を明確にするための施策
第 7 最後に
別紙
・別紙 A アンケート対象者選定方法
・別紙 B 表 3 すき家非管理監督者社員 1 人当たり平均残業時間等の推移
・別紙 1 アンケート集計結果(社員用・委員会直送分)
・別紙 2 アンケート集計結果(社員用・会社回収分)
・別紙 3 アンケート集計結果(アルバイト用)
PI研のコメント:
・今回のゼンショーへの第三者委員会の報告書の結論を一言でいうと、「第7、最後に」の中の以下の文章に集約されているといえます。「今回の事態は、「外食世界一を目指す小川 CEO の下に、その志の実現に参加したいという強い意志をもった部下が結集し、昼夜を厭わず、生活のすべてを捧げて働き、生き残った者が経営幹部になる」というビジネスモデルが、その限界に達し、壁にぶつかったものということができる。」、小川CEOの経営哲学そのものを問うているといえます。そして、その背景にある事実は、「第4、原因論」の「すき家は、明らかな人手不足の状況であったにもかかわらず新規出店を続けてきた。すき家の店舗数は、2011 年 4 月で 1572 店舗だったものが、2012 年 4 月で 1799 店舗、2013 年 4 月で 1941 店舗、2014 年 4 月で 1986 店舗となっており、この間、400 店舗を超える新規出店が行われている。これに対して、毎年の新入社員と退職社員の数は概ね均衡している。このことからも、現場に「無理」をさせない限り、運営ができないことは明らかである。社員 1 人当たりの担当店舗数は増加し、管理が困難な状況になり、「回転」に象徴される異常な長時間労働が常態化し、現場社員は疲労困憊していった。」といえます。ゼンショーは、この指摘をうけ、まず、「東京の本社から約 2,000 店舗をコントロールしていた体制から、風通しのよい組織作りを目指して全国を 7 つの地域会社に分割。各地域会社の担当店舗数を 300店舗前後とし、各階層のマネージャーが担当する店舗数も減らすことで、よりきめの細かい店舗運営が可能になりました。」と、改革に着手はじめており、さらに、労務管理体制の強化、 ガバナンス体制の強化と働く環境整備と、経営改革に踏み込んでいます。今後、この3つの改革がどうゼンショーの経営改善につながり、労働環境が改善されてゆくのか、その動向に注目です。なお、この報告書の結語ですが、「会社を思う多くの声があげられている。こうしたすき家を支えていこう、変えていこうという思いを持ったクルーや社員の存在こそが、すき家の財産である。当委員会は、経営幹部が強い決意と危機感をもって、こうした貴重な「人財」を最大限に活かす経営を実現していくことを強く願っている。」です。
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