熱狂する顧客、Z顧客の対極、S顧客に注目の記事!
購入金額だけで「顧客を格付け」する愚行:本当に大切にすべきは「熱狂する顧客」
・日経Biz Gate:2016/01/27
・トライバルメディアハウス:池田紀行氏
・http://bizgate.nikkei.co.jp/article/95643011.html
・見出し:記事抜粋
・大失敗に終わった「顧客との関係づくり」
・すべてが「売り手の発想」だった
・CRMの軸となるRFM分析では、「1年前よりも1カ月前に買ってくれた顧客のほうがロイヤルティーが高いだろう」(Recency)と考える。同様に、「半年に1回買ってくれる顧客よりも3カ月に1回買ってくれる顧客のほうがロイヤルティーが高いだろう」(Frequency)、「年に1万円買ってくれる顧客よりも3万円買ってくれている顧客のほうがロイヤルティーが高いだろう」(Monetary)と考える。そして、ロイヤルティーの高さによって顧客に提示する割引率を変えようとか、ロイヤルティーの高い顧客には友だち紹介キャンペーンのチラシも封入しよう、といった販売促進策が導き出される。
・購入金額=愛顧度という短絡的思考
⇒CRMが失敗したもう1つの理由は、「購入金額=満足度=愛顧度=友人・知人への推奨意向」と勘違いしていることだ。過去に購入金額が大きい人は、ブランドや店舗に満足し、愛してくれていて、友人や同僚にもブランドをすすめてくれる人であると思っている。
・売り上げの3~4割をつくる「たった2.5%の熱狂顧客」
⇒図表:顧客の関与度と売り上げの関係
⇒だから、本当に大切にすべきなのは、売り上げの8割をつくる2割の顧客のうち、「その商品が好きで好きでたまらないくらい愛しているから繰り返し買ってくれている顧客」である。ここでは、そういう顧客を「熱狂顧客」と呼ぶことにする。下図に示す顧客構造でいえば、上位3.3%の顧客が熱狂顧客および熱狂的推奨者、次点の10%がロイヤル顧客の候補者となる。
・「買わせるまで」に全マーケティング予算の95%が使われる
⇒図表:マーケティングファネルと予算配分
⇒しかし、明らかに予算のかけ方が偏っていると感じるのだ。売り上げの3分の2をつくってくれている上位20%の顧客の中で、あなたのブランドに熱狂してくれている「熱狂顧客と熱狂的推奨者」に、せめてファネルの左側(買ってもらうまで)にかけている予算の5~10%を使ってあげてほしいのである(決してファネルの右側にいる20%の顧客ではなく、その中の熱狂顧客と熱狂的推奨者であることに注意してほしい)。なぜなら、熱狂顧客と熱狂的推奨者は、あなたのブランドに持続的な競争優位をもたらし、利益成長の源泉になってくれるからだ。
・推奨意向の高さと利益成長率に強い相関
⇒図表:ユーザーがどんどん熱狂的になる
・あなたのブランドに対する「熱狂度」を知る
⇒図表:顧客の熱狂・推奨マップ
⇒ここで1つ注意が必要だ。多くのマーケターは、「熱狂している顧客=推奨意向(NPS)が高い顧客」と捉え、そうした顧客にすぐさま「友だちや同僚、家族に商品を紹介してください!」「ブログやTwitterで商品の素晴らしさを語ってください!」と呼びかけてしまいやすい。しかし、必ずしも「熱狂している顧客=推奨者」ではない。
・推奨は「顧客の熱狂」によって発生する
⇒図表:熱狂と推奨のキュービックフレーム
⇒この図は見ての通り、LTV、熱狂度、推奨意向の3軸でできている。あなたの企業やブランドの「中長期的な利益の源泉」になってくれるのは「熱狂顧客」と「熱狂的推奨者」である。青い矢印は「購入量=満足度=愛顧度=推奨意向」と誤解したまま、購入量が多い顧客に友だち紹介キャンペーンを実施した場合のアプローチ方法である。
⇒だからこそ重要なのは、友だち紹介キャンペーンのような推奨プログラムを実施する前に、必ず熱狂プログラムを実施することなのだ(赤い矢印)。熱狂プログラムとは、ブランドに対する顧客の感情をLikeからLOVEへ、LOVEから熱狂へと押し上げ、顧客の熱量を上げていくための施策である。その上で推奨プログラムを実施し、熱狂顧客へと育成していくのだ(黄色い矢印)。これが最も適切な流れと考える。
PI研のコメント:
・日経Biz Gate、1/27に掲載された興味深いCRMの記事です。Z理論の対極、超S理論ともいえる内容であり、超S=熱狂と定義し、ブランド育成はここを目指し、ここにマーケティング予算を手厚く配分すべきであるという主張です。特に、最後の見出し、「推奨は「顧客の熱狂」によって発生する」の中での図表では「熱狂と推奨のキュービックフレーム」のオリジナル図表を紹介しており、ユニークです。そこでは、従来の2軸に加え、もう1軸、推奨移行を入れており、この軸を加えることによって、単純な熱狂軸で見るだけではない推奨にまでつながる、熱狂的推奨者の視点を提供していることです。CRMは両極を極めることがポイントであり、その意味で超S側を改めて深堀りした記事といえ、興味深いアプローチ方法といえます。CRMはこの超S理論とZ理論とを同時に実施すると、さらに強力なアプローチになる可能性が高いと思われ、今後、この記事を参考に、超S理論の研究も進めたいと思います。
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