March 30, 2012

RDS006:豆腐をPOS分析して見ると、・・

   日配食品は食品スーパーマーケットでは和日配と洋日配に分かれ、通常、販売場所も分けて展開されているのが実態である。そもそも日配という言葉が食品スーパーマーケットの独得な言葉といえ、毎日配送するから日配とついた商品用語であり、残念ながらここには顧客視点がなく、商品をイメージすることすら難しい難解な用語といえる。しかも、食品スーパーマーケットではかなり、独自な分類をしているのが実態であり、たとえば、パン、冷凍食品、アイスクリームも管理部門は日配である場合も多く、ユニークな分類では通常は水産部門の塩干も日配で管理する場合もある。では、他の生鮮食品、農産、畜産、水産、惣菜等は日配ではないのかということになるが、通常、これらは日配には含まれない。

   こう見ると、日配食品は実にあいまいな概念であり、今後、商品の定義を再検討する必要があろう。ひとつの試みとしては、食品スーパーマーケットを商品管理上から3つの大分類に分けるという案もある。ひとつは自ら製造開発ができる生鮮食品、惣菜である。そして、もうひとつは自ら製造開発は難しいその他の部門である。そして、このその他を鮮度で分け、鮮度管理が重視される日配部門、鮮度管理が比較的ゆるやかなグロサリー部門である。特にこの2つは発注管理が極めて重要な商品群であるので、発注部門といってもよく、生鮮食品、惣菜が発注よりも、原料を製造調理、商品開発をする部門とは、明らかに商品管理体系が違う部門であるといえる。

   そこで、今回のテーマ、豆腐であるが、豆腐は、この発注部門に属し、日配、和日配の代表的な商品群である。洋日配の代表的な商品群が牛乳、菓子パンであり、これらと対極をなす和日配の商品群が豆腐である。したがって、和日配のレイアウトでは、この豆腐をどこに配置するかで、和日配全体への影響が大きく、さらには、店舗全体への影響も大きいといえる。極論すれば、この和日配の豆腐、洋日配の牛乳、菓子パンの展開場所次第で客導線が決まるといってもよく、店舗の来店顧客をワンウェイコントロールでスムースに誘導するには、この3つのカテゴリーをどこに配置するかが重要な鍵を握っているといえる。そのくらい、豆腐は日配全体だけでなく、店舗全体にも大きな影響力がある商品群のひとつといえよう。

   RDSデータ見ても、豆腐はPI値が約30%の商品群であり、SKUは約30であるので、平均PI値1.0%と極めて高いPI値である。PI値1.0%は食品スーパーマーケットの中では全約1万SKUの中で、わずか200品ぐらいしかなく、豆腐がいかにPI値の高い商品群であるかがわかる。実際、今回のRDS-POS研究会に参加した東北の食品スーパーマーケットでは7品、首都圏の食品スーパーマーケットでは3品、近畿の食品スーパーマーケットでは4品あり、中々PI値1.0%以上の商品を複数見出すカテゴリーが少ない中、豆腐はPI値1.0%以上の商品が集中しているのが実態である。しかも、その大半はNB(ナショナルブランド)ではなく、地元の豆腐であることがほとんどである。豆腐にNBはほとんど存在しないといってよく、いかに、地元の豆腐をしっかり売るかがポイントであり、洋日配とは対照的な商品構成となる。

   ちなみに、客数PI値100%以上のものを見ると、東北ではRDS約200 SKUの中でタイシ国産大豆絹ごし450g1品のみである。RDSの金額PI値が1,008.6円(1人当たり1.00円)を超えるので、客数PI値100%となるだけはあり、高い数字である。首都圏ではタカノ沖縄にがり絹200g×2、タカノ沖縄にがり木綿200g×2の2品であり、金額PI値が1,568.8円、1,499.8円であるので、極めて高い数字である。そして、近畿ではさとの雪鍋八400g、1品のみであり、金額PI値は242.8円と豆腐としては低いが、近畿では品揃えに絶対必要な商品として認知されているようである。

   そこで、豆腐のマーチャンダイジングであるが、先に見たようにPI値1.0%以上のお客様から極めて高い支持のある商品が多いこともあり、重点5品で売上構成比が60%前後の数字となる。したがって、この重点5品の品切れを絶対に出さないことが最優先課題であり、この発注管理が最大のマーチャンダイジング上の課題ともいえる。特に、豆腐は様々な商品との併売されることが多く、リフト値の高い商品が多いのが実態である。したがって、豆腐の品切れは他の商品にも波及し、店舗と顧客との信頼関係に直結する商品でもあるといえる。また、重点5品以外にも残り約25品で売上げの40%前後あり、ここにもPI値は低いがロイヤルカスタマーが強く支持する商品がたくさんある。その意味で絞り込みは禁物であり、顧客カットとなりかねない怖さがある。

   このように豆腐は日配食品の中では洋日配の代表格、牛乳、菓子パンと並び、和日配の代表格の商品群といえ、食品スーパーマーケットとしては最優先で取り組まなければならない商品であるといえる。また、重点商品だけでなく、品揃え商品も顧客にとっては重要な位置を占めており、絞り込みというより、あらゆる顧客層に向けた品揃えを充実させてゆくべき商品でもあるともいえる。豆腐のNBは数少ないだけに、いかに、地元製造の価値ある豆腐を見つけ出し、品揃えに加えてゆけるか、ここが重要なポイントといえよう。

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March 20, 2012

RDS005:牛乳をPOS分析して見ると、・・

   牛乳は食品スーパーマーケットの中で根幹のカテゴリーであり、このカテゴリーを店舗のどこに置くかにより客導線を変えてしまうくらいの大きな影響力がある。PI値が30%前後と極めて高く、RDSの約300のカテゴリーの中でもトップクラスであり、したがって、入店客数の30%近くが、牛乳の場所に集まる訳であり、慎重に販売場所を決める必要がある。日配のレイアウトを組む時も、PI値から考えれば、まずは牛乳であり、この牛乳を決めて次のカテゴリーの配置を検討することになる。

   さて、牛乳のマーチャンダイジングであるが、これまで取り上げたRDSのマーチャンダイジングの中では、菓子パンのマーチャンダイジングと対極のカテゴリーといえる。上位たった3品で70%から80%の売上構成比となり、この3品の重点管理が何といって、も最大のテーマとなる。しかも、No.1の商品は地元ブランドの場合がほとんどであり、この1品で金額PI値20,000円(1人当たり20円)、平均単価が200円とすれば、PI値は10%となり、すごい商品が存在する。PI値10%は食品スーパーマーケット約10,000品の中にも数品しか存在せず、PI値の極限の商品のひとつといえる。

   ちなみに、食品スーパーマーケットではPI値1%の水準でも約200品ぐらいしか存在しないので、PI値10%がいかに高い数字であるかがわかる。したがって、この商品はまずは品切れをいかに防ぐか、多少過剰在庫になろうがまずは、徹底的な品切れ管理が課題となる。これはもう担当者だけに任せておくだけでなく、店長管理といってもよく、従業員全員で常に目を配りながら、あぶなくなったら、誰かがフォローする体制をつくることが必要である。

   一般にPI値の高い商品の発注であるが、食品スーパーマーケットの平均的な客数は約2,000人であるので、PI値10%の場合は客数2,000人×PI値10%=200本の牛乳が販売されることになる。1フェイス奥行、かりに5本とすると、200本/5本=40フェイスとなる。したがって、当然1回では陳列できないので、2回転で20フェイス、それでもスペースが十分にとれないので、2段積み、3段積みとなる。また、当然ぴったりの発注では品切れを起こす可能性が高く安全在庫、いわゆる標準偏差を用いて120%から130%ぐらいの発注となるので、これを毎日回し、時々特売が入るなどするため、大変な作業となり、結果、品切れが起こったり、逆に過剰在庫となったりする。素人ではできる技ではなく、それだけ、牛乳はこれひとつとっても重要な商品といえる。

   また、牛乳は地方色が極めて強いカテゴリーではあるが、NBも存在する。RDSでは、雄一、客数PI値100%(導入率)の商品があり、これが明治おいしい牛乳である。びくりである。それ以外でも、客数PI値100%には届かないが、70%から80%ぐらいの森永おいしい牛乳、メグミルクなど大手ブランドがあるが、東北、首都圏、近畿ともに客数PI値100%は、この明治おいしい牛乳ぐらいであり、日配食品全体の中でも稀な商品といえる。しかも、金額PI値も高く、いずれの地区でもベスト5には入る商品であり、牛乳の重点商品の1品としてその地位を獲得している。

   特に、この明治おいしい牛乳は、ID-POS分析を実施すると独特なポジショニングをもっており、地元のNo.1の牛乳や特売となる牛乳等にもほとんど影響されず、独自の顧客を開拓しており、実に興味深い商品でもある。また、500mlも同様にポジションニングができており、1000mlとも棲み分けがはっきりしており、マーチャンダイジングではこれをいかに考慮し、牛乳全体の棚割りをつくるかがポイントとなる。

   また、牛乳は上位3品で売上げの70%から80%となるが、それ以外の商品をID-POS分析すると、下位商品にロイヤルカスタマーの支持の高い商品が多く見出すことができ、いかにこだわりの牛乳、さらに、200mlの小容量まで幅広く品揃えするかがポイントといえる。牛乳全体の売上げには大きな貢献はなくとも、その購入顧客がロイヤルカスタマーであることが多く、これらの商品をないがしろにすると、店舗の顧客、特にロイヤルカスタマーの店舗全体の支持を失いかねず、品揃えも重用な課題である。今回のRDS研究会の参加メンバーの牛乳のSKUはおよそ20SKUであるので、重点商品の強化だけでなく、残り20品までの品揃えを慎重に選定し、しっかり管理してゆくことが牛乳のマーチャンダイジングのポイントといえる。

   このように、牛乳は菓子パンと対極のマーチャンダイジング、品揃えも絞られ、特に、上位3品で70%から80%も売上構成比があり、この3品をまずは絶対に品切れを起こさず、管理できるかがポイントとなる。そして、これに加え、NB、ナショナルブランドも重点商品として加え、さらに、残り約10数SKUを慎重に選定することが課題といえる。菓子パンのマーチャンダイジング、そして、牛乳のマーチャンダイジング、この双方がマスターできれば、ほぼ、マーチャンダイジングの基礎を修得できたも同然、是非、この2つのマーチャンダイジングは体験し、マーチャンダイジングの真髄を身に着けて欲しいところだ。

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March 13, 2012

RDS004:カップ麺をPOS分析して見ると、・・

   カップ麺は何といっても、カップヌードルを含め、RDS-POSデータで見ると、客数PI値がほぼ100%の商品が多いのが特徴である。しかも、日本全国どこでも10品近くあり、この商品をどう売り込んでゆくかがまず課題となる。客数PI値が高いとは全国どの食品スーパーマーケットでも販売されているということであり、どこでも購入できる商品ということになる。したがって、顧客はその購入価格を比較検討して購入することが可能であり、価格設定、そして、棚割の中でどこに位置づけるかが課題となる。特に価格設定は重要であり、RDS-POSの平均単価を見て、それに可能な限り近づけることが必要であり、場合によっては競合店の価格もチェックすることがポイントである。お客様は客数PI値の高い商品の価格はシビアに見ており、実際、RDS-POSでも、プライスラインがずれている商品は金額PI値が低いのが実態である。

   ちなみに、その客数PI値100%に近い10品であるが、日清カップヌードル77g、日清カップヌードルシーフードヌードル75g、日清カップヌードルカレー85g、日清カップヌードルミニ36g、日清のどん兵衛きつねうどん(東、西)96g、日清のどん兵衛天ぷらそば100g、マルちゃんC赤いきつねうどん(東、西)96g、マルちゃんC緑のたぬき天そば(東、西)101g、日清のどん兵衛きつねうどんミニ西42g、日清焼そばU.F.Oカップ129g等である。この中で東、西とあるのは、味付けが東西違うため、その地域性の違いである。また、意外にミニも客数PI値100%の商品が入っており、これらがカップ麺の定番中の定番といえよう。

   問題は、金額PI値であるが、この中でも、カップヌードル、どん兵衛、まるちゃんはトップクラスの数字であり、金額PI値500円(1,000人当たり)前後の数字となる。グロサリーで金額PI値500円はトップクラスであり、客数PI値が10%以上の中では、このカップ麺では5、6品ぐらいしかなく、まさに重点商品といえる。ただ、この重点商品を全部足しても、金額PI値の構成比は30%ぐらいであり、これでカップ麺全体の数字をカバーできるわけではない。仮に、これでカップ麺の数字がカバーできるのであれば、この重点商品のみを売っていれば良いことになるが、実際は、この重点商品の金額PI値の構成比が約30%であるので、カップ麺は残り、約70%が勝敗の分かれ目となる。

   では残り70%とはどのくらいの品揃えが必要なのかであるが、今回、RDS-POS研究会に参加した東北地区、首都圏、近畿の実態を見てみると、100SKU前後であり、多い店舗では130SKU、少ないところで100SKU弱という結果である。したがって、残り70%の金額PI値を構成しているのはおよそ、100SKUといえ、ここがカップ麺の数字改善ができるかどうかのポイントといえる。その100SKUをどのような商品で品揃えしてゆくか、どのように棚割りを組んでゆくか、どのようにPOP等の販促をかけてゆくか、これで数字が大きく違ってくるといえる。

   今回の各店の数字を見ると、カップ麺の金額PI値はほぼ15,000円前後(1,000人当たり)であるので、SKUが130でも100弱でもあまり大きな差はないといえ、この数字を見る限り、100前後までは絞り込めそうである。したがって、この約30%を重点商品とすると、5,000円であり、残り10,000円が100SKUとなるので、金額PI値100円前後の商品を100品、品揃えしてゆくようなイメージである。極論すれば、金額PI値100円以下になったらカットし、100円以上のものは残し、RDS-POSから100円以上のものを見つけ、新規導入してゆけば良いということになる。

   RDS-POSのカップ麺を見ると、東北地区では約600種類、首都圏では約500種類、近畿圏では約400種類あるので、この中から100種類を選定してゆけば良いといえ、手順さえしっかり決めて取り組んでゆけばけっして難しい課題ではないといえる。要は、自店の約100品のカップ麺のPI値を毎月チェックし、金額PI値100円以下の商品はカット、RDSで金額PI値100円以上の商品と入れ替えれば良い。ただし、その際、できるだけ、客数PI値の高い商品を優先した方が良いといえよう。客数PI値が高いとはそれだけ多くの店舗で検証された商品であるので、当たり外れが比較的少ないからである。また、自店の金額PI値100円以下の商品をカットする場合もRDS-POSの金額PI値を見て、仮に、100円以上であれば、売り不足と考えられるので、カットせず、再度、100円以上にもってゆく挑戦をした方が良いといえよう。

   カップ麺についてはもう1点、重点商品のカップヌードルに対抗する商品、スープヌードルがある。この商品の数字を見ると、各地域、各店舗とも、店舗によってはカップヌードルを上回っている場合もあり、双方が良く売れているのが実態である。したがって、この2つの関係をいかにバランスをとるかがポイントであり、価格設定、棚割り、POP等、慎重に検討する必要があるといえよう。

   このように、カップ麺はRDS-POSで見ると、実に興味深いカテゴリーであり、全国共通、客数PI値100%近い商品が約10品ぐらい存在するという超メジャーなカテゴリーでもある。ただ、この重点商品でも金額PI値の構成比は約30%であり、カップ麺を支えているのは残り100SKUの品揃えであるといえる。したがって、この品揃えの商品にも目を配る必要があり、ここをうまくRDS-POSを活用してゆくことにより、飛躍的に数字の改善につながる可能性もあるといえよう。カップ麺のマーチャンダイジングは、重点商品の強化はもちろんであるが、まずは、自店の全商品の品揃え、1品1品をつぶさに確認するところからはじめて欲しい。 

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March 10, 2012

RDS003:菓子パンをPOS分析して見ると、・・

   菓子パンは何といってもその品揃えの多さが特徴である。食品スーパーマーケットの全カテゴリーの中でも最も品揃えの多いカテゴリーであり、RDSのこの1月度の直近データで見ると東北地方800、首都圏735、近畿843種類もある。したがって、その中からいかに売場展開するかがポイントとなる。しかも、金額PI値も極めて高いカテゴリーであり、RDS、約300のカテゴリーの中でも、ベスト3には入り、店舗全体の売上げへの貢献も大きく、食品スーパーマーケットでは最重点カテゴリーといえる。ところが、意外に、このような最重点カテゴリーが現場ではなおざりになっていることが多く、伸びしろは極めて大きく、やればやるほど効果が期待できるカテゴリーでもある。

   菓子パンのマーチャンダイジングの基本は月間250から300SKUを品揃えし、過剰在庫を防ぎ、大胆な品揃えの改廃ができるかどうかが最大のポイントである。単品管理による絞り込みは禁物であり、絞り込めば絞り込むほど縮小均衡となり、数字が落ち込んでしまいかねず、反対に、いかに品揃えを増やせるかが売上げを決めるといえ、通常のマーチャンダイジングとは正反対の戦略となる。

   実際、重点商品ベスト10の金額PI値を見てみると、これを全部足しても、全体の約30%ぐらいにしかならないのが実態であり、残り約70%の品揃えが鍵を握っているといえる。ただ、この約30%の重点商品が疎かになると、それはそれで全体への影響も大きく、この上位10品の最重点商品は絶対に品切れを起こさない対策を徹底することも同時に取り組む必要がある。

   したがって、菓子パンのマーチャンダイジング戦略としては、まずは菓子パンの最重点商品10品をしっかり決め、この商品に関しては絶対に品切れを起こさないように発注を行い、棚割でも定位置管理を行いフェイスも十分にとることが課題である。できれば、POPもつけ、しっかりお客さまにも訴求したいところである。そして、一方で、品揃えの拡大をどうはかるか、ここが最大のポイントであるが、できれば、先に述べたように月間、250から300SKUは欲しいところだ。今回のRDS-POS研究委員会でも各社の月間SKUを見ると、少ないところで100SKU、多くても200SKU強であり、まだまだ十分な品揃えができているとはいえず、今後、課題を残しているといえ、いかにSKUを増やしてゆくかが大きな課題となった。ちなみに、金額PI値も100SKUでは20,000円(1,000人当たり)であるが、200SKUとなると30,000円近い数字となり、格段の違いとなる。
 
   その違いをさらに細かく見てみると、重点商品の差はせいぜい金額PI値1,000円ぐらいの差であり、金額PI値10,000円の差がつくのは重点商品以外の金額PI値である。ここで9,000円の差がついており、明らかに品揃えの差が、金額PI値に跳ね返っていることがわかる。しがたって、各地域月間700から800種類ある菓子パンから、250から300SKUの品揃えを確保できるかが金額PI値の差に直結してくるといえ、このマーチャンダイジングノウハウの確立が課題となる。

   そのためには、いかに品揃えを定期的に変化させる、すなわち、入れ替えられるかがポイントとなる。実際の食品スーパーマーケットの菓子パン売場ではせいぜい100種類から150種類が限界であり、実際に1日の販売量を見ると、このくらいの品揃えが過剰在庫にならず、無理なく回せる品揃えの範囲であるといえる。したがって、月間250から300SKUの品揃えを実現するには、毎週定期的に40から50SKUを新商品と入れ替える必要がある。これをスムースに実現してゆくには、RDSのPOSデータを活用してゆくと無理なく、数字で判断し入れ替えが可能となる。

   たとえば、自店の金額PI値の低い商品をカットし、代わりにRDSの金額PI値の高い商品を導入する。ただし、カットの場合は、まずRDSの金額PI値と比べることがポイントである。RDSで金額PI値が高い場合はまだ売り不足であったり、価格設定にズレがあったりする場合があるからである。そして、その際、さらに、客数PI値の高い、その地域でメジャーな商品を優先していれることにより、地域の中での品揃えとのズレがなくなる。さらに、客数PI値は低いがRDSで金額PI値の高い商品の導入も検討する。これはその地域ではメジャーではないが密かに顧客からの支持が高い商品であるので、自店で扱っても売上げが上がる可能性が高いからである。

   このようにRDSデータがあれば、菓子パンのマーチャンダイジングの最大の課題、品揃えの確保、入れ替えはMD評価表から一目同然となり、数字で判断することができ、誰でもコツさえつかめば、スムースに菓子パンの品揃えが拡大してゆく。目標の月間250から300SKUの品揃えも可能となり、結果、菓子パンも自然に活性化されてゆき、マーチャンダイジングノウハウができ上がるといえる。菓子パンはその意味で、誰でもRDSのMD評価表を使えば、最高のマーチャンダイジングノウハウを修得できるといえ、POSデータを通じたマーチャンダイジングの改善を図る上において最初に取り組んで欲しいカテゴリーである。できれば、店舗の全員が菓子パンのマーチャンダイジングを体感し、マーチャンダイジングのいろはを修得して欲しいところである。

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March 08, 2012

RDS002:RDS-POS研究委員会、第3回終了!

   RDSサプライチェーンにおける協働マーチャンダイジング研究委員会、第3回目が3/7、無事終了した。これで今期の研究委員会は終了、来期、4月以降は、RDS加盟約100社、約400店舗の食品スーパーマーケットに、この研究成果を活用していただき、各店舗のマーチャンダイジングの改善に取り組んでいただくことになる。遅くとも、この秋には、今回の研究委員会の最大の成果ともいうべきMD評価表の活用がWeb上で可能になる予定であり、自店のPOSデータとRDSの地域のPOSデータとのカテゴリーごと、1品1品の単品ごとの比較が金額PI値=PI値×平均単価にもとづいて可能になる予定である。

   今回の研究委員会の成果はこれ以外にもいくつか注目すべき点があった。ひとつはPOSデータだけでなく、イメージ、すなわち、売場写真と連動させて研究委員会を進めたことである。今回の研究委員会の最大の目的は現場の方、特に、実際に売場で商品の品出しを行い、売場をつくり、POPを書き、発注をしている方が、RDSのPOSデータをどう理解し、判断し、店長、本部の協力を得て、実践に活かせるかに焦点を当てた。

   特に、この第3回の研究委員会では前回、第2回の研究委員会の結果とも比較し、数字がどのように動き、そのために売場がどう変化したのかを鮮明な売場写真と連動させたテキストを作り上げた。1つの売場写真をパワーポイント1枚に収め、大きな迫力ある写真で示したことにより、商品1品1品が判別でき、商品名、プライスカード、POPの1文字1文字まで鮮明に映しだされたテキストとなった。実際のマーチャンダイジング研修でもここまで売場画像をふんだんに取り入れたテキストは稀であり、これだけでも永久保存版ともいえる、見てわかる、まるで写真集のようなテキストを作り上げたことである。

   今回、東北から1社、首都圏から1社、近畿から1社の食品スーパーマーケットが研究委員として参加したが、このテキストを明日には社内で議論し、現場の方にRDS-POSデータとともにミーティングを開くことになろうが、現場の方もすぐにアクションを起こせ、マーチャンダイジングの改善イメージを作り上げることができるのではないかと思う。誰もがすぐに動くにはPOSデータを分析し、解釈し、結論をだすというプロセスだけでなく、マーチャンダイジングイメージを先に作り上げ、POSデータが後についてきても良いといえ、むしろ、現場はこの方が望ましいのではないかと思う。今後、POS分析と売場写真は一致させる研修が特に現場では重要なのではないかと、この3回の研究委員会を通じて得たもうひとつの大きな成果である。   
 
   そして、もうひとつは、SNS、facebookの活用である。実は、この3回目の研究委員会を開催するにあたって、実験的に東北の食品スーパーマーケットの研究委員の方とfacebookを活用しての実証実験を行った。すでに、facebookでのやり取りは一部はじめていたので、その一環として、RDS-POSデータが活用可能かをfacebookのプライバシー設定最高度の秘密のグループを立ち上げ、店長、バイヤー、売場担当者に参加してもらい、その実現可能性を探ってみた。facebookでは画像が自由にアップでき、しかも、携帯電話で撮影した売場写真をそのままアップできるので、まさに、売場写真を中心に現場の方とダイレクトにコミュニケーションをはかることができるのが特徴である。
 
   実際、試みに、RDS-POSデータの活用ポイントのひとつ、重点商品の売場管理をfacebookをもとに実施してもらった。RDS-POSデータ活用の極意は重点商品をすばやく見つけ出し、現場で重点管理を行う、これが最初のステップである。そのためには、まずは、自店の金額PI値の高い商品ベスト10をしっかり押さえることであり、この商品を絶対に品切れさせないこと、これが自店の顧客の支持を得るための最優先課題である。

   そして、ここからはRDS-POSデータでなければできない課題であるが、RDS-POSデータで金額PI値の高い商品10品を押さえることである。この商品はその地区では良く売れている商品であるので、これが自店で売れていない場合は、何か現場に問題があるといえ、少なくともRDS-POSデータの平均までは販促をかけ、売上アップをはかるべき優先度の高い商品といえる。そして、最後が客数PI値ベスト10である。これは、その地区で、メジャーな商品であるので、特に売価設定のズレがないかどうかをチェックすることがポイントである。客数PI値が高いとは、その地区の消費者が誰でも知っている商品であるといえ、どこでも購入できる商品であるので、価格帯がずれていれば、絶対に売れないからである。

   このように、この3つのチェックを実際にプライスカードに色別のシールをはってもらい、その結果を参加者全員が写真で共有し、次の展開につなげるわけである。実際、実施てしていただいた結果、RDS-POSデータが売場で視覚化され、その売場写真を参加者全員が共有でき、それを見るだけで、データを見なくとも課題が浮き彫りになった。このようなfacebookの活用が実際可能であることがわかり、SNSはRDS-POSデータとも実に相性が良いことが確認できた。

   今期の研究委員会は、これで終了、あとは、これまでの成果を報告書にまとめることになるが、意外にfacebookの活用の可能性が高いことがわかったので、有志が引き続き、facebookを通じてヴァーチャルでのRDSの研究会を続けることが決まった。その意味で、来期、4月以降は、facebookも視野に入れ、次世代の研究委員会を検討してゆくことがポイントといえそうである。とりあえず、これで、今期の研究委員会の委員長としての役目は終えさせていただくことになる。各研究委員の皆様、本当にお疲れ様でした。

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March 07, 2012

RDS001:ヨーグルトをPOS分析してみると、・・

   ヨーグルトは日配のカテゴリーの中でも実におもしろい商品が多い。特に、RDS、(財)流通システム開発センターのPOSデータと自社のPOSデータを比較検討すると、これまでに見えなかった様々なヨーグルトの姿が浮かび上がり、マーチャンダイジングの改善のための様々なイメージが浮かんでくる。RDSにはヨーグルトだけで300種類ぐらいある。地域によって多少の違いがあるが、東北地区、近畿地区ではちょうど300種類、首都圏ではやや多く、350種類を超える。ところが実際、各店で扱っているヨーグルトは60SKUから70SKUであり、20%前後である。したがって、約80%は未導入のヨーグルトが市場には出回っているといえ、これひとつとっても、新商品、いわゆる、その店舗ではじめて扱う商品が無限にあるといっても過言ではない。

   ヨーグルトのマーチャンダイジングのおもしろさは、菓子パンと牛乳のマーチャンダイジングを兼ね備えた、両方を足して2で割ったようなマーチャンダイジングである点にあるといえる。しかも、各メーカーの商品開発も半端ではなく、おそらく、すべてのカテゴリーの中でも、考えられるあらゆる商品開発がなされているといえ、新商品も続々と登場し、メーカー同士の商品開発競争も熾烈である。特に、ここ最近は海外勢も頑張っており、ダノンのダノンビオプレーン加糖80g×4個は日本中を席巻しており、売場スペースが十分に取れるところでは、ダノンシリーズだけで4尺1本割いている食品スーパーマーケットもある。

   ちなみに、このダノンビオプレーン加糖80g×4個の客数PI値、金額PI値であるが、2012年1月現在、東北地区、客数PI値85.1%(金額PI値597.3円)、首都圏、客数PI値99.0%(金額PI値484.0円)、近畿、客数PI値96.0%(金額PI値411.8円)であり、東北地区の金額PI値が最も高く、客数PI値は特に、首都圏は99.0%と100%に近く、すごい導入率である。これまでヨーグルトは3連が中心であったが、この商品が大ヒットしたことで一気に4個パックが主導権を握り、各社、この種の商品開発がなされ、ヨーグルトの売場が様変わりしつつある。

   ちなみに、客数PI値100%の商品であるが、明治プロビオヨーグルトLG21 112g(東北、首都圏)、明治 プロビオYG LG21ドリンクT112(首都圏)、明治ブルガリアヨーグルトLB81 450g(近畿)、明治ブルガリアのむヨーグルトプレーン1L(近畿)、明治 ブルガリアヨーグルトブルーベリー80g×4(近畿)、メグミルク牧場の朝ヨーグルト78g×3(近畿)、森永アロエヨーグルト85g×2(近畿)、ダノンビオプレーン砂糖不使用80g×4個(近畿)のみである。近畿が多いのが特徴といえるが、これを含め客数PI値100%に近い商品が各地区10品ぐらいあるのが特徴である。

   したがって、ヨーグルトの重点商品は日配では珍しく、全国的に普及しているナショナルブランドが多く、このような客数PI値の高い商品はいかに平均単価、価格設定を間違いないことが最優先課題となる。そのためにはRDSデータが極めて重要な指針となり、少なくとも、客数PI値の高い商品に関しては、RDSデータの平均単価よりも可能な限り、高くならないような価格設定がポイントといえる。実際、この平均単価と乖離がある売価設定をすると、金額PI値が大きく下がるのが実態であり、消費者はこと客数PI値の高い商品はシビアに価格を見て購入を判断している様子がRDSデータからも鮮明である。

   さて、ヨーグルトが菓子パンと牛乳の双方を合わせてもっている最大の根拠は上位10品の売上構成比である。どの店舗でも共通にだいたい50%前後となるのが通常であり、牛乳のように上位3品で70%とか、逆に菓子パンのように、上位10品で30%ということはなく、ほぼ上位10品では半分となるのがヨーグルトの特徴である。したがって、残り50%、約50SKUの品揃えがヨーグルトのマーチャンダイジングの活性化の鍵を握っているといえ、この品揃えをいかに顧客の嗜好に合わせられるかがポイントである。

   ひと口に品揃えといっても、パーソナルユースとファミリーユースの商品があり、バラ、2連、3連、4連とアイテム分割がきめ細かく、さらに、プレーンを基本に様々なフレーバーがあり、低糖、低カロリー、砂糖0まである。食品において考えられるパターンの商品開発がすべて集約されたカテゴリーがヨーグルトといえる。したがって、商品1品1品のメーカーの開発意図を理解した上で、さらに、RDSデータ等により、自店が未導入商品でも、RDSで客数PI値が高く、金額PI値の高いもの、さらには、客数PI値が低くとも、金額PI値の高いものはどんどん新規導入をはかり、活性化をはかるべきであるといえる。

   このように、ヨーグルトは実に奥が深く、メーカー各社が熾烈な商品開発競争を繰り広げており、あらゆる角度から商品開発がなされているカテゴリーであるといえる。しかも、重点商品だけでは、ヨーグルト全体の約50%の売上構成比であり、重点商品の強化はもちろんであるが、品揃えの改善も同様に重要な商品であり、顧客の声を良く聞き、品揃えの見直しを絶えず実施してゆくことがマーチャンダイジングにとっては重要な課題となる。やればやるほど、研究すればするほど、大きく差がでるカテゴリーでもあり、だからこそ、やりがいがあるカテゴリーでもある。

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January 16, 2012

ChainStoreAge、PowerCategory2012へ記事投稿!

   Chain Store Ageの最新号、2012年1月15日号でPower Category 2012の特集が組まれ、冒頭の「Power Category 2012売場活性化の視点」に記事を投稿した。タイトルは、「Power Category、本決算に向けて、重点商品を再確認せよ!」である。このPower Categoryの特集は年2回組まれるが、今回は2011年4月から2011年9月までの期間を対象とし、まさに、いま、そして、今後、強化してゆくべきPower Categoryが選ばれている。Power Category選定にあたっては、RDS((財)流通システム開発センター)が全国約400店舗の食品スーパーマーケットから収集したPOSデータを独自に集計したTOPNAVI-NETを用い、文字通り、各Power Categoryの単品にまで落としての分析結果をもとにしている。昨年との比較、地域間の比較、そして、売上シェアトップ20を明示し、いま、強化すべき珠玉のPower Categoryが選定されている。

   ちょうど、この時期は、3/11の東日本大震災の影響が色濃く表れていることもあり、はじめに、「東北地方で強いPower Category(対全国平均)」を取り上げた。当然、東北地方特有のPower Categoryも含まれるが、東日本大震災という未曽有の災害により、需要が跳ねあがったPower Categoryもあるといえ、今後の参考に取り上げたものである。それを見ると、150%以上の異常値を示したものは、ローソク222.9%、除湿剤169.7%、家庭用手袋167.5%、身体洗い用品160.5%であり、いずれも雑貨である。実際、この時期は雑貨が異常値を示しているものが多く、コンビニ、食品スーパーマーケットでも雑貨の数字が高く、ホームセンター、ドラックストア等、文字通り雑貨を強化している小売業は雑貨の数字が跳ね上がっていたといえる。

   これについで、ドリンク剤146.3%、インスタントカップ麺140.2%、砂糖137.1%と食品関係も高い伸び率を示すPower Categoryが登場し、雑貨でもティッシュペーパー144.8%、たわし・スポンジ140.5%等、高いPower Categoryが続く。食品スーパーマーケットとしては、これらのPower Categoryを再確認し、東日本大震災以降も依然として高い伸び率を示しているものに関しては、改めて重点商品の確認が必要といえよう。特に、雑貨に関しては、これを機に、再度、強化すべきPower Categoryを見極め、品揃えの改善を検討したいところだ。

   一方、この期間、東北地方を含め、全国的にPI値が上昇しているPower Categoryもある。これらについては、今回のタイトル、「Power Category、本決算に向けて、重点商品を再確認せよ!」に沿うといえ、しっかり、重点商品を見直して欲しいところだ。そこで、特に、PI値が伸びているPower Categoryであるが、大人用紙オムツ124.3%、除湿剤123.3%、ワイン(果実酒)118.2%、野菜缶詰112.9%、新ジャンル(酒)110.5%、ドレッシング110.3%、漬物109.7%、ルウカレー109.1%、室内芳香剤109.1%、トイレ用芳香剤109.0%等であり、まさに、いま、強化すべきPower Categoryといえよう。

   以上が、記事の前半のテーマであるが、後半では、今回特集された全Power Categoryから重点商品を選定する上においてのポイントを、食品、酒、雑貨の3つの部門をもとにまとめてみた。食品スーパーマーケットのカテゴリーには、重点商品強化型のカテゴリーと品揃え強化型のカテゴリーがあり、今回特集したPower Categoryも、きれいに、この2つに分けることが可能である。これにより、Power Categoryの重点商品を選定する際に、重点商品を絞る方向で検討するか、広げる方向で検討するかが一目瞭然となる。

   今回選定したPower Categoryでは、売上シェアベスト10の重点商品の構成比をもとにその結果を見てみると、食品では、オリゴ糖92.4%、お茶漬けの素78.9%、マヨネーズ75.1%、酒ではノンアルコールビール90.8%、雑貨では除湿剤75.9%であり、これらが70%の上位集中、まさに、重点商品強化型の典型的なPower Categoryである。一方、食品ではドレッシング11.4%、漬物12.7%、酒ではワイン(果実酒)10.3%、雑貨では猫フード9.8%、ヘアカラー11.9%、身体洗い用品18.9%等が品揃え強化型商品であり、上位商品だけでなく、品揃えをどこまで広げるかがポイントといえる。

   本文の中でも言及したが、興味深いことに、同じ売場で展開される、たとえば、調味料のマヨネーズとドレッシングは真逆のPower Categoryであり、ペットフードの犬と猫も真逆のPower Categoryであり、重点商品の選定、品揃えをどこまで広げるか、売場の作り方、POPの訴求まですべて対照的となるので、注意が必要である。食品スーパーマーケットのカテゴリーはこのような対照的なカテゴリーがいくつもあり、今回、取り上げたPower Categoryをよく見て、重点商品の選定をして欲しいところだ。

   このように、今回のPower Categoryの特集は、2011年4月から2011年9月のPOSデータをもとに、いま、そして、今後、強化すべきPower Categoryを選定しており、今回のタイトル、「Power Category、本決算に向けて、重点商品を再確認せよ!」にふさわしいPower Categoryが選定されているといえる。食品スーパーマーケットの決算は1月からはじまり、2月がピーク、そして、3月が次の山であり、その後は5月、9月となるが、2月、3月で大半が終了する。今期、中間決算を見ると、概ね、利益が好調であり、このPower Categoryはまさに、この利益の好調さを支えたPower Categoryといえる。食品スーパーマーケットとしては、再度、このPower Categoryを確認し、本決算に活かして欲しいところだ。

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December 29, 2011

商品の検証とは、その2?

   前回は商品の検証について、約20年前までにさかもどり、構成比、相乗積について解説し、その後、POS分析とともに発展してきたPI値を活用しての検証にまで言及した。そこで、今回は、このPI値からの商品の検証をもう少し解説し、その後、今後、食品スーパーマーケットの商品の標準検証となると思われるID-POS分析を活用した、ID-PI値からの商品の検証について解説したい。ID-PI値を用いた商品の検証は、まだまだ始まったばかりであり、今後、食品スーパーマーケットだけでなく、メーカー、卸も含め、様々な場面で活用がなされてくることになろう。特に、ID-PI値はこれでのマーチャンダイジングに加え、メーカー、卸の専売特許ともいえるマーケティングの領域に踏み込むことになり、マーチャンダイジングとマーケティングの融合につながる商品の検証となるといえよう。

   まずは、PI値からの商品の検証であるが、PI値の原理は、すべてをレシート客数当たりの指標に換算したところがポイントであり、これにより、過去、すなわち、時間との比較、他の店舗、すなわち、空間との比較を容易にしたことに加え、はじめて、顧客に焦点を当てた商品の検証が可能となったことである。ID客数と比べると、顧客への焦点の当て方に甘さが残るが、その方向を示したことは、大きな前進といえる。

   PI値は通常、PI値のみが独り歩きして、商品の評価指標のひとつと活用されることが多いが、それは、PI値の本質からいえば、実にもったいない話である。PI値は本来、その上位概念に金額PI値があり、同列に平均単価があり、平均単価とともに活用し、商品の検証をしてゆくべき指標である。金額PI値(客単価)=PI値×平均単価であり、金額PI値(客単価)が商品の検証結果、PI値、平均単価がその原因を表しており、PI値の検証とは、金額PI値(客単価)で結果を判断し、PI値、平均単価でその原因を追究するというのが正しいPI値の使い方である。

   したがって、PI値が上がったからといって、喜んではいけない。平均単価が下がったからといって悲しんではいけない。結果である金額PI値が上がれば、それはそれで正解であり、本来の目的を達したことになる。ただ、もちろん、最高の結果は、PI値も平均単価も上がり、結果、金額PI値が上がることである。これが本来のマーチャンダイジングの目指すべき方向であり、商品の到達点といえよう。ちなみに、金額PI値の評価には6つの場合がある。金額PI値が上昇し、PI値、平均単価双方が上昇する場合、平均単価が下がり、PI値のみが上昇する場合、PI値が下がり、平均単価のみが上がる場合の3つ、そして、金額PI値が下がり、PI値、平均単価双方が下がる場合、平均単価が上がり、PI値のみが下がる場合、PI値が上がり、平均単価のみが下がる場合である。

   さて、このPI値からの商品の検証に加え、ここ最近では、ID-POS分析を通じたID-PI値からの商品の検証がはじまったといえる。これは、レシート客数にポイントカードなどを使い、IDの区別が可能となったことにより、可能となった新たな商品の検証方法である。その結果、実に興味深いことに、金額PI値が必ずしも最終的な結論ではないということになり、金額PI値を下げてもID金額PI値が上がれば正解という事例が見られ始めたことである。

   ID-PI値はID金額PI値=ID客数PI値×金額PI値で算出可能となる。これまでの商品の売上高をレシート客数で割った金額PI値に対し、商品の売上高をID客数で割った金額PI値のことである。ID客数PI値がレシート客数をID客数で割った購入頻度であるので、ID客数PI値×金額PI値はレシート客数が約分され、ID金額PI値となり、双方が成り立っていることがわかる。このID金額PI値が開発されたことにより、商品の検証は新たな段階を迎え、これまでの金額PI値(客単価)を結論とみなしていたマーチャンダイジングにその先があることが判明した。そして、商品の検証にID客数PI値が加わり、結果、ID金額PI値で商品を検証することが可能となり、より、精度の高い、顧客視点に立脚した商品の検証の時代へと突入した。

   これは直観的にはよくわかる話であり、金額PI値が1回当たりの顧客の購入金額で商品を評価しているのに対し、ID金額PI値はそれにさらに、購入頻度を加え、それを加味した累計購入金額で商品を評価している点が違い、これが新たな商品の検証につながっていったといえる。しかも、その評価期間が1日、1週間ではなく、ここ最近では年間の累計金額での評価が定着しつつあり、将来的には10年、20年と、店舗が続く限りの商品の評価、検証へとなってゆくものといえよう。

   このように、商品の検証は、この20年の間に劇的に変化しており、初期の頃の構成比、相乗積の時代から、POSシステムの普及とともに、PI値での検証の時代となり、さらに、ここ最近では、ID-POS分析が可能となったことにより、ID-PI値での検証の時代へと入りつつあるといえる。今後、さらに、商品の検証方法は改良され、新たな検証方法も開発されると思うが、商品1品1品をしっかりと、食品スーパーマーケット側だけでなく、メーカー、卸も加わり、より深く検証していって欲しいところである。

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December 28, 2011

商品の検証とは、その1?

   商品の評価を検証する方法は、これまで様々な方法が考案されてきた。古くは単純な売上高(売上金額)と売上数量をもとにした評価方法である。これが最もオーソドックスであり、いまでも、広く検証に活用されている。ところが、この指標で商品を検証すると、食品スーパーマーケットでは様々な問題が発生する。主な問題点は、過去との比較、他の店舗との比較がうまくできない点である。いわゆる時間と空間の問題である。時間とは、たとえば、先週の売上高、あるいは、昨年の売上高と比較した場合、仮に、売上高が同じであった場合、果たして、これを単純に同じ商品の力があると見なして良いかである。空間とは、売上高が他の店舗と同じであった場合に、同様に同じ商品の力があると見なして良いかである。この問題を解決するために、食品スーパーマーケットでは様々な改良点が加えられてきた。そこで、ここでは、この商品の検証について、初期の検証から、最新の検証までを考えて見たい。

   食品スーパーマーケットは、新規出店がなされると、通常、数年間は売上高が上昇してゆく、そして、数年後には、売上高が上限に達し、ほぼその近辺で収束する。その後、徐々に売上高を落とし、最終的になだらかかなやや下がり気味の横ばいになってゆくのが通常である。いわゆる、これが食品スーパーマーケットのライフサイクルといえ、最終的には、20年から30年で撤退となる。したがって、その時々に、タイミングよく、てこ入れ、いわゆる活性化をしないと売上高の減少に歯止めが効かなくなり、予想よりも、早く、売上高が下がり、収束してしまう。したがって、時間で売上高を評価した場合は、このような点が加味されず、商品の評価があまり意味をなさなくなる。

   一方、食品スーパーマーケットは、原則、チェーン展開を行い、新規出店を増やしてゆくため、様々な立地に出店してゆく。その際、立地環境、あるいは、運営体制が様々な状況になるため、常に、同じ客層、同じ面積、同じ商品構成、同じマネジメントで展開できるとは限らず、様々な売上規模となってゆくのが実態である。可能な限り、チェーンオペレーションを組み、そのブレをなくすような立地への出店、社内体制を組んで臨んではいるが、実際は、大きく、売上高が店舗によりブレるのが実態である。したがって、各店舗間、いわゆる空間での売上高での単純な比較は、商品の評価を見誤る恐れが強いのが実態といえる。

   この問題を解決するために、初期の頃の、ちょうど、今から20年前ぐらいまで取り組まれてきた商品の検証方法は、構成比を算出することであった。構成比とは対象商品の売上高を全体の売上高で割って算出した数値であり、時間、空間での比較が容易となり、これを活用することにより、商品の検証精度が飛躍的に向上したといえる。この構成比はいまでも、商品の検証に活用されており、優れた評価方法であり、この応用として、食品スーパーマーケットが発明した芸術、魔術ともいうべき、相乗積がある。

   相乗積とは、構成比の原理を巧みに駆使し、売上高の構成比と粗利率を掛け、その数値を足して、複数の商品の粗利率をほぼ暗算で瞬時に計算する方法で、はたから見ているとまるで手品のように見える粗利率の計算方法である。ただ、これは魔法でも、手品でもなく、要は、原理は単純であり、粗利構成比を算出しているに過ぎない。売上高の構成比が粗利高の構成比に変わったために、理解しにくくなっただけであり、その本質は極めて単純な原理である。ただ、単純であるがゆえに、優れているといえ、相乗積はいまでも、部門の粗利管理から、棚割りの粗利管理、さらには、刺身盛り合わせの粗利管理、精肉の部位ごとの粗利管理などに応用され、現場で広く活用されている仕組みである。

   この構成比の時代は、その意味で、現時点でも相乗積だけでなく、広く、活用されている商品の検証方法であるといえ、わかりやすく、現場でも活用され、脈々と続いているといえる。

   そして、その後、登場したのが、PI値である。PI値は、POS分析の代名詞ともいえる商品の評価方法であるといえ、POS分析の普及とともに、世の中に受け入れられるようになっていった。一般にPOS分析では、商品ごとに売上高、売上数量、そして、レシート客数(レシート枚数)が算出できるため、これまでの構成比に加え、レシート客数で割ったPI値の算出が可能となったからである。一見、構成比に良く似た指標であるが、構成比が常に全体の売上高で割って算出するのに対し、PI値はレシート客数、これは限りなく、顧客1人当たりの売上高、いわば、顧客シェアに近い数値となり、顧客から、商品がどのように評価されているか、すなわち、商品の顧客からの検証が可能になる点が大きく違うといえる。

   商品の検証は、このように、初期の頃は単純な売上高の比較、そして、その後、長く、現在まで構成比での検証の時代が続いているが、POSの出現とともに、PI値の時代へと突入したといえる。そして、現在では、ID-POS分析の時代となり、新たな商品の検証の時代が始まりつつあるといえるが、これについては、別途、本ブログで取り上げたい。

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December 16, 2011

MD評価表からレポートを作成するポイント、その2!

   前回はMD評価表から、マーチャンダイジングの評価レポートを作成する上においてのポイントを特に、MD評価表をどう読み解き、どこに着目し、どのような点に気を付けてレポートすれば良いかを解説した。そこで、今回は、MD評価表と現場との連動をどうはかり、その状況をどうレポートに組み込むかを解説してみたい。MD評価表のマーチャンダイジングの評価レポートの数字の解説に加え、現場の状況がこれに反映されれば、より、MD評価表の活用が全社的に広がり、本部、現場一体となった顧客の声に基づいたマーチャンダイジングの改善が促進されよう。

   鶏が先か、卵が先か、MD評価表はよく議論の対象となる。すなわち、MD評価表を見てから、現場を見るか、現場を見てからMD評価表を見るかである。理想的には双方が一致することであるので、どちらからでも良いといえるが、現場は当然、現場優先、本部は現場ほど現場に触れる機会がないので、MD評価表優先となろう。したがって、双方がMD評価表を通じてコミュニケーションをはかることで、双方の認識が一致し、本部、現場の一体化が生れるといえ、その意味では、MD評価表からマーチャンダイジングレポートを本部が作成し、現場の声を反映させることが、レポートを全社的に活用する上においては重要なポイントといえよう。

   では、どのように、現場の声をレポートに反映させるかであるが、まずは、前回、解説したように、本部が数字を限界まで解明することである。ここが第1ステップとなろう。そして、その結果、現時点の全社として共有すべき象徴的なマーチャンダイジング改善の課題となる商品、店舗を特定することが第2ステップである。そして、可能であれば、その商品、店舗へ出向いてゆき、現場の写真、動画をとり、担当者になぜ、このようなマーチャンダイジングを実践しているのかを確認することが第3ステップである。もちろん、現場から写メールを送ってもらっても良い。

   その際、課題となる商品、店舗であるが、第1優先は全社の数字を大きく改善する可能性の高い商品、店舗を選定することである。そして、第2優先は、正反対、全社の数字に大きな影響を与える可能性の高い商品、店舗を選定することである。この2つが優先課題であるといえ、後は、その次に課題となるもの、短期的に解決可能なもの、中長期的に解決可能なものなどを選定すると良い。そして、必ず、その商品、店舗の写真、動画、場合によっては図などのイメージをレポートに加えることがポイントである。できれば、現場のコメントも欲しいところだ。

   現場のコメントに関しては、共通の言語として、MD評価表を前提に会話をすることがポイントである。MD評価表は本部、現場の共通の言語、顧客の声を反映したものであるので、ただ、現場の声を拾うのではなく、なぜ、金額PI値が変化したか、その要因がPI値にある場合は、PI値がアップした具体的なアクション、平均単価がアップした場合も、その要因を、現場とともに、確認することである。そして、そこから、全社がすぐに取り組める要素を引出し、これをレポートに写真、動画、そして、MD評価表とともに、簡潔にまとめることがポイントである。

   では、どのような頻度でレポートを作成するかであるが、大きくは2つに分かれよう。ひとつは週別の速報、戦術的なレポートである。そして、もうひとつは、月別のまとめ、戦略レポートである。その違いであるが、週別の戦術レポートは、即時に業績アップ、課題改善が可能なものが望ましく、金額PI値の高い商品を中心に取り組むと良い。また、レポート枚数も、写真も含め、できれば1枚か2枚に集約したいところだ。これに対して、月別の戦略レポートは、週別のまとめと同時に、可能な限り、金額PI値の低いものまで目を配りたいところだ。また、昨年同月との比較も加えられればなお良い。レポート枚数も4、5枚から7、8枚ぐらいまで欲しいところだ。さらに、写真もベストショットに加え、課題ショットも加えると、内容が充実することになろう。

   したがって、年間12ケ月、52週であるので、週別は年間52回の速報、戦術レポートを1回につき、1、2枚発信し、月別は12回、週別のまとめ+アルファとしての戦略レポートを1回につき数枚発信し、本部と現場の一体化をはかり、MD評価表を媒介にし、顧客の声にもとづいたマーチャンダイジングの改善を図ってゆきたいところだ。

   このように、2回に渡って、MD評価表からレポートを作成するポイントについて解説したが、MD評価表は現場で日々発生している商品と顧客との接点を数値化した数表であり、まさに、顧客の声にもとづいたマーチャンダイジングの評価表である。現場は現場の情報しか触れる機会がないのが実態といえ、全店の情報が即座に集まる本部が週別の戦術レポート、月別の戦略レポートを可能な限り、現場の声を取りいれ作成し、発信することがポイントである。そうすることにより、本部も現場を理解し、現場も全店舗の中で自らの位置をつかみ、双方が顧客の声に立脚したマーチャンダイジングを実践してゆくことが可能となろう。

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