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March 13, 2024

東芝テック、生成AIによるリテールプロモーション最適化、AIソリューションを開発

 東芝テックが2024年3月11日、「東芝テック、生成AIによるリテールプロモーション最適化、AIソリューションを開発」とのニュースリリースを公表した。いよいよ、スーパーマーケット業界も生成AIを本格活用する時代に入ったといえよう。

 すでに、スーパーマーケット業界では需要予測にAIが活用されたり、店内カメラをAIで解析し、顧客の消費行動を解析したりという事例はあったが、今回の東芝テックのAIは、生成AIであり、しかも、プロモーションへの活用であり、これまでのAIの活用とは一線を画し、新たなAIの可能性を広げるのではないかという期待感が感じられる。

 東芝テックのニュースリリースによれば、「生成AIのキーエンジン「トランスフォーマー」によるリテールプロモーション最適化AIソリューションを開発しました。このソリューションは、POSデータから顧客の好みや反応をAIに類推させ、個々の顧客とPRの組み合わせによる売上や利益のシミュレーションを行います。また、利益最大化を目標として、数理最適化問題を解き、最適なクーポンやポイントの配信を実現します。」とのことである。

 プロモ―ションへの活用の難しさは、ここでも言及しているように、2つのポイントがある。ひとつは、顧客と商品の相性を解析することであり、もうひとつは、その解析結果から最適な組み合わせを見つけることである。今回の東芝テックのプロモーションは、この2点を解決したとのことであり、特に、数量最適化では、利益最大化を目標に置いたとのことで、利益最大化を目指すプロモーションであることである。

 ちなみに、このAIソリューションは、次の4つの主要な機能から構成されているとのことである。その4つとは、「1.消費者一人一人の購買に至りやすい商品を、消費者と商品全ての組み合わせで予測する、2.消費者一人一人のプロモーション別商品別の反応度を予測する、3.各消費者に各々のプロモーションを発信した際の売上・利益の変化をシミュレーションする、4.プロモーション投資額に限りがある中で、膨大な組み合わせの中からどの消費者にどのプロモーションを発信すると経済効率性が高く、利益総額が最大化されるのかをシミュレーションし、配信する」である。

 特に、生成AIのトラスフォーマーは、1の「消費者と商品全ての組み合わせ」に使われているとのことである。従来、ここは、いわゆる、ID-POS分析の併買分析であり、アルゴリズムを力づくで解いてきたといえる。この併買分析はまともに取り組むと、その計算に膨大な時間がかかり、組み合わせ爆発も懸念され、十分な解析ができなかった領域であり、未知の組み合わせが数多く存在する。

 今回、ここに生成AIのトランスフォーマーを導入したことにより、どのような商品と顧客との組み合わせが解析されるか興味深いところである。ニュースリリースでは、「東芝テックは、生成AI活用サービスの開発を強化しており本ソリューションはその第一弾であり、今後もリテール業界の課題解決に向けたAIソリューションの開発を続けていきます。」とのことである。今回の生成AIによるリテールプロモーションの動向はもちろん、東芝テックの第2弾、第3弾の生成AIの活用サービスにも期待したい。

・東芝テックのニュースリリース:3/11
・生成AIに「生成AIのトランスフォーマーとは何ですか?」と聞いた答え。
・生成AIのトランスフォーマーは、自然言語処理におけるディープラーニングモデルの一つで、「Attention Is All You Need」という論文で2017年にGoogleの研究者によって発表されました。このモデルは、従来のリカレントニューラルネットワークや畳み込みニューラルネットワークを使用せず、Attentionメカニズムだけを用いて、系列データの関係性を捉えることにより、文脈を理解し、言語生成などのタスクを行うことができます。エンコーダとデコーダの構造を持ち、それぞれが複数の層から成り立っています。エンコーダは入力されたデータの特徴を抽出し、デコーダはその特徴を用いて新しいデータを生成します。このモデルは、翻訳や要約、質問応答システムなど、多くの自然言語処理タスクに応用されています。また、OpenAIのChatGPTなど、多くの先進的な言語モデルの基盤ともなっています。

 

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