起承転結と因果推論について

因果推論とは？
　数年前に、因果推論のAIを購入し、ID-POS分析に応用、その後、アンケート分析に活用し、現在、様々な因果推論を実施し、実務に役立てている。この因果推論はベイズの定理を、因果を推論の根拠としており、これを発展させ、ベインジアンネットワークにまで広げたAIである。従って、親子だけでなく、孫、ひ孫、曽祖父などとの因果関係も推論でき、複雑なものごとの因果関係を類推できるすぐれものである。これまで、数多くの因果推論に取り組んできたが、やればやるほど、因果とは奥が深いことに気づく。たとえば、ID-POS分析で目の前の商品の因果分析をする際、5つの商品があれば、顧客が買った買わないの因果関係は2の5乗、すなわち、32パターンある。因果推論とは、その32パターンをすべてAIによって解析し、どの因果関係が最も強いのかを類推することである。商品が5つの内はまだよいが、これがいわゆる棚割りになると、通常商品数は50品ぐらいとなる。50品の場合の因果関係は2の50乗になるので、これは計算すると約1,000兆パターンにもなる。こうなると、いわゆる、組み合わせ爆発が起こり、通常のソフトでは全く解けない難問となる。まさに、AIの出番である。このように、因果関係は事象が増えれば増えるほど、複雑怪奇となり、AIの登場なくしては解けない難問といえる。これほど、たった目の前の商品の因果関係を見きわめるのが難しいとは、この因果推論に出会うまではわからなかった。

起承転結とは？
　さて、起承転結とは何かであるが、この因果推論に出会う前は単純に4つのパラグラフで文章を構成し、特に、3つ目の転で、起承とは一線を画す事象を登場させ、結論に至ると思っていた。転がなぜあるのか、なぜ、重要なのかがよく理解できていなかった。ところがここに、因果推論の視点を当てはめてみると、起承と転との関係、その後の結への帰結がストンと腑に落ちた。因果推論の観点から起承転結を改めて解釈して見ると以下のようになる。

起承転結と因果関係
　起承は世間でごく自然に受け入れられている因果関係となる。この因果関係は様々な因果関係の内、獣道（けものみち）のようなルートであり、いわゆる前例といっていい因果関係である。では、転は何かであるが、これは、起承とは違う新たな因果の因であり、しかも、世間ではほとんど知られていない、前例のない因果関係であり、これまでの常識とは一線を画し、はっとする因果関係の提示となる。このことは因果推論すると、よくわかることであり、これまでの因果関係よりも、もっと強い絆の因果関係が見つかったということである。従って、これまでの常識よりははるかに強い因果関係の出現であり、前例のない因果関係の提示といえる。この新たな因果関係が登場したことにより、あとは、結、その因果関係が起承の因果関係よりも、強い絆で結ばれ、優位性があることを論証すれば良く、これで、晴れて起承転結、新たな仮説の登場、それを論証して終了となる。

因果推論の観点から起承転結の文章を書くポイント
　このように、起承転結を因果推論の観点から解釈すると、ストンと腑に落ち、これまでの常識を打ち破る新たな仮説を提示し、それを論証するための因果推論そのものを4つの文字に込めたものであることがわかる。ちなみに、序破急も同様であり、これは起承転結の起承を序にし、3つのパラグラフで転のみの因果関係を示していると思われる。起承転結、序破急、因果推論で解釈すると、どちらも同じことをいっており、その本質は因果推論の本質を表した言葉であるといえる。このように、起承転結を因果推論により解釈すると、文章を書く前に、まず、因果推論があり、これまでの常識よりも、因果関係が強い因が見つかった時に、はじめて、起承転結の転結が完結するといえる。文章とは突き詰めると因果関係の帰結ともいえ、改めて、今後、文章を書く際、因果関係を意識し、起承転結でまとめてゆきたい。

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