Z顧客への販促、Target Finder!
東急百、買う可能性が高い顧客をツールで特定、
化粧品を買わない顧客の購買率が約10倍に
・日経 BigData:2016.02.02
・http://business.nikkeibp.co.jp/atclbdt/15/258673/020100067/
・東急百貨店はデータ分析ツールを活用して同社の顧客を購買行動から特徴別に分類し、購入確率が高い顧客を特定してキャンペーンを試験的に行っている。
・これまで特定のジャンルの商品を購入していない顧客を同社は「ゼロ顧客」と呼ぶが、その中から購入の可能性が高い層を特定。昨年10~11月にターゲットを絞って紙のダイレクトメール(DM)を送付したところ、来店による購入率を通常の約10倍に引き上げることができたという。
・利用しているツールは広告代理店の東急エージェンシーが、産業技術総合研究所(産総研)などと開発した「ターゲット・ファインダー」である。テキストマイニングの手法であるPLSA(確率的潜在意味解析)と呼ぶ手法を応用し、ID-POSのデータから似た購買行動をしている顧客を自動的にグルーピングする。
・今回は化粧品のキャンペーンを展開することにした。比較的化粧品を買うクラスターに属しているが、化粧品を購入していないゼロ顧客を抽出して、DMを送付することにした。「東横神戸屋&ファッション」と「東横通勤着&靴」のクラスターの中の化粧品のゼロ顧客、それぞれ約1000人に送ったところ、いずれも3%台の顧客が来店して購入したという。通常のDMの場合、ゼロ顧客の反応率は0.3%程度と言われており、効果が認められた格好だ。
Target Finder:
・http://www.targetingnext.com/
・ベースプログラム提供:産創研(国立研究開発法人 産業技術総合研究所)
・ソフトウェア製造元、導入サポート:株式会社 ロジックデザイン
・総販売代理、コンサルティング:株式会社 東急エージェンシー
・「Target Finder」(ターゲット・ファインダー)では、購買履歴などの行動を把握できるデータをもとに、従来とは異なる分析手法「PLSA」を用いて行動パターン、買物パターン等で「人とモノ」など2軸で同時にクラスタリングし、受け入れやすい商品やサービスを自動検出することにより、各種マーケティング施策の効果を最大化する分析ツールです。同時に当該商品・サービスの見込み顧客も自動検出します。
必要なデータは3つ:
・1.誰が【 顧客IDなど 】、2.何を【 商品名やサービス名、利用店舗名 】、3.どのくらい【 購入数量や利用金額、利用頻度など 】
PLSAによるクラスター分析:
・クラスタフラグを付与したIDリスト出力:
・クラスタ情報を基にした各種集計:
・顧客属性とのクロス集計
・購買集計
・購買ランキング
・全体と当該クラスターとの対比表 等
Target Finderで使用している分析手法「PLSA」とは:Probabilistic Latent Semantic Analysis
1. 分析には、顧客ID、購入商品、ウエイト(購入回数、数量等)を使用します。
2. デモグラフィック属性や顧客ランクではない購入パターンによる新たなクラスタ手法です。年齢、年収などの属性データを直接的には使用しないので、属性情報が整備されていない顧客データでも分析可能です。
3. 購買行動類似性によって顧客と商品のクラスタリングを同時に行うという特徴があります。
4. 全顧客と全商品が、全てのクラスタへの所属確率*で表されます。
PI研のコメント:
・いよいよ、ID付POSデータの分析にも人工知能の活用が本格化しはじめました。日経BigDataが2/2、「東急百、買う可能性が高い顧客をツールで特定、化粧品を買わない顧客の購買率が約10倍に」の記事を掲載しました。内容は東急エージェンシーが販売しているID付POS分析のソフト、Target Finderを東急百貨店が活用し、化粧品で見込み客を従来の10倍に増やしたというものです。この記事のポイントはTarget Finderがべースとした人工知能解析にもとづいたPLSA手法にあります。この手法は「デモグラフィック属性や顧客ランクではない購入パターンによる新たなクラスタ手法」と、従来のID付POS分析が顧客属性の分析をもとにクラスター化するのに対し、属性を活用せず、ID客数と商品と指標のみからクラスター化し、顧客グループを作り上げることです。ある意味、商品DNA、最近では顧客DNAに近いですが、もともと、人工知能を使い文書と単語解析の技術を顧客と商品に置き換えたところが大きな違いといえます。したがって、顧客属性はなくても分析が可能であり、様々なクラスターをつくることができます。特に、今回の東急百貨店の事例は、この技術をZ顧客に焦点を当て、0顧客をZ顧客に誘導し、通常の10倍という結果を出したことがポイントといえます。しかも、このTarget Finderの開発には、研究機関、システム開発会社、販売会社の3つの企業がプロジェクトを組んでおり、これまでのようなシステム会社主導でのID付POS分析ではない点がユニークです。いろいろな意味で、このTarget FinderはID付POS分析の研究開発分野に新たな光を投げる出来事といえそうです。
お知らせ:
NEW!
1.2015年度版、食品スーパー・ドラックストア財務3表連環分析、リリース、8/17!
*食品スーパー・ドラックストア、全上場企業約100社を対象!
*過去5年間を(ドラックストア3年)、エクセルで自由自在に分析!
2.週間!食品スーパーマーケット最新情報:まぐまぐ!
3.facebookに「食品スーパーマーケット最新情報」グループ創設630人!
4.eラーンング:
*ID付POSデータ実践活用セミナーがeラーニングになりました!
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