November 13, 2011

ドラックストア、2011年3月期中間、好調!

   ここへ来て、2011年3月期の中間決算の公表が相次ぎ、食品スーパーマーケット業界の決算はいずれも好調な中間決算があいついでいる。そこで、ここでは、ドラックストアについて、この中間決算がどのような結果となったかについて見てみたい。ちょうど、11/12の日経新聞で、ドラックストア大手5社の中間決算の記事が掲載されたが、この結果も踏まえ、マツキヨHD、サンドラック、スギHDのドラックストア業界、売上高上位3社の中間決算の結果を見てみたい。

   まずは、日経新聞11/12の記事であるが、見出しは、「5社そろって経常増益」、「ドラックストア大手4~9月」、「節電対策商品が好調」という記事である。その5社とは、マツキヨHD売上高2,147億円(昨対1%)、経常利益91億円(昨対13%)、サンドラック売上高1,902億円(昨対7%)、経常利益109億円(昨対18%)、スギHD売上高1,641億円(昨対8%)、経常利益107億円(昨対38%)、ココカラF売上高1,604億円(昨対60%)、経常利益64億円(昨対77%)、そして、カワチ薬品1,113億円(昨対-8%)、経常利益57億円(35%)である。いずれも経常利益が2桁の増益であり、売上高よりも利益が好調に推移しているといえよう。特に、利益が好調な要因について、マツモトHDは、「利益率の高い医薬品などのプライベートブランド(PB=自主企画)商品の販売が増加した。「効率的な経営に努めたことで増益を確保できた」」とのことである。

   そこで、日経新聞の記事では公表されていないマーチャンダイジングに直結する営業利益について、原価、経費面から売上高上位3社のマツキヨHD、サンドラック、スギHDについて見てみたい。なお、いずれの決算書においても、食品スーパーマーケットの決算書と違い、その他営業収入が計上されておらず、食品スーパーマーケットのようにマーチャンダイジング力を算出することはできず、マーチャンダイジング力=営業利益となる。

   はじめに、原価であるが、マツキヨHD72.00%(昨年72.41%)と、0.41ポイント改善している。結果、売上総利益は28.00%(昨年27.59%)となった。サンドラック77.08%(昨年77.46%)と、0.38ポイント改善した。結果、売上総利益は22.92%(昨年22.54%)となった。そして、スギHDであるが、72.98%(昨年73.51%)と、0.53ポイント改善した。結果、売上総利益は27.02%(昨年26.49%)となった。こう見ると、マツキヨHDとスギHDは原価構造が良く似ているが、サンドラックは両企業とは一線を画し、原価高、すなわち、低粗利であり、約5%違い、ディスカウント路線が鮮明であるといえる。これは、サンドラックが粗利の高い医薬品、化粧品よりも、粗利の低い食品関連、消耗雑貨を両企業よりも強化していることによるといえよう。

   ついで、経費であるが、マツキヨHD24.13%(昨年24.23%)と0.10ポイント削減している。サンドラックは17.29%(昨年17.43%)と0.14ポイント削減している。そして、スギHDであるが、20.81%(昨年21.84%)と1.03ポイントと大きく削減している。それにしても、この経費比率は3社3様であり、サンドラックが極端に低い経費比率であるのに対し、マツキヨHDは3社の中では最も高い経費比率である。スギHDはちょうど、その中間であり、3社大きな違いである。また、スギHDが他の2社と比べ、大きく経費比率を改善しているのも特徴である。

   結果、差し引き、営業利益率はマツキヨHD3.87%(昨年3.36%)、サンドラック5.63%(昨年5.11%)、スギHD6.21%(昨年4.65%)となり、いずれも増益、しかも、原価、経費双方を改善しての増益である。特に、スギHDは他の2社と比べ、経費改善効果が大きく、大幅な増益となったのが特徴である。また、3社とも共通しているのは、原価率の改善であり、この中間決算期間は原価改善により営業利益を大きく押し上げたといえよう。やや気になるのはマツキヨHDであり、経費比率が最も高く、その改善率も低かったために、営業利益率が他の2社と比べ、かなり低いことである。今後、いかに、経費比率を引き下げられるかが課題といえよう。

   こう見ると、ドラックストア業界も食品スーパーマーケット業界同様、3/11の東日本大震災以降、特需が発生したことに加え、震災後しばらくは価格競争が弱まり、さらには、新規出店の抑制等もあり、原価、経費双方が改善したといえ、これが営業利益を押し上げたといえよう。問題は、後半であり、消費動向が不透明な上に、依然としてデフレ傾向は強く、価格競争もここへ来て、再開されたきらいもあり、この好調さを維持できるかどうか、読めないところである。

   この3社の通期予想も、マツキヨHD売上高5.1%、営業利益7.2%、サンドラック売上高8.1%、営業利益10.4%、スギHD売上高5.3%、営業利益21.3%であり、売上高はこの中間決算に近い伸び率であるが、営業利益は増益予想ではあるが、その伸び率は大きく下がっており、厳しい数字となっている。これは、価格競争が激化し、原価に影響が及ぶと予想しているものといえ、それだけ、前半と後半では経営環境が大きく変化すると見ているということであろう。今後、後半に向けで、ドラックストア各社がどのように収益改善を図るってゆくのか、その動向に注目である。

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November 04, 2011

「ドラッグストアでの商品購入」に関する調査、公表!

   10/31、(株)クロス・マーケティングから、「ドラッグストアでの商品購入に関する調査」、サブタイトル、「~その商品は目的買い?それともついで買い? ~」が公表され、プレスリリースされた。この調査は(株)クロス・マーケティングが独自にネットアンケート調査した結果を公表したものであり、過去一週間以内にドラッグストアで買い物をした、関東1都6県に居住する20~69歳の男女2,000人を対象にしたものであり、ドラックストアで買い物をする消費者の実態を捉えているといえ、興味深い内容である。

   (株)クロス・マーケティングは、今回の調査の目的を、「本調査では、商品カテゴリ毎に「目的買い」か「ついで買い」かを調査しました。また、商品決定のタイミングや店頭検討時のポイントを把握することで、ドラッグストアの利用実態を明らかにしました。」としており、サブタイトルにもあるように、目的買いか、ついで買いかに焦点が当てられているのが特徴である。

   調査カテゴリーであるが、ヘアケア用品(n=685)、食料品(n=596)、市販薬(n=573)、洗濯用洗剤、柔軟剤、仕上げ剤(n=485)、オーラルケア用品(n=477)、ティッシュ、トイレットペーパー(n=391)、ソフトドリンク(n=339)、日用雑貨(n=323)、ボディー・ハンドソープ、石鹸(n=311)、台所用洗剤(n=309)、スキンケア化粧品(n=271)、台所、風呂、洗濯などの家事用品(n=238)、生理用品(n=212)、栄養ドリンク(n=200)、住居用洗剤(n=178)、健康食品(n=165)、サプリメント(n=159)、メイクアップ化粧品(n=141)、アルコール飲料(n=127)、シェービング用品(n=84)、ベビー用品(n=72)、コンタクトレンズ用品(n=67)、ペットフード・ペット用品(n=49)の23項目であり、ドラックストアの取り扱いカテゴリーを網羅している。nの数字が示すように、上から直近購入者が多い順であり、ヘルスケア、食料品、市販薬が500人を超え、トップ3である。

   さて、目的買いか、ついで買いかの結論であるが、「全ての商品カテゴリーで、「目的買い」が「ついで買い」を上回る。「ついで買い」が多いのは、「食料品」「ソフトドリンク」「栄養ドリンク」「健康食品」などの食品類と「日用雑貨」」とのことである。特に、目的買いが多い項目は市販薬89.7%、ペットフード・ペット用品84.0%、コンタクトレンズ用品80.1%であり、この3つが80%を超える指名買いの高い商品である。ドラックストアだけあって、市販薬が圧倒的な指名買いであるといえ、来店動機そのものといえよう。以外なのは、ペットフード・ペット用品であり、市販薬に次ぐ来店動機を形成している可能性が高いといえる。

   また、「銘柄決定のタイミングで「指名買い」が多いのは、「コンタクトレンズ用品」「サプリメント」「洗濯用洗剤、柔軟剤、仕上げ剤」。「候補の中から店頭決定」が多いのは、「ボディ・ハンドソープ、石鹸」「生理用品」「住宅用洗剤」など。「候補なく店頭決定」が多いのは、「食料品」「ソフトドリンク」「日用雑貨」」とのことである。意外なのは、先にあげた目的外ベスト3の内、No.1、No.2の市販薬、ペットフード・ペット用品は複数候補をもって来店しているとのことで、興味深い結果である。

   もうひとつ興味深い調査結果であるポイントについても見てみたい。結論としては、「約6割の利用者が「ポイントカード」を2枚以上所有。「ポイントアップの日」や「ポイントが高い商品」を意識する者(6割)は、 意識しない者(3割)の約2倍」とのことである。ポイントカードを2枚以上が約6割であるので、ドラックストアのポイントカードを複数持っている方が大半であり、しかも、ポイントへの意識が高いといえ、ドラックストアにとって、ポイントの重要性が浮かび上がったといえよう。

   この調査は多岐に渡った調査であり、1.目的買いvsついで買い。指名買いvs店頭決定、2.店内での買い回り行動、3.直近利用店舗、4.利用の経緯、5.所要時間と購入金額、6.ポイントについて、7.購入商品カテゴリー、8.商品カテゴリー別購入実態、9.ついで買い理由(商品カテゴリー別)、10.指名買い理由(商品カテゴリー別)、11.候補にしている理由(商品カテゴリー別)、12.店頭決定時の参考情報・重視点(商品カテゴリー別)と、全部で12項目にまとめられ、ドラックストアでの消費者の購入実態がよくわかる内容である。

   改めて、ドラックストアはまさに、ドラック、市販薬の購入を目的としていることが鮮明に浮かび上がったといえる。さらに、ペットフード・ペット用品、コンタクトレンズ用品が、市販薬同様、重要な来店目的となっており、この3つをしっかりおさえることがドラックストアのマーチャンダイジングのポイントであるといえよう。一方、食料品、雑貨は目的買いではなく、典型的なついで買い商品であり、食品スーパーマーケットとの違いが鮮明である。こう見ると、食品スーパーマーケットとドラックストアは相性が良い業態といえ、ドラックストアがNSC(近隣型ショッピングセンター)の中核となるのは、この調査結果からも、うなづける。

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January 27, 2008

ドラックストア株価速報1/25、CFS、26週移動平均乖離率トップ!

   1/22のCFSの臨時株主総会において、アインファーマシーズとの経営統合案がプロキシーファイト(委任状争奪戦)にまで発展し、イオン等の反対により否決された騒動が冷めやまぬ中、CFSを含め、今週、1/25時点のドラックストア業界の上場企業の株価を見てみたい。ここ最近の日経平均は、危機的なアメリカにおけるサブプライムローン問題が米連邦準備制度理事会(FRB)の緊急利下げ、0.75%により、3.50%となり、一時的には危機が解消され、上昇気味で推移している。これを受け、食品スーパーマーケット、ドラックストアの株もここ最近上昇気味で推移しているが、1/25現在の26週移動平均乖離率(中長期的)で、ドラックストア業界を見てみると、No.1はCFSの12.31%であった。ドラックストア業界は上場企業が約20社であるが、現在、CFSの株式に注目が集まっているといえよう。

   1/25現在、CFSの株価は520円(+31円、+6.33%)であり、26週移動平均乖離率は21.31%、5日(5.05%)、25日(10.40%)、13週(6.33%)といずれの指標もプラスで推移しており、しかも、26週では小売業の上場企業全約400社の内、7位であり、小売業界の中でも投資家から関心を集めているといえよう。実際、CFSの株価の終値を見ると、1/22の臨時株主総会が行われる前から株価は上昇気味で推移しており、1/22以降もプラスで推移している。今後、イオンがどのような提案をするかが注目であるが、投資家は買いと判断しているようである。一方、アインファーマシーズは1/25現在、1,677円(+10円、+0.59%)と、ここ最近は株価が上昇しているが、26週移動平均乖離率は-3.89%とマイナスであり、小売業界の中では99位と中長期的には株価は下がり気味で推移しているといえる。

   CFSについで、ドラックストア業界で、26週移動平均乖離率が高いドラックストアは、サンドラックであり、7.68%である。サンドラックの株価も5日(6.04%)、25日(0.93%)、13週(2.48%)とすべての指標がプラスであり、小売業界の中でも15位となる26週移動平均乖離率である。実際のチャートを見ると、12月以降、下げ気味で推移しているが、26週という6ケ月の流れで見ると、株価は上昇気味で推移しており、1/25現在、2,930円(+125円、+4.45%)であるが、以前は2,500円前後で推移していたので、その当時と比べれば、約500円上昇しており、中長期的には株価は上昇気味で推移しているといえよう。

   ついで、ウェルシアであり、26週移動平均乖離率は4.68%で小売業界の中では22位である。ただ、5日(1.37%)、25日(-1.96%)、13週(-0.69%)と短中期的には伸び悩んでいるが、長期的には上昇傾向である。1/25現在の株価は3,550円(+40円、+1.13%)である。ウェルシアはイオンのドラックストア戦略の中核企業でもあり、今回のCFSの件を含め、今後の動向が気になるところである。ウェルシア以降のドラックストアの26週移動平均乖離率は1.0%を切ってしまうが、プラスで推移しているドラックストアを見てみると、スギ薬局0.99%、アインメディカルシステムズ0.96%、メディカル一光0.50%の6社である。これ以外のドラクストアは26週移動平均乖離率がマイナスとなっており、中長期的には厳しい株価であるといえよう。

   その中で、現在、26週移動平均乖離率が最も低いドラックストアは、キリン堂であり、-28.22%である。キリン堂の株価は1/25現在、585円(+5円、+0.86%)と、この日は上昇しているが、5日(-0.84%)、25日(-18.41%)、13週(-23.12%)と、短中長期ともマイナスとなる厳しい株価が続いており、実際、チャートを見ても、昨年10月には900円前後で推移していたので、その後、ほぼ右下がりで推移している。

   ついで、レディ薬局であり、26週移動平均乖離率は-27.51%である。レディ薬局も5日(2.45%)、25日(-15.51%)、13週(-21.39%)と短期は上昇気味であるが、中長期的には厳しい状況であり、1/25現在の株価は117,000円(+5,000円、+4.46%)と跳ね上がっているが、チャートを見ると、昨年10月は180,000円前後で推移していたので、かなり、厳しい現在の株価といえよう。これ以外のドラックストアは、薬王堂-27.05%、ゲンキー-24.85%、コスモス薬品-21.47%、日本調剤-19.97%、カワチ薬品-11.70%、ミドリ薬品-11.12%と、以上が10%以上、26週移動平均乖離率が下がったドラックストアである。

   なお、26週移動平均乖離率では上場期間が足りず対象外になったマツモトキヨシホールディングスであるが、上場当初の2,000円前後と比べると、1//25現在2,435円(-35円、-1.41%)と上昇気味で推移しているが、5日-1.33%、25日-7.76%、13週0.28%と短中期的には厳しい株価が続いている。

   このように、ここ最近のドラックストアの株の動きは全体的には厳しい株価で推移しているといえ、否決はされたが、今回の筆頭株主であったイオンの反対を押し切ってCFSとアインファーマシーズの経営統合が役員会段階では決定されるなど、いつ、このようなM&Aの動きが起こっておかしくない状況にあるといえる。今後、イオンを軸に、ドラックストア業界全体が大きく動いてゆくことになるといえ、今後のイオンの動向に注目である。

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September 25, 2007

ドラックストア、売上速報、2007年8月度、116.9%!

   ドラックストアの上場企業は約20数社であり、その中で月別の売上速報を公表している企業は15社である。今回、この15社の内、現時点で2007年8月度の売上を公表している企業13社をまとめてみた。総店舗数は約3,700店舗であり、ドラックストアの先行指標としては充分な数字といえよう。その結果、全体の売上は115.1%、既存店は101.4%であり、食品スーパーマーケット業界の8月度の全体が104.8%、既存店が99.6%であるので、ドラックストアの方が売上成長率が高いといえよう。しかも、今回の集計企業すべての売上が昨対100%を越えており、ドラックストアはこの数字をみる限り、成長業態といえよう。ただ、既存店は昨対を割る企業も4社ほどあり、成長の源泉は食品スーパーマーケット同様、新規出店による売上増にあるといえる。

   このような中でこの8月度の売上伸び率がNo.1となったドラックストアは北海道のツルハホールディングスであった。現在、約700店舗弱を展開しており、積極的な新規出店が寄与し、売上は128.9%であり、高い成長率である。残念ながら、既存店は99.8%とわずかに昨対を切ってしまい、特に、既存店の客数が97.2%、客単価が102.6%であるので、客数のダウンが原因といえ、競合状況の厳しさを反映しているといえよう。

   No.2は大阪府を中心に約200店舗展開しているキリン堂であり、126.9%であり、既存店は101.3%であった。キリン堂も既存店が100%強であり、新店が寄与し、全体の売上を126.9%にまで伸ばしたといえよう。そして、No.3は東京都を中心に約250店舗展開しているセイジョーであり、全体は126.8%、既存店も104.6%と好調な売上であった。ドラックストア全体の既存店の平均売上が101.3%であるので、104.6%は伸び率が高く、セイジョーは既存店も高い伸び率で推移しており、新店との売上のバランスがよいドラックストアといえよう。

   No.4は埼玉県を中心に約250店舗を展開しているウエルシアであり、全体の売上は120.5%、既存店も102.4%とバランスのよい売上である。全体の客数116.5%、客単価104.0%と客数と客単価のバランスもよく伸びている。No.5は福井県を中心に45店舗展開しているゲンキーである。全体が119.7%、既存店が104.9%であり、しかも、全体の客数118.0%、客単価101.3%、既存店についても、客数103.1%、客単価101.8%と今回の集計したドラックストア13社の中で最も売上バランスよい企業である。

   以上が約120%以上の売上伸び率の高いドラックストアであり、現在、この5社が全体の数字を牽引している。これに対し、今回、集計したドラックストアの中で、売上伸び率が最も低かった企業は茨城県を中心に105店舗を展開している寺島薬局であり、全体が101.9%、既存店が101.0%とどちらも昨対を超えたが、新店の出店による店舗増がほとんどなく、全体の売上はわずかな数字にとどまった。ついで、愛媛県を中心に92店舗を展開しているレデイ薬局であった。全体の売上は102.8%、既存店は97.0%であり、全体の客数が103.0%、客単価は99.8%、既存店の客数は98.0%、客単価も99.8%であり、既存店が厳しい状況であり、競合状況の厳しさを反映しているといえよう。そして、もう一店舗、栃木県を中心に158店舗を展開しているカワチ薬局であり、全体の売上は105.5%、既存店は102.0%であり、既存店は昨対を越えたが、新店が少なかったとため、全体の売上が伸び悩んでいるといえよう。

   このように、ドラックストアの2007年8月度の売上は絶好調といえ、全体では115.1%、既存店も101.4%であったが、これを今年の1月度と比べて見ると、1月度は全体が109.7%、既存店が99.8%であったので、8月度の伸びはさらに成長率が高まったといえる。これは1月度の総店舗数が約3,300店舗であったが、8月度は約3,700店舗となり、この7ケ月間に約400店舗ほど新店が増加しており、1社当り約25店舗、全体では109%増加しているため、積極的な新店開発が全体の売上増の要因であることがわかる。ただ、このような全体的な傾向の中でも、新店開発力の差により明暗がわかれており、ドラックストア業界においても新店の開発力が成長のための重要な経営課題であるといえよう。

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June 08, 2007

ドラックストア、カワチ薬局の2007年3月期決算を見る!

   ここへきて、食品スーパーマーケットに続き、ドラックストアも2007年2月期、3月期の決算の公表が一段落し、各社、新年度へ向けて新たなスタートが始まった。前回、好調なサンドラックの決算を取上げたので、今回は、ドラックストア、世界一を目指しているカワチ薬局の2007年3月期の決算を見てみたい。カワチ薬局は、この3月から連結決算を公表しているが、連結子会社の倉持薬局のみなし取得日が会計年度の期末日にあたるため、数字が公表されておらず、ここでは個別の決算をみてゆく。

   売上高は2,073.37億円(103.6%)と微増であったが、営業利益が95.90億円(86.4%:売上対比4.6%)と減益となった。経常利益も97.13億円(86.7%:売上対比4.7%)と減益となったが、当期純利益は54.83億円(132.0%:売上対比2.6%)と大幅な増益となった。当期純利益が大幅な増益となった要因は昨年は減損会計を41.09億円計上したが、今期は0であり、その分、特別損失が大きく削減され、増益となった。また、営業利益が86.4%と減益となった要因は、売上総利益が昨年の21.7%から21.6%へと0.1ポイント下がったことに加え、販売費及び一般管理費が16.2%から17.0%へと0.8ポイント上昇し、結果、差引き営業利益が5.5%から4.6%へと下がったことによる。昨年と比べ、金額で約30億円の経費増であるが、主な増加要因は人件費と賃借料が大きかったといえよう。ただ、経費比率17.0%は、ローコスト経営といえ、売上、特に既存店が回復してくれば、カバーできる数字であり、今後の既存店の動向が鍵を握っているといえよう。

   その既存店の動向であるが、2007年度は厳しい数字で推移しており、特に前半が厳しく、昨年5月度は89.1%となるなど、90%から95%で推移していた。後半からは数字がのびはじめ、この2月には102.4%となるなど持ち直し、年間では96.3%となった。これが、今期、売上が伸び悩み、結果、固定費が相対的に上がり、経費比率の上昇につながったといえよう。ただ、この4月は104.5%、5月は108.4%と好調な数字であり、全体も109.3%、113.8%と好調な売上であるので、この第1四半期決算は期待が持てそうである。

   また、今期の新店については、カワチ薬局は400坪以上のメガドラックを主力業態にすえ、主要生活道路沿いに立地し、ファーマシーモアのコンセプトのもとでドラックストアを越える品揃えを低価格で提供することに努めている。部門別の売上構成比を見ても、医薬品16.5%、化粧品7.5%とドラックストアの中核商品の構成比が合計23.0%と低く、逆に雑貨31.0%、一般食品45.0%と合計76%となり、食品スーパーマーケットの雑貨、グロサリー、日配部門にあたる商品構成比が圧倒的に高いことがカワチ薬局の最大の特徴である。このメガドラックを今期は茨城県、宮城県、栃木県、埼玉県に各2店舗づつ、千葉県に1店舗、そして、新規に静岡県へ1店舗と10店舗出店したことが、既存店の不振をカバーし増収につながった。

   一方、カワチ薬局のROAであるが、3.47%(昨年2.83%)となり、昨年よりも改善している。これはROEが7.2%(昨年5.8%)と当期純利益の増加が寄与したことにより、自己資本比率は48.1%(昨年48.5%)と下がっているので、ROEの改善が大きかったといえよう。ただ、カワチ薬局の経営目標はROE10.0%が中期的な目標であるので、7.2%は目標の約70%であり、今後、一層の改善が課題となる。

   カワチ薬局の自己資本比率48.1%の中身であるが、負債の中の主要な項目である長短借入金は375.04億円(昨年346.07億円)と約30億円削減されているが、総資産の23.74%、売上の18.08%となり、やや経営に負担となるボリュームであり、今後、一層の削減が課題といえる。また出店にかかわる資産については、土地545.14億円(昨年534.55億円)、建物358.92億円(昨年247.78億円)、構築物67.80億円(昨年72.96億円)、そして、差入保証金72.15億円(昨年69.72億円)と合計1044.01億円(昨年925.01億円)となり、昨年よりも約100億円増加し、総資産の66.10%となり、メガドラックの出店はかなりの資産増となっているといえよう。また、営業にかかわる資産である商品は159.35億円(昨年130.80億円)と総資産の10.09%であり、メガドラックストアとしては、雑貨、一般食品の在庫負担も大きいといえよう。

   このように、今期のカワチ薬局の決算は増収減益となる厳しい決算となったが、その要因は既存店のダウンが大きかったといえよう。ただ、減損会計の計上が今期はなかったことにより、当期純利益は大きく増益となり、結果ROEが上昇し、ROAも改善された。しかし、中身を見てみるとメガストア主体の出店戦略が、出店にかかわる資産および在庫を増加させており、長短借入金も削減したとはいえ、高めの水準であり、今後、一層の経営改善、特に、借入金の削減と出店コストをいかにおさえるかの資産の圧縮が課題といえよう。そのためにも、既存店の数字改善は急務であり、滑りだし順調な既存店が今後どのように推移するかが、今期のカワチ薬局の重要なポイントといえよう。今後のカワチ薬局の既存店の動向に注目したい。

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June 07, 2007

ドラックストア、サンドラック2007年3月期決算、増収増益!

   最近、ドラックストアを見る機会が増え、まぐまぐの食品スーパーマーケット最新情報版でも言及したが、ドラックストア同士の競合状況を越え、食品スーパーマーケットとの直競合もいたるところではじまっている。特に、食品スーパーマーケットの雑貨はもちろん、グロサリー、日配にまで、波及し、カテゴリーによっては、食品スーパーマーケットよりもはるかに安い価格訴求がかかっているのが実態である。そこで、今後、食品スーパーマーケット最新情報のブログでもドラックストアについても取上げてゆきたい。今回は、ドラックストア業界の中でも全国展開に乗り出し、成長著しいサンドラックの2007年3月期の決算を見てみたい。

   サンドラックは現在FC展開を積極的にすすめており、また、M&A、業務提携も積極的であり、ここでは、連結対象の企業の業績をも含めた連結決算を主にみてゆく。2007年3月期決算の売上高は1,977.68億円(111.4%)、営業利益127.50億円(103.3%:売上対比6.4%)、経常利益129.64億円(103.2%:売上対比6.5%)、当期純利益74.92億円(102.4%:売上対比3.8%)と増収増益の好決算であった。特に、営業利益が売上対比6.4%と極めて高い水準であるといえ、食品スーパーマーケット業界では、この営業利益水準の企業は数社しかない。

   ただ、昨年は売上対比7.0%であったので、昨年よりは売上対比では、0.6ポイント営業利益が減少しているが、売上高が111.4%と大きく伸びたことにより、営業利益率の減少を、営業利益高で上回ったといえる。今期、売上が好調であった要因は、41店舗の新規出店に加え、既存店に関しても5店舗のスクラップ&ビルドを行うと同時に、16店舗の改装を行ったことにより、既存店の数字も昨対を上回り100.9%となったことによる。その結果、今期は直営341店舗、FC119店舗、調剤14店舗となり、合計474店舗となった。

   一方、サンドラックのROAであるが、今期は10.10%(昨年11.31%)となり、昨年をやや下回ったが、10%を越える高水準のROAである。これは当期純利益が売上対比で4%近い数字の高収益体質であることに加え、自己資本比率が61.6%(昨年61.5%)と極めて高い水準であるからである。自己資本比率が高い背景には、負債面の主な資産である長短借入金が0という無借金経営であり、負債面が健全であるためである。しかも、今期は資本金は増加していないが、利益剰余金が好調な決算により、昨年の378.76億円から439.33億円と約60億円増加していることが大きい。

   また、資産の主となる出店にかかわる資産については、建物及び土地84.97億円(昨年76.71億円)、土地27.24億円(昨年25.20億円)、保証金99.46億円(昨年92.16億円)と合計211.67億円(昨年194.07億円)と昨年よりもわずかな上昇であり、総資産対比も26.70%である。今期の新規出店を借入金なしでのキャッシュフローの範囲内で行い、しかも、総資産の割合が極めて低い数字であり、きわめて健全な成長戦略であるといえよう。

   では、残り約70%強の資産は何かと見ると、営業にかかわる資産であるたな卸資産が199.12億円(昨年175.64億円)と総資産の25.12%であり、売上対比10.06%である。ここが食品スーパーマーケット業界とは大きく違うところであり、最近のサンドラックは徐々に大型化をすすめ、雑貨、食品、菓子等の在庫が増えつつあり、これがたな卸資産を増加させ、売上対比でも大きな比重を占めるようになったといえよう。

   ちなみに、今期のサンドラックの商品構成ごとの売上高、仕入高、その売買差益を見てみると、化粧品が最も売上構成比が高く、35.6%であり、ついで医薬品の28.7%であり、このドラックストアの中核の商品で売上構成比が約65%となる。そして、最近、品揃えと価格訴求の同時追及を目指している食品関連が17.4%、消耗雑貨が15.1%である。約30%強の売上構成比であり、その他が約5%となる。売買差益については、医薬品のみ約30%であるが、残りの部門は約半分の約15%であり、儲けの源泉は医薬品にあることがわかる。食品スーパーマーケットと競合するグロサリー、消耗雑貨は15%程度の売買差益であり、極めて低く押さえているといえよう。

   今後、グロサリー、消耗雑貨の強化で先行するカワチ薬局、コスモス薬品ではすでにこれらの売上構成比が60%から70%近くあり、医薬品、化粧品以外の売上が経営の根幹を担っていることがわかる。サンドラックはまだまだ郊外型よりも都市型が主力業態であるが、今後、郊外型の開発がすすめば、さらにグロサリー、消耗雑貨の強化が進むものといえ、この部門の強化がさらなる成長につながってゆくものといえよう。サンドラックは財務的にも非常に健全な状況であり、今後の飛躍的な成長を目指した新店開発がどのような方向に向うかが注目である。

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March 02, 2007

ドラックストア、2007年1月度の売上速報、109.7%!

  ドラックストアは現在約20数社が上場しているが、その中で月次売上を公表しているドラックストアは15社である。この15社の総店舗数は約3,000店舗強であるので、ほぼ、ドラックストア業界の先行指標となる規模といえよう。すでに、2月度の速報を公表しているドラックストアもあるが、2007年1月度の集計をまとめてみた。全体としては、109.7%とほぼ2桁の伸びで推移している。ただ、既存店は99.8%と厳しい状況であり、ドラックストア同士の競争、食品スーパーマーケット、ホームセンター、100円ショップ等との異業種間競争もあり、既存店に関しては厳しい状況であるといえよう。

  ドラックストア2007年1月度の売上伸び率No.1はウエルシア関東の151.8%であった。ただ、この数字には現在236店舗の内、昨年の3/1にいいの(59店舗)を吸収合併しており、その数字がそのままオンしている売上伸び率である。ドラックストア業界は小売業の中でも現在M&Aが激しく起こっており、全体の売上伸び率は高くなる傾向がある。一方、ウエルシア関東の既存店の伸び率は105.8%であり、今回全15社のドラックストアの中で、既存店においてもNo.1の伸び率であった。ウエルシア関東はイオンが29.6%株式を保有し、親会社となっており、今後、さらにM&Aを加速させ、売上を伸ばしてゆくものといえよう。

  No.2はコスモス薬品であり、119.8%であった。積極的な新店により、全体の売上は大きく伸びているが、既存店は98.0%と昨対を切っており、競争の厳しさが伺える。No.3はゲンキーであり、116.7%である。北陸、福井県をドミナントに展開する35店舗のドラックストアであるが、成長著しい企業であり、既存店も104.1%と好調である。既存店の104.1%はNo.1のウエルシア関東についで2位でありバランスのよい成長である。No.4はサンドラックであり、113.7%である。既存店も101.3%と昨対を上回った。現在店舗数も400店舗を越え、上場ドラックストアの中ではマツモトキヨシ、ツルハホールディングスについで3番目に多い店舗数である。No.5はキリン堂であり、110.2%である。既存店は競合状況が厳しいとみえ、98.4%で昨年を下回ったが、積極的な新店戦略で全体の売上は2桁であった。そして、No.6は岩手県を中心に東北地域に約100店舗弱展開している薬王堂である。全体の売上は110.1%、既存店は100.2%である。ここまでの6社が、2007年1月度の売上110%以上のドラックストアである。

  次に、110%までには届かなかったが、105%以上のドラックストアであるが、No.7は昨対109.2%のツルハホールディングスである。既存店も101.8%と安定した成長をつづけており、店舗数も500店舗弱となり、上場ドラックストアではNo.1のマツモトキヨシの800店舗弱にはとどかないが、No.2の店舗数である。No.8はスギ薬局であり、109.1%であり、既存店も102.7%と好調な売上であった。No.9はセイジョーの106.9%である。既存店も100.1%とわずかではあるが、昨対を越えている。そして、No.10はカワチ薬局である。昨対106.0%であるが、既存店が99.1%とわずかではあるが昨対をきっており、競合、特に、カワチ薬局の場合は1,000坪以上のメガドラックストアが主体での展開であり、食品スーパーマーケット等との競合が厳しいものといえよう。以上、4社が昨対105.0%以上のドラックストアである。

  そして、105%は下回ったが、100%は昨対を越えたドラックストアが3社ある。昨対103.4%のセガミメディックスである。既存店も99.9%とほぼ100%である。鹿児島県を中心に100店舗強展開しているミドリ薬品は昨対101.2%であるが、既存店は94.0%と厳しい状況である。そして、茨城県を中心に約100店舗展開している寺島薬局が既存店は99.6%とわずかに下回ったが、全体では100.3%とぎりぎり昨対を越えた。

  以上13社が昨対を越えたドラックストアであるが、残念ながら、昨対を下回ったドラックストアが2社あった。CFSコーポレーションは95.0%、既存店も91.5%と厳しい数字であった。そして、もう1社、愛媛県で約100店舗展開しているレディ薬局であり、91.8%と厳しい数字であった。

  このように、ドラックストア15社約3,000店舗の2007年1月度の売上は全体としては109.7%と順調な成長を続けているが、既存店は99.8%とやや厳しい数字であり、昨対を越えたドラックストアは7社と半分を下回っている。現在、ドラックストアは新店開発、M&A等により店舗数が急激に拡大しつつあるが、既存店の活性化が追いついていない状況といえ、今後、既存店の活性化が重要な経営課題となってこよう。

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January 19, 2007

ドラックスア業界にみるM&Aの最新の動き!

  今年の小売業界の注目の動きのひとつはM&Aといえよう。この春には外資系企業の株式交換による子会社化が解禁されるために、小売業に限らず、M&Aがあらゆる業界で加速されるものと思われる。食品スーパーマーケット業界でもすでにアークス、原信ナルスホールディングス、ヨークベニマルを完全子会社化した7&Iホールディンス、成城石井を子会社化したレックスホールディングスの動きがあるが、小売業界で現在、最も激しいM&Aが行われている業界がドラックストア業界であろう。そこで、ここでは、小売業界でも今後盛んに起こるであろうM&Aの先行事例として、ドラックストア業界のM&Aの現況を1/17の株価の動きと連動させて見てみたい。

  まず、直近のドラックストア業界の株価の動きであるが、ここ最近株価が上昇しているドラックストアを5日移動平均乖離率で見てみると、No.1はセガミ7.26%が断トツトップであり、上場小売業界全体約400社の中で3番目という株価上昇率である。昨年はほぼ1年間株価は低迷していたが、昨年暮から株価が反転し、今年に入っても好調な株価が続いている。昨年11/5、セイジョーとの資本業務提携が投資家に好感をもたれたようである。合意内容はM&Aまでは発展していないが、相互に4.5%づつの株式を持ち合い、コスト削減、収益性向上、情報ノウハウの共有化などを目指した幅広い内容であり、今後の動きに注目である。一方、セイジョーの株価であるが、5日移動平均乖離率では2.18%とドラックストア業界では10番目、小売業界では49番目という上昇率である。やはり、セガミとの資本業務提携以降株価は急上昇しており、当時約2,000円前後であった株価が現在2800円前後まで急激にあがっている。セイジョーにつていは、12/7に完全子会社であったシブヤ薬局の合併を発表しており、M&A戦略を着々と進めているといえよう。

  ドラックストアNo.2の5日移動平均乖離率は富士バイオメディックスである。4.60%の上昇率であり、小売業界全体でも8番目であり、注目の株価である。昨年12月に入り株価は140,000円強から上昇をはじめ、現在、190,000円前後の株価であり、売買高も急激に増えている。1/9には医療施設施工業のマツモトを100%子会社化し、今後の出店戦略、コンサルティング業務の強化が進むと見られる。マツモトは全国15,000箇所の医療機関ネットワークをもっており、今後、様々なシナジー効果が期待される。このように、ドラックストア業界では本業強化のためのM&Aも起こっており、同業とのM&A以外の動きとしても富士バイオメディックスは注目である。

  ドラックストアNo.3はカワチ薬品であり、4.19%の上昇率である。カワチ薬品の株価は昨年1年間は右下がりの厳しい株価が続いていたが、今年に入り反転、一時は3,000円近辺まで下がった株価が、現在、3,500円を越えてきており、今後の動向が気になるところである。12/26には倉持薬局とのM&Aが発表され、完全子会社化が決まった。倉持薬局は年商約70億円、店舗数は8店舗の茨城のドラックストアである。

  No.4はスギ薬局であり、2.77%の上昇率、小売業全体でも26位という株価上昇率のたかさであるが、大きく上昇しているわけではなく、ゆるやかな上昇といえる。昨年6月以降株価はほぼ2,100円前後で横ばいであり、ここ最近ゆるやかに上昇し、2,200円前後である。M&Aに関しては11/21、ディスカウントストアのジャパンを株式交換により完全子会社化することを公表しており、異業種へのM&Aといえよう。ジャパンは年商が約750億円であり、単純合計するとスギ薬局の約1,250億円の年商と合わせ、約2,000億円の年商となり、カワチ薬品の年商の約2,000億円となり、業界屈指の売上高となる。今後どのように業態ミックスをはかってゆくかが課題であろう。

  また、上記のように、ここ最近株価が上昇しているドラックストア以外でもM&Aは盛んであり、寺島薬局が 3/13、富士薬品と資本業務提携を公表した。キリン堂は12/28、ジェイドラックの株式を取得し、完全子会社化することを公表した。マツモトキヨシも年商約95億円の新潟のドラックストア、マックススを12/20、株式取得により子会社することを公表した。

  このようにドラックストア業界では食品スーパーマーケット業界以上の同業種、異業種を含めたM&Aが現在、各社で進行中であり、今後、さらにこの動きが加速されるものといえよう。本ブログでも今後、食品スーパーマーケット業界の最新情報に加え、ドラックストア業界の最新情報も随時取り上げてゆきたい。

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